鈴木雅生のレビュー一覧

  • 戦う操縦士

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    ❐1939年・1940年ごろ
     『戦う操縦士』の現実でのある一日。思考ではサン=テグジュペリ(以下サンテックス)の半生を巡る。
    ❐1940年
     パリ陥落のためフランスとドイツの休戦協定締結。サンテックスはアメリカに向かう。
    ❐1941年
     『戦う操縦士』執筆で、アメリカ参戦を促す。
      真珠湾攻撃・アメリカ参戦。
    ❐1942年
     『戦う操縦士』刊行

    第二次世界大戦でフランスはドイツに苦戦していた。
    フランス空軍で操縦士だった大尉のサンテックスは、デュテルトル中尉、機銃員と共にアリアス隊長からアラスまでの偵察飛行に任じられた。
    …すみません、画像として飛行機の希望がわからない…。縦に三人乗り?

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    2025年07月19日
  • ポールとヴィルジニー

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    ナポレオンが愛読してた本を読めるなんてそれだけで凄い。光文社古典新訳文庫好きすぎる。作家兼植物学者っていう経歴も気になる。

    ジャック=アンリ・ベルナルダン・ド・サン=ピエール Jacques-Henri Bernardin De Saint-Pierre
    生年:1737年
    没年:1814年
    ル・アーヴルの中産階級の家庭に生まれる。国立土木学校を出て技術士官となり七年戦争などに従軍するが、同僚や上官と折り合いが悪く帰国。31歳のときにフランス島に赴任。そこからマダガスカルに渡って植民地を再建するという当初の任務を拒否してそのまま島に滞在し、島内旅行や植物学の研究に時間を費やした。1771年に帰

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    2025年01月07日
  • 戦う操縦士

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    第二次大戦における作者の操縦士としての体験に基づきながら、自由な精神性が失われる「戦争」に対する強烈な批判と理不尽さに対して行動=戦う情熱を示している。「したがって、私が戦うのは、それが誰であれ、… 他の思想に対してある個別の思想だけを押しつけるものだ」(P296)のくだりが響く。

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    2023年05月13日
  • 戦う操縦士

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    敗北感漂うWWIIの戦禍を掻い潜り
    「なぜ自分が死ななければならないのか」と問い続ける自伝的小説

    目的を意識して行動する昨今の私達とは違い、志願して上記の命題に辿り着き、戦線でその問題の解答を得た作者の知見に胸を打たれました

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    2022年10月30日
  • 戦う操縦士

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    偵察機パイロットの話。作者の小説の中で総合的にいちばん好きです。昨今の情勢を見るに、この本の平和の定義が染みます。ラストの締め方には賛否あるみたいですが、個人的には秀逸だと思います。

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    2022年05月24日
  • 戦う操縦士

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    星の王子さまで有名な著者の体験をもとにした戦記。舞台はWW2、フランス。敗色が濃厚なフランス軍の偵察機に乗り込み、敵国ナチスドイツ陣地を偵察する決死のミッション。飛行機乗りならではの俯瞰視点、空戦、地上戦などの戦闘シーン。高度を下げて危険な偵察で砲撃されるシーンは迫力もあるけど、なんともファンタジックな表現が印象的。

    FPSゲームのバトルフィールド5のキャンペーンが短かかったから欲求不満だったけど、この本で臨場感ある戦場の爆音、爆風などを追体験。

    実際の戦場を見た著者の死生観、戦争観なども興味深い。

    いっそゲーム化してもイイぐらいのボリューム。

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    2021年01月16日
  • 戦う操縦士

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    サンテグジュペリの最後の作品。
    出された当初は戦争真只中といふこともあり、民主主義からの返答と呼ばれてゐたやうだが、本人はそうした思想やらイデオロギーやらをもつてものを書いてゐたとは到底思へぬ。
    ただひたすらに空を求め、彼にできること、さうせずにはゐられぬことを粛々とこなしてゐたにすぎない。それがばかげた作戦であらうと、とち狂つた戦争であつたとしても、彼は空を飛び、作戦をこなす。最後まで、空を目指し、そして考へ続けた。
    軍人である以上、命令は絶対であり、ただ従ふより他ない。そして、相手を殺すといふことは自分も殺されるといふこと。無条件に死を受けれいることだ。しかし思想とは常に行動だ。考へること

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    2020年11月14日
  • ポールとヴィルジニー

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    素晴らしい作品。
    純愛物語であり、ただの純愛物語ではない。

    ある意味シンプルな王道悲恋であるが、
    自然の中に生きることこそに幸福の道はあるというメッセージなどの哲学的・人生訓的な深みが一段奥に見える作品。

    18世紀から版を重ね続けているのは、何故なのか。

    これほどまでに美しい恋愛や自然描写。
    ハッとするほどに。

    自分以外の何者かに支配されたあくせくする日々をたた漫然と過ごすようになっている者に、
    この本は生きる意味を問いてくる。

    それでも、まず前面に出てくるのは、
    絶望的に美しい愛の物語。

    良書。

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    2019年09月20日
  • 戦う操縦士

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    解説にあるように、これはまさにイニシエーションの、通過儀礼の本だ。
    こんなあからさまに素直な言葉を重ねていけるものかと驚いた。

    人は肉体でもなく精神でもなく、行為だ、というあたりは感動した。プラトンよりもアリストテレスよりもデカルトよりも《人間》なのだ。

    出撃というイニシエーションを通して全く世界が別のようにみえるその前とその後を描いている。
    後半は正直言って、ちょっと長い。これは時代の、状況のズレによるものなのか、前提とするものが少し違うし、重ねるべき言葉の量も違うのだろう。

    人は行為のなかにある。

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    2018年11月18日
  • 十五少年漂流記~二年間の休暇~

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    ネタバレ

    漂流した少年たちが規律をしっかり守ることで生き延びる様子が印象的だった。彼らは寄宿学校の生徒なので合理的に考え行動できる。また、生徒ではない見習い水夫の黒人のモコが調理能力があり、食事を美味しく楽しく食べることが出来たのも高揚感を覚えた。皆年齢が8〜14歳で家族が恋しかっただろうによく頑張って乗り越えた。健康や清潔にも気を遣えて偉い。それに、植物や動物の食べられるものを知っているのも賢い。食べられるかどうか分からなければ諦めるしかないが、知識のおかげで食べられるものが増えると心強いし嬉しかっただろう。エヴァンズ航海士が島の名前を少年たちに教えたときは安堵感で胸が満たされた。あの場面は希望の光が

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    2025年09月13日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    ネタバレ

    人それぞれの孤独

    17名の著者による孤独論。
    特に興味を惹かれたもの↓

    中条省平(フランス文学者)/孤独と追放――アルベール・カミュ最後の10年
    『異邦人』『ペスト』の作家という程度でしかカミュを知らなかったので…作家にここまでの重圧というのは現代では存在しないのではないかな

    奥本大三郎(フランス文学者)/永井荷風――独身者の悦びと不安
    気ままな一人暮らしが印象的でした。

    新元良一(作家)/ソロー『森の生活』が語りかける声
    この孤独、場所だけなら我が家の近所でも実践できそう。僻地じゃなかったんですね。

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    2025年04月29日
  • 十五少年漂流記~二年間の休暇~

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    言わずと知れたヴェルヌの名作。

    とにかく長い! でも飽きさせない! 少年たちの冒険にワクワクしながら読める本。

    【ネタバレあります】
    いや、正直言って私は最初の方は飽きそうになりました。だって、無人島の描写がこれでもかと続くんだもん。そして、子どもたち、物資に恵まれすぎ(お酒飲むし!)、落ち着きすぎ知識持ちすぎ(普通のローティーンは壊れた船を有効活用したりできないし、食べられる植物とか見分けられないよ)。「そんなわけあるかい」と思いながら読んでしまうところがね、多少はありましたよね、ええ。

    ただ、ジャックのウジウジした感じに「も、もしかしてお前か? お前のせいなのか?」というドキドキが高

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    2024年10月13日
  • 戦う操縦士

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    著者の実体験に基づく小説。フランス軍の偵察機パイロットとして戦争に参加する。海外文学の翻訳本としては読みやすいと思います。「光文社新訳文庫」。
    「人が死ぬことができるのは唯一、それなしでは自分が生きられないもののためにだけだ」
    印象に残った言葉です。
    「ちいさな王子」が表の名作ならこちらは影の名作といったところでしょうか。

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    2023年07月08日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    感想
    どれだけの才を持ち合わせても、どれだけの美貌を手に入れても。孤独は人間に付きまとう。耐えるという態度を捨てた楽しむという付き合い方。

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    2023年04月26日
  • 戦う操縦士

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    戦争への怒りを表しながらも、
    祖国のために行動することが重要と説く。
    そして、行動を起こすためには、
    人としてどうあるべきかを、
    自身の戦闘経験を踏まえて表現した作品。

    先に「最終飛行」を読んでいたので、
    時代背景が理解しやすかった。
    最終部で「神」についての言及が増えるのは、
    キリスト教を文化とするアメリカに
    参戦を呼びかけるためと思われる。

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    2021年07月03日
  • 戦う操縦士

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    1940年ドイツに侵略され敗北しつつあるフランス軍の偵察機に乗り、もたらした情報を有効に使う友軍がいない中を、帰還がほぼ絶望的な命令に従って出撃して生還した飛行を振り返るサン・テグジュベリの小説。この物語がフランスが降伏した後、亡命したアメリカで執筆されたことを差し引いたとしても、自由や平等について記された言葉は重い。「私は信じる。<人間>の優越こそが唯一意味ある<平等>を、唯一意味ある<自由>を築き上げるものだと。…<平等>とは<同一性>ではない。<自由>とは個人を<人間>よりも賞揚することではない。したがって私が戦うのは、それが誰であれ、<人間>の自由をある個人にーあるいは個人からなる群れ

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    2020年05月24日
  • ポールとヴィルジニー

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    詩的な文章で、読んでいて楽しい。がしかし時折少々大袈裟…?と思うくらいロマンチックな言葉や言い回しが並ぶ。
    自然に囲まれ、閉鎖的にではあるが幸福に暮らしていたポールトヴィルジニー。しかし権力や社会に巻き込まれることでその幸福は崩れていく…。
    単純だけれど、自然への賛美と社会生活への批判が込められている。

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    2020年01月11日
  • 戦う操縦士

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    ネタバレ

    「人間の土地」や「夜間飛行」と同じスタンスで
    読み進めていましたが、本作は負けると分かっている
    戦争での不可能であろうと思われる任務である
    偵察飛行を遂行し、帰還するまでが描かれており
    その中で著者が思い巡らしたことが
    書かれてるのか?と思っていたものの途中から
    違和感を覚え…

    「結局のところ、なぜ我々はいまだに戦って
    いるのだろうか?《民主主義》のため?(中略)
    ならば《民主主義陣営》のほかの連中も一緒に
    戦ってくれればいいじゃないか!」(P179)と
    他国を攻める姿勢になり、名指しはしないものの
    アメリカを非難します。

    すでにアメリカではベストセラー作家であった
    著者のこの作品の目的は

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    2019年08月26日
  • 戦う操縦士

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    人は何のために生きて、何に命を賭けるのか。
    人間とは?個人とは?
    戦争体験から生まれた思考はとても哲学的で、はっとさせられる記述もあり、すぅっと読めます。
    やはりサンテグジュペリは面白い。
    ぜひ。

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    2019年04月24日
  • ポールとヴィルジニー

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    所謂運命悲劇の物語。神様によって助けられ、豪華絢爛な生活をせず、質素倹約にそれでも幸せな毎日を暮らすポールとヴィルジニーとその母。
    そしてきっかけとなる出来事が起き一気に転落。
    物語としてよりも文学的価値の高い作品。一読の価値あり。

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    2014年12月31日