河崎秋子のレビュー一覧
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ネタバレ北海道 道東の酪農家で育ち、羊飼いをしていた著者が描く、馬をめぐる骨太な物語。
6世代に渡る物語だが、章立ては明治の開拓移住前の女、昭和のその孫娘、平成のそのまた孫娘と3人の女性を中心に書く。
家族と馬の物語であり、根室の土地の物語でもある。
道東のあの土地に暮らした生活体験に根ざした魂が感じられ、非常に読み応えがあった。
人間は自然のちからに「及ばぬ」。及ばぬ、と思うのは常に人間が自然に挑んでいるからこそであって、他の動物はそうではない……というのが、キーになっている。著者はインタビューで生活から感じたことと述べており、なるほど書き方が実感あってのものと見え、とても魅力的だった。
6世代分 -
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河崎秋子『肉弾』角川文庫。
第21回大藪春彦賞受賞作。過激な自然との闘いを通じて一人の青年の再生していく姿を描いた作品である。『颶風の王』も良かったが本作も非常に良かった。
羆物ジャンルの新たな傑作と呼んでも良いだろう。しかし、本作はただの羆物には止まらず、さらなる物語を秘め、他の羆物を超えるリアリティと深さがある。
暴君のような父親のせいで人生に躓き、大学を休学し、ニート生活を送っていた貴美也は父親に北海道での鹿撃ちに連れ出される。山深く分け入った二人は突然、羆の襲撃を受け、父親が貴美也の目の前で撲殺される。その時、野犬の群が羆に襲いかかり、さらに野犬たちは貴美也を襲う……
羆の恐怖 -
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河崎秋子『颶風の王』角川文庫。
久し振りに良い小説、正統派の小説というものを堪能した。中編ながら長編大河小説のような読み応えのある作品だった。また、忘れかけていた先祖への尊敬の念を思い出させてくれると共に、今の自分が在ることの理由を考えるきっかけを与えてくれた。
明治期の東北で許されぬ関係となったミネと吉治は牡馬アオと共に村から出奔する。吉治は追手に撲殺され、山越えの道中でアオと共に雪洞に閉じ込められた妊婦のミネは正気を失い、生きるためにアオを食べる。奇跡的に救出されたミネは捨造と名付ける男の子を出産する。そこから始まるミネの末裔一族と馬の関わり……後に捨造は1頭の馬を伴い北海道に渡る。時 -
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うっかり乗り過ごしてしまって昔暮らした霧多布へ。そこから封印された記憶の蓋が開く。壮絶な過去と喪失に向き合う女性を描いた表題作ほか一編。
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河崎さんの中編集です。表題作の「鯨の岬」は、読み始めは正直まったりしていて、いつもの河崎さんの殴りつけるような緊張感のある筆致は控えめで物足りず、このまま終わるのかなあ、などと残念に思っていました。しかし終盤で物語は急展開し、河崎さん特有の暴力的なまでの血生臭さも荒れ狂い、最後には往復ビンタを食らったような呆然とした読後感が残りました。いや、やはり河崎さんはすさまじい本を書かれる方だなあ。
「鯨の岬」は実際にあった事件をモチ -
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河﨑秋子さんの、羊飼いとして生きてきた日々のエッセイ。
『ともぐい』のイメージが強いので、ドキュメンタリータッチの淡々とした文章が続くのかと思って読み始めたのですが、ところどころなんだか軽〜い言い回しが出てきたりして、あれ?今のって笑うところかな?と恐る恐る読み進める感じでした。
途中からは、あ、これ笑わせられてるんだ!と気付き、そこからは思いっきり楽しめるように。
だって、冒頭から、河﨑さんが育てた最後の羊が解体される描写なのです。1ページ目からこちらは息をのみながら体を固くしているわけで、途中からなんだかゆるいことを言われても、笑っていいのかいけないのか戸惑ってしまいます。
にしても、やは