ユーディト・W・タシュラーのレビュー一覧

  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    歴史の流れの中で人がどうしても変わらざるを得ない場面がある。自分が過去を忘れても過去は自分を忘れていないとはよく言ったものである。
    本書はそんな過去がついてまわる。舞台になるのはポル・ポト政権下のカンボジアと2016年だ。それまで何の変哲もない日常が描かれていたのに文章の間から香り立つ不穏は何なのか。二つの時代を結びつけるものを見せつけられた時、あまりの罪深さに顔を背けたくなった。本書はミステリになるのだろうが、そういったジャンルに収まらない魅力がある。面白かった。

    0
    2025年05月04日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読書備忘録673号。
    ★★★★★。

    作者の実力が遺憾なく発揮されたミステリー。
    時代も舞台もばらばらな場面が入れ替わり繰り広げられ、徐々に全体像を描いていく手腕。しかし、そこに間違いなく感じる違和感。そして巧妙に仕組まれたミスディレクションの罠。さすがとしか言いようがない。
    ★5つに飢えていたので、即決★5つにしてしまいました。笑

    舞台はオーストリア。片田舎で家族と幸せに暮らすカンボジア移民のキム。
    50歳節目の誕生日を迎える。ヨーロッパでは、誕生日パーティは特別な意味を持っているとのことで、特に40歳とか50歳の節目には、自ら盛大な誕生日パーティを企画するのだとか。
    本人は乗り気でない誕

    0
    2022年08月09日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    子供たちが誕生日パーティーに招いたのは、かつてのカンボジアを共に生き延び、この地で共に暮らしていた1人の女性。
    一体なぜ、疎遠になってしまったか。
    回想と現在を行き来しながら語られていく。

    最初は、カンボジアの描写が辛くて辛くてページが重くて、違和感に気づけなかった。
    あるところで、あれ?と違和感が襲う。そしてなぜ違和感を抱くのか、正体に気付いた時、巧妙さに思わず唸ってしまった。

    これだから小説は面白い。と思わされた一冊。

    0
    2022年07月20日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    読み終えた後、3回以上、メイ家の章を中心に読み返して、やっと状況が理解できました。
    口数の少ない上の弟、これがキムなのですね。
    パーティーの場面から、ずっと明言が避けられ、まるで、キムが語っているかのように物語が進み、ずっとずっと騙されながら読み進めました。

    カンボジアに暮らす、2つの家族、
    オーストラリアで、2人の難民を受け入れた1つの家族、
    それぞれに苦悩があり、3つの家族はそれぞれの世代で様々な運命を辿って絡まり合っていく様、
    読者を翻弄するかのように、時も場所も語り口も次々と移ろい、誕生日パーティーと共にフィナーレへと向かっていき、最後は一気読みでした。
    翻訳でしたが、少しも違和感を

    0
    2022年03月20日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    クメール・ルージュのあまりの残忍さ凄惨さに、何度も途中で読むのを止めようかと思ったほど。しかし、(訳者あとがきにもあるように)ピースが足りない感がずっとあって、中程からはもう一気読み。終わりのほうで、そうだったのかー!とか、だから〜〜〜だったのか…とかやっとピースがはまり、また子世代の若者たちの明るさに救われる。

    いやー、この筆力すごいな。そして、浅井晶子訳にハズレなし、がまた更新されたのだった。

    0
    2021年09月06日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    本邦初訳となる前作『国語教師』で度肝を抜かれた作者の最新作。50歳の誕生日を迎えるキムに、末息子が用意したサプライズとは……。多数の登場人物、様々な場所、過去や現在が頻繁に入れ替わり何が起きているのか把握しづらいが、クライマックスですべてが明らかになり呆気にとられた。うーん、これは再読したい。

    0
    2021年08月15日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    唐突に提示される父親の誕生日パーティーへの誘いのメール。
    まさに前作『国語教師』の始まりような感じだったので、似たような話かと思いきや、まさかの負の歴史の悲劇と教訓、罪と後悔の物語。
    物語への吸引力、読後の胸に残る思いは間違いなく星5つ級。

    だが、クメール・ルージュ時代の描写が辛すぎる。
    辛すぎて途中読むことをやめたくなることも多々あった。
    様々な困難はあるにせよ、この時代、この国に生まれ心豊かな日々を送れていることのありがたさを嚙み締めずにはいられない。

    いくつもの時代、場面、目線を変えての構成がこれまた前作を彷彿させ、周到に組まれた展開の妙に引き込まれていくと共に、辛い描写のほど良い息

    0
    2021年08月14日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    いじめられたくないから、いじめる。
    世界共通の子供心。
    そして子供ゆえの残酷さ。

    はじめは、自分達の正義のためだったのに、心にも身体にも、国土にも、傷を残してしまう。。。

    0
    2022年08月14日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    ポルポト暗黒時代のカンボジアと、その地獄から生還した者たちのその後を描く。過去と現在を往来しつつ、次第に伏線が回収されていく結構。それにしても、偏った情報しか与えられず、間違った思想に流されていくさまとか、一部の狂気が圧倒的な犠牲者を生むさまとか、今これを読むと、どうしてもロシアを思い浮かべずにいられない。戦争を止めろ。

    0
    2022年03月23日
  • 誕生日パーティー

    Posted by ブクログ

    面白くなるかも…と思いながら読んでいたれど、
    政治的な内容がちょっと好みではなく、、
    面白くなる前に断念…(涙)

    でも評価はかなり良いので、
    いつか再チャレンジする予定!

    0
    2024年10月25日