あらすじ
大学を休学中の貴美也は、父・龍一郎に反発しながらもその庇護下から抜け出せずにいた。北海道での鹿狩りに連れ出され、山深く分け入ったその時、2人は突如熊の襲撃を受ける。貴美也の眼前でなすすべなく腹を裂かれ、食われていく龍一郎。どこからか現れた野犬の群れに紛れ1人逃げのびた貴美也は、絶望の中、生きるために戦うことを決意する。
圧倒的なスケールで人間と動物の生と死を描く、第21回大藪春彦賞受賞作。
解説 平松洋子
感情タグBEST3
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命のやりとりの描写が生々しく 描写されている部位が自分にも染み込んでくる 野性味あふれる豪快な文章。 登場人物の感情描写も文章から感じることができ 気だるさや緊迫感、悲壮感を直に受け取れる。 獣視点もでてくるがこの人がもつ獣臭い文章を感じることができ 圧巻の物語であった。
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次が気になって、ずっと読み続けてしまう。
今まで読んだ小説の中で、1番面白かった。
途中、面白くない部分があったりするが、この小説は、最初から最後まで面白かった。
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舞台は北海道。
茨城からきた父と引きこもりの息子キミヤが狩猟に出かける。
引きこもりがちの息子は銃器の資格を取ったものの初めての猟。
豪放磊落な父は強引に禁猟地に入り込み熊を狙うも、
運悪く鉢合わせたヒグマに襲われる。
ヒグマと揉み合ううち野犬の群れも絡んできて
なんとか逃走することに成功
キミヤは父への屈託があったものの、
自殺を思いとどまり、父の仇のヒグマを倒すことを決意。
襲ってきた野犬のリーダーの喉に噛みつき屈服させ、群れの仲間と認められ
野犬と共にヒグマに対峙する。
父の遺体の土饅頭から遺体を掘り出して熊の怒りを買うが、
野犬と知恵と武器、自分の身体でヒグマに立ち向かう。
傷を負わせて負ってきたヒグマを木の上からナイフを持って喉元に飛び降りると、足場にした枝が熊に刺さり、内臓を破壊、暴れた末に絶命する。
キミヤは熊を解体し、肝臓を喰らい、野犬に分配する。
事情あって捨てられた犬たちと共に生きていくことを考えるキミヤだったが、
父親が依頼した救助要請によりヘリで助け出される。
犬たちは遠吠えしてその様子を見送り、山はまた元の静寂に包まれた。
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銀河流れ星銀のファンとしては胸熱な話。
ヒグマが倒せるわけないと思いつつ、死ぬ気になれば知恵や生きるための勘も取り戻せるかもしれないと読み進めた。
歯が折れてしまうくだりが生々しい。
エキノコックスが怖いので、生水とか飲んで大丈夫かなと思った。
その後のキミヤはどうなったろう。強く生きていったと思うが。。
安易にペットを飼い、捨てる人、連れてくる人への蔑視を感じた。
私も覚悟なしに動物を飼うことはできない。
命を考える話だった。
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わだかまりがある父に無理矢理連れてこられた引きこもりの息子、人の身勝手な愛情ゆえに野生になった犬たち、そして厳しい自然の中で生き続けてきた熊が、奥深い山の中で自然界の掟というべき“喰うか、喰われるか”の弱肉強食の闘いを繰り広げる。
犬も熊もそして人も生き残るのに必死だ。そこに可愛らしいキャラクターのような犬も熊もいない。牙を剥き、爪で引き裂く、容赦のない描写で、彼らの野性的姿を書いている。私たち人間も本当の自然界では、食物連鎖のひとつに過ぎないのだ。
動物を愛玩のように扱う人間は傲慢なのかもしれないと思う。
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河崎秋子『肉弾』角川文庫。
第21回大藪春彦賞受賞作。過激な自然との闘いを通じて一人の青年の再生していく姿を描いた作品である。『颶風の王』も良かったが本作も非常に良かった。
羆物ジャンルの新たな傑作と呼んでも良いだろう。しかし、本作はただの羆物には止まらず、さらなる物語を秘め、他の羆物を超えるリアリティと深さがある。
暴君のような父親のせいで人生に躓き、大学を休学し、ニート生活を送っていた貴美也は父親に北海道での鹿撃ちに連れ出される。山深く分け入った二人は突然、羆の襲撃を受け、父親が貴美也の目の前で撲殺される。その時、野犬の群が羆に襲いかかり、さらに野犬たちは貴美也を襲う……
羆の恐怖に加え、描かれる貴美也の人生の躓きの理由、ラウダをはじめとする野犬たちの過去……
本体価格720円
★★★★★
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何でも人のせいにして不貞腐れている主人公が反省して一段成長する話かと思っていたら、反省する暇もなく、十段くらい成長せざるを得ない状況に追い込まれるような話でした。
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人生に自暴自棄な青年が、横暴な父に連れられ北海道のカルデラの森に。鹿狩りのはずが熊を撃つよう父に命ぜられる。そこへ異様な熊が、野犬が……。
熊、おっかなかった!
犬は健気だな。
迫力ある内容で、ため息をもらしながら読んだ。
命に、手を合わせたくなる。
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『颶風の王』も『肉弾』も、生き物の体温と場所の寒さが印象に残った。
食べる食べられる、人間とそれ以外の動物、父と息子、庇護するものとされるもの。
いろいろなものの対比があるなかで、自分はどちらかに属さないといけない場合、その決断の難しさを感じた。
そして、否応なしに所属させられる場合の覚悟。
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作者は犬と北海道が好きなんだろうなと思った
犬と一緒に熊を倒すところはちょっとファンタジーでしたが、主人公の性格がガラリと変わって良かったです。
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02月-12。3.5点。
大学を中退し、引きこもりの主人公。建設会社を経営する暴君のような父親に、北海道での狩猟へ連れ出され。。。
一気読みした。高校時代の確執もあり、父親が苦手な主人公、成長物語でもある。著者の動物に対する描写が秀逸で、非常にリアル。
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多少無理のあるストーリーだけど生きるか死ぬかをかけた戦いには惹きつけるものがあった。
後半にいくにつれて良くなってきた。
前半はちょっとなんの物語か見失いそうになったときもあった。
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キミヤと熊の戦い、まさに肉弾戦!ボクは現実的な話が好きだが、人間が熊と戦う非現実的な話でも没頭して読んでしまった。人間だって、捨てられた犬たちだって、熊だって、動物たちはみんな必死に生きている。必死に命を繋いでいる。キミヤは、遭難中、体力的に過去にやっていた陸上が活きているといっていた。父親が目の前で熊に殺され、絶望…。この描写はグロテスクだった。キミヤは自分で命を絶とうとすることもあったが、左脚を熊に傷つけられそうになった時、体は反射的に回避。心は死のうと思っても、体は生きようとしている。生きようと思えた発端が陸上をやっていたことだと思うと、辛い過去があっても、やっていた意味は多いにあった。
生きることについて、人間と動物たちそれぞれの目線で描き、読んでいてとても惹きつけられた。