読み終えた後、3回以上、メイ家の章を中心に読み返して、やっと状況が理解できました。
口数の少ない上の弟、これがキムなのですね。
パーティーの場面から、ずっと明言が避けられ、まるで、キムが語っているかのように物語が進み、ずっとずっと騙されながら読み進めました。
カンボジアに暮らす、2つの家族、
オー
...続きを読むストラリアで、2人の難民を受け入れた1つの家族、
それぞれに苦悩があり、3つの家族はそれぞれの世代で様々な運命を辿って絡まり合っていく様、
読者を翻弄するかのように、時も場所も語り口も次々と移ろい、誕生日パーティーと共にフィナーレへと向かっていき、最後は一気読みでした。
翻訳でしたが、少しも違和感を感じる事なくグイグイ読ませました。素晴らしい事だと思いました。
また、ヨーロッパの著者によって、アジアにある国の残酷な歴史の一部を垣間見る事になるとは、なんともイロニー(皮肉)な感じです。
鴨の住む水辺、この場面が繰り返し出てきて、とても印象に残りました。鴨自体には、戦争も何も関係のない時間が流れていて、戦時にも、平和な時も、私たちはその命をもらって生きています。