あらすじ
AIと物理学の融合をめざす「学習物理学」領域代表となった橋本教授。さらに、映画の科学監修、演劇や音楽とのコラボレーションなど、物理学の啓蒙活動を続けている。教授の手にかかると、日常生活すべてが「物理学的思考法」の対象となる。駅から大学まで雨に濡れずに歩けるか。満員電車で席を確保する科学的な方法。隣席の貧乏ゆすりを相殺する手段……。日々の生活を物理学の俎上に乗せると、想像もしなかった世界が現れる。笑って、泣けて、役に立つ、「すごい」科学エッセイ集。
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物理学が日常・最先端科学とどう関連しているかをわかりやすい口述で解きほぐしていく。シン・ゴジラの科学監修をした筆者によるわかりやすい物理学の学際考察本。
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面白かった。物理を学ぶことを選択しなかった自分なので、物理の楽しさを体感できたらなあと羨ましく思う。物理現象に囲まれて生活してるのにと、改めて考えた。
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良書。
物理学、物理学者のことが少しわかった。
日本には1,000人程度おられるらしい。
やはり、理屈っぽくげて付き合いにくいかも。
紙と鉛筆があれば仕事ができるらしい。この世はまだまだ未知であふれているらしい。
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物理学者は日常の出来事をどう捉えているのか?を様々な切り口で魅せてくれる。あらゆる出来事を物理現象と捉え、一見全く異なるもの同士が共通の法則に従っていると仮説する考え方は、正誤関係なく面白い。
一方、常識外れな思考の持ち主は、その失敗談も常識外れだ。
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外は雨が降っている。傘は無い。
筆者「雨の終端速度から計算すると、この姿勢と速度で移動すれば、濡れずにキャンパスへ辿り着けるはずだ!」
20分後、そこにはずぶ濡れの筆者がいた。
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とか面白すぎ笑
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物事の捉え方が素敵。理系ってそうだよねって思う(森博嗣さんにも通じるものがあるかもしれない)。夏の炎天下の京都、雨に濡れない方法、イギリス人が傘を持たない理由、亡くなったお父さんが「空にいる」件、桃を4人で均等に分ける方法、混むバスを避ける方法、満員電車で席を確保する方法(これは私もやったことがある)、連結した席での貧乏ゆすり対策。『物理学者のすごい思考法』も読んでみたい。
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私には物理学者の義父がいます。義実家で義父との話題に窮していて、何か良いヒントが得られないかと思い、書店で購入しました。
傘なしで雨に濡れずに帰る方法や、貧乏ゆすりの波を打ち消そうとする話、どの話も仮説と検証結果に解離があり、くすくす笑えます。もちろん、理論はしっかりあるので、「科学」も堪能できる内容となっています。
特に良かったのが、人の死に対する考え方を書いている章です。著者は、死に対して唯物論的な考え方(人間は火葬後に水と二酸化炭素になり、大気中に帰る等)をお持ちなのですが、それでも無機質な方ではなく、文章の中から大切な人を失った時の悲しみが十分に伝わってきました。とても著者に好感が持てる章でした。
物理学者が皆この様な考え方だとすると、とても義父と噛み合う話ができる気がしないのですが、日常に少しでも科学的な視点を取り入れてみようと思わさせてくれる、そんな一冊でした。
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科学に携わる人々の普段の思考や行動や生活について、普通の人の目に触れる機会を増やす。そのことが、次代の科学者(あるいは、その理解者や支援者)を育てることにつながる。著者の信念であろう。
では、科学者の生態とは? 彼らは、日常でふと目に入ったことや、なにげない家族の質問などが、きっかけとなり、そのとたんに、頭のエンジンがフル回転をはじめ、没入してしまう。その様を、自ら半ばピエロの役柄に擬して表現したエッセーである。
これだけ情報機器が進化していても、複数の科学者(特に数式展開を重視する科学領域の学者に限定されるかもしれないが)が、ディスカッションで創発を試みる時、彼らは、黒板とチョーク、のスタイルを崩さない。頭の中の概念を実体化する際のスムーズさや、広く概念を並べる際の一覧性等の面で、ディスプレーやタブレットや電子ノートや、電子黒板?などは、まだまだ能力不足であるということだろう。
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物理学者に〝共通する風変わりなすごい日常“という内容ではなく〝物理学者である著者のユニークな日常“という方が正しい気がするが、それは別に悪い意味ではない。サンプル数一つながら物理学者の生態を覗き見るのは楽しい。
ゆるーいエッセイという感じでもあるが、著者は本書を〝薬“に例え、物理学におけるアナロジー思考の大切さを説明する。原子と宇宙、音楽と素粒子、そして本と薬。
ー 車両まで、ホームから観察する。これには、ホームの端にいて、やってくる電車を観察するのが良い。スマホで動画を撮りスロー再生すれば、何号車が最も混んでいるのかがすぐにわかる。このひと手間だけで、次回から最も空いた号車にゆったり乗ることができる。しかし、そんなことだけでは座席を確保することはできない。そこで、なぜその電車が混むのかを調べるために、その電車の始発駅から終着駅まで、電車代を払ってひと通り乗ってみる。すると、ある駅から混み始め、他の駅では非常に多くの高校生が下車する特定の号車がある、などといった特異な現象が観察される。
こういうエピソードは敢えてタイトルに寄せているような気もするが、他の物理学者の本でも〝物理学者らしく問題の解決策を!“と努めて振る舞う所があり、ただのサービス精神だったり、立場が思考を規定するという事もあるのだろう。プロレスラーが街角でプロレスラーのまま市民に振る舞うようなものだ。
物理学という単語の気難しさに対し、肩の力を抜いて読める本。
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物理学者が日常生活の様々な場面を切り取って、物理的に考える軽妙なエッセイ。基礎的な用語の説明もあって、文系頭にも分かりやすく読みやすかった。流れや揺れ、丸という形についての物理的な考察は、文系頭の私が読むとある意味哲学的な解釈ができて面白かった。
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思考をすること、思考を続けることの楽しさ、素晴らしさをよく分かっている著者だと思った。
また、エッセイストの才能もある方だとしみじみ思う。
おすすめされているのを見かけて読んだ為、前作があるのは知らなかったので、そこはちょっと残念だった。(続編から読むのは抵抗があるのだ)
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物理の視点で日常を捉えたエッセイ集。
前作読んでないが、面白く(ある意味の面倒くささを感じつつ)読んでいけた。
印象に残ったのは、SFと物理の章。シンゴジラやウルトラマンの話も良いのだけど、終盤の理剣時代の普段の姿を見せる話が、個人的に良かった。研究者というのはイマイチ実態分かりにくいが、ありのままを魅せることで惹かれる人は多いという話は、凄く嬉しい感じがする。
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前作ほど楽しめなかった。
日常的なナニカから、物理の話に展開していくものは同じなのだが、強引に笑いに持っていくような「エッセイ」的なものが減って、少し「硬い」感じの話題が多かった。一本一本のエピソードも若干長い。最後の章に、牽強付会な日常クスッと系を何本か収めているので、これは、意識してのことだろう。前作で物理に興味を持ってもらって、この本でもう少し先に進もうじゃないかという狙いかもしれない。
ちょっと中途半端かな。どっちかっていうと、クスッと系の展開を期待していたので。