田丸雅智のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代ショートショートの第一人者・田丸雅智さんが描く、未来をテーマにした作品集。1話あたり数分で読める短い物語の中に、奇想天外なアイデアとどこか温かくクスッと笑える独自の世界観がギュッと詰め込まれている。
「あり得るかもしれない」未来図鑑って感じで、ワクワクするアイデアが満載なんだけど、テクノロジーの進化、AIやロボットとの共生、環境の変化などを描きつつも、その中心にあるのは常に「人間の心」。
どんな時代になっても変わらない人間の愛おしさや温もり、情けなさ、寂しさみたいなものも感じられた一冊だった。
生活がどれほど便利になっても、そこには悩み、喜び、誰かを想う人間(とAIやロボットたち)のドラマが広がっている。
想像力を刺激され、未来が少し楽しみになるショートショート集!
特に好きだったもの↓↓
『ロイとの景色』
アンドロイドのバスケ対戦相手「ロイ」にNBAプレイヤーのデータをインストールし、どんどん難易度を上げていく主人公。自分のレベルもどんどん上がり、ついにNBAプレイヤーに。
客席にロイの姿を見つけるけれど……。
『ノイズの日々』
ノイズキャンセリングではなく、あえて周囲の雑音を取り込んで音楽を生成する世界。昔プレステで『モンスターファーム』ってソフトがあったの思い出した。CDを読み込ませてモンスターを生成するゲームで、CDによって強さやレア度が違うやつ。
主人公は色々な「うるささ」を求めて街に繰り出す。やがて家の中で、隣の家からの騒音が聞こえて……。
『変わらない味』
引退した定食屋の味をシェフドロイドが再現するが、やがて客足が遠のく。実は長年、店を切り盛りしていた店主は「時代に合わせて少しずつ味を変えていた」という真実に行き着く。変わらないために変化し続けることの本質は、未来でも商売やモノづくりの極意だった。
『リサ先生の保育』
データ共有されたロボット保育士「リサ先生」。病気にならないだけでなく、たとえ親の海外転勤があっても、現地でまた同じリサ先生が出迎えてくれる。テクノロジーだからこそ実現できる「どこへ行っても変わらない優しさ」の形にグッときた。 -
Posted by ブクログ
とても実践的な、言語化の本。読み手に寄り添うように、例を出しながら説明してくれるのでめちゃめちゃわかりやすかった。とりあえず書き出すことなど、自分でも実践していることを書いてくれていると後押しになって嬉しい。
言語化のやり方のほかにも、言語化ができるようにるメリットとして様々なことに言及されていた。なるほど、自分を知ることにも繋がっていくんだ。
自分自身、「あるあるだな〜」「こんな傾向があるな」「これって、Y=f(X)の変数通りに動いているな〜」などとぼんやりと考えていたことに、実際に名前がついていて「ほら!やっぱそうじゃん!」って、なったことがこれまでに何度もある。先教えてくれよ、ってその時は思うんだけど、自分で気付いたからこそ実感を持って体に染み込んできたんだとわかる。これからも誰かがしてくれた言語化に頼りながら、自分の感覚で世の中を捉えていきたい。
子どもの時に読んだら、さらに感動していたと思う一冊だった! -
Posted by ブクログ
ちょっと不思議なありそうでない料理小説。
発想が面白いかなり楽しい小説でした。
食材が「自動車」「マウスポインター」「公衆電話」!?ってなる食材を使って料理をします。本当にあったら面白いしかなり興味がそそられました。
短編集が11個あり、ちょっと時間で読めるのも魅力的です。
今回の食材はどのように料理して、どんな味になるか予想品が読むと面白いです。
また、悩みを持ったお客さんにあった食材を使い心を晴らせる。
なるほどとそんな考えがって思いながら読みました。
今はこれを食材にしたらどんな味がするだろう?という視点で物を見てしまいます。
とにかく癖になる小説でした。かなりおすすめです。 -
Posted by ブクログ
『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇』太田忠司 田丸雅智
世界の名画を題材に太田さんと田丸さんがショートショートを書いた共著。本としては共作であり、各作品は競作。互いに競う合うように、書いているのがめちゃくちゃ面白い。オール讀物で連載していたそうで、いわば相手の出方も考慮して、「最もベタ」っぽいことは外して、一歩踏み込んだ設定で書いている気がする。ハイクオリティの作品がずらりと並ぶ。人によって捉え方や着目するポイントが違うのも楽しめてよかった。
絵自体が物語性を持っているので、自分ならどんな話にするかな〜と考えながら読めるのも面白い。題材といっても、フリにするのかオチにするのか、入り込むのか、外から捉えるのかで全く違うものになる。僕も「モナリザ」を題材に書いたことがあるけれど、絵は創作意欲を掻き立てるよな〜いつも美術館に行ったらメモが増えて困る。
本書で題材となっている絵は
ゴッホ『夜のカフェテラス』
クプカ『静寂の道』
ムンク『吸血鬼』
俵屋宗達『風神雷神図屏風』
モネ『雪の中の蒸気機関車』
シャガール『サーカス』
月岡芳年『猫鼠合戦』
エッシャー『写像球体を持つ手』
マグリット『光の帝国Ⅱ』
平山郁夫『月明の砂漠』
各ショートショートを思い出しながら感想を書いているけど、ほんと名作揃い。
しいてあげるとすれば、太田さん『収穫される者』田丸さん『球面の男』がお気に入り。 -
Posted by ブクログ
ショートショート集なのに連作集でもある珍しい一冊。
主人公の冴えない探偵・西崎と助手の女子大生・若菜が、色々な日常の憂鬱にひそむ謎を暴いていく。発想力の飛躍がすごい。さすがです。
扱う憂鬱は『足を踏まれる』『なかなか料理が来ない』『保存しないままファイルを閉じる』『ジャンケンでいつも負ける』『靴下をよくなくす』『スマホの充電がすぐになくなる』『服が他人とかぶる』『パスワードのリセットメールがなかなか届かない』『月曜日は気分が沈む』。
これらの裏にひそむのはーーーがあったから、と探偵が真相の解明に挑むストーリーが楽しくて、どんどんページをめくってしまう。
特に好きだったのは『なかなか料理が来ない』『服が他人とかぶる』。そんな面白い真相が潜んでいるのだったら、まあいいかと許してしまいそう。
田丸さんは新刊を出すたびに新しいことに挑戦していてすごい。