河崎秋子のレビュー一覧

  • 颶風の王

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    タイトルの力強さとあらすじを読んで馬の物語に惹かれ購入。
    終始美しく厳しい自然と馬の息遣いを想起させる物語だった。

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    2025年01月27日
  • 愚か者の石

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    「ともぐい」で直木賞を受賞した河﨑秋子さんの作品です。
    過酷な環境で変わらざるを得ない人々の姿、人が生き抜こうとする強さを生々しく描いています。
    悲壮で、本能を剥き出しにしていく中で、徐々に恨みや憎しみを捨て、ただ生き抜こうとする登場人物たちに格好よさすら感じました。

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    2025年01月19日
  • 愚か者の石

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    物語は明治時代の北海道、樺戸集治監。
    今でいう政治犯として収監された瀬戸内巽は、そこで口の軽い男、山本大次郎と出会う。彼は一つの石を大切に身につけていた。

    明治時代の監獄、といえば網走監獄が有名だが、それ以外にも5か所の監獄があった。樺戸集治監は月形町に造られた、道内最初の監獄であった。
    開拓に突き進む明治政府の北海道。原野を切り開き、幹線道路を作り、開拓の基礎づくりに囚人が駆り出された。その有り様が想像を絶する描写で描かれ、思わず怯む。
    過酷な環境の中で囚人は命を落としていくが、国事犯の巽、大二郎の2人はともに生き延びる道を見つけていく。看守の中田は冷徹で役人気質だが常軌を逸することはなく

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    2025年01月10日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    ネタバレ

    羊飼いをやめられて専業作家になられたのは知っていましたが、その経緯がこんな切ないというか辛い話だったとは⋯。やめたくなかったけどやめざるを得なかった、やりたいこととやらなければならないこととの狭間で、こういうとき「ああ!自分がもう一人いたら!」なんて言う人もいて、私はそういうタイプですが河﨑先生は(そのしんどさと大切さを痛感するあまり)そんなことを思ったりはしない方なのだろうと思いました。
    (思おうと思わざろうと現実は何ら変わんないですね)

    自分の家で飼っている動物を食べることを当たり前だと思って育ち上がった、ということがよくわかりました。ゆえに手塩にかけた羊もおいしく食べるのは当たり前と。

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    2025年01月06日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    ネタバレ

    羊飼いという職業の奥深さを知れた。
    編み物にはまってから、毛糸に興味が湧いて、その流れでこの本に出会った。
    直木賞受賞時の会見で、著者が前職は羊飼いと知り、放牧的なイメージの職業だと勝手に想像していた。でも、肉体的にも精神的にも追い詰められながらも、羊を飼ってみたい、生産してみたいと、チャレンジしていく姿がコミカルに生々しく綴られ、最後に廃業する時の悔しさが伝わり胸に詰まった。
    作中には、美味しそうな羊料理も出できて、新鮮な国産羊肉を食べてみたいと思った。

    やりたいことに集中するためには、取捨選択しなくては、全てを失ってしまう時がある。死んでは何もかも出来ない、なんとかして心も身体も健康でな

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    2025年01月02日
  • 銀色のステイヤー

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    ネタバレ

    タイトルがかっこいいですよね。そして表紙の芦毛の馬のやんちゃそうなかわいらしさとタイトルに合わせたバックのシルバーの装丁がまた良き。

    北海道に住むものとしては馬産がどう描かれ競馬という独特の世界をどう表現していくのか注目していました。
    専門用語的なものや状況的なものもあり前知識なしで読んでも知らない人にはわかるだろうか、と思う箇所も何箇所かありますがほぼ理解できるのではないかと思える親切な書き方がなされていると思います。
    河﨑先生も生き物に関わる生業をされてたとは言え、馬産は全く違う業態なので相当取材されたのではないかと推察。馬産と言ってもサラブレッドと輓馬とポニーなんかとじゃまた全然別の生

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    2025年01月02日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    ともぐいより面白かった。

    あらすじで最後の最後までしっかり展開をネタバレするのをやめてもらってたら今年1番だったかも!そこまで書かないと読もうって思わないと思ってんのかな〜。

    そこまでネタバレされても中身はしっかり面白いので途中からは忘れてたぐらい。
    巽と大二郎コンビと看守の中田の3人からみる監獄生活。
    時代も相まって囚人の扱いはおとぎ話みたいな酷さ、作業中も相方と縛られたまま、足には鉄球。
    何をしてる時も2人一緒だから、だんだん運命の人みたいになって、片方が居なくなっても囚われたまま強い因果により探さずにはいられない。

    そして看守の中田がまたいいです。
    悪役ではないのがこの小説の面白い

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    2024年12月24日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    何に1番驚くかと言うと、男性の描写の違和感の無さ。男性作家だと錯覚する。『ともぐい』は野生の男だったが、今回は囚人2人と看守。看守の中田は某有名北海道漫画のOさんで脳内再生していた。
    主人公の囚人、瀬戸内巽は赤狩りかなんかで捕まり、山本大二郎は隠されていたが人殺し。鉄仮面の中田看守は愛情不足の潔癖ワーカーホリック。
    樺戸集治監から硫黄採掘の外役への移送の際に移送隊が遭難し、この3人だけが一緒に難を逃れ、馴れ合うわけではないのだが奇妙な絆が生まれる。労役で死にかけるもなんとか命拾いしたところへ大二郎が突然脱獄。いつもひょうけてた大二郎って一体なんなんだ?と探査が始まる。

    人によっては長冗と感じ

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    2024年12月23日
  • 愚か者の石

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    言葉もない。「ともぐい」のように女性作家がほんとに書いたのかとまた驚かされるのだろうなと思っていたが、3人の男たちの生きざまを見事に描いたと感動した。
    それにしても
    北海道は広い。

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    2024年12月04日
  • 颶風の王

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    直木賞作家。手元に未読の文庫が積読本の山の一番上にあったので読んでみた。

    どうやらデビュー作らしいが、これが骨太の力強い作品で驚いた。およそ六代にわたる一族の歩みを中編の長さにギュッギュッと凝縮して描いている。

    相当壮絶なお話なのだが、人と馬との関わりを必要以上に感傷的にならないで描いているのが気持ちが良く、北海道の自然もまたよく描かれている。

    エピソード的には最後のひかりの章が、少し弱い気もするし、中編でなく堂々たる大河小説に仕上がったもをの読んでみたい気もするが一気読みで至福の時を過ごせた。

    また一人気になる作家ができた。

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    2024年12月03日
  • 土に贖う

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    描写力がすごくて、本当に馬糞風の匂いがしてる中で読んでる気になってました。でも実際嗅いだことはないので、馬糞じゃなくて牛糞のイメージだと思うけど。
    漫画を読むより映像がリアルだし、鳥も殴り殺したことなどないのに、触感まで想像できてしまいました。恐ろしい作家さんです。

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    2024年11月16日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャな1頭の競走馬を中心に競馬の裏と表を描いた作品。競馬、全然知らなかったけど、むちゃくちゃおもしろかった。
    クセ強の馬オタクが成長する様子もよかったし、鉄子さんのかっこよさにも痺れた。
    競馬やってみたくなった!

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    2024年11月10日
  • 愚か者の石

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    ここはJAPAN版アウシュビッツなのかい…?!

    主人公巽とキーパーソン大二郎が途中で移送された硫黄採掘場での過酷な労働。ついそう思ってしまった程に劣悪な労働環境。
    ホロコーストと一緒にしてはいけないのですが、当時の杜撰な捜査で罪人となってしまった冤罪の人間もいる訳で…。
    ひ弱な現代人の私は3日で倒れるなと震えていた本作。
    しかしその実はtomoyukiさんがレビューに書かれていた通り、人間讃歌でした。

    時は明治18年。
    巽は学生生活を謳歌しつつ、政治活動にも参加。ところが中央官察の制圧を計画した所属団体の策略により運悪く逮捕され、国事犯として13年の実刑が下されてしまいます。編笠を被り柿色

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    2024年10月28日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    明治時代、士族の家系で苦労知らずに育った主人公巽は、国事犯(政治思想犯)として懲役13年を申し渡され、北海道の樺戸集治監(監獄)に収監される。
    そこでともに鎖につながれた大二郎という男、そして冷徹な刑務官中田と過酷な環境と労働を過ごす。

    前半から中盤にかけ、激烈過酷な収監生活の描写が続く、特に釧路の硫黄採掘現場の、囚人ばかりでなく刑務官すら健康を損なう人権などという言葉がクソの役にも立たない現場の壮絶さは記憶に刻み付けられる。

    後半大二郎が脱獄し、恩赦で囚人生活を終えた巽と中田が大二郎の足跡を追う部分、いわば回収パートを読み進めていくうちに、生きることの虚しさ、それでも生きていくことの素晴

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    2024年10月26日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャ坊主、シルバーファーンが競馬界を駆け抜ける。生産牧場、調教師、馬主の夢を乗せて。

    めっちゃ面白かった。各々の登場人物の大変さと喜びがすごく伝わって来る。競馬を裏方から描く小説には傑作が多いけどこれもその一つ。

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    2024年10月22日
  • 銀色のステイヤー

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    競馬界に留まらず、読者をも魅了する芦毛のファーン。牧場、調教師、騎手…皆の力が結集され、ファーンが優秀な競走馬に成長してゆく過程に酔い痴れた。馬と共に成長してゆく人々も爽やか。人間と動物の描写に偉才を放つ河﨑先生。早くも次回作が楽しみである。

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    2024年10月11日
  • 銀色のステイヤー

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    競走馬の育成や調教に主眼を置いたストーリー。
    私も競馬は好きで、強く速い馬を見るとカッコいいと思うけど、終わってみれば今日も無事でよかったということを考える。古馬の中でも特に6歳以上だと、毎レース、これが最後かもしれないという気持ちを抱きながらレースを見つめる。一ファンですらこういう気持ちだから、生産者や厩舎の馬に対する気持ちは並大抵のものでははいだろう。馬が紡ぐ縁や絆が美しいと感じた。
    最近、競馬界では悲しいことが続いている。人馬ともに望まれたタイミングで引退できることを願うのみ。

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    2024年09月11日
  • 土に贖う

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    河﨑秋子さんの作品は今回初めて読みましたが、
    一文一文が重厚で肉厚、かなり好みの文体。

    7篇からなる短編小説ですが、【生】に対する本能、執着、残酷さ、愚かさをまざまざと感じさせる内容です。
    動物好きの自分には心を抉るような描写もありました。
    読んだ中で『南北海鳥異聞』が1番印象的、というか衝撃でした。語弊を招く言い方かもしれないですが、ラストの動物の使い方がまた上手い。
    そして本のタイトルにもなっている『土に贖う』が1番人間臭い内容でした。

    他の作品も気になるので是非読んでみようと思います。

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    2024年08月15日
  • 鯨の岬

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    普通の60代くらいの主婦の話で嫁の愚痴とか老後の不安とかの話かと思いきや、とんでもない事実が明らかになり、読んだ後も衝撃の余韻にしばらく浸ってました。時代小説の方も全然違う雰囲気でしたが、思わぬ展開と描写力で、一気に引き込まれました。解説も良かった。

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    2024年07月29日
  • 土に贖う

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    娘からシェアしてもらった。これはすごい。道民として知っておくべき現実なんだろうけど悲しい話ばかり、読み進むのがつらくなる。でもこんなふうに表現出来る河﨑秋子さんのクールな視点とすぐ目の前に起こっていることのように錯覚させる表現力や書き写したくなるようななんども噛みしめたくなるような文章に、何というか人が生きていくことの意味を考えさせられる。とにかくとても良い!もう一度読む。北見のハッカもますます好きな香りとなった。

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    2024年07月23日