橋本幸士のレビュー一覧
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科学に携わる人々の普段の思考や行動や生活について、普通の人の目に触れる機会を増やす。そのことが、次代の科学者(あるいは、その理解者や支援者)を育てることにつながる。著者の信念であろう。
では、科学者の生態とは? 彼らは、日常でふと目に入ったことや、なにげない家族の質問などが、きっかけとなり、そのとたんに、頭のエンジンがフル回転をはじめ、没入してしまう。その様を、自ら半ばピエロの役柄に擬して表現したエッセーである。
これだけ情報機器が進化していても、複数の科学者(特に数式展開を重視する科学領域の学者に限定されるかもしれないが)が、ディスカッションで創発を試みる時、彼らは、黒板とチョーク、のスタイルを崩さない。頭の中の概念を実体化する際のスムーズさや、広く概念を並べる際の一覧性等の面で、ディスプレーやタブレットや電子ノートや、電子黒板?などは、まだまだ能力不足であるということだろう。 -
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橋本氏の本は、過去に何冊か読んだことがありまして、それらが面白かったので、こちらも読んでみました。
自分自身、物理学科卒、ということもあり、納得できる部分がたくさんありました。
たとえば橋本氏は、「無限」という言葉を使わないようですが、自分も、「無限」は、本当に「無限」であることを表す場合しか使いませんし、他にも「絶対」とか「最高・最低」といった言葉は、それらが定義できる場合を除き、使いません。
そういえば、会社の採用試験の面接官をしている際、エントリーシートの趣味の欄に「読書」と書いている人に「どんな本を読みますか?」と聞くと、たいてい「何でも読みます」という回答が返ってきます。
そこで、「では、科学関連でおすすめの本があれば教えてください」と聞くと、たいてい「そういう本は読みません」と言われます。
そういう場合、心の中で「何でも読むって言ったじゃん!」と怒りつつ、次の質問に進む羽目になるので、「何でも読みます」と言われたら、まずはおすすめのジャンルを聞くようになりました。
そんなわけで、普通の人が使う「何でも読む」は、どうやら「いろんな小説を読みます」ぐらいの意味しかないことを、45歳ぐらいのときに初めて知りました。
それはさておき、橋本氏には、最強ともいえるパートナーがいますね。
それは、橋本氏の奥様。
非物理学者かつ主婦の代表として、基本的には常識的に振る舞いつつも、ときに橋本氏の斜め上をいく思考を展開することで、橋本氏の思考を打ち砕く、素敵な奥様。
その存在が、橋本氏の魅力をさらに引き出しているように思います。
ちなみに、巻末に参考図書が13冊紹介されているのですが、そのうち10冊は読んだことがあります。
できれば、残りの3冊も読んで、橋本氏に近づきたいと思います。 -
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自分は物理学者ではないが、将来研究職につきたいと考えている。物理学者は研究だけでなく、日時生活でも独特の視点で常に思考している。問題の抽出、定義の明確化、論理による演繹、予言の4スッテプをフォロー思考する。(物事を抽象化、現象発生の理由を推測、仮説立てる、実証のための実験)どんな些細な事や、数字、文字、問題に視点を当て思考している。これは一種の研究でもあり、学者にとって研究は趣味ともかんがえる。そう、言えるようになった時自分も一人の研究者として成り立つのかもしれない。
研究した成果が誰に役立つかは分からない
近似をよくする
自然は曲線をつくり、人間は直線をつくる
集中するためにメガネを外して情報をシャットアウト
科学者は論文を通して社会と接する
不安から安心へ、気分の高揚とその後の安定化が美を感じる
ある一定の苦しみの後に、発見があり、喜びを味わうこのサイクル -
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物理学者の思考法として、とっつきやすい日常的な例を挙げてそこに潜む筆者の考え方が記してある。
語りも内容もゆるりとしており、物理に疎遠な人でも読み易い形で作られている。1つ1つの節が独立しており空いた時間などに読み進め易いのも良い。一方で(大衆に向けた本であるのは理解しているが)、理学徒としてはもう少し橋本さんの専門など堅い文章が読みたかった気持ちもある。
特に気に入った節は、「カオス的人生」「人生における数学」「研究という名の麻薬」の3つである。
橋本さんならではの面白い視点と、また研究してみたくなるような書きぶりは、また必要な時に読み直そうと思う。 -
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少し前に読んだ『超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』の続編といってよいと思います。
前著よりも説明の飛躍が少なく、読みやすかったです。
学びにおいては、一つ一つの事項を丁寧に追っていくことも大切ですが、大学以降の学びについては、とくに、この本のように、まずは学ぼうとする内容の全体像を、大雑把でもよいから把握することが大切だと思っています。
自分がそう思うようになったのは、大学を卒業してずいぶん経ってからのことですが。
とはいえ、最先端の内容については、全体像のようなものを、誰も知らないことがあるので、ことはそう簡単ではないんですけどね…。 -
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機械学習ってのは、例示から汎化するという博物学的な学問です。解いている方程式は、熱力学の方程式と一緒なので関連があるかもしれないと思ってやったら素粒子とか超ひもとかもネットワークを工夫すると学習できることがわかってなかなかいいですよ。という本です。数式は私にはあまり理解できませんでしたが、数式をある程度端折っても、とてもとても示唆に富んだ素晴らしい読書体験でした。福岡さんの動的平衡と、エントロピーと、記憶と、知性と、物理と、機械学習と、宇宙の秘密が、ネットワーク構造で説明できるかもってことをやっているのが流行っているってだけでワクワクしますねえ。
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物理学者である父が、娘に超ひも理論をレクチャーするという対話形式で話は進みます。
数式も多少は出てきますが、「ふんふん、そんなふうに書かれるのか」と思っていれば基本は読み進めることができます。
本半ばに超対称性の話が出てきますが、ここが特に理解しにくかったです。超対称性をわかりやすく書いている本は今までに皆無ですので、やはり数式を使わず一般人に説明するのは困難なのでしょう。
湯川秀樹、朝永振一郎、南部陽一郎という日本人になじみのある名物理学者の名前も頻繁に出てきており、日本人が素粒子やひも理論に多大なる貢献をしたこともわかります。
個人的な感覚ですが、前著である「「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた」よりも難しく、何回か読み直さないと理解しにくい箇所もありました。 -
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自分たちのいるこの世界はどのようにしてあるのか。ヒトもモノも、すべては原子でできており、それは電子と原子核、さらには陽子と中性子でできてている。そしてそれらもまた、さらに小さないくつかの素粒子でできている。例えば、陽子なら、クオークと呼ばれる素粒子3つでできている。これが、現在分かっている世界の最小スケールである。しかし、分かっていないこともある。先のクオーク3つの重さを合わせても、実際の陽子の重さの1%にしかならない。いったい陽子の重さの99%はどこにあるのか。これの計算は非常に複雑であり、式はあってもまだ誰にも解けていない。試みに著者はここで「異次元」を導入してみせる。3次元空間で静止しているように見える陽子でも、異次元方向に激しく運動していれば、その分だけ重く見える(運動エネルギーと質量は等価)のではないか。「異次元」と聞くと、突飛な発想だと思われるかも知れない。しかし、理論上は、「異次元」があるとすると、先にあげた陽子の重さだけでなく、いろいろな複雑なことを、うまく説明できるようになるとされる。自分たちには「異次元」が見えないので、そんな世界はかえって複雑だと感じられるかも知れない。しかし、そんな「異次元」が見せてくれる世界は、いたってシンプルなのかも知れないのだ。つきつめれば、すべては「ひも」であるという「超ひも理論」。天才物理学者浪速阪教授の関西弁「異次元」案内。なお、続編『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』も、おもろい。