あらすじ
父親の元警部の死について話があるとケイトに電話をかけてきた女性の死! それはケイトと地元警察との間に軋轢を生んだ。休暇中のケイトには捜査権はない。その頃、ロンドンのシナリオライターが、バーンアウト寸前でヨークシャーの人里離れた農場に妻子とともにこもることになった。そんな彼らの前に五歳になる養子の息子の生みの母が、恋人という得体の知れない男とともに現われるが、彼の正体は? 浮上するケイトの父親殺しと彼の関係。本国で9月刊行後3か月でその年のペーパーバック年間売り上げ1位となったドイツミステリの女帝の傑作!
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Posted by ブクログ
事態が進むにつれてページをめくる手が止まらなくなる感じ。そして途中で事件の真相に気づいたときには思わず「あぁ、そうか!そういうことか」と声が出てました。
真相に気づけるタイミングも計算されたようなタイミングで、もちろんその後の展開も楽しめました。
決して、事件解決したからといって万事解決したのではないけれど、それでもラストには少し希望も感じられてスッキリです。
三部作ということなので、また次の作品も読みたいと思います。
Posted by ブクログ
おもしろくって、先へ先へと、はやる気持ちで読んだ。
そのため、通常の自分のペースより速く読めたので、二度目以上に登場する登場人物がどういう人物であったかを忘れてしまっていることが少なかった。とはいえ、巻頭に登場人物一覧はほしい。なぜ、ない?
予想できない真相、犯人。だからといってアンフェアだという感想はない。驚きと感心。構想も構成も優れている。
自己評価の低い主人公のケイトが、最後には前向きな態度が見られ、それが爽やかな読後感をもたらした。
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こんなヒロインを待っていた!
スコットランドヤードの女性刑事ケイト・リンヴィル巡査部長。
三十九歳でいまだ独り身。夫なし、子どもなし、恋人なし、友人なし。
特別美人でもなく、髪はバサバサ、とうてい魅力的とは言えない。
周りの同僚たちは誰ひとり近寄ってはこないし、ケイトが会議で口を開けば決って天を仰ぎ、間違っているとみなしていた。
なにより自分自身が自分を信用していなかった。
そんな中で彼女が敬愛する父親、伝説的な名刑事として誰からも尊敬されていた父親が何者かに惨殺される。
ケイトは父殺しの犯人を追うが、それは父の隠された別の顔を暴くことになるのだった。
もちろん最後には「生きづらさ」を抱えたケイトがひらめきと執念によって事件を解決に導き、ケイトには隠された才能があったと分かるわけですが、そこで自信回復めでたしめでたしとはならない。
人生はそんなに簡単じゃない。
そもそも本人がなぜ今回上手くいったのか半信半疑。自分を信じられないままスコットランドヤードに戻るケイトに新たな事件が待っているようで…。
次作も気になる!読まねば!
Posted by ブクログ
上下巻に分かれているので、まとまった時間が取れないと読めないなぁと暫く積読になってた本作、漸く読めました。
もっと早く読めばよかったと後悔するくらい面白かったです!
ドイツの作者さんとのことですが、舞台はイギリス。ヨーロッパの作品らしく、全体的にどこか湿っぽいミステリーに仕上がってます。
ケイトという39歳独身女性が主人公。夫も彼氏も友達もいなくて、仕事でも評価されないという設定。卑屈な設定に聞こえるけど、こういう人っていっぱいいると思います(かくゆう私も主人公の設定に大体当てはまっているひとり笑)。事件そのものもスピード感・意外性があって面白いのだけど、主人公や犯人役はもちろん、脇役の人たちもキャラ設定がちゃんとされていて、尚且つほとんどのキャラに感情移入できるところがこの作品のすごいところかなと。
叙述ミステリーという訳ではありませんが、大分最後の方まで犯人が誰か分からず、ドキドキしながら読めました。
本作がケイトシリーズの第一弾のようですが、第二弾の「誘拐犯」も読んでみようと思います!
Posted by ブクログ
ドイツの作家のベストセラー後半。
舞台はイギリスのヨークシャーです。
退職した警部だった父が殺され、休暇を取って故郷へ戻ってきたケイト。
スコットランド・ヤードの刑事だが、自分に自信がなく、周りにも溶け込めないでいた。
だが、誇りに思っていた父親の事件を放っておくことは出来ず、独自に動き出す。
事件を担当する警部のケイレブはアルコール中毒という問題を抱えている。
どの人物も、人に言えない秘密や重い気持ちを抱えていて、それが次第に絡み合っていく‥
リーダビリティはさすがで、その過程で少しずつだけどケイトが優秀さを発揮し、成長していくのが読みどころ。
これまでに「姉妹の家」「沈黙の果て」「失踪者」を読んでいます。
この濃さと人間味あふれるドラマチックさ。
ロマンスの要素もミステリの要素もあるが、どちらの定型でもない。
よどむほどの暗さに一時おおわれるが、ややこしい絡み合いが、いずれは一気に見えてくる。
そういう読み応えですね。
Posted by ブクログ
今年読んだ中では最大のヒット、いやー面白かった!
上下巻ありながら一気読み。
登場人物みんないろんな事情を抱えてるしそれが全て解決したわけではないし、今後もそれぞれがその重荷を背負って生きていかないと行けないんだろう。そこまでは作品内では描かれてはないので想像するしかないけど。シリーズ化してるそうなのでその辺も描かれてるのか期待。
Posted by ブクログ
後半からどんどん面白くなった。家族、同僚も知らないまま抱えてる秘密に怯える様子が上手く描いてあった。上巻のプロローグ的な場面の回収が全てをまとめていた。
Posted by ブクログ
凄惨な殺人事件。その被害者は元警部でその娘はスコットランドヤードの刑事ケイト。このケイトの造形がとてもいい。孤独で同僚とも打ち解けることが出来ず落ちこぼれのように思われている。そのケイトの父が殺害されたことで地元警察に協力する。でもそこでもなかなか上手くいかない。次第に見えてくる父の秘密と殺人が終わらない事件。捜査で出会う刑事たちとの微妙な距離感。派手さはないけれどとても緊迫感のある展開と事件の奥にある被害者や関係者の人生の秘密や裏切り。冒頭から強く惹きつけられる力のある作品。シリーズ第二作の刊行も決まっているということもとても嬉しい。
Posted by ブクログ
久々に、シリーズの次作を読みたいと思うキャラ、ケイト。スコットランドヤードの刑事なんてどんなエリートかと思うのに、そこでのおちこぼれという…。対人ダメダメで恋人も友人もおらず、自己評価も低い。なんだか身につまされ、どう生きていくのかと気になる。
ケイレブも、アルコールのせいというもっともらしい理由はあるものの、これだけ悪い予感や悪い徴があるのに、鈍すぎないかい?
2つの事件の関わりが若干薄いように思うが、着地に生かされてると思えば、報われるというもの。
ページは捲らされ続け、カレーが食べたくなりました。
Posted by ブクログ
読みやすくて内容も、期待どおりの作品。主人公のケイトを含め4人の刑事が出てきますが、どの刑事も魅力的で良かったです。それぞれの刑事が抱える背景事情が、刑事を人間らしくしていて、より面白くしているように感じました。そして結末も予想外のもので、こちらもよかったです。今後のケイトの活躍に期待したいと思うと同時に、もっとこの作家の作品を翻訳してほしいなと思いました。
Posted by ブクログ
主人公の父を含む3つの殺人事件。
5才の男の子を育てる夫婦。
子どもの実の母親である若い女とその彼氏。
それぞれが重荷ををかかえている警察官の面々。
バラバラに見えていたそれぞれのエピソードが下巻できれいにまとまった。
上巻のプロローグもなるほど!の構成で
一気読みのおもしろさだった。
キャラクターの心理面がていねいに描かれているので
共感したり心配したり、忙しかった。
シリーズ、追ってみようかな?
Posted by ブクログ
父の惨殺。事件は娘の知らなかった父の一面を明かしてゆく。
スリルな展開も面白いけど、娘で刑事のケイトや事件を捜査するケイリブなど、人間の弱さを抱えた登場人物の描写が胸に響く。
普通のサスペンスと一味違う。好きな本だなあ。続編も読みたい。
Posted by ブクログ
ドイツの作家シャルロッテ・リンクの長篇ミステリ作品『失踪者〈上〉〈下〉(原題:Die Betrogene、英題:Cheated)』を読みました。
シャルロッテ・リンクの作品は、3年以上前に読んだ『失踪者』以来ですね。
-----story-------------
〈上〉
元警部の父親が惨殺され打ちのめされたロンドン警視庁女性刑事の悲しみ。
最後の最後まで読者は裏切りの数々に翻弄されることになる。
スコットランド・ヤードの女性刑事ケイト・リンヴィルが休暇を取り、生家のあるヨークシャーに戻ってきたのは、父親でヨークシャー警察元警部・リチャードが何者かに自宅で惨殺されたためだった。
伝説的な名警部だった彼は、刑務所送りにした人間も数知れず、彼らの復讐の手にかかったのだろうというのが地元警察の読みだった。
すさまじい暴行を受け、殺されていた父。
ケイトが愛し尊敬してやまなかった父は、なぜ殺されなければならなかったのか?
ケイトにかかってきた父について話があるという謎の女性の電話……。
ドイツ本国で160万部超の大ベストセラーとなった傑作ミステリ!
〈下〉
人里離れた農場で起きた監禁事件と、元警部殺しはどう関わるのか?
父親の元警部の死について話があるとケイトに電話をかけてきた女性の死!
それはケイトと地元警察との間に軋轢を生んだ。
休暇中のケイトには捜査権はない。
その頃、ロンドンのシナリオライターが、バーンアウト寸前でヨークシャーの人里離れた農場に妻子とともにこもることになった。
そんな彼らの前に五歳になる養子の息子の生みの母が、恋人という得体の知れない男とともに現われるが、彼の正体は? 浮上するケイトの父親殺しと彼の関係。
本国で9月刊行後3か月でその年のペーパーバック年間売り上げ1位となったドイツミステリの女帝の傑作!
訳者あとがき=浅井晶子
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2015年(平成27年)に刊行されたスコットランド・ヤードの女性刑事ケイト・リンヴィル・シリーズの第1作です。
ヨークシャー警察の元警部リチャード・リンヴィルが自宅に侵入した男によって惨殺された……尊敬し憧れ、唯一心を許していた父の死を知ったロンドン警視庁に勤める娘・ケイトは長期休暇を取り故郷に戻った、、、
警察は、かつてリチャードが刑務所に送り込んだ連中のうちの誰かによる復讐との線で捜査を進めていくが、一番の容疑者とされる男デニス・ショーヴの行方はわからないままだった……捜査はなかなか進展せず、ケイトは苛立ちを募らせる。
捜査責任者であるケイレプ・ヘイル警部は、長い間アルコール依存症の治療のため休職しており、この事件で復帰したばかり……ケイトはケイレプの刑事としての能力に疑念を抱く、、、
そんなとき、メリッサ・クーパーという女性が、ケイトの父親のことで話があると連絡してくる……生前の父から聞いたこともない見知らぬ人物だが、ケイトは早速彼女に会う約束を取り付けるが、そこから事件は新たな展開を見せ、ケイトは衝撃的な事実を知ることになる……。
家族が死亡し、何年ぶりかで故郷に帰った主人公が事件の真相をつきとめていくというミステリの定番的な展開に、仕事で神経をすり減らし医師の勧めで2週間ほど妻子とともに人里離れたヨークシャーの農場にこもることとなった脚本家ジョナス・クレインのもとに、養子である5歳の息子サミーの生みの母テレーズ(テリー)・マライアンが現れ、思わぬ事態が巻き起こるというエピソードが、さまざまな視点人物によって描かれ、やがてひとつの物語として収斂していく展開が愉しめました……意外性とスリリングな展開も愉しめましたね、、、
裏切りの衝撃、驚愕の展開……面白かったです。
主人公が個人的に問題を抱えているところも興味深いところ、、、
スコットランド・ヤードの刑事であるケイトは39歳で独身……人付き合いが苦手で恋人も友人なく、仕事に自信が持てず、職場では周囲から疎んじられて浮いた存在、そんな振り切ったヒロイン像も良かったなー 本シリーズ、ぜひ、続篇も読んでみたいですね。
Posted by ブクログ
なんとなく手に取ったけど導入から面白くて、読みやすいし続きが気になりすぎて2日で上下関係読んでしまった〜
事件を追う中で暴かれていく真実が中々ほろ苦いというかカカオ85%くらいのほろ苦さ…w
犯人の同期はすぐピンとくるし、タイトルから物語の終着点というか方向性はわかりやすい
皆それぞれ悩みを持ってるし、主人公のケイトは卑屈で隠キャでちょっと面倒くさいけど嫌いじゃない
シリーズらしいので次も楽しみ
Posted by ブクログ
恋人や友人もおらず、仕事も上手くいっていない39歳独身女性ケイト。ここまで自己肯定感が低い人物が主人公なのも珍しい。読み進めるうちに、彼女だけでなく、誰もが表向きの人格とは別に、孤独や闇を抱えていることが分かっていく。人の温もりを欲しているくせに、己れの醜い心まで覗いて欲しいわけではない臆病な気持ちは、共感しかなかった。
途中で話が繋がっていくステラのパートは、不穏過ぎて、ちょっと読み飛ばしてしまった。小さな子供がいると辛い。すべての人が傷つく結果になってしまったが、終わってほっとした。ケイトは少しだけ未来が見えたのか。シリーズものらしいので、次が楽しみ。
Posted by ブクログ
父親の元警部のことで話があると、ケイトに謎の電話をかけてきた女性は誰か? その頃、ロンドンのシナリオライターが、バーンアウト寸前でヨークシャーの人里離れた農場に妻子とともにこもることにした。養子の五歳の息子の生みの母が突然、現在の恋人という得体の知れない男と現われるが、彼の正体は? 浮上するケイトの父親殺しと彼の関係……。
初めて読む作家。なかなかのページターナーでした。
Posted by ブクログ
とある人物の存在がわかってから怒涛の展開。スリルが素晴らしいです。事実が分かると、確かに酷い!と思いますね。のうのうとしてられるの?レベルです。圧倒的な筆致、今回も楽しませていただきました。スーパーじゃない主人公にも好感持てます。
Posted by ブクログ
確かに意外性のある犯人設定ではあるが、そこに至るまでが長い。
結局本筋には関係のない話が多すぎて中盤は大きくダレてしまう。特にあの監禁家族のエピソードなんて全体を大きく締めているが必要だっただろうか?
文章も上手いしキャラは濃厚に描き分けられているが、どのキャラもトラウマが大きすぎて感情移入しにくい。
シリーズ化は分かるが次回はどうなんだろう?
Posted by ブクログ
上巻の感想で「サミーが可愛くない」と書いたけど下巻では思わず涙がにじむほど頑張っていて愛しく思えた。けれどやはりそこまで心に残る話ではなかった。
真犯人は私が考えてたひとと違った。
上巻のはじめに事件の場面は書かれているが、かなり終盤にならないとその事実はほとんど出てこないので、考えてもまずわからないようになってる。
真相はよくできているけれど、それまでの前置きやミスリードが多すぎる。そして登場人物のほぼ全員がそれぞれ問題を抱えているけれどそれについては何も解決してないような…
全てしっかり明かされたのに、気分的にはいまいちすっきりしない。現地でこれがそこまで売れた理由もわからなかった。翻訳のせいなのかな。
Posted by ブクログ
CL 2022.8.21-2022.8.22
主人公のケイトのみならず誰もが皆それぞれに苦しい事情を抱えていて、生きていくのが簡単ではない人ばかり。その人物描写も、後半の怒涛の展開も秀逸。
ただ、どうしてもメリッサ•クーパーの息子に引っかかる。事件と大筋では関係がないとは言え。
メリッサ•クーパーの息子が、不倫相手が奥さんと別れなかったからと言って恨むのは筋違いでは?そもそも悪いのはそっちなのに。しかもその娘に恨み言を吐き、惨殺されたことを気分が良かったと言うなんて、この息子、バカか。相手の家庭を壊して自分の母親さえ幸せになれればそれでよかったわけ?なんと身勝手なと思っていたらこの真相。諸悪の根源が自分たちの母親だとわかってどう思うんだろうね。いくつもの家庭、命を犠牲にした。一度殺されただけでは追いつかないくらいなんじゃないの?二人の息子は一生ディランの面倒見ろよ、と思ってしまう。