浅井晶子のレビュー一覧
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上下巻に分かれているので、まとまった時間が取れないと読めないなぁと暫く積読になってた本作、漸く読めました。
もっと早く読めばよかったと後悔するくらい面白かったです!
ドイツの作者さんとのことですが、舞台はイギリス。ヨーロッパの作品らしく、全体的にどこか湿っぽいミステリーに仕上がってます。
ケイトという39歳独身女性が主人公。夫も彼氏も友達もいなくて、仕事でも評価されないという設定。卑屈な設定に聞こえるけど、こういう人っていっぱいいると思います(かくゆう私も主人公の設定に大体当てはまっているひとり笑)。事件そのものもスピード感・意外性があって面白いのだけど、主人公や犯人役はもちろん、脇役の人 -
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ドイツの作家のベストセラー後半。
舞台はイギリスのヨークシャーです。
退職した警部だった父が殺され、休暇を取って故郷へ戻ってきたケイト。
スコットランド・ヤードの刑事だが、自分に自信がなく、周りにも溶け込めないでいた。
だが、誇りに思っていた父親の事件を放っておくことは出来ず、独自に動き出す。
事件を担当する警部のケイレブはアルコール中毒という問題を抱えている。
どの人物も、人に言えない秘密や重い気持ちを抱えていて、それが次第に絡み合っていく‥
リーダビリティはさすがで、その過程で少しずつだけどケイトが優秀さを発揮し、成長していくのが読みどころ。
これまでに「姉妹の家」「沈黙の果て」「失 -
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全体的に当たり前のことを書いているだけなんだけど、具体性と詳細さで細やかな部分まで主張を伝えてくる。当たり前のことに詳細に気づくことの難しさを感じるし、そういうことをきめ細やかに内省させてくれる。そして自分で気づき続けなくてはならないことを教えられる。のだが、こういう本を読む人にはたぶん少なからずその土壌がある。この本に手が伸びない人に、どうやって伝えていくかを考えると気が遠くなるとも思った。
イスラム教徒を差別することがISの理想(ある限られたイスラム教徒のみを認める過激な信条、ヨーロッパの二分化)を叶える方向に作用するという説明はなるほどと思った。
多様性のなかにいると落ち着く。それはつま -
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ネタバレ読書備忘録673号。
★★★★★。
作者の実力が遺憾なく発揮されたミステリー。
時代も舞台もばらばらな場面が入れ替わり繰り広げられ、徐々に全体像を描いていく手腕。しかし、そこに間違いなく感じる違和感。そして巧妙に仕組まれたミスディレクションの罠。さすがとしか言いようがない。
★5つに飢えていたので、即決★5つにしてしまいました。笑
舞台はオーストリア。片田舎で家族と幸せに暮らすカンボジア移民のキム。
50歳節目の誕生日を迎える。ヨーロッパでは、誕生日パーティは特別な意味を持っているとのことで、特に40歳とか50歳の節目には、自ら盛大な誕生日パーティを企画するのだとか。
本人は乗り気でない誕 -
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凄惨な殺人事件。その被害者は元警部でその娘はスコットランドヤードの刑事ケイト。このケイトの造形がとてもいい。孤独で同僚とも打ち解けることが出来ず落ちこぼれのように思われている。そのケイトの父が殺害されたことで地元警察に協力する。でもそこでもなかなか上手くいかない。次第に見えてくる父の秘密と殺人が終わらない事件。捜査で出会う刑事たちとの微妙な距離感。派手さはないけれどとても緊迫感のある展開と事件の奥にある被害者や関係者の人生の秘密や裏切り。冒頭から強く惹きつけられる力のある作品。シリーズ第二作の刊行も決まっているということもとても嬉しい。
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ネタバレドイツクラウスニッツに到着した難民達のバス、アメリカニューヨーク州スタテンアイランドで脱税たばこを売っていたと疑われて警官に取り囲まれたエリックガーナー、共に一方的な他者の憎しみが描かれている。バスの中の難民一人一人の境遇があるにも関わらずな難民として不可視な存在として全てを排除しようとしているのである。かたや黒人というだけで常に恐怖の一旦として疑われ、警察に取り囲まれ命を落としてしまった彼は本当に言葉で言い表すことができない。
偏った見方をしてしまうアメリカ国内の歴史もあるのだと思うが、現代でまだ起こりうる、起こり続けているこれらの問題に対して個人個人がよく考えて行動をしていくしかないのかな -
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読み終えた後、3回以上、メイ家の章を中心に読み返して、やっと状況が理解できました。
口数の少ない上の弟、これがキムなのですね。
パーティーの場面から、ずっと明言が避けられ、まるで、キムが語っているかのように物語が進み、ずっとずっと騙されながら読み進めました。
カンボジアに暮らす、2つの家族、
オーストラリアで、2人の難民を受け入れた1つの家族、
それぞれに苦悩があり、3つの家族はそれぞれの世代で様々な運命を辿って絡まり合っていく様、
読者を翻弄するかのように、時も場所も語り口も次々と移ろい、誕生日パーティーと共にフィナーレへと向かっていき、最後は一気読みでした。
翻訳でしたが、少しも違和感を -
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ネタバレ唐突に提示される父親の誕生日パーティーへの誘いのメール。
まさに前作『国語教師』の始まりような感じだったので、似たような話かと思いきや、まさかの負の歴史の悲劇と教訓、罪と後悔の物語。
物語への吸引力、読後の胸に残る思いは間違いなく星5つ級。
だが、クメール・ルージュ時代の描写が辛すぎる。
辛すぎて途中読むことをやめたくなることも多々あった。
様々な困難はあるにせよ、この時代、この国に生まれ心豊かな日々を送れていることのありがたさを嚙み締めずにはいられない。
いくつもの時代、場面、目線を変えての構成がこれまた前作を彷彿させ、周到に組まれた展開の妙に引き込まれていくと共に、辛い描写のほど良い息 -
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2019年?冊目。(最近レビュー執筆怠り数え忘れた...)
『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』から注目していたジャーナリスト、カロリン・エムケの新刊(原書の出版は2013年で、『憎しみに抗って』よりも前)。
年末年始、他に読みたい本がたくさんあるけれど、これは連休中にもう一度読み返さなければいけない...今年の自分にとって、本当に大事なテーマで、消化して整理するにはまだまだ時間がかかる。現段階の雑感だけでも言葉にしておきたい。
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「言葉にし得ない体験」をめぐる考察。
極度の暴力や不正に遭った人が失った言葉に対して、どんな言葉も及ばず「それ」としか形容できなくなってしまった -
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2018年18冊目。(再読)
〉2018年17冊目。
〉読み始めてすぐに心臓がばくばくし、読み終えてすぐに「もう一度読まねば」と急き立てられた。
の通り、初読の直後にもう一度読んだ。思うところが多すぎて、それでもまだうまくまとまらない。長く付き合うことになる一冊。
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2018年17冊目。
読み始めてすぐに心臓がばくばくし、読み終えてすぐに「もう一度読まねば」と急き立てられた。
近年悶々と考えていたことが、物凄い密度の言葉で語られていた。
言葉の力が強過ぎて、「陶酔して盲目にならぬよう、気をつけて読まねば」とも思うくらいに。
流入する難民、異なる人種、性的マイノリティ