浅井晶子のレビュー一覧
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ドイツの国民的人気作家シャルロッテ・リンクの作品。
なぜか舞台はイギリスが多く、これもそうです。
ヨークシャーで退職した元警部リンヴィルが殺され、一人娘のケイトが休暇を取って戻ってくる。
ケイトは、スコットランド・ヤードの刑事だった。捜査に参加は出来ないが、じっとしてはいられない。
捜査に当たる警部ケイレブらにいささか邪魔にされながらも、諦めることは出来なかった。
内気な性格で友達もいないケイトにとって、毎週電話していた父親は、唯一の心の支えだったのだ。
仕事柄、犯人は恨みを持つ犯罪者ではないかと思われたが‥
一方、スランプに陥っているシナリオライターが妻子とともにヨークシャーの農場に引っ -
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ドイツの法曹ミステリー。
いや、タイトルは「最終法廷」だし、主人公は弁護士なんだけれど、法廷内が舞台ではなく、むしろ「探偵ミステリー」という感じかも。
不可思議な事件、依頼人の死。仕事のない貧乏弁護士フェルナウが、奇妙な事件の真相が知りたいと調査を始め、その謎がどんどん大きくなっていく。すべて謎が解けた、と思いきや、いろいろなドンデン返しが波のように押し寄せて、うわーー、どうなっちゃうのーー?的に面白いミステリーでした。
超美人の検察官や、弁護士事務所の相棒(ちょっと変人?)や、ケチな犯罪者の依頼人や、たくさんの登場人物たちが出てくるのだけど、なんとなくみんな愛すべきキャラクタ。
どうや -
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恋人や友人もおらず、仕事も上手くいっていない39歳独身女性ケイト。ここまで自己肯定感が低い人物が主人公なのも珍しい。読み進めるうちに、彼女だけでなく、誰もが表向きの人格とは別に、孤独や闇を抱えていることが分かっていく。人の温もりを欲しているくせに、己れの醜い心まで覗いて欲しいわけではない臆病な気持ちは、共感しかなかった。
途中で話が繋がっていくステラのパートは、不穏過ぎて、ちょっと読み飛ばしてしまった。小さな子供がいると辛い。すべての人が傷つく結果になってしまったが、終わってほっとした。ケイトは少しだけ未来が見えたのか。シリーズものらしいので、次が楽しみ。 -
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言語化することは、その治療的側面からとても深い意義がある。その人の内面の課題を解決するためには、内面を言語化するしか方法がないと私は思っている。
カウンセリングにしろ、トラウマ治療にしろ、その基本は「傾聴」することだ。すべてそこから始まる。ナラティブセラピーしかり、メンタライジングしかり。発達の未熟さから言語化が難しい幼児は「表現」でその代替行為をする。絵を描いたり、工作をしたり、箱庭療法なんかもその一つだ。言語にするなり形にして表すなりすることで、内面にあるイメージ、感覚、感情を整理し、内面を客観的にして初めて自分自身の状況を把握できるのだろう。「治療」というが、つまるところ、自分自身で自分 -
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旧西ドイツに生まれた著者、カロリン・エムケは、日本ではまだメジャーではないジャーナリストだ。
現在は議論の場を設けたり、幅広いテーマで著作活動を行なっており、精力的な活動を行なっているという。
彼女、そして本書に出会えたことは、大変良い出会いであった。
日々、私には何ができるのだろう、とか、なんとなくの違和感とか、不快とは言えないけれど、モヤっとすることがある。
それは会社での会話だったり、新聞の投書だったり色々なのだが、こんなことが一例としてあげられる。
ある日の新聞のオピニオン欄で、女性の生理用品を買えないことについて、識者や読者の意見が載っていた。
読者である年配の男性は、たかが数百円 -
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強制収容所での拷問、戦時中の集団強姦など、悲惨な体験をした被害者たちの話を聞いてきた著者。彼らが「それ」としか呼ぶことができない体験を言葉にしていくことの意義や、その過程で聞き手側に望まれる態度について論じるエッセイ集。後半は、故郷についてや、旅をすることについても語っている。
印象に残った部分を抜粋。
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こういった理解不能な世界は、子供たちとは違った形で大人たちを脅かす。「残虐の規範」に直面したとき、誰よりもまず打撃を受けるのは大人たちだ。別の規範、別の秩序のもとで育ってきた彼らは、新たな規範を理解することができないのだ。(P.35)
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アウシュヴィッツでの -
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ドイツの国民的人気作家のミステリ。
舞台はなぜかイギリスが多いようで、今回もそう。
元ジャーナリストのロザンナが復帰後初仕事として、行方不明事件を取材することになる。
それは5年前、ロザンナ自身の結婚式に招いた幼馴染のエレインが失踪したというもの。
霧でジブラルタルへ向かう飛行機が欠航となり、やむなくエレインはとある弁護士の家で休んだのだが、以来行方がわからない‥
疑われた弁護士は家庭も仕事も評判も失ったが、何の証拠もあったわけではないのだ。
エレインの行動を追うロザンナ。
弁護士を疑うエレインの兄。
一方、妹を殺されたアンジェラ一家の悲しみと、誰かから逃げているパメラの章が交互に描かれ、 -
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「罪なくして」というこのタイトル、
なんとなくわかるようなわからないような言い回しに感じられ、原題をしらべてみると、
(ドイツ語なので英語に翻訳)
“Without guilt”
日本語だと、罪がない状態で、とか罪なしに。
英語だと罪悪感なしに、とか罪の意識がない、となり
またまたちょっと微妙な違いを感じてしまう。
前者だとすると
罪はないのに巻き込まれた感のある青年を。
後者なら人を殺めることに躊躇のない
犯人であるもう1人の男を指すように思う。
とにかく今回はとてもスピーディーな展開で
途中まではワクワクしながら読んだけれど、
結末はすごく放り出されたような終わり方で
えー、この先が