橋本幸士のレビュー一覧
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理論物理学、微生物学、幹細胞発生学、宇宙物理化学、生命流体力学、地質学・岩石学、火山学、古脊椎動物学、代数幾何学、ニュートリノ天文学など、様々な分野の19名の理系研究者が「偏愛論文」について語るアンソロジー。
自分は文系で、理系の学問についてはあまり縁がない中、いろんな研究分野のユニークな論文のエッセンスが知れてとても興味深かった。また、研究というものの面白さを改めて感じた。
中でも、川上和人「そういえば、最近ケンケンしてないな」、仲野徹「衝撃と痛恨の秘話 幹細胞の可塑性とは何だったのか」、西本昌司「スカスカ・グサグサの岩石」、小林快次「羽を生やした恐竜」、小林武彦「私の愛する論文たち 老化は突然やってくる!?」が面白く、印象に残った。
ぜひ文系の学問についても、同じような企画をしてほしいなと思った。 -
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超弦理論について書かれた本です。
一応、大学では物理学を専攻していましたが、量子物理学は教養程度です。
平易な文章と、娘さんを主人公にした口語の文章で基本的には説明をしていってくれるので、なんとかかんとか3カ月くらいかかりましたが、読み切ることができました。
内容については、いままで、3次元以上の次元がないとうまく説明ができない、と言われてきたその理由が少し分かったり、3次元以上の次元は、今の次元の周りに巻き付くようにあるんだ、と聞いていたその数学的な意味が少し分かったような気になる内容で、これまで、傍観者として断片的に仕入れてきていた知識が少し整理された感じがあり、途中、難しいところもありましたが(特に重力をひもで表す説明が難解)、おおむね、わかりやすく、面白い本でした。 -
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勉強が足らず理解出来ないところもあったけれども、とても面白く、また魅力的な着眼点に満ちたアンソロジーだと思う。
博士たちが愛してやまない論文を紹介している。
実にシンプルである。
しかし、博士たちが愛しているだけあって、その多様さは目を見張るものがある。
博士たちは論文を愛している。博士いわく……
その論文は美しい。
その論文は執筆した科学者の野心と信念が詰まっている。
その論文はこの分野においてすばらしく重要だった。
その論文は卓越した面白い他にない着眼点でもって作成された。
その論文は結果的には誤謬であったが、この論文があったからこそ反証的に研究が進み発展した。
その論文はいまは亡き仲間が遺したもので今も活きている。
その論文は自分の根幹を成すものだ。
その論文は科学者である自分を産み出し、おそらくは未来にも自分のような科学者を産み出す。
その論文は自分を含めた多くの科学者たちを結びつけている。
その論文は大きな転換期に発表され、特異点として今後も残る。
博士たちが愛する論文は、門外漢である私には容易に理解出来るものではない。しかし、素晴らしい厚みと重みを持って人類の叡智を支えているのだと思った。 -
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今までありそうで(あったかもしれないが)見つけられていなかったテーマ。いろんな分野の先頭を走る研究者が各々愛する論文を語るという、極めて興味深く面白かった本。各々の研究テーマが違うのはもちろん、各々の研究者の感性や語り口がそれぞれ全く違っていたのも面白かった。一般向けに少し噛み砕いてくれている人もいれば、専門用語もりもりで愛が溢れている人もいた。どちらも素晴らしいと思う。いわゆるオタク文化にも通ずるところがあると感じた。専門家から見た「私見を含んだ」サイエンス的エッセイは非常に面白かった。
大学時代を振り返ると、論文を読むのは嫌いではなかったし、面白かったがやはりどこかタスクの一つになっていて心の底から楽しんで読めていなかったと思った。川上先生の章の基礎研究のあり方は非常に共感できた。面白いを追求し、誰かの心を踊らせるようなものを世に出せている時点で価値はあると思う。森林分野以外にも、他分野のインパクトのある論文を読んでみたい。ぜひ続編を出してほしい。さらに言えば年に一回でもいいから定期刊行してほしい。 -
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理論物理学者の著者のエッセイ集です。
高校物理をこれから学ぶ人にも、高校物理を一通り学んだ人にも、ニヤリとするページがたくさんあるのではないかなと思いました。
科学者ってこんな人だよ、と、いろいろな著者の習慣や考え方がちりばめられているのですが、その多くを「あ、これ、自分もやったことある!」というもので(レゴとか、ノート迷路とか、エレベータへの詰込みとか、床のタイルとか数えきれないくらい)、そうか、自分は理系の人間として生きてきましたが、ここまでの生き方は間違っていなかったんだ! と妙な自己肯定感を得ました笑
そして、物理学の研究と日常的な発見の類似性や相似性を考える場面はとても興味深く読むことができました。 -
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本書を通して、ある物理学者と、ある個人の思考法の両方を知ることができ興味深かったです。筆者いわく、物理学者には理論物理学者(理論屋と言われている)と実験物理学者(実験屋と呼ばれている)という二種類が存在するとのこと。そして筆者は前者に属しており、日頃からちょっとした事で思いを巡らせているそうです。そして、そうした行為をとても楽しんでいるところが微笑ましいです。
でも、そんな部分が、周りにとても危険な状況を作り出してしまうことがあるらしいです。どうやら筆者のような理論物理学者たちは、放っておくと自動的に研究モードに切り替わり、何か疑問があると物理学的な視点からのディスカッションに展開してしまうそうです。なので、理論物理学者同士が同じ車に乗っている時は、かなり危険なので同乗は避けたほうが良さそうだと言っています。
また、学者や研究者たちにとって、研究には長く苦しい時間があるものの、その後でなんらかの発見があるものなので、苦労を苦労とは思わなくなるそうです。さらには、「ひょとして、このことを知っているのは僕一人だけじゃないか」とほくそ笑むこともあるそうです。研究が自分の趣味であると言っている学者の気持ちが、これを読んで理解できました。
また、筆者が書いていた「できあがったものを全部壊して、また作り始める」というような文言がとても印象的でした。 -
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天才物理学者・浪速阪教授の70分講義第二弾。
今回は、「宇宙のすべてを支配する数式」と題して、素粒子の標準模型を中心に大統一理論や超ひも理論に迫る。前回は娘の美咲が、パパである浪花阪教授にマンツーマンの講義を受けたのだが、今回新たに親友のリカが登場し、どちらかというとリカがメインの物語になっている。
しかし、最初から遠距離恋愛の問題が、万有引力の法則になってしまうところは感動してしまった...。最初のつかみのうまさは、講義では大事なところだろうな。
標準模型+αの作用の式は、様々な物理学者が熟慮の末積み上げられてきた、歴史的産物だ。これは、これからも後世の研究者によって書き換えられ、進化していくのだろう。
リカが自分で、この式を書き下すあたりは、未知の記号など自分の知らないものをなぞるワクワク感が、自分にもあったことを思い出させてくれた。実際に手を動かして、ファインマン図を書いたり、素粒子の種類を分類して図示するのは楽しい。美咲とリカもなんのかんの言いながら、楽しんで書いているように思う。
今回も「さらに深く知りたい方へ」のコラムがあって、専門的なことに進みたい人により詳しい内容が書かれている。パパと美咲、リカの対話も面白いが、こうした内容が加えられているのは、もっと知りたいという好奇心をそそる。
ぼくは物理学科だったので、もちろんこうしたことには非常に興味を持っているが、最近は仕事の休みの日などに、一般公開講座を聴いたり、学生時代の勉強を復習したりしている。日常の業務だけでなく、こうした基礎科学への興味を持つことは、生活の幅を広げてくれるものだと思っている。
おわりに橋本先生が書かれているが、基礎科学の意義を考えるきっかけになる一冊だった。多くの人がこういう基礎科学の重要性を日常の中で、少しでも考える機会が増えれば、世の中の科学に対する考え方も変わるのだろう。 -
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天才物理学者浪速阪教授が、高校生の娘美咲に、物理学の最先端を伝授する。
3年前に読んだものだが、最近シリーズ第二弾が出たので、並行して改めて再読してみた。1日10分で7日間、合計70分の講義で素粒子論や重力理論を展開する。ちょっと変わった父と娘の会話が面白い。
専門書に進みたい方には、「おまけの異次元」ということでより詳しい解説がされている。もちろん、父と娘の物語だけでも十分楽しめる作品だった。
発端は、美咲の「異次元空間」に対する疑問から始まっているが、ぼくも高校生の時、「四次元の世界」というものをきっかけに、物理に興味を持ったことを思い出した。高校の時に、こんな話をしてくれる人がいたら楽しかったろう。
超ひも理論という、物理では究極理論になりうると考えられている理論なので、素粒子論やそれを記述する方程式なども出てくるが、ひとつひとつ丁寧に会話形式で説明されている。読んでいて楽しいこともあり、さくさく読めた。内容はかなり高度なことを扱っているが、それをある程度の枠組みをつかめるようにわかりやすく解説されているのがすごい。
シリーズ第二弾も読書中だが、こちらも面白いので、もう少しシリーズ続いてくれないかな。