河崎秋子のレビュー一覧

  • 銀色のステイヤー

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    ネタバレ

    タイトルがかっこいいですよね。そして表紙の芦毛の馬のやんちゃそうなかわいらしさとタイトルに合わせたバックのシルバーの装丁がまた良き。

    北海道に住むものとしては馬産がどう描かれ競馬という独特の世界をどう表現していくのか注目していました。
    専門用語的なものや状況的なものもあり前知識なしで読んでも知らない人にはわかるだろうか、と思う箇所も何箇所かありますがほぼ理解できるのではないかと思える親切な書き方がなされていると思います。
    河﨑先生も生き物に関わる生業をされてたとは言え、馬産は全く違う業態なので相当取材されたのではないかと推察。馬産と言ってもサラブレッドと輓馬とポニーなんかとじゃまた全然別の生

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    2025年01月02日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    ともぐいより面白かった。

    あらすじで最後の最後までしっかり展開をネタバレするのをやめてもらってたら今年1番だったかも!そこまで書かないと読もうって思わないと思ってんのかな〜。

    そこまでネタバレされても中身はしっかり面白いので途中からは忘れてたぐらい。
    巽と大二郎コンビと看守の中田の3人からみる監獄生活。
    時代も相まって囚人の扱いはおとぎ話みたいな酷さ、作業中も相方と縛られたまま、足には鉄球。
    何をしてる時も2人一緒だから、だんだん運命の人みたいになって、片方が居なくなっても囚われたまま強い因果により探さずにはいられない。

    そして看守の中田がまたいいです。
    悪役ではないのがこの小説の面白い

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    2024年12月24日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    何に1番驚くかと言うと、男性の描写の違和感の無さ。男性作家だと錯覚する。『ともぐい』は野生の男だったが、今回は囚人2人と看守。看守の中田は某有名北海道漫画のOさんで脳内再生していた。
    主人公の囚人、瀬戸内巽は赤狩りかなんかで捕まり、山本大二郎は隠されていたが人殺し。鉄仮面の中田看守は愛情不足の潔癖ワーカーホリック。
    樺戸集治監から硫黄採掘の外役への移送の際に移送隊が遭難し、この3人だけが一緒に難を逃れ、馴れ合うわけではないのだが奇妙な絆が生まれる。労役で死にかけるもなんとか命拾いしたところへ大二郎が突然脱獄。いつもひょうけてた大二郎って一体なんなんだ?と探査が始まる。

    人によっては長冗と感じ

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    2024年12月23日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    ネタバレ

    自分で美味しい肉を生産したいと思い、羊飼いになった著者のエッセイ。
    羊飼いになるために実家に戻り、家業の酪農を手伝いながらも羊の生産や執筆も行うバイタリティー溢れる著者。
    自分で生産した羊を食べることに抵抗はないの?という愚問にも真向から答えているところに好感が持てる。
    動物の解体を手早く無駄なくできる人を尊敬するという著者を私は尊敬する。

    写真が数多く挟まれているが、去勢前の純粋な目をした子羊がとんでもなく可愛かった。牧場でのびのびと育って、最後は屠畜場で肉になり生涯を終える羊たちを、見事に育て上げた著者の想いに触れることができて嬉しかった。
    そうか、生産者は消費者に美味しい肉を食べてほし

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    2024年12月08日
  • 愚か者の石

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    言葉もない。「ともぐい」のように女性作家がほんとに書いたのかとまた驚かされるのだろうなと思っていたが、3人の男たちの生きざまを見事に描いたと感動した。
    それにしても
    北海道は広い。

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    2024年12月04日
  • 颶風の王

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    直木賞作家。手元に未読の文庫が積読本の山の一番上にあったので読んでみた。

    どうやらデビュー作らしいが、これが骨太の力強い作品で驚いた。およそ六代にわたる一族の歩みを中編の長さにギュッギュッと凝縮して描いている。

    相当壮絶なお話なのだが、人と馬との関わりを必要以上に感傷的にならないで描いているのが気持ちが良く、北海道の自然もまたよく描かれている。

    エピソード的には最後のひかりの章が、少し弱い気もするし、中編でなく堂々たる大河小説に仕上がったもをの読んでみたい気もするが一気読みで至福の時を過ごせた。

    また一人気になる作家ができた。

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    2024年12月03日
  • 土に贖う

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    描写力がすごくて、本当に馬糞風の匂いがしてる中で読んでる気になってました。でも実際嗅いだことはないので、馬糞じゃなくて牛糞のイメージだと思うけど。
    漫画を読むより映像がリアルだし、鳥も殴り殺したことなどないのに、触感まで想像できてしまいました。恐ろしい作家さんです。

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    2024年11月16日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャな1頭の競走馬を中心に競馬の裏と表を描いた作品。競馬、全然知らなかったけど、むちゃくちゃおもしろかった。
    クセ強の馬オタクが成長する様子もよかったし、鉄子さんのかっこよさにも痺れた。
    競馬やってみたくなった!

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    2024年11月10日
  • 愚か者の石

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    ここはJAPAN版アウシュビッツなのかい…?!

    主人公巽とキーパーソン大二郎が途中で移送された硫黄採掘場での過酷な労働。ついそう思ってしまった程に劣悪な労働環境。
    ホロコーストと一緒にしてはいけないのですが、当時の杜撰な捜査で罪人となってしまった冤罪の人間もいる訳で…。
    ひ弱な現代人の私は3日で倒れるなと震えていた本作。
    しかしその実はtomoyukiさんがレビューに書かれていた通り、人間讃歌でした。

    時は明治18年。
    巽は学生生活を謳歌しつつ、政治活動にも参加。ところが中央官察の制圧を計画した所属団体の策略により運悪く逮捕され、国事犯として13年の実刑が下されてしまいます。編笠を被り柿色

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    2024年10月28日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    明治時代、士族の家系で苦労知らずに育った主人公巽は、国事犯(政治思想犯)として懲役13年を申し渡され、北海道の樺戸集治監(監獄)に収監される。
    そこでともに鎖につながれた大二郎という男、そして冷徹な刑務官中田と過酷な環境と労働を過ごす。

    前半から中盤にかけ、激烈過酷な収監生活の描写が続く、特に釧路の硫黄採掘現場の、囚人ばかりでなく刑務官すら健康を損なう人権などという言葉がクソの役にも立たない現場の壮絶さは記憶に刻み付けられる。

    後半大二郎が脱獄し、恩赦で囚人生活を終えた巽と中田が大二郎の足跡を追う部分、いわば回収パートを読み進めていくうちに、生きることの虚しさ、それでも生きていくことの素晴

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    2024年10月26日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャ坊主、シルバーファーンが競馬界を駆け抜ける。生産牧場、調教師、馬主の夢を乗せて。

    めっちゃ面白かった。各々の登場人物の大変さと喜びがすごく伝わって来る。競馬を裏方から描く小説には傑作が多いけどこれもその一つ。

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    2024年10月22日
  • 銀色のステイヤー

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    競馬界に留まらず、読者をも魅了する芦毛のファーン。牧場、調教師、騎手…皆の力が結集され、ファーンが優秀な競走馬に成長してゆく過程に酔い痴れた。馬と共に成長してゆく人々も爽やか。人間と動物の描写に偉才を放つ河﨑先生。早くも次回作が楽しみである。

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    2024年10月11日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    なんとも言えない読後感だが、後半1/3 がとても良かったので星5つに。

    初めの方は飽きてしまい、どうしてそんなに評価高いのか不思議ではあったが、淡々と読み進めると、樺戸集治監の看守中田と、大二郎と、瀬戸内巽たつみ。この3人の三者三様の生き様がよかった。

    東京大学で学徒の運動員に関わり、国事犯として徒刑13年の巽。たまたま隣にいた山本大二郎と部屋も同じ、鎖で繋がれる仲になり、いい加減な軽口で嘘つきの大二郎に心を許していく。硫黄の採掘で過酷な釧路集治監へ移送される途中の吹雪では生死を分ける体験を共にして、小さな絆のようなものが生まれる。
    釧路は過酷で日に何人も亡くなっていく状態…あまりの酷さに

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    2024年10月03日
  • 銀色のステイヤー

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    競走馬の育成や調教に主眼を置いたストーリー。
    私も競馬は好きで、強く速い馬を見るとカッコいいと思うけど、終わってみれば今日も無事でよかったということを考える。古馬の中でも特に6歳以上だと、毎レース、これが最後かもしれないという気持ちを抱きながらレースを見つめる。一ファンですらこういう気持ちだから、生産者や厩舎の馬に対する気持ちは並大抵のものでははいだろう。馬が紡ぐ縁や絆が美しいと感じた。
    最近、競馬界では悲しいことが続いている。人馬ともに望まれたタイミングで引退できることを願うのみ。

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    2024年09月11日
  • 土に贖う

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    河﨑秋子さんの作品は今回初めて読みましたが、
    一文一文が重厚で肉厚、かなり好みの文体。

    7篇からなる短編小説ですが、【生】に対する本能、執着、残酷さ、愚かさをまざまざと感じさせる内容です。
    動物好きの自分には心を抉るような描写もありました。
    読んだ中で『南北海鳥異聞』が1番印象的、というか衝撃でした。語弊を招く言い方かもしれないですが、ラストの動物の使い方がまた上手い。
    そして本のタイトルにもなっている『土に贖う』が1番人間臭い内容でした。

    他の作品も気になるので是非読んでみようと思います。

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    2024年08月15日
  • 鯨の岬

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    普通の60代くらいの主婦の話で嫁の愚痴とか老後の不安とかの話かと思いきや、とんでもない事実が明らかになり、読んだ後も衝撃の余韻にしばらく浸ってました。時代小説の方も全然違う雰囲気でしたが、思わぬ展開と描写力で、一気に引き込まれました。解説も良かった。

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    2024年07月29日
  • 土に贖う

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    娘からシェアしてもらった。これはすごい。道民として知っておくべき現実なんだろうけど悲しい話ばかり、読み進むのがつらくなる。でもこんなふうに表現出来る河﨑秋子さんのクールな視点とすぐ目の前に起こっていることのように錯覚させる表現力や書き写したくなるようななんども噛みしめたくなるような文章に、何というか人が生きていくことの意味を考えさせられる。とにかくとても良い!もう一度読む。北見のハッカもますます好きな香りとなった。

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    2024年07月23日
  • 絞め殺しの樹

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    ネタバレ

    『ともぐい』で痺れてファンになりました。
    一気に一日で読み終わりました。
    激動の昭和を駆け抜けて生きたような日曜日になりました。

    同じ北海道の桜木紫乃さんの『ラブレス』みたいな感じかな、と思って読み始めたら…
    あれ、かわいそうな時代はあっという間で、案外トントンでミサエ、幸せになるんじゃないのー!と思ったら、それこそが暗転の入り口でした…。
    えー、なにごと!!
    とまんねー!!

    河崎秋子さんは自分と同年代なんだけど、何回も生まれて死んだかのよう。
    よくこんな人間の業、生と死を描けるなあ…。

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    2024年06月30日
  • 颶風の王

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    最近読んだ本の中で間違いなく自分にとっては一番。音読したくなるようなリズムのある文章 何度も反芻したくなる力強い味のある言葉の数々 とにかく良かった。どんなに頑張ってもオヨバヌトコロが厳然として在るのが自然界でそこが哀しくも美しい。読後感も爽やかで読んでよかった。

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    2024年04月08日
  • 絞め殺しの樹

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    河崎秋子『絞め殺しの樹』小学館文庫。

    戦中から戦後の厳しい時代から昭和までの北海道の道東、根室を舞台にした母子二代にわたる大河小説。第一部は橋宮ミサエの物語で、第二部はミサエの息子で吉岡家に養子に出された雄介の物語という構成になっている。

    健気なミサエの余りにも過酷な境遇に胸を抉られるような思いで読み進む。そして、実の母親のミサエの顔も知らぬままに吉岡家の養子となった実の息子が懸命に生きながら、自身の進むべき道を切り開いていく姿に胸が熱くなった。

    時折、姿を見せる白猫。その飼い主だけが、ミサエと雄介の味方のように描かれていたのが印象に残る。

    タイトルの『絞め殺しの樹』とは菩提樹のことで

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    2024年04月16日