山岸真のレビュー一覧
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現代最高のハードSF作家と呼ばれているグレッグ・イーガンの初期短編集。元々は河出書房の「奇想コレクション」の一冊として日本オリジナル編集されたといういきさつもあり、SF風味の薄い「奇妙な話」系の作品も多く含まれています。一読しての印象は、
「イーガン、分かりやすい話も書けるんだ・・・」
ということヽ( ´ー`)ノ冒頭の「新・口笛テスト」は本当にシンプルなワン・アイディア・ストーリーのSFで、キャラクターの造形もわかりやすく、何だかイーガン読んでる気がしないなーと思いましたヽ( ´ー`)ノ
でも、読み進めると確かに「イーガン節」とでも言うべき独特の世界観が広がってきて、結局はあの手応え十分なイ -
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ネタバレナイスSF! とってもストレートで無駄がない青春小説。ロリンの正体だけちょっとよくわからないけど… でもいい話だった。簡潔なハッピーエンドではないところが特に。
ブラウンアイズがただのいい子ちゃんな女の子じゃなくて、独占欲と嫉妬心があって、適度に積極的なところが可愛い。シェルターの前で暮らしていた期間は幸せだったろうな。こんなにも愛されてるってことを実感できて、そのうえ皆に知らしめることができたんだもん。
政府側のキャラが味気ないのがもったいなかった。でも二つの恒星間で衛生軌道を変える惑星ってネタが面白かったからノーカン。しかもそれを宇宙飛行士の冒険ものとかじゃなく青春SFにしちゃうってと -
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最後の最後で、SF的大どんでん返しに驚かされた「ハローサマー、グッドバイ」の続篇。何十世代も後のあの星が舞台だということで、今度はどんな物語が展開するのかと楽しみに読み出したのだが、あらら?なんだかいろいろ違うではないか。
前作では限りなく地球人に近かった住人たちは、はっきり異星人として描かれており、前作にはなかった設定が次から次から出てくる。それはそれで興味深くはあるけれど、ちょっと途惑うのも確か。
「記憶遺伝子」という設定をはじめ、異星の奇妙な文化のありようがみっちり描き込まれており、殺人事件の犯人捜しというミステリ的な面白さもある。しかし何と言っても話のキモは、裏表紙の紹介文に「真相 -
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いやー、まいったまいった。全然わからんかった!わけのわからんことを考える人が世の中にはいるもんだなぁ。
人格をソフトウェア化して、仮想都市で生き続ける世界。星の終わりによる不可避の終末。それから逃げる/新たな世界に進出する過程「ディアスポラ」を描く。
なんやようわからんかったけど、最後の方に主人公たちは一応の安全への道を手にいれるのね。新しい世界への切符を手にいれる。でもそれを得る過程でみつかった、さらに先を行く人「トランスミューター」を追いかけることを選ぶ人がいて。まだ見ぬものを求めるって、なんなんだろうね。こんな世界に生きている人がいるんだろうなぁ。 -
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下巻の展開は、上巻を読み終えた時点での想定とは大きく異なるもので、これはかなりの衝撃だった。マリアとダラムが物語の主軸を担う点は上巻同様に変わらないが、その他の登場人物の物語はそれと交わることなく、並行して進んでいく。そしてより大きな問題が順列都市に出現し、その根本を揺るがす大転換がもたらされる。この意外性こそ、この小説が他の小説とは一線を画す点なのだろう。
認識により世界が変革されるという観念が、本書終盤の鍵となる。悪貨は良貨を駆逐するとは言い過ぎかもしれないが、真実もまた相対的なのだという主張が見え隠れする。これを読んで、以前に聞いた次の話を思い出した。それは経済活動に関する新しいモデ -
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人物のスキャンが可能となり、電脳世界で生き長らえることが出来るようになった世界で、自己とは何か、生きるとは何を意味するかに迫る物語。『順列都市』の世界において鍵となるのは、次に挙げる三つの概念である。第一に、現実。これはボトムアップ型の概念であり、素粒子のスケールから計算された物理法則に従う世界を指す。これをコンピュータ上で再現するには膨大な計算力が必要で、『順列都市』の世界においても不可能である。第二に、コピー。これは現実の生理学をブラックボックス化することで、計算を単純化し仮想現実を可能にするトップダウン型の概念である。世界中の富豪たちが自らのコピーを作り、死ぬ間際にスキャンすることで、