又吉直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ沖縄編をどのようにとらえたらよいのか?
読みながらいろいろと考えていました。
それまでは、苦も無く読み進めていたのに沖縄編は正直いって冗長で飽きてきました。
ただ、最後の「私は人間が拙い」
ここまできて、作者の思いというかプロットというかわかるような気がしました。
序盤から中盤のハウス編や影島編は、沖縄編への「フリ」だったのかな?
そう思うと多少のカタルシスが得られました。
にしても、沖縄編は冗長に感じられました。
本文は、突如過去の記憶になったり、現在の記憶に戻ったり。過去の記憶でも戻るレンジが保育園の時期だったり、思春期だったり、小学生だったり、頻繁な記憶のスイッチバックを繰り返しており、ワチャワチャし過ぎて下手すると破綻しそうなところでしたが、ストレスなくすっごくうまくまとまっていました。
とても丁寧に書き進めていたのが伝わりました。
今の自分は「現在完了形」(うまく表現できませんが)で営まれている、っていうのをうまく表現できていると思いました。 -
Posted by ブクログ
せきしろさんと又吉直樹さんの自由律俳句集3作目。
* * * * *
『カキフライがないなら来なかった』が気に入ったこともあり、続けて読んでみました。
前作よりかなりの歳月が経っているためか、句の趣が少し変わったように思います。そこまで削ぎ落としてしまうのかと感心するほど、句がシンプルになっているような印象を受けました。(個人的には前作の多少ウエットな空気をまとった方が好みなのですが。)
ともあれ今作も楽しめたので、個人的に印象に残った句を書き留めておくことにします。
○せきしろさん
・ わざとだと知っているがもちろん言わない
・ 悪い人ではないと言われている人が来た
・ 絵を描こうと思っているんだとずっと言ってる
・ 誰もいない時計店で動いている針
※「鎌を持ったまま道を教えてくれる」は一茶の「大根引き大根で道を教へけり」のオマージュだろうか。
○又吉さん
・ 赤飯から払った虫が煮物にいる
・ 第一走者の親が謝っている
・ 人がいるコインランドリーを避ける
・ この話し方の店員からは買わない
・ 写真に写らない月を仰ぐ
・ 良い靴がないから家にいる
・ 近所まで蹴り育てた石を諦める
気に入った俳文についても、取り上げた句のみを書き留めておきます。
○せきしろさん
・ ますのすししかない
・ 鮮魚売り場で鋭い目つきをする
○又吉さん
・ そこからだと月は見えない
・ 実家が外ぐらい寒い
今回は、又吉さんのシャイところがわかる句が、自分としては好もしく感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあるある! と共感したり笑ったりするだけでなく、なにかひとりじゃないような、あたたかくもないけど寒くも無いような、何かが残る好きなシリーズ。
せきしろさんの句は基本的に自意識が強く、少し冷めていて、なんだか寂しい。物悲しい。観点が絶妙で、共感するのに既視感でうんざりしたりはしないラインをうまくついているし、他の人にありそうで無い行動原理、しかも揺るがないやつを持っているように感じる。
ただ、同じ言い回しが多くて、言葉選びのフィルターをもう1、2枚通して欲しいなという感じはある。文章でも過度な説明や同じ話の繰り返しが多くて、割と飛ばし読みしてしまった。
友人のビデオテープの話、教員の父に大人になってから褒められた話、先生のプライベートを知っている話、変なおじさんの話、後輩の話、これらは味わい深かった。
又吉さんの句は、物悲しくもどこか笑える気配を帯びている。というか、お笑いを愛する人として、物事を笑いに昇華する姿勢が見える。それと基本的にやさしい。
句もいいが、文章のほうが魅力がより発揮されている気がする。時々入るツッコミがとても面白い。事件とは一切関係ないやつがイキり出す妄想の話、「又吉さんの髪型はラーメンみたいだった」の中国ネットニュースの話は声を出して笑った。エッセイ集をもっと出して欲しいな。
又吉さんが綾部さんとコンビを組んでいるのはいつ見ても不思議で面白いが、お互いに無いものを見出し認め合い、深いような浅いような関係で、とても好いなと思っている。「草野球なのにドラフトを真剣に待つような意識は綾部の美点だと思う」という文には特に顕著に表れていた。
〈好きだった句をいくつか選抜〉
せきしろ
- 夏の午前の本屋にいたい
- ベランダから神輿を見下ろす寝起き
- ドッキリでしたと来ない
- 子供が追いかけるから鳩がこっちに来る
- そうだふりかけがある
- 次に泣くのはいつだ
又吉
- この海で自分だけ靴下をはいている
- 美術館を出た後の空が一番青かった
- 親の傘の重たさ
- ゴールした人を旗まで連れていく係
- 携帯に保存した詩だけが光る部屋
- もはや犬ではない -
読んで良かった!
文章は文学的で最初読みづらいかな?と思ったが、一気に読めた。内容は全体的に暗く、芸人のお笑い哲学というのがわかりやすく描かれてはいるが、映像のほうが感情移入しやすいのかなぁ、と思ってしまった。まだ映像は見ていないのですが。最後のオチが酷い!しかし時間が経つとじわじわ笑える気もする。悲しいお笑いという感じかな。
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Posted by ブクログ
『自分の名前で文章を書くことは、身体に文字を彫ることと似ている』と又吉さんは言う。
その言葉の重みに圧倒されてしまいました。
人の心はうつろうし、考えることだって日々変わっていく。
又吉さんにとって文章を書くというのは、その時その時の思いをちょうどいい熱量で
自意識と闘いながら言葉にしていくという作業なのだろう。
その途方もない困難さが、『スリジャヤワルダナプラコッテ!!(スリランカの首都)』と叫ぶ小学生の話に笑っているうちに、泣き笑いのように伝わってくるのです。
分かりやすい思考の方程式や、世の中が提示してくる『正解』を許さない二人のやりとりは
読んでいてとても刺激的で楽しかったです。