浅井晶子のレビュー一覧

  • 国語教師
    16年ぶりに再会した50代の元恋人同士の二人。
    男は再会に喜び浮かれ、女は男の不実な過去を蒸し返しては男を責める。

    初めは、いい歳して大人げない…と国語教師の女の態度に呆れた。
    けれど二人の過去を少しずつ紐解き、未解決の暗い事件の謎解きをする内にぐいぐい引き込まれる。
    二人が語っているのは架空の物...続きを読む
  • 国語教師
    「生徒と作家の出会い」というワークショップで国語教師のマティルダの学校に、若いころ一緒に住んでいた作家のクサヴァーが来ることになる。16年ぶりに会う二人は、昔よくやっていたようにお互いに考えたストーリーを聞かせ合う。懐かしい一時は、徐々にお互いの過去へと踏み込んでいく。

    現在の二人のメールのやり取...続きを読む
  • 国語教師
     とある男性作家が、とある学校の創作ワークショップを受け持つことなった。
     そうしてその学校の担当者の国語教師に連絡をする。

     その国語教師は、作家のかつての恋人だった。

     ロマンティックな恋の再燃ではなくて、作家はかつて国語教師と同棲していたが、その家から突然姿をけしていたり、国語教師がそれを...続きを読む
  • 国語教師
    読んでいて、とても不思議な感覚。
    ”再会前に2人が交わすメール” ”2人が付き合っていた頃(過去)” ”再会しての会話” ”2人が互いに語る物語” の4つの場面(時間)が入れ替わり立ち替わり現れるので、時系列と虚実があやしくなっていく。更にエピローグも付く。よく出来た構成。メール、過去、会話、創作…...続きを読む
  • 国語教師
    元恋人同士の二人の人生がいろいろな物語を通して語られる。読んでる私は、途中あたりから不穏な空気を感じつつ、ラストに描かれる結末が知りたくて読み進めた。人生なんて思い描いたような結果になるなんてこと、なかなか難しいと今ならよくわかっているが、主人公のマティルダの希望が叶えられない切なさが身につまされた...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    自分が傷つけられたことには意識的である。反対に人を傷つけたことには、気がついていないのだろう。多分、これまで、何気なく人を傷つけきたのだろう。
    多数派である限り気がつくことができない。さまざまな人がいる。よく対話をすることなくして、安易な思い込みでの発言や、軽はずみな発言は控えなければならない。
    ...続きを読む
  • 失踪者 上
    ドイツの国民的人気作家のミステリ。
    舞台はなぜかイギリスが多いようで、今回もそう。

    元ジャーナリストのロザンナが復帰後初仕事として、行方不明事件を取材することになる。
    それは5年前、ロザンナ自身の結婚式に招いた幼馴染のエレインが失踪したというもの。
    霧でジブラルタルへ向かう飛行機が欠航となり、やむ...続きを読む
  • 悪徳小説家
    いやあ、これは面白かった。ピカレスクものになるんだろうけど、型にはまらないユニークな一篇だ。主人公は実に悪いやつなんだが、なぜか共感させられてしまう、その書き方が秀逸。「悪」って一体何なのかと考え込んでしまう。ラストはもう一つスッキリしない感じもするが、まあいいか。
  • 悪徳小説家
    確かに、「太陽がいっぱい」と比べたくなる。(主人公の人物造型、××が×から出てくる、あたり。)
    結末がちょっとどうなのという感想をちらほら見かけるが、私は嫌いじゃないなー。

    この虚無感、殺伐とした感じ、クールな感じが、50年代風に思えて、時々出てくる携帯やカーナビなどの小道具に、あ、そうか現代だっ...続きを読む
  • 世界収集家
    リチャード・フランシス・バートンを題材にした物語。バートンには
    肩書がとても多く(イギリスの探検家、人類学者、作家、言語学者、
    翻訳家、軍人、外交官)それだけでもエネルギッシュな人物だと推測できるが
    この本を読むと本当に常人の理解を超えるパワーを持ったバートンに圧倒された。

    物語自体は三部構成、イ...続きを読む
  • 誘拐犯 上
    CL 2024.3.11-20243.13
    このシリーズの特徴は、主人公が有能に見えないことかな。ケイトはうんざりするくらい自己評価が低いし、ケイレブたちも他の警察小説ほど捜査に慣れていないように見えてしまう。前作ではそこがこの作品をつまらなくしていると感じたけど、今回は意外とそういう人間くさいとこ...続きを読む
  • 誘拐犯 下
    ・あらすじ

    前作から3年後、実家処分のためにスカボローへ戻ってきたケイト。
    滞在したB&Bの一人娘アメリーが行方不明となり、同時期に過去誘拐された少女サスキアが遺体で発見されるという事件が起こった。
    結局アメリーは海で発見されるが事件の事を決して話さず捜査は難航する。

    また機能不全家族のもとから...続きを読む
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    やっと読めた。
    半分くらいから、頭に入ってこなくてつらかった。
    なぜだろう...
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    憎しみに憎しみで返すのでなく、
    なぜそうなっているのか前提や状況に知ろうとすること。

    人種、マイノリティ差別がテーマだけど、
    日々の周りの人への憎しみへの心構えとしても参考になるもの
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
    差別について、違う表現方法で同じことが繰り返し繰り返し書かれている。ジャーナリストであり、同性愛者である作者。「駅で拍手をしたことが一度もなくても、私は軽蔑される人間たちのひとりなのである。私の愛し方ゆえに。考え方、書き方ゆえに」という一文が印象に残った。
  • 最終法廷 ~ヨアヒム・フェルナウ弁護士~
    法廷、とは言ってもリーガルミステリーではない。前半は沢山の登場人物や込み入った内容でストーリーが頭に入って来なかったし主人公も魅力がなかったが、最後の最後でめちゃ変わった。諦めずに読んでよかった。東西ドイツの微妙な雰囲気も良かった。
    ひとつ、小学館さんにお願いしたい事、どうか登場人物のページを見開き...続きを読む
  • 裏切り 下
    上巻の感想で「サミーが可愛くない」と書いたけど下巻では思わず涙がにじむほど頑張っていて愛しく思えた。けれどやはりそこまで心に残る話ではなかった。
    真犯人は私が考えてたひとと違った。
    上巻のはじめに事件の場面は書かれているが、かなり終盤にならないとその事実はほとんど出てこないので、考えてもまずわからな...続きを読む
  • 裏切り 下
    100ページも残して真相がわかってしまうのはどうかなで、そして、ちょっと、というよりかなりスッキリしない結末。
  • 裏切り 上
    設定も展開も読み手にかなりストレスを与えるし、この人と話しても何もわからずな部分も多く読み飛ばしていたら、いきなり暴力的に、じゃあ下巻も読むかと。
  • 裏切り 下
    CL 2022.8.21-2022.8.22
    主人公のケイトのみならず誰もが皆それぞれに苦しい事情を抱えていて、生きていくのが簡単ではない人ばかり。その人物描写も、後半の怒涛の展開も秀逸。

    ただ、どうしてもメリッサ•クーパーの息子に引っかかる。事件と大筋では関係がないとは言え。
    メリッサ•クーパー...続きを読む
  • 国語教師
    直接の会話はもちろん、メールや物語の交換など独特な語り口で紡がれていく世界。どうしようもないダメ男クサヴァーと、そんな彼に惹かれてしまう真面目な女性マティルダ。長い年月が経ってもその愛情は変わらず、最後まで彼を思い続ける一途さに心打たれはするが、クサヴァーがほんとにダメすぎてどうなのかと思う。マティ...続きを読む