浅井晶子のレビュー一覧

  • 誘拐犯 下

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    ケイト·リンヴィルシリーズの2作目。
    読み応え十分、そして真相の意外性も。

    ヒロインが地味で冴えないタイプという設定もあって、ストーリーも重くなりがちなのだけれど
    それを上回る充実の読後感。

    次作も楽しみ。

    不良少女マンディの行動力と生命力の強さに拍手

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    2025年07月09日
  • 裏切り 下

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    事態が進むにつれてページをめくる手が止まらなくなる感じ。そして途中で事件の真相に気づいたときには思わず「あぁ、そうか!そういうことか」と声が出てました。
    真相に気づけるタイミングも計算されたようなタイミングで、もちろんその後の展開も楽しめました。
    決して、事件解決したからといって万事解決したのではないけれど、それでもラストには少し希望も感じられてスッキリです。
    三部作ということなので、また次の作品も読みたいと思います。

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    2025年06月28日
  • 誘拐犯 上

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    ケイト・リンヴィル シリーズ第2作。シリーズ第3作から読み始めて、第1作を読んで、本作に。自分にとって3作目。ケイトもユアンも自省的に自分の行動を描写する。そこがすんなり作品に入り込める理由。
    とにかく先が楽しみで、下巻へ。

    自立して自分のことをわかっていて他人も冷静に観察できる女性が、マッチングサイトを使ってまでパートナーを求めるというのは、シリーズ第3作『罪なくして』を読んだときには解せなかったが、第1作から読んで起きたことを知ると、第2作の本作では、納得がいった。
    『罪なくして』にも登場していたコリンが本作で初登場。体重82キロ、45歳。自信満々な男。フィットネススタジオに最低でも週4回は通うというのは、第3作を読んで抱いたコリンの印象とはちょっと違った。

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    2025年06月20日
  • 誘拐犯 下

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    ウゲォーヌ(人間には発音できないタイプの音)

    いやーマジかー
    すげー結末だったわー
    この結末全く頭の片隅にもありませんでした
    そう書くとネタバレになっちゃうかな
    うーん、お見事だったわー
    ミスリードが巧み

    ということでミステリーとしてもかなり上質だったんですが、やっぱり主人公の女性刑事ケイトよね
    はっきり女性としての魅力なしって書かれちゃってるという新しいタイプのヒロイン
    恋愛経験ほぼゼロの41歳は、やっぱりけっこう拗らせちゃってるわけです
    そんなもん自分に自信なんか持てません
    あらゆる場面で自分なんか…

    自分なんかが誰かに愛されるわけがない
    自分なんかが事件を解決できるわけがない
    そんなんグズグズ言いながら真相に迫っていくので途中かなりイライラもする
    でもそんなケイトだから事件を解決できたんじゃね?って思えもする

    なんやねんこいつって正直思う
    苦手なタイプやわ〜

    でもケイトのこの先を見たい!とも思う

    なんやねんこいつ

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    2025年06月09日
  • 誘拐犯 上

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    しまった!一作目から読みたかった!続きが気になり一気読み。海外小説は何と言っても翻訳がどうかで決まる。さすがでした。

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    2025年06月03日
  • 誘拐犯 下

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    ドイツの人気作家がイギリスを舞台に描くシリーズ。2作目後半。ベストセラー。

    ケイト・リンヴィルは、スコットランドヤードの巡査部長。
    実家を片付けるために休暇を取り、近くの宿に泊まったら、その家の娘アメリーが失踪。
    ケイトが刑事と知った母親デボラに頼りにされることに。
    管轄外なのは1作目と同様、しかも今度は自分の家族の事件でもないのですが…
    スカボロー署のケイレブ・ヘイルは知り合ったばかりの頃のようには拒否的でなく、ケイトを認めていることは示すのだった。

    アメリーは不可解な状況で発見される。
    しかも、アメリーを海から救い上げた男性は、両親にたかってくる。
    少女の行方不明事件は他にも起きていて、放っておけなくなったケイトは独自に調べ始めます。
    家出したマンディは家庭が荒れていて気が強く、他の少女とは違うタイプだが、やはり事件に巻き込まれる。
    このマンディの破壊的な態度は問題ありありだけど~痛ましくもあり強さに目を瞠る思いもします。

    ケイトはやや小柄で、瘦せっぽちで、地味で暗い。内気がこじれて仕事先での失敗に縮こまり、悪循環に陥っていました。
    記者と名乗って探索中に知り合ったデイヴィッドに誘われ、意外や恋仲に。まともに相手をしてくれる男性に初めて巡り合ったケイトは、信じられない思いで幸福をかみしめるが…

    それぞれ事情があり、苦悩を抱えた人物たち。
    それがどう、どれぐらいヤバいのかっていう‥
    意外な要素と、迫力の展開。
    少しずつながら吹っ切れていくケイト。
    頑張れ~!と言いたくなります☆

    25年5月30日、レビュー。

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    2025年05月31日
  • 裏切り 下

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    おもしろくって、先へ先へと、はやる気持ちで読んだ。
    そのため、通常の自分のペースより速く読めたので、二度目以上に登場する登場人物がどういう人物であったかを忘れてしまっていることが少なかった。とはいえ、巻頭に登場人物一覧はほしい。なぜ、ない?

    予想できない真相、犯人。だからといってアンフェアだという感想はない。驚きと感心。構想も構成も優れている。

    自己評価の低い主人公のケイトが、最後には前向きな態度が見られ、それが爽やかな読後感をもたらした。

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    2025年05月24日
  • 誕生日パーティー

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    歴史の流れの中で人がどうしても変わらざるを得ない場面がある。自分が過去を忘れても過去は自分を忘れていないとはよく言ったものである。
    本書はそんな過去がついてまわる。舞台になるのはポル・ポト政権下のカンボジアと2016年だ。それまで何の変哲もない日常が描かれていたのに文章の間から香り立つ不穏は何なのか。二つの時代を結びつけるものを見せつけられた時、あまりの罪深さに顔を背けたくなった。本書はミステリになるのだろうが、そういったジャンルに収まらない魅力がある。面白かった。

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    2025年05月04日
  • 罪なくして 上

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    むちゃくちゃおもしろかった。
    コリンの性格は途中まで「ちょっと」と思っていたものの、ピュアでいい人?何かおもしろい。上巻が終わった時点で「がんばれー」のシチュエーション。
    ケイレブは元々ハンサム(ケイトによる)。
    クセニアは15キロ体重を落とせば美女らしい(コリンによる)

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    2025年04月19日
  • 失踪者 上

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    ものすごく読みやすくて、ものすごく面白くて、そしてものすごく気になる終わり方の上巻!複数のストーリーが、同時並行で進んでいくストーリー。殺人事件と、ある人から逃げていると思しき女性と、ある日突如、失踪した女性に関する記事を書こうとするジャーナリスト。これらの人たちを中心に展開するストーリーが、徐々にお互いに近づいていく上巻。下巻がすっごく楽しみです!

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    2025年04月04日
  • 罪なくして 下

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    下巻は感情移入してしまって辛かった。ケイトの無能な新上司へのストレス、ケイトからの恩を仇で返す女性、思慮のない友達、世捨て人同然だが憧れていた元上司、容疑者からも目が離せない。この終わり方には不満だがもう次作が待ち遠しい。

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    2025年02月17日
  • トニオ・クレーガー

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    詩を愛する内向的な少年が小説家の青年となり、旅先でかつて愛した少年少女の幻を見る…この短い物語の骨子はそのように単純なものだが、その最もドラマティックな箇所は意図的に曖昧に描写され、主人公トニオが出会ったのは本当にかつての恋人たちなのか、あるいは他人の空似というやつなのか、判然としないまま幕を閉じる。
    30歳前後の、芸術至上主義的でどこか青臭い文学青年が、ふと思春期のありふれた恋の記憶に再会し、画家の友人から突きつけられたある言葉の意味に目覚めるビルドゥングスロマンとして、鮮烈な作品である。
    長年、この作品はそのように読まれ続け、支持されてきたようだ。現代ではジェンダー的視点からの解釈もあり興味深いが、それは解説に譲ろう。

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    2025年02月10日
  • 裏切り 下

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    こんなヒロインを待っていた!

    スコットランドヤードの女性刑事ケイト・リンヴィル巡査部長。
    三十九歳でいまだ独り身。夫なし、子どもなし、恋人なし、友人なし。
    特別美人でもなく、髪はバサバサ、とうてい魅力的とは言えない。
    周りの同僚たちは誰ひとり近寄ってはこないし、ケイトが会議で口を開けば決って天を仰ぎ、間違っているとみなしていた。
    なにより自分自身が自分を信用していなかった。

    そんな中で彼女が敬愛する父親、伝説的な名刑事として誰からも尊敬されていた父親が何者かに惨殺される。

    ケイトは父殺しの犯人を追うが、それは父の隠された別の顔を暴くことになるのだった。

    もちろん最後には「生きづらさ」を抱えたケイトがひらめきと執念によって事件を解決に導き、ケイトには隠された才能があったと分かるわけですが、そこで自信回復めでたしめでたしとはならない。
    人生はそんなに簡単じゃない。

    そもそも本人がなぜ今回上手くいったのか半信半疑。自分を信じられないままスコットランドヤードに戻るケイトに新たな事件が待っているようで…。

    次作も気になる!読まねば!

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    2025年01月29日
  • 罪なくして 下

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    ネタバレ

    探偵小説や警察小説には、完全無欠だったり良くも悪くも癖が強かったりといった主人公が多く登場するものだが、この作品の主人公ケイトは、スコットランドヤードの刑事でありながら地味でネガティブ、人付き合いが苦手ととにかくパッとしない。そんなケイトの能力を唯一正当に評価し、スコットランドヤードから地方のスカボロー署にリクルートしたケイレブ警部も、アルコール依存症を患う訳ありの警察官。それぞれに苦悩を抱えているからこそ、読者は二人に感情移入し応援したくなる。
    物語は主人公のケイトを中心に、襲撃を受けたクセニアやソフィア、ケイトの友人コリンらのパートが入り混じりながら展開していく。その中でも重要なのが、オリヴァーの視点で語られる過去のパート。オリヴァーと妻のアリスは長年不妊に悩み、サーシャという子どもを養子として引き取ることになる。だがサーシャには発達の遅れがあり、そのことに二人は苦悩する。その後二人はようやく我が子を授かるものの、ノイローゼになったアリスは我が子を殺害してしまい、その罪をサーシャに擦りつける。そして少年院に収容されたサーシャはそこで凶悪な少年スレイドと知り合ってしまい、「復讐」を掲げて共謀することになる。
    解説でもあるように、それぞれのパートで登場する人物同士が少しずつ繋がるとともに、読者にはわかっていることをケイトら主要人物は知らないなど、もどかしくストーリー展開していくところが特徴。真相に迫るにつれ、あまりにも非情なスレイドに恐怖と憤りを感じる。
    スコットランドヤードを退職してケイレブの部下として働くことを選んだのに、頼りにならない新上司にケイトの厚意を踏み躙る犯罪被害者、相談もせず危ない橋を渡る友人に振り回されるケイトがとにかく不憫。ケイレブはケイレブで事件に関して完全なる部外者の立場に置かれてしまい、奇しくも二人が出会ったときと正反対の状況になってしまう。お互いが「もしケイレブがいてくれたら」「もしケイトだったら」と何度も煩悶する。
    逆恨みで四肢麻痺にさせられその行方も杳として知れないまま終わるソフィア、誰からも愛されず利用されるだけされて殺されたサーシャ、犯罪に巻き込まれ逃げ続けてきたクセニア、そして仲間を失ったケイトとケイレブ。多くの人が傷付き、とてもではないが晴れやかとは言えない結末。それでも、このシリーズはアンソニー・ホロヴィッツやM・W・クレイヴンらに並ぶ、今一番面白い英国ミステリ(著者はドイツ人だが)

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    2025年01月06日
  • 罪なくして 下

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    ネタバレ

    このシリーズの安定の面白さよ!
    そして前回まで頑なにケイトを幸せにさせなかった著者もようやくそろそろ幸せを掴ませようという気配が。
    原作はあと2作品刊行されてるようなので続きが気になります。ケイトとケイレブの関係も。ケイレブが仮に退職してもまあお互い今まで散々管轄外で行動取ってきたわけだし。
    サーシャがとりあえず可哀想で。当時なんかやりようあっただろと。アリスへのフォロー含めて。今回の全ての発端はアリスの夫ですね。責任感じてるくせに少年院の訪問も2回で辞めてるしひたすら嫌なことから目を背けてるだけで結局最後まで生き残ってるという。

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    2025年01月04日
  • なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について

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    強制収容所の生還者、捕虜、強姦、虐待など過酷な体験からのサバイバーが自らの体験を言葉にする大変さ、言葉の重さ、沈黙に触れている。話の文脈もバラバラだったり、言葉に詰まりながらの語りは当たり前で、彼らとそうした体験を持たない聴き手との断絶を意識しながら、彼らの傍らにいて切れ切れの言葉を聴いていく、聴き手の姿勢が問われているし、そこに著者は希望を見出そうともしていると思いました。

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    2024年02月13日
  • 裏切り 下

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    上下巻に分かれているので、まとまった時間が取れないと読めないなぁと暫く積読になってた本作、漸く読めました。

    もっと早く読めばよかったと後悔するくらい面白かったです!
    ドイツの作者さんとのことですが、舞台はイギリス。ヨーロッパの作品らしく、全体的にどこか湿っぽいミステリーに仕上がってます。

    ケイトという39歳独身女性が主人公。夫も彼氏も友達もいなくて、仕事でも評価されないという設定。卑屈な設定に聞こえるけど、こういう人っていっぱいいると思います(かくゆう私も主人公の設定に大体当てはまっているひとり笑)。事件そのものもスピード感・意外性があって面白いのだけど、主人公や犯人役はもちろん、脇役の人たちもキャラ設定がちゃんとされていて、尚且つほとんどのキャラに感情移入できるところがこの作品のすごいところかなと。
    叙述ミステリーという訳ではありませんが、大分最後の方まで犯人が誰か分からず、ドキドキしながら読めました。

    本作がケイトシリーズの第一弾のようですが、第二弾の「誘拐犯」も読んでみようと思います!

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    2024年01月01日
  • 裏切り 下

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     各キャラクターの性格・背景、最後まで引っ張り切るプロット、全てが素晴らしい。文句なし。早く次作が読みたい!

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    2023年09月16日
  • 裏切り 下

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    ドイツの作家のベストセラー後半。
    舞台はイギリスのヨークシャーです。

    退職した警部だった父が殺され、休暇を取って故郷へ戻ってきたケイト。
    スコットランド・ヤードの刑事だが、自分に自信がなく、周りにも溶け込めないでいた。
    だが、誇りに思っていた父親の事件を放っておくことは出来ず、独自に動き出す。
    事件を担当する警部のケイレブはアルコール中毒という問題を抱えている。

    どの人物も、人に言えない秘密や重い気持ちを抱えていて、それが次第に絡み合っていく‥
    リーダビリティはさすがで、その過程で少しずつだけどケイトが優秀さを発揮し、成長していくのが読みどころ。

    これまでに「姉妹の家」「沈黙の果て」「失踪者」を読んでいます。
    この濃さと人間味あふれるドラマチックさ。
    ロマンスの要素もミステリの要素もあるが、どちらの定型でもない。
    よどむほどの暗さに一時おおわれるが、ややこしい絡み合いが、いずれは一気に見えてくる。
    そういう読み応えですね。

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    2023年07月17日
  • 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌

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    全体的に当たり前のことを書いているだけなんだけど、具体性と詳細さで細やかな部分まで主張を伝えてくる。当たり前のことに詳細に気づくことの難しさを感じるし、そういうことをきめ細やかに内省させてくれる。そして自分で気づき続けなくてはならないことを教えられる。のだが、こういう本を読む人にはたぶん少なからずその土壌がある。この本に手が伸びない人に、どうやって伝えていくかを考えると気が遠くなるとも思った。
    イスラム教徒を差別することがISの理想(ある限られたイスラム教徒のみを認める過激な信条、ヨーロッパの二分化)を叶える方向に作用するという説明はなるほどと思った。
    多様性のなかにいると落ち着く。それはつまり、他者(不純なもの)の個人が守られているということであり、自分にとって異質なものもまた、自分を安心させるものであるということ。文化的、宗教的なものと世俗的な社会との摩擦に普遍的な公式はなく、つど具体的に観察して慎重に考察する。という言葉にハッとした。

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    2022年10月12日