ユーディト・W・タシュラーの作品一覧

「ユーディト・W・タシュラー」の「誕生日パーティー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 誕生日パーティー
    4.6
    1巻2,860円 (税込)
    謎めく敵意。食い違う過去。彼女は何を知っている? オーストリアの田舎に暮らす、カンボジア移民のキム。その誕生日の祝いの席に突然現れた女性は、少年の頃にポル・ポト政権下のカンボジアを共に逃れた妹のような存在であり、同時にキムが最も会いたくない人物だった……。かつての過酷な日々に、いったい何が起こったのか? 『国語教師』でドイツ推理作家協会賞を受賞した著者による、最新文芸長編。

ユーザーレビュー

  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    歴史の流れの中で人がどうしても変わらざるを得ない場面がある。自分が過去を忘れても過去は自分を忘れていないとはよく言ったものである。
    本書はそんな過去がついてまわる。舞台になるのはポル・ポト政権下のカンボジアと2016年だ。それまで何の変哲もない日常が描かれていたのに文章の間から香り立つ不穏は何なのか。二つの時代を結びつけるものを見せつけられた時、あまりの罪深さに顔を背けたくなった。本書はミステリになるのだろうが、そういったジャンルに収まらない魅力がある。面白かった。

    0
    2025年05月04日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読書備忘録673号。
    ★★★★★。

    作者の実力が遺憾なく発揮されたミステリー。
    時代も舞台もばらばらな場面が入れ替わり繰り広げられ、徐々に全体像を描いていく手腕。しかし、そこに間違いなく感じる違和感。そして巧妙に仕組まれたミスディレクションの罠。さすがとしか言いようがない。
    ★5つに飢えていたので、即決★5つにしてしまいました。笑

    舞台はオーストリア。片田舎で家族と幸せに暮らすカンボジア移民のキム。
    50歳節目の誕生日を迎える。ヨーロッパでは、誕生日パーティは特別な意味を持っているとのことで、特に40歳とか50歳の節目には、自ら盛大な誕生日パーティを企画するのだとか。
    本人は乗り気でない誕

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    2022年08月09日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    子供たちが誕生日パーティーに招いたのは、かつてのカンボジアを共に生き延び、この地で共に暮らしていた1人の女性。
    一体なぜ、疎遠になってしまったか。
    回想と現在を行き来しながら語られていく。

    最初は、カンボジアの描写が辛くて辛くてページが重くて、違和感に気づけなかった。
    あるところで、あれ?と違和感が襲う。そしてなぜ違和感を抱くのか、正体に気付いた時、巧妙さに思わず唸ってしまった。

    これだから小説は面白い。と思わされた一冊。

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    2022年07月20日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    読み終えた後、3回以上、メイ家の章を中心に読み返して、やっと状況が理解できました。
    口数の少ない上の弟、これがキムなのですね。
    パーティーの場面から、ずっと明言が避けられ、まるで、キムが語っているかのように物語が進み、ずっとずっと騙されながら読み進めました。

    カンボジアに暮らす、2つの家族、
    オーストラリアで、2人の難民を受け入れた1つの家族、
    それぞれに苦悩があり、3つの家族はそれぞれの世代で様々な運命を辿って絡まり合っていく様、
    読者を翻弄するかのように、時も場所も語り口も次々と移ろい、誕生日パーティーと共にフィナーレへと向かっていき、最後は一気読みでした。
    翻訳でしたが、少しも違和感を

    0
    2022年03月20日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    クメール・ルージュのあまりの残忍さ凄惨さに、何度も途中で読むのを止めようかと思ったほど。しかし、(訳者あとがきにもあるように)ピースが足りない感がずっとあって、中程からはもう一気読み。終わりのほうで、そうだったのかー!とか、だから〜〜〜だったのか…とかやっとピースがはまり、また子世代の若者たちの明るさに救われる。

    いやー、この筆力すごいな。そして、浅井晶子訳にハズレなし、がまた更新されたのだった。

    0
    2021年09月06日

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