河崎秋子のレビュー一覧

  • 颶風の王

    購入済み

    馬と共に雪崩に巻き込まれた妊婦が、1ヶ月雪洞に閉じ込められ、最終的に死んだ馬を食べて生き延び、生まれたのが捨造。
    捨造は北海道に渡り、根室で孫和子とその馬の子孫を育てるが、島に送った馬が帰還できなくなり、馬の飼育から離脱。
    和子の孫ひかりはその島へ行き、残り1頭となった馬の子孫と出会う。
    母校がモデルになった大学が出てくるということで読んだが、切実な飢え、馬の生態の詳しさ、厳しい自然などの描写は、人の都合の良い話ではないと思った。
    それにしても、素晴らしい筆力。

    #切ない #感動する

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    2023年01月16日
  • 土に贖う

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    河﨑秋子『土に贖う』集英社文庫。

    第39回新田次郎文学賞受賞作。北海道を舞台にした7編の短編を収録。

    いずれも自然を相手に北の大地で必死に働きながらも、時代の波には逆らえずに敗者となった人びとの物語だ。いつも陽が当たる勝者に対して、敗者はいつも日陰の存在というのが世の常である。この短編集の中で、そんな敗者にも陽の光を当てようとする著者の思惑は見事に昇華されている。

    やはり、河﨑秋子はただ者ではない。

    『蛹の家』。明治時代の札幌で養蚕を営む一家が夢破れる過程を描いた物語。養蚕に精を出す父親の姿を見詰めながら育つ少女が少しずつ知る厳しい社会の現実。一つの産業が根付きながら、廃れ去る過程とい

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    2022年11月24日
  • 鯨の岬

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    ネタバレ

    なんだかものすごい作品を読んでしまったぞ
    言葉で解説なんてできないけど、心がすごいと言っている、そんな感じ
    今から言葉で感想を書くんだけどもさ(笑

    『鯨の岬』
    普段ミステリを中心に読んでいるので、そういった方面からの驚きもあってびっくりした
    冒頭の、鯨爆発動画を見て笑う孫とそれに嫌悪感を抱く祖母、これがミステリ的伏線だったなんて……
    ふとしたきっかけで目的地とは違う行先の電車に乗ってしまうとか、そんな展開と合わせて「あーはいはい、自分の生き方を見つめる的なお話なのかな」なんて思っていたら、命のお話になるとは
    ……命というか、死者への祈りや自分の内面への探求とか、そんなものを感じました
    冷たい

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    2022年08月19日
  • 鯨の岬

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    ネタバレ

     「颶風の王」「肉弾」「土に贖う」など、北海道の厳しい自然のなかで生きる人間と動物たちの潔さと哀惜を描けばピカイチの河﨑秋子さん、大ファンです。オホーツクの流氷さえも打ち砕かんとする筆力。「鯨の岬」、2022.6発行。「鯨の岬」と「東陬遺事」の2話が収録されています。「東陬遺事」がお気に入りです。著者は北海道別海のお生まれ、北海縞海老の美味しかったこと、牛がたくさんいたことを思い出しますw。

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    2022年07月27日
  • 鯨の岬

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    素晴らしく面白かった。22年上半期ベスト3に入る。
    静謐な文章で、おばあちゃんになってから自分の過去を振り返る「鯨の岬」。淡々と今の生活を振り返りながら過去を思い出す話と思ったらミステリーみたいな驚きが。

    北海道新聞文学賞の「東陬遺事」。主人公が目にするある家族の因果応報の物語。最後かなり残酷な結末で、びっくりする中にひとつだけ希望。レミゼラブルのコゼットちゃんみたいな希望。

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    2022年07月12日
  • 鯨の岬

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    河﨑秋子『鯨の岬』集英社文庫。

    表題作で書き下ろしの『鯨の岬』と第46回北海道新聞文学賞受賞作の『東陬遺事』の2編を収録した作品。

    河﨑秋子は個人的に注目している作家の一人である。静謐な文章の中に感じる不思議な自然の力と人間の運命の機敏。そんな作品を描き続ける河﨑秋子から目が離せない。

    『鯨の岬』。安穏で無為な日常と幼い頃の記憶。どこかでねじ曲げられた記憶が再び甦る時、全てを知ることになる主人公に驚愕させられた。見事なプロットと結末。札幌に暮らす主婦の奈津子はある時、孫からYouTubeで鯨が腐敗爆発する動画を見せられ、幼い頃の鯨の血の臭いを思い出す。後日、釧路の施設に居る母を訪ねる途中

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    2022年06月24日
  • 颶風の王

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    五世代にわたっての話だったのだが、最後まで一気に読み進んでしまった。花島に残った馬とひかりの邂逅のシーンは、とてもいい表現で書かれていると思いました。

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    2022年05月22日
  • 颶風の王

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    極寒の、根室の海風を頬に感じるような、力強い文章。北海道の自然とそこに暮らす人達の過酷な日々。及ばぬものを受け入れ、ただ生きる人達。
    身に迫る、心揺さぶられます。

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    2022年04月30日
  • 颶風の王

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    ネタバレ

    北海道 道東の酪農家で育ち、羊飼いをしていた著者が描く、馬をめぐる骨太な物語。
    6世代に渡る物語だが、章立ては明治の開拓移住前の女、昭和のその孫娘、平成のそのまた孫娘と3人の女性を中心に書く。
    家族と馬の物語であり、根室の土地の物語でもある。
    道東のあの土地に暮らした生活体験に根ざした魂が感じられ、非常に読み応えがあった。
    人間は自然のちからに「及ばぬ」。及ばぬ、と思うのは常に人間が自然に挑んでいるからこそであって、他の動物はそうではない……というのが、キーになっている。著者はインタビューで生活から感じたことと述べており、なるほど書き方が実感あってのものと見え、とても魅力的だった。

    6世代分

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    2021年03月16日
  • 颶風の王

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    生き延びるための行動が極めてリアルに熱く書かれていて(手紙として書き残せるかは突っ込んだらいけない部分)、小説としての凄みを感じた。
    そこで終わらず、世代を重ねて現代に至る展開も面白い。ユルリ島にも興味がわいた。

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    2020年12月22日
  • 肉弾

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    わだかまりがある父に無理矢理連れてこられた引きこもりの息子、人の身勝手な愛情ゆえに野生になった犬たち、そして厳しい自然の中で生き続けてきた熊が、奥深い山の中で自然界の掟というべき“喰うか、喰われるか”の弱肉強食の闘いを繰り広げる。
    犬も熊もそして人も生き残るのに必死だ。そこに可愛らしいキャラクターのような犬も熊もいない。牙を剥き、爪で引き裂く、容赦のない描写で、彼らの野性的姿を書いている。私たち人間も本当の自然界では、食物連鎖のひとつに過ぎないのだ。
    動物を愛玩のように扱う人間は傲慢なのかもしれないと思う。

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    2020年07月29日
  • 肉弾

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    河崎秋子『肉弾』角川文庫。

    第21回大藪春彦賞受賞作。過激な自然との闘いを通じて一人の青年の再生していく姿を描いた作品である。『颶風の王』も良かったが本作も非常に良かった。

    羆物ジャンルの新たな傑作と呼んでも良いだろう。しかし、本作はただの羆物には止まらず、さらなる物語を秘め、他の羆物を超えるリアリティと深さがある。

    暴君のような父親のせいで人生に躓き、大学を休学し、ニート生活を送っていた貴美也は父親に北海道での鹿撃ちに連れ出される。山深く分け入った二人は突然、羆の襲撃を受け、父親が貴美也の目の前で撲殺される。その時、野犬の群が羆に襲いかかり、さらに野犬たちは貴美也を襲う……

    羆の恐怖

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    2020年06月13日
  • 颶風の王

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    手に取ったのは、JRA馬事文化賞受賞作だからではなく、この本に呼ばれたから。

    明治、昭和、平成に渡って描かれる、馬と人の物語。
    とくにミネと和子の話には圧倒されて、これであれば240ページではなく、もっと長編にできたのでは?
    と思ったけど、そうすると「人の話」になってしまう。

    あくまでもこれは、馬と人の関わりの話、そして人間が及ぶことのできない、自然を描いた話。
    だからこの分量でいいのだと、ひかりの話を読みながら思った。

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    2018年10月21日
  • 颶風の王

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    河崎秋子『颶風の王』角川文庫。

    久し振りに良い小説、正統派の小説というものを堪能した。中編ながら長編大河小説のような読み応えのある作品だった。また、忘れかけていた先祖への尊敬の念を思い出させてくれると共に、今の自分が在ることの理由を考えるきっかけを与えてくれた。

    明治期の東北で許されぬ関係となったミネと吉治は牡馬アオと共に村から出奔する。吉治は追手に撲殺され、山越えの道中でアオと共に雪洞に閉じ込められた妊婦のミネは正気を失い、生きるためにアオを食べる。奇跡的に救出されたミネは捨造と名付ける男の子を出産する。そこから始まるミネの末裔一族と馬の関わり……後に捨造は1頭の馬を伴い北海道に渡る。時

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    2018年10月23日
  • ともぐい(新潮文庫)

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    読み終わった感想はとにかく迫力のある作品だったと思う。前半は息を呑む様な緊迫感で読み進めた。
    また一つ知らない世界を知れたような独特の世界観だった。
    でも好き嫌いが分かれそうな作品。
    私はかなり好きだった。

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    2026年08月28日
  • ともぐい(新潮文庫)

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    明治時代になったばかり、北海道東部の山の中に村田銃で狩りをしながら熊爪は生活していた。仕留めた動物は、肉にして人里へ売りに出る。人とは最小限にしか関わらず、しかし熊爪はその生活に満足していた。山に春が来ると、熊が冬眠から目覚める。しかし、山にやってきたのは隣の山の熊「穴持たず」であった。穴持たずは冬眠もせずに人里などを荒らし、食い物を求めて凶暴化しながら熊爪の山にやってきた。熊爪は自分の山に入ってきた穴持たずに憤慨し、狩ることを決心する。一人と一匹の戦いはどちらが勝つのか…

    初読み作家さんだったけど、描写がすごい。息遣いが聞こえそうになるほど、情景がありありと浮かび、すぐに読んでしまった。静

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    2026年08月17日
  • 土に贖う

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     北海道を舞台に、消えゆく産業を描いた短編集だ。北海道は開拓された農業の大地で、囚人により道路が拡張されたとしか知らず、北海道の養蚕は知らなかった。ミンクの養殖も、レンガ造りにしろ、北海道の産業の歴史について僕は何も知らない。炭鉱の衰退について少し知っているばかりだ。

     移ろう時代の流れに、かけがえのない一人ひとりの人生が悲哀のうちに翻弄される様が感慨深い。

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    2026年08月17日
  • 私の最後の羊が死んだ

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     熊と猟師の壮絶な死闘を描いた『ともぐい』。"あの"血肉の通った熱量のある文章を、河﨑秋子さんに書かせた背景を垣間見た気がしました。河﨑さん、本物の羊飼いだったんですね。

     本書は、なぜ羊飼いという職に就くに至ったのか、そして廃業するまでの経緯を描く自伝的なエッセイです。総じて、河﨑さんの厳しい現実に立ち向かう大胆な行動力と姿勢、覚悟を感じました。

     実家が酪農業だったとはいえ、半端な腰掛け的取り組みではなく、本気とプライドの塊が感じられました。動物の生と死に向き合い、牧場経営の厳しさと喜び、親の介護など、激動の15年が重過ぎず、ユーモアを交えながら生き生きと描かれます

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    2026年06月18日
  • 肉弾

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    「ともぐい」「夜明けのハントレス」の土台となった河﨑秋子さん「熊三部作」の最初の作品。

    無気力な生活を送るキミヤと、生きる意味を感じてほしいと願う父。
    そこに立ちはだかるのは「熊」。
    そして、熊に立ち向かうキミヤをサポートするのは、なんと…。

    いやいや大迫力で一気に読めてしまうよ。
    河﨑秋子さんは、一貫して人間界の諍い(いさかい)をフラットにしてしまう自然界の「弱肉強食」を描き続けている。

    出てくる動物たちを擬人化してはいけないけど、健気で泣けてくる。命とはなんなのか。
    人間も熊も同じ命ではないのか?

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    2026年05月20日
  • 愚か者の石

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    面白かった。主人公の巽、淡々とした中田、そして大二郎…。とても切なくて色々と考えさせられる物語でした。大二郎の絵を見てみたい。

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    2026年05月16日