浅井晶子のレビュー一覧

  • 裏切り 下

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    後半からどんどん面白くなった。家族、同僚も知らないまま抱えてる秘密に怯える様子が上手く描いてあった。上巻のプロローグ的な場面の回収が全てをまとめていた。

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    2022年08月06日
  • 裏切り 下

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    凄惨な殺人事件。その被害者は元警部でその娘はスコットランドヤードの刑事ケイト。このケイトの造形がとてもいい。孤独で同僚とも打ち解けることが出来ず落ちこぼれのように思われている。そのケイトの父が殺害されたことで地元警察に協力する。でもそこでもなかなか上手くいかない。次第に見えてくる父の秘密と殺人が終わらない事件。捜査で出会う刑事たちとの微妙な距離感。派手さはないけれどとても緊迫感のある展開と事件の奥にある被害者や関係者の人生の秘密や裏切り。冒頭から強く惹きつけられる力のある作品。シリーズ第二作の刊行も決まっているということもとても嬉しい。

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    2022年07月23日
  • 誕生日パーティー

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    子供たちが誕生日パーティーに招いたのは、かつてのカンボジアを共に生き延び、この地で共に暮らしていた1人の女性。
    一体なぜ、疎遠になってしまったか。
    回想と現在を行き来しながら語られていく。

    最初は、カンボジアの描写が辛くて辛くてページが重くて、違和感に気づけなかった。
    あるところで、あれ?と違和感が襲う。そしてなぜ違和感を抱くのか、正体に気付いた時、巧妙さに思わず唸ってしまった。

    これだから小説は面白い。と思わされた一冊。

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    2022年07月20日
  • 裏切り 下

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    久々に、シリーズの次作を読みたいと思うキャラ、ケイト。スコットランドヤードの刑事なんてどんなエリートかと思うのに、そこでのおちこぼれという…。対人ダメダメで恋人も友人もおらず、自己評価も低い。なんだか身につまされ、どう生きていくのかと気になる。

    ケイレブも、アルコールのせいというもっともらしい理由はあるものの、これだけ悪い予感や悪い徴があるのに、鈍すぎないかい? 

    2つの事件の関わりが若干薄いように思うが、着地に生かされてると思えば、報われるというもの。
    ページは捲らされ続け、カレーが食べたくなりました。

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    2022年07月18日
  • 裏切り 上

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    ネタバレ

    吐露できない気持ちのほとんど全てを共有しました。表に出すことをあきらめていた気持ちばかりです。自分にはどうしようもない渦に巻き込まれて、気づいたら大切な家族まで巻き込んでいて、全力で抜け出そうとしたのに精一杯心を尽くしたのに、また選択を間違えたことに絶望する……その気持ちを、行動を、自分自身では言語化することができなかった部分まで詳らかに書き込まれていました。
    そして、その全てが集約された最後の文。
    そうだ、私の手に、私の人生は、今、ある。そう思わせてくれる小説でした。

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    2022年06月25日
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌

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    ネタバレ

    ドイツクラウスニッツに到着した難民達のバス、アメリカニューヨーク州スタテンアイランドで脱税たばこを売っていたと疑われて警官に取り囲まれたエリックガーナー、共に一方的な他者の憎しみが描かれている。バスの中の難民一人一人の境遇があるにも関わらずな難民として不可視な存在として全てを排除しようとしているのである。かたや黒人というだけで常に恐怖の一旦として疑われ、警察に取り囲まれ命を落としてしまった彼は本当に言葉で言い表すことができない。
    偏った見方をしてしまうアメリカ国内の歴史もあるのだと思うが、現代でまだ起こりうる、起こり続けているこれらの問題に対して個人個人がよく考えて行動をしていくしかないのかな

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    2022年06月19日
  • 誕生日パーティー

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    読み終えた後、3回以上、メイ家の章を中心に読み返して、やっと状況が理解できました。
    口数の少ない上の弟、これがキムなのですね。
    パーティーの場面から、ずっと明言が避けられ、まるで、キムが語っているかのように物語が進み、ずっとずっと騙されながら読み進めました。

    カンボジアに暮らす、2つの家族、
    オーストラリアで、2人の難民を受け入れた1つの家族、
    それぞれに苦悩があり、3つの家族はそれぞれの世代で様々な運命を辿って絡まり合っていく様、
    読者を翻弄するかのように、時も場所も語り口も次々と移ろい、誕生日パーティーと共にフィナーレへと向かっていき、最後は一気読みでした。
    翻訳でしたが、少しも違和感を

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    2022年03月20日
  • 誕生日パーティー

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    クメール・ルージュのあまりの残忍さ凄惨さに、何度も途中で読むのを止めようかと思ったほど。しかし、(訳者あとがきにもあるように)ピースが足りない感がずっとあって、中程からはもう一気読み。終わりのほうで、そうだったのかー!とか、だから〜〜〜だったのか…とかやっとピースがはまり、また子世代の若者たちの明るさに救われる。

    いやー、この筆力すごいな。そして、浅井晶子訳にハズレなし、がまた更新されたのだった。

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    2021年09月06日
  • 誕生日パーティー

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    本邦初訳となる前作『国語教師』で度肝を抜かれた作者の最新作。50歳の誕生日を迎えるキムに、末息子が用意したサプライズとは……。多数の登場人物、様々な場所、過去や現在が頻繁に入れ替わり何が起きているのか把握しづらいが、クライマックスですべてが明らかになり呆気にとられた。うーん、これは再読したい。

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    2021年08月15日
  • 誕生日パーティー

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    ネタバレ

    唐突に提示される父親の誕生日パーティーへの誘いのメール。
    まさに前作『国語教師』の始まりような感じだったので、似たような話かと思いきや、まさかの負の歴史の悲劇と教訓、罪と後悔の物語。
    物語への吸引力、読後の胸に残る思いは間違いなく星5つ級。

    だが、クメール・ルージュ時代の描写が辛すぎる。
    辛すぎて途中読むことをやめたくなることも多々あった。
    様々な困難はあるにせよ、この時代、この国に生まれ心豊かな日々を送れていることのありがたさを嚙み締めずにはいられない。

    いくつもの時代、場面、目線を変えての構成がこれまた前作を彷彿させ、周到に組まれた展開の妙に引き込まれていくと共に、辛い描写のほど良い息

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    2021年08月14日
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について

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    それは言葉にできるからとカロリン・エムケは信じる。とても言葉にできない体験も、時間や聞く人への信頼などによって言葉になることもある。聞くこと、伝えることの大切さを説いて素晴らしい。他者の苦しみ、故郷などの体験から語られる文章にも感銘を受けた。彼女の弱者に向ける視線と本質を見極め言葉にする力にこれからも期待します。

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    2021年01月27日
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について

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    2019年?冊目。(最近レビュー執筆怠り数え忘れた...)

    『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』から注目していたジャーナリスト、カロリン・エムケの新刊(原書の出版は2013年で、『憎しみに抗って』よりも前)。

    年末年始、他に読みたい本がたくさんあるけれど、これは連休中にもう一度読み返さなければいけない...今年の自分にとって、本当に大事なテーマで、消化して整理するにはまだまだ時間がかかる。現段階の雑感だけでも言葉にしておきたい。

    ...

    「言葉にし得ない体験」をめぐる考察。

    極度の暴力や不正に遭った人が失った言葉に対して、どんな言葉も及ばず「それ」としか形容できなくなってしまった

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    2019年12月28日
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌

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    世に蔓延る差別に対する指南書
    多様性なんて言葉が流行りとして使われてるうちはダメなんだろうなぁ
    そして皆にこの本をお勧めしたいが、まず読むのが(内容的にも)面倒くさいと感じるであろうと察するので、まずはその面倒くささを取っ払う活動しようっと

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    2018年05月05日
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌

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    2018年18冊目。(再読)

    〉2018年17冊目。
    〉読み始めてすぐに心臓がばくばくし、読み終えてすぐに「もう一度読まねば」と急き立てられた。

    の通り、初読の直後にもう一度読んだ。思うところが多すぎて、それでもまだうまくまとまらない。長く付き合うことになる一冊。
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    2018年17冊目。

    読み始めてすぐに心臓がばくばくし、読み終えてすぐに「もう一度読まねば」と急き立てられた。
    近年悶々と考えていたことが、物凄い密度の言葉で語られていた。
    言葉の力が強過ぎて、「陶酔して盲目にならぬよう、気をつけて読まねば」とも思うくらいに。

    流入する難民、異なる人種、性的マイノリティ

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    2018年03月25日
  • 孤独な夜 下

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    ネタバレ

    2026年の30、31冊目は、シャルロッテ・リンクの「孤独な夜」です。「裏切り」「誘拐犯」「罪なくして」に続く、ケイト・リンヴィル巡査部長を主人公とするシリーズ4作目です。
    日本にもついていない女探偵として知られる葉村晶がいますが、ケイトの不運・不幸さは、それ以上です。
    ようやく出来た恋人に裏切られる、スコットランドヤードを退職して、ケイレブのいるスカボロー署で勤務し始めたら、そのケイレブ自身が辞めてしまう。ケイトは、常に孤独です。(猫のメッシーはいますが)今回も、ついに恋い焦がれるケイレブとそういう関係になりますが、2人共に酔っ払った上での成り行きからというものでした。
    今回の事件は、大きく

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    2026年08月24日
  • 誘拐犯 上

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    シリーズ2作目。物語の視点がころころと変わり、また登場人物が多いわりには全く混乱することなく読み進められる安心感がある。さすが。
    疑わしい容疑者はたくさんいるものの、どれも決定打に欠けていて全く予想ができない。下巻も楽しみ。

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    2026年08月19日
  • 裏切り 上

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    ロンドン警視庁の刑事ケイトの父親が、ヨークシャーの自宅で惨殺された。地元警察に遠慮しながらも、独自に事件を追う。登場人物がそれぞれに辛い過去を抱えており、濃厚な人間ドラマだ。後半はスピード感もあり、一気に読んでしまう。

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    2026年08月12日
  • 暗黒の瞬間

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    ドイツのミステリーだからか、作者が法律家だからか、リアリティーがあり、ぞくっとする箇所がいくつかあった。
    あまり背景描写はなく、淡々と硬い文章で進むけれど、不思議に読み進める。けれども、ひとつの事件が終わるたびに、ため息がでて、ひと休みしたくなる。あまり覚えのない読後感でした。

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    2026年08月02日
  • 暗黒の瞬間

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    非常に面白い。
    これはあらすじを見るのと、実際に読むのでは全く感じ方が違う。
    あらすじを見た段階ではスルーしたんだけど、書評を読んで気になって読んでみたら呆然とした。
    主人公は仕事に熱心に取り組んでいるし人間の情も持ち合わせている。だからこそ板挟みになっている。法律は万全ではない。その中で利益の為に嘘をついたり、相手に罰を与えたいと嘘をついてしまう。そのせいで自分の思った結果にならないこともある。
    人間の弱さとか悪意とか読んでいて苦しくなるが、主人公が人間的に共感できる感覚を持った人であるところに救われる。

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    2026年08月02日
  • 暗黒の瞬間

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     法は人を救わない。
     社会で共有されたルールであり、ひとつの判断基準でしかなく、そこに正義は無い。
     法だけで人を救うことはできない、その事実を何度も繰り返し思い知らされる。そんな物語だ。

     老境に差し掛かった一人の女性弁護士が、かつて自身が関わることとなった九つの事件を淡々と綴ってゆく。現実にありえたかもしれない物語に、底冷えのするようなリアリティを感じてしまう。
     主人公は、法に携わる者として常に公正であろうと真摯に努めている。
     しかしながら、本書に描かれた事件は、依頼人の嘘やたくらみにより意図したものとは真逆の結果となってしまうものばかりだ。
     法を利用して罪を逃れようとする者、法

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    2026年07月31日