浅井晶子のレビュー一覧
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ここのところ読書スピードが上がらず
読むのに苦労していたが(集中力が続かないのは年齢のせいかな?と心配していたが)
本作は2作合わせて1週間かからず。
おもしろければ読める。
ちょっと安心。
さて、後半もなかなかの出来だった。
本の半ばでまた声を出しての絶叫。
何冊読んでも引っかかっちゃう。
くそ〜〜!ミスリード!
でもそれがミステリーの醍醐味。
いつもケイトの私生活のパートや
捜査での暴走ぶりにやきもきしながらも楽しく読めてしまう。
男性絡みではまたまたため息…なエピソード満載。
だけどケイトは少し大人になったと感じた。いやもう44歳だけど。
シリーズは続くんだろうな。
ケイレブの今後にも注目。 -
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彷徨うということ
“霧のロンドン”、古く冷たい建物に曇天ばかりの空をもつ街、少し都会を離れると、荒涼とした台地と陰鬱な太陽が照らす、イギリスという国のイメージ。
“彷徨う”という言葉がとてもよく似合う。
自分を“見失う”
からだはここにいるのに、ココロは漂よっていて、何処にも向かうべきところがない。
それも一つの“失踪者”なんだろう。
他者を“束縛する”
若くして脊髄障害を負った男、孤独な田舎の高齢者の男、一応の成功と家庭を持ったにも関わらず自分のコントロール下においていないと絶えず不安に苛まれている男、怒りの爆発、暴力の果てに相手が取る驚愕に陶酔し、制御不能となる男、この物語に登場する男たちを、どこか道徳めいた日本の2時間テレビドラマではここまで描けないほど赤裸々に描写する。
物語は下巻に入ってジェットコースターのように急展開する。
そして最後は……
少し予想していたが、まぁそうでなければ締まらないかなぁ。
面白かったです。 -
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ネタバレこれは今年度のベスト10にランクインするのではなかろうかと思える良作。
饒舌なシーラッハというような印象。
シーラッハと「饒舌」は相反するものだが、主人公エーファが弁護士で過去の自分の携わってきた事件を振り返っていくというスタイル、その扱ってきた事件のひとつひとつのあらましに妙にリアリティを感じる描写、そして事件のオチが醸し出すどうにも暗澹とした気持ちになる、一筋縄ではいかない人間の暗部を日の目に晒す様がそう感じさせた。
シーラッハのように切れ味鋭く、ときに不親切とも思えるほどの感覚的な文章という訳ではなく、いたって読みやすく書き込みがされているという点が「饒舌な」という印象に由来する。
とても読みやすい、でもそれぞれの物語のオチのエグさがとんでもない。
めちゃくちゃイヤミス。
変な見方すると主人公、バッドエンディング案件ばっかりだけど、本当に優秀な弁護士?とすら思ってしまう。
まだ40代だという著者。
本国では既に続編も出版されているという。
今後の活躍が楽しみな作家のひとりになった。 -
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ネタバレ2026年の30、31冊目は、シャルロッテ・リンクの「孤独な夜」です。「裏切り」「誘拐犯」「罪なくして」に続く、ケイト・リンヴィル巡査部長を主人公とするシリーズ4作目です。
日本にもついていない女探偵として知られる葉村晶がいますが、ケイトの不運・不幸さは、それ以上です。
ようやく出来た恋人に裏切られる、スコットランドヤードを退職して、ケイレブのいるスカボロー署で勤務し始めたら、そのケイレブ自身が辞めてしまう。ケイトは、常に孤独です。(猫のメッシーはいますが)今回も、ついに恋い焦がれるケイレブとそういう関係になりますが、2人共に酔っ払った上での成り行きからというものでした。
今回の事件は、大きく2つ(いや3つか?)です。
1つは、9年前に起きたアルヴィン・マロリーという極度な肥満の少年に対する未解決の暴行事件です。アルヴィンは、今現在も植物状態という凄惨な事件です。
2つ目は、ダイアン・ブリストウという女性が自分の車の中でめった刺しにされ殺されているのが発見された今の事件です。犯人の狂気を感じます。
時を超えた2つの事件で、同じ指紋が見つかった事から、2つの事件は、絡み合いながら、新たな死体を撒き散らしつつ進みます。
舞台は、クリスマスから年末にかけてです。世間が華やかな時期である事から一層、ケイト、ケイレブ始め、登場する多くの人物の孤独が際立って見えてしまいます。
いつもの事ながら、終盤まで割りと淡々と進みつつ、
クライマックスに緊迫したシーンを持って来るのは、作者の十八番です。最後に中国、武漢から発生した世界的な大事件のニュースをさらっと差し込んで来る当たり、この後のシリーズの展開を暗示しているようでも有ります。
☆4.7 -
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法は人を救わない。
社会で共有されたルールであり、ひとつの判断基準でしかなく、そこに正義は無い。
法だけで人を救うことはできない、その事実を何度も繰り返し思い知らされる。そんな物語だ。
老境に差し掛かった一人の女性弁護士が、かつて自身が関わることとなった九つの事件を淡々と綴ってゆく。現実にありえたかもしれない物語に、底冷えのするようなリアリティを感じてしまう。
主人公は、法に携わる者として常に公正であろうと真摯に努めている。
しかしながら、本書に描かれた事件は、依頼人の嘘やたくらみにより意図したものとは真逆の結果となってしまうものばかりだ。
法を利用して罪を逃れようとする者、法を使って復讐しようとする者、法の抜け道をあざ笑う者。
それを目の当たりにするたび打ちのめされ無力感に苛まれる主人公だが、それでもなお自分に出来ることを探し続け、自身の行動が真の意味で正しいものであったのかを問い続ける。かつて自分が犯してしまった過ちを償うために。
意図せずして犯罪の隠蔽に手を貸してしまった主人公が、最後に選んだ道は……
本書がデビュー作となる著者は、ドイツの現役の法学部教授であり裁判官でもあるという。解説によれば、物語の多くが実際に関わった事件を基にしているそうだ。
法律が、世間の常識や倫理とときに乖離してしまう矛盾を身近に感じているからこそ描き出すことができた物語なのだろう。
タイトル「暗黒の瞬間」が意味するものを、深く考えさせられる。
次作にも大いに期待したい。 -
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ネタバレベルリンの刑事弁護士エーファが関わった9つの事件を綴った連作短編集。1話40ページ前後な上に細かくチャプター分けされてるのでテンポよくサクサク読める。ドイツが舞台なので日本の法律や司法とは違う部分があるのは仕方ないがところどころ首を捻るところがある。
基本法廷モノだが『逆転裁判』の様に「無罪判決!完全勝利イェーイ!」とはならない。逆に苦々しいビターエンドばかりだし、主人公の心に深い暗黒の影を落とした9番目の事件は紛うことなきバッドエンドである。それでも最後の最後に逆襲の一撃を喰らわせてスカッと終わり、まさに終わりよければ「すべてよし」。訳者あとがきによれば続刊が決まってるそうなので楽しみ。
【超どうでもいい超余談】
作中オランダの「スヘフェニンゲン」という地名が出てきたのでもしやと検索したら日本で弄られまくってるスケベニンゲン(Scheveningen)」だった。私の中でスケベニンゲンが出てくる小説として長く記憶に留まり続けることだろう。 -
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ドイツ語翻訳家浅井晶子さんのポルトガルの田舎での生活記。
第一話からとても面白かったのですが、比較的軽めの話で、肩がこらなくて楽しいけどあまり印象に残らないタイプの本かなと思いました。でも、読み進むうちに、ヨーロッパでも貧しいポルトガルでの豊かな生活や地元の人たちとの交流が具体的に活き活きと描かれていて、話にも、そしてポルトガルという国にも惹き込まれました。エピソードのひとつひとつが魅力的で、いつか行きたい!と思いました。
ところで著者の浅井さんは、話題豊富で話上手な人なんだろうな、という印象。一方のドイツ人のだんなさんは科学者で口下手な人みたい。口下手のほうは自分も同じなので、話上手でおしゃべり上手になるにはどうしたらいいのだろう、と、やや脱線ですが思いました。これは大事なテーマです(笑)。 -
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ヨーロッパの中でも比較的物価が安くて、蛸や鯵をはじめ海産物が豊かで食べ物も美味しくて、アズレージョで彩られた街並みがたまらなく可愛くて、将来移住したい国ナンバーワンのポルトガル。その国の、しかもかなり過疎の村に移住した日本人(旦那さんはドイツ人だけど)話ということで、読む前から期待大でした。
言葉も不自由なままのしかもコロナ禍での移住だったようだし、山火事や野生動物、ウチナータイムのようなポルトガル時間との付き合い方、さらには限界集落の将来の不安とかストレス要因はあったと思うけど、今とまっすぐ向き合って今の楽しさをいっぱい感じようとしている人のエネルギーをもらえる一冊だった。 -
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コロナをきっかけにドイツからポルトガルに移住した方のエッセイ
ドイツに住んでるだけでもすごいな…となるのに更にまた言葉の通じないところへ移住するなんて本当にすごい
ポルトガル、全然馴染みないけど日本と近いところがあるんだな〜と行ってみたくなった
何が起こるか分からないこのご時世、自治体から供給されるインフラに頼らずに生きていける基盤を構築しとくのは絶対強いと思う
コロナ禍に関しては当時から著者と概ね同じような感覚でいたので、アセニョーラの「人間いつかはなにかで死ぬのに、どうしてウイルスで死んだらいけないの?」って言葉にはまじでその通りだわ…ってなった
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Posted by ブクログ
ネタバレドイツの法律家で作家さんとなると、真っ先にシーラッハが思い浮かんだ。あちらは淡々とした文章が魅力で、こちらも簡潔な文章ではあるものの、主人公の迷いや苦悩を感じられ、読者も思わず一緒に腹を立ててしまうような、より肉付けがされた物語となっている。
主人公の女性弁護士エーファは、刑事事件が専門。有能で世間の注目を集めるような大きな事件を担当することも。
プライベートも割いて仕事に没頭してしまうのは、昔自分の結婚式や新婚旅行で、結果を過信し、対応がおざなりになり、想定外の裁判結果に絶望した依頼人が一家心中をしてしまったから。
だが、依頼人は弁護人に真実を語るとは限らない。時には利用され、有罪の人物を無罪にしてしまうことも。またはその逆も。
短編はどれもめちゃめちゃ面白い。続編も楽しみ。 -
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裏表紙の著者紹介を見ると、エリーザ・ホーフェンという方は刑事法を専門とする現役のライプツィヒ大学法学部教授兼ザクセン州憲法裁判所判事となっています。
主人公エーファ・ヘアベアゲンは六十代の刑事弁護士、夫ペーターは仏文学者の大学教授という設定です。
彼女が弁護士として扱った九つの事件それぞれを法律ミステリーの短編として描いていますが、それぞれが微妙に彼女の心情に影響するという仕立てになっています。
①正当防衛
②生かしておく
③少年兵
④塩
⑤人食い
⑥遺稿
⑦強姦
⑧自白
⑨シュテファン・ハインリヒ
最初は、ちょっと読みにくかったのですが、読み進むにつれて加速していき、最後の方では頁を繰るのがもどかしいくらいになりました。
日本語訳の問題かなと思っていたところ、途中からどうもドイツ語原文が、刑事法学者らしく事実関係を厳密に書き込んでいることに起因するのかも知れないと感じるようになりました。
ともすると冷たく冷徹な印象を持たれがちな法律、その中でも厳密なドイツ刑法学の素材ではありますけれども、結構浪花節的なところを前面に出しています。
原題は「Dunkle Momente」、暗黒というよりは「どす黒い」、瞬間という意味もありますが「Moment」には、辞書的には要因とか契機、局面という意味もあり、全体的には「どす黒い契機」という感じの短編集です。
付箋を貼ったところ
・拘置所長はたいていの場合、収容者の生活を少しでも耐えやすくしようと多大な努力をしている。拘置所で働く人の多くは大学で社会教育学を修めており、アメリカの映画に出てくる拘置所職員とはまったく違っている。(173頁)
・ドイツの検察官は有罪判決を勝ち取るようにとの圧力を上層部から受けたりはしない。(187頁)