【感想・ネタバレ】ポールとヴィルジニーのレビュー

あらすじ

インド洋に浮かぶ絶海の孤島で、美しい自然と慈母たちに囲まれ心優しく育った幼なじみのポールとヴィルジニー。思春期を迎え、互いに愛の感情が芽生えた矢先、二人は無情にも引き離され……。19世紀フランスで一世を風靡し、かのナポレオンも愛読した幼なじみの悲恋の物語。

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Posted by ブクログ

ナポレオンが愛読してた本を読めるなんてそれだけで凄い。光文社古典新訳文庫好きすぎる。作家兼植物学者っていう経歴も気になる。

ジャック=アンリ・ベルナルダン・ド・サン=ピエール Jacques-Henri Bernardin De Saint-Pierre
生年:1737年
没年:1814年
ル・アーヴルの中産階級の家庭に生まれる。国立土木学校を出て技術士官となり七年戦争などに従軍するが、同僚や上官と折り合いが悪く帰国。31歳のときにフランス島に赴任。そこからマダガスカルに渡って植民地を再建するという当初の任務を拒否してそのまま島に滞在し、島内旅行や植物学の研究に時間を費やした。1771年に帰国し、二年後に旅行記『フランス島への旅』を刊行。1783年から翌年にかけて、自然界のすばらしさと神の摂理を説いた『自然の研究』を執筆・発表し、一躍文名を高めた。1788年、『自然の研究』第4巻に付した『ポールとヴィルジニー』が評判となり、翌年に単行本化されて一世を風靡した。これを愛読していたナポレオンに厚遇され、1806年にはレジオン・ドヌール勲章をうけている。


1737年ル・アーヴルに生まれる。12歳の時叔父とともに西インドへ旅行し、帰国後、技師としての教育を受ける。七年戦争に従軍し、1768年にモーリシャスへ旅して植物学を学ぶ。1771年にルソーの弟子となる。フランス革命後、1795年に政府の一員となり、植物園の館長となり、1803年にはアカデミー・フランセーズ会員に選ばれる。
1787年に発表したモーリシャス島を舞台に自然と純愛を描いた小説『ポールとヴィルジニー(英語版)』(Paul et Virginie)で知られる。同作はロマン主義のさきがけとされる悲恋小説で、日本でも多数の翻訳があり、かつてよく読まれた。

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2025年01月07日

Posted by ブクログ

素晴らしい作品。
純愛物語であり、ただの純愛物語ではない。

ある意味シンプルな王道悲恋であるが、
自然の中に生きることこそに幸福の道はあるというメッセージなどの哲学的・人生訓的な深みが一段奥に見える作品。

18世紀から版を重ね続けているのは、何故なのか。

これほどまでに美しい恋愛や自然描写。
ハッとするほどに。

自分以外の何者かに支配されたあくせくする日々をたた漫然と過ごすようになっている者に、
この本は生きる意味を問いてくる。

それでも、まず前面に出てくるのは、
絶望的に美しい愛の物語。

良書。

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2019年09月20日

Posted by ブクログ

詩的な文章で、読んでいて楽しい。がしかし時折少々大袈裟…?と思うくらいロマンチックな言葉や言い回しが並ぶ。
自然に囲まれ、閉鎖的にではあるが幸福に暮らしていたポールトヴィルジニー。しかし権力や社会に巻き込まれることでその幸福は崩れていく…。
単純だけれど、自然への賛美と社会生活への批判が込められている。

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2020年01月11日

Posted by ブクログ

所謂運命悲劇の物語。神様によって助けられ、豪華絢爛な生活をせず、質素倹約にそれでも幸せな毎日を暮らすポールとヴィルジニーとその母。
そしてきっかけとなる出来事が起き一気に転落。
物語としてよりも文学的価値の高い作品。一読の価値あり。

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2014年12月31日

Posted by ブクログ

フランス島に住む二組の親子と彼らに仕える召使いたちのお話。

良い家柄に生まれ地位のない青年と結婚しフランス島へやってきたラ・トゥール夫人。夫を亡くし途方に暮れていたところを、農村生まれで近所の貴族の青年にそそのかされて私生児を産み故郷を追われてフランス島に居着いたマルグリットに助けられて、二人で暮らすようになる。やがてラトゥール夫人にも娘のヴィルジニーが生まれらマルグリットの息子ポールと四人、そしてそれぞれに仕える黒人奴隷の召使いの6人で、慎ましく幸せな生活を送るようになる。
お互いを唯一無二の兄妹であり幼馴染みであり愛おしい人と想い合うポールとヴィルジニー。幸せな暮らしは、しかしヴィルジニーが祖国フランスへ渡ることになった時から崩れていく。

川端康成の「乙女の港」に出てくる三千子たちが(たしか)読んでいたので気になって読んでみた。むかし子どもの頃に、このお話のように家の周りに植えた食物だけで生きていく自給自足の生活のごっこ遊びをしたなぁと思い出した。
最終的にヴィルジニーはポールたちを裏切らず、乙女のまま島に帰ってこようとしていたことに安心した。とても悲しい結末ではあるけれど、彼らが彼らの信念を穢すことなく物語が終わったこと自体は救いがあるのかなと。
逃げてきた女奴隷のために主人のもとへ許しを請いにいく件など、果たしてそれは本当に善行なのか?と疑問に思う箇所はあったものの(そもそも召使いという存在を当たり前に受け入れていることとかも)、二人の世界と二人の脳内には悪いことというのは一切存在しなくて、彼らが信じている善だけがそこに存在して生きていたことは納得できる。
モーリシャス島、一度行ってみたい。

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2025年04月18日

Posted by ブクログ

そうです
またもやフランス文学です

うーん、とうしても手にとっちゃうのよね
血のなせる業といいますか
今まで黙ってたけど実は自分母方の祖父がフランス人気質なんですよ
だからフランス人気質のクォーターってことになるのかな
なのでどうしてもフランス文学に惹かれてしまうのです
しょうがない、これはしょうがない
それが血ってやつですもの

はい、かのナポレオン通称ボナちゃんも愛読したというフランス文学の名作『ポールとヴィルジニー』です

悲恋純愛物語となっております
そして純愛するのはなんと!意外や意外ポールとヴィルジニーです(そりゃそやろ)

舞台はインド洋に浮かぶマダガスカル島(アフリカ大陸の脇っちょにあるやつね)近くの絶海の孤島
そこで兄弟のように育った二人が…というお話

うーん、途中までは良かったんよなー
自然美あふれる描写とか二人の優しさに溢れた日々とかね
とっても素敵だったんだけど、途中から宗教色つかキリスト教色が強過ぎてもう全然受け入れられません

幸せな日々を送っていた二人はセオリー通り途中引き裂かれちゃうんだけど、もう明らかに母親たちの判断ミス
ヴィルジニーとかめっちゃ辛い日々
なのに神の与えた試練ですとか言われて
逆に濡れ衣を着せられた神様がちょっとかわいそう

で最後はヴィルジニー死んじゃうんだけど、今は神々の元で幸せに暮らしてるから良かったねっていいわけあるかー!っていう
まぁ残されたポールが「いいわけあるかー!」の子だったのでちょっと救われたけど、これでポールが納得してたらナポレオンも破り捨てるでほんと

うーんキリスト教色強めですとか書いといてくれへんかなー

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2024年06月18日

Posted by ブクログ

恋愛小説の古典のひとつで、清らかで純粋な二人の男女の恋愛悲劇を描いた作品です。
二人のもつ心の清らかさを示すように、細かく描き込まれた風景描写は圧巻ですし、いかなる時にも「神」の存在を信じて自らを律し、他者を恨んだり自暴自棄になったりすることなく常に思いやりを持って行動するヒロイン、ヴィルジニーの姿の美しさは神々しさすら感じさせます。
互いに想い合いながらも引き裂かれてしまう二人、という構成は、今では定番ですが、1788年に書かれたこの作品はその端緒と言えるのかもしれません。
ストーリー展開は「王道」の筋道をたどりますから安心して読むことが出来ますし、ヴィルジニーがフランスに旅立った後に残されたポールが不安定になる様子(ときには神を疑ったり、自棄になったりする)ところは真に迫っていると思います。
一方で、キリスト教の死生観や宗教観が強く反映されているところも少なくありませんから、少し説教臭く感じた部分もあり、「神」や「徳」の美しさや正しさを繰り返し主張されることに少し抵抗感があった、というのも正直なところです。

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2021年11月15日

Posted by ブクログ

美しい大自然のなかで育まれる無垢で純粋な愛情。
二人を引き裂く文明社会。

繊細で緻密な植物の描写は、まるで島の木々に囲まれながら太陽の光を頬に受けているかのような気分にさえなる。
社会状態は堕落、自然状態こそ自由と平和だと説いたルソーの思想の影響が強く表れ、また神こそが摂理という啓蒙的な宗教観も表れ、その考え方は現代的になかなか受け入れ難いところもあるが、そういう時代の話だからと読み進めるものである。

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2021年04月22日

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