橋本幸士のレビュー一覧
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私には物理学者の義父がいます。義実家で義父との話題に窮していて、何か良いヒントが得られないかと思い、書店で購入しました。
傘なしで雨に濡れずに帰る方法や、貧乏ゆすりの波を打ち消そうとする話、どの話も仮説と検証結果に解離があり、くすくす笑えます。もちろん、理論はしっかりあるので、「科学」も堪能できる内容となっています。
特に良かったのが、人の死に対する考え方を書いている章です。著者は、死に対して唯物論的な考え方(人間は火葬後に水と二酸化炭素になり、大気中に帰る等)をお持ちなのですが、それでも無機質な方ではなく、文章の中から大切な人を失った時の悲しみが十分に伝わってきました。とても著者に好感が -
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科学に携わる人々の普段の思考や行動や生活について、普通の人の目に触れる機会を増やす。そのことが、次代の科学者(あるいは、その理解者や支援者)を育てることにつながる。著者の信念であろう。
では、科学者の生態とは? 彼らは、日常でふと目に入ったことや、なにげない家族の質問などが、きっかけとなり、そのとたんに、頭のエンジンがフル回転をはじめ、没入してしまう。その様を、自ら半ばピエロの役柄に擬して表現したエッセーである。
これだけ情報機器が進化していても、複数の科学者(特に数式展開を重視する科学領域の学者に限定されるかもしれないが)が、ディスカッションで創発を試みる時、彼らは、黒板とチョーク、のスタイ -
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橋本氏の本は、過去に何冊か読んだことがありまして、それらが面白かったので、こちらも読んでみました。
自分自身、物理学科卒、ということもあり、納得できる部分がたくさんありました。
たとえば橋本氏は、「無限」という言葉を使わないようですが、自分も、「無限」は、本当に「無限」であることを表す場合しか使いませんし、他にも「絶対」とか「最高・最低」といった言葉は、それらが定義できる場合を除き、使いません。
そういえば、会社の採用試験の面接官をしている際、エントリーシートの趣味の欄に「読書」と書いている人に「どんな本を読みますか?」と聞くと、たいてい「何でも読みます」という回答が返ってきます。
そこで -
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自分は物理学者ではないが、将来研究職につきたいと考えている。物理学者は研究だけでなく、日時生活でも独特の視点で常に思考している。問題の抽出、定義の明確化、論理による演繹、予言の4スッテプをフォロー思考する。(物事を抽象化、現象発生の理由を推測、仮説立てる、実証のための実験)どんな些細な事や、数字、文字、問題に視点を当て思考している。これは一種の研究でもあり、学者にとって研究は趣味ともかんがえる。そう、言えるようになった時自分も一人の研究者として成り立つのかもしれない。
研究した成果が誰に役立つかは分からない
近似をよくする
自然は曲線をつくり、人間は直線をつくる
集中するためにメガネを外し -
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物理学者の思考法として、とっつきやすい日常的な例を挙げてそこに潜む筆者の考え方が記してある。
語りも内容もゆるりとしており、物理に疎遠な人でも読み易い形で作られている。1つ1つの節が独立しており空いた時間などに読み進め易いのも良い。一方で(大衆に向けた本であるのは理解しているが)、理学徒としてはもう少し橋本さんの専門など堅い文章が読みたかった気持ちもある。
特に気に入った節は、「カオス的人生」「人生における数学」「研究という名の麻薬」の3つである。
橋本さんならではの面白い視点と、また研究してみたくなるような書きぶりは、また必要な時に読み直そうと思う。 -
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少し前に読んだ『超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』の続編といってよいと思います。
前著よりも説明の飛躍が少なく、読みやすかったです。
学びにおいては、一つ一つの事項を丁寧に追っていくことも大切ですが、大学以降の学びについては、とくに、この本のように、まずは学ぼうとする内容の全体像を、大雑把でもよいから把握することが大切だと思っています。
自分がそう思うようになったのは、大学を卒業してずいぶん経ってからのことですが。
とはいえ、最先端の内容については、全体像のようなものを、誰も知らないことがあるので、ことはそう簡単ではないんですけどね…。 -
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機械学習ってのは、例示から汎化するという博物学的な学問です。解いている方程式は、熱力学の方程式と一緒なので関連があるかもしれないと思ってやったら素粒子とか超ひもとかもネットワークを工夫すると学習できることがわかってなかなかいいですよ。という本です。数式は私にはあまり理解できませんでしたが、数式をある程度端折っても、とてもとても示唆に富んだ素晴らしい読書体験でした。福岡さんの動的平衡と、エントロピーと、記憶と、知性と、物理と、機械学習と、宇宙の秘密が、ネットワーク構造で説明できるかもってことをやっているのが流行っているってだけでワクワクしますねえ。
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物理学者である父が、娘に超ひも理論をレクチャーするという対話形式で話は進みます。
数式も多少は出てきますが、「ふんふん、そんなふうに書かれるのか」と思っていれば基本は読み進めることができます。
本半ばに超対称性の話が出てきますが、ここが特に理解しにくかったです。超対称性をわかりやすく書いている本は今までに皆無ですので、やはり数式を使わず一般人に説明するのは困難なのでしょう。
湯川秀樹、朝永振一郎、南部陽一郎という日本人になじみのある名物理学者の名前も頻繁に出てきており、日本人が素粒子やひも理論に多大なる貢献をしたこともわかります。
個人的な感覚ですが、前著である「「宇宙のすべてを支配す