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やがて入り江が見えた。両手が水をすくうように、膨らんだ帆が空気をすくった。すでに鼻がかいでいたものが、目に見えてきた。最初はチョウジ油をすりこんだ望遠鏡を通して――大英帝国の軍人、リチャード・フランシス・バートン。 インドでは様々な言語と文化に浸り、アラビアではメッカ巡礼をなしとげ、アフリカではナイルの源泉を追い求める。『千夜一夜物語』の翻訳者としても知られる桁外れの人物の生涯を、世界的に評価されるブルガリア系ドイツ人作家が、事実と虚構を織り交ぜて詩情ゆたかに描き上げた傑作長篇小説。
...続きを読むPosted by ブクログ 2019年02月03日
読書っていうのは旅なんだよな。作家の力量でポイと未知の真っ白空間に放られ、読む側は、ここはどういう所で、どういう人達が生活していて、何が起こっているんですか?と探索してゆく。単純なことのように思えて力量がないために、やたら説明ばかりの小説もあるけど、久々に「シンプルでいて、とりとめのない異物」を手に...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年06月05日
リチャード・バートンは以前から気になっていた.千夜一夜物語やカーマ・スートラを翻訳し,ナイル川の源流を求めて探検し,アラブ人に化けてメッカに巡礼したという,何だか分からないがすごい人物である.
そのバートンを主人公にして,一応史実は踏まえて書かれたフィクション,といったところか.とはいえ,バートンの...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年07月01日
リチャード・フランシス・バートンを題材にした物語。バートンには
肩書がとても多く(イギリスの探検家、人類学者、作家、言語学者、
翻訳家、軍人、外交官)それだけでもエネルギッシュな人物だと推測できるが
この本を読むと本当に常人の理解を超えるパワーを持ったバートンに圧倒された。
物語自体は三部構成、イ...続きを読む
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