あらすじ
ある事情で停職中のケイレブ警部にかわり、彼の部下だったロバートとケイトが謎のふたつの事件の捜査にあたることになった。列車で狙われた女性は、イギリス人と結婚したロシア人で、捕まらない犯人に怯え、ケイトにすがるようになるが、なにかを隠している様子にケイトは疑念を抱く。一方、四肢麻痺となり言葉も失った教師は、リハビリ施設への移送中に車ごと何者かに拉致される。どちらの事件にも、過去の恐ろしい出来事が絡んでいた。ドイツミステリの女帝が贈る、息を呑む慟哭のサスペンス! これほど衝撃的な作品がかつてあっただろうか?/解説=大矢博子
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中盤からの展開は一気に緊迫した展開。まさかこんなことになるとは。全く目を離せられない展開でした!少年院を出てから、また犯罪を犯すとわかっているけど、この悪人を解放せざるを得ない状況に、今の社会と重なるような気がしました。とにかくこの悪人ぶりは3部作の中でも、最強のキャラでしょう。最後まで一気読みでした。ケイトとケイレブが活躍するのは、後書によると、あと2作あるようですので、邦訳が楽しみです!
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下巻は感情移入してしまって辛かった。ケイトの無能な新上司へのストレス、ケイトからの恩を仇で返す女性、思慮のない友達、世捨て人同然だが憧れていた元上司、容疑者からも目が離せない。この終わり方には不満だがもう次作が待ち遠しい。
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探偵小説や警察小説には、完全無欠だったり良くも悪くも癖が強かったりといった主人公が多く登場するものだが、この作品の主人公ケイトは、スコットランドヤードの刑事でありながら地味でネガティブ、人付き合いが苦手ととにかくパッとしない。そんなケイトの能力を唯一正当に評価し、スコットランドヤードから地方のスカボロー署にリクルートしたケイレブ警部も、アルコール依存症を患う訳ありの警察官。それぞれに苦悩を抱えているからこそ、読者は二人に感情移入し応援したくなる。
物語は主人公のケイトを中心に、襲撃を受けたクセニアやソフィア、ケイトの友人コリンらのパートが入り混じりながら展開していく。その中でも重要なのが、オリヴァーの視点で語られる過去のパート。オリヴァーと妻のアリスは長年不妊に悩み、サーシャという子どもを養子として引き取ることになる。だがサーシャには発達の遅れがあり、そのことに二人は苦悩する。その後二人はようやく我が子を授かるものの、ノイローゼになったアリスは我が子を殺害してしまい、その罪をサーシャに擦りつける。そして少年院に収容されたサーシャはそこで凶悪な少年スレイドと知り合ってしまい、「復讐」を掲げて共謀することになる。
解説でもあるように、それぞれのパートで登場する人物同士が少しずつ繋がるとともに、読者にはわかっていることをケイトら主要人物は知らないなど、もどかしくストーリー展開していくところが特徴。真相に迫るにつれ、あまりにも非情なスレイドに恐怖と憤りを感じる。
スコットランドヤードを退職してケイレブの部下として働くことを選んだのに、頼りにならない新上司にケイトの厚意を踏み躙る犯罪被害者、相談もせず危ない橋を渡る友人に振り回されるケイトがとにかく不憫。ケイレブはケイレブで事件に関して完全なる部外者の立場に置かれてしまい、奇しくも二人が出会ったときと正反対の状況になってしまう。お互いが「もしケイレブがいてくれたら」「もしケイトだったら」と何度も煩悶する。
逆恨みで四肢麻痺にさせられその行方も杳として知れないまま終わるソフィア、誰からも愛されず利用されるだけされて殺されたサーシャ、犯罪に巻き込まれ逃げ続けてきたクセニア、そして仲間を失ったケイトとケイレブ。多くの人が傷付き、とてもではないが晴れやかとは言えない結末。それでも、このシリーズはアンソニー・ホロヴィッツやM・W・クレイヴンらに並ぶ、今一番面白い英国ミステリ(著者はドイツ人だが)
Posted by ブクログ
このシリーズの安定の面白さよ!
そして前回まで頑なにケイトを幸せにさせなかった著者もようやくそろそろ幸せを掴ませようという気配が。
原作はあと2作品刊行されてるようなので続きが気になります。ケイトとケイレブの関係も。ケイレブが仮に退職してもまあお互い今まで散々管轄外で行動取ってきたわけだし。
サーシャがとりあえず可哀想で。当時なんかやりようあっただろと。アリスへのフォロー含めて。今回の全ての発端はアリスの夫ですね。責任感じてるくせに少年院の訪問も2回で辞めてるしひたすら嫌なことから目を背けてるだけで結局最後まで生き残ってるという。
Posted by ブクログ
えっえええっ。そんな結末!?
と驚いて終わったあああ。
ケイトとケイレブ、そこで終わるの?
コリン、そうなっちゃうの?
ああ、次巻が早く読みたいい。
だんだん登場人物が増えて、愛着が湧いてくるシリーズですね。
事件の背景は、東野圭吾の赤い指を想起させられました。悲しい....。
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・あらすじ
・感想
ケイト・リンヴィルシリーズ3作目。
このシリーズの特有の鬱々とした雰囲気は相変わらずで実家のような安心感(?)。
事件のラストに驚いたんだけど…次はあの続きからなのかな?
でもあれが事件の終局でも納得する。
あの終わりでも納得できちゃうのがこのシリーズだと思う。
人並み外れて有能な主人公たちが、粉骨砕身して事件を解決し大団円!!みたいな作品じゃないもんね。
今作で一番可哀想だったのがサーシャ。
彼は一貫してどこにいても「被害者側」だった…。
でも、そんな彼も幼稚園での事件を思うと「常に被害者」だとしてない気がする。
作品に出てくる人間たちの身勝手さ、それを取り繕う弱さと自己弁護。
そんなものさえ振り切ったサイコパスの犯人の描写に気が重くなったけど、やっぱ最後までノンストップで読める面白しさがあったな。
ケイレブのケイトへの思いは唐突に思えていまいち理解出来ないんだけどでも恋愛にはならなさそうなのもあの二人っぽい。
Posted by ブクログ
2025年の21、22冊目は、シャルロッテ・リンクの「罪なくして」です。シャルロッテ・リンクの作品を読むのは、2023年の10月以来です。主人公は、同じくケイト・リンヴィルです。ケイトは、ついにスコットランド・ヤードを退職し、ケイレブの勤務するスカボロー署の犯罪捜査課に転職します。しかし、ケイレブはある事件の責任を取る形で休職中となっています。
シャルロッテ・リンクの書く作品は、相変わらずストーリーが秀逸です。興味を引く導入部から、そういう終わり方なのねというエンディングまで、読者を飽きさせません。これまでのケイトとケイレブの立場を逆にした構成も見事です。
オリヴァー、アリス、クセニアの選択した行動は、決して許されるものでは有りません。サーシャが全てを理解して、受け入れていたという事実が、何とも言えない気持ちにさせます。
そして、つくづくケイトの人生は付いていませんが、ケイトは本当に強い人だと思います。そのひたむきさに希望を感じ、ケイトに何かしらの幸福が訪れる事を願ってやみません。
☆4.7良い本だと思います。
Posted by ブクログ
常に読者の注意を引き付けており、物語を通して中弛みが全くなく、上下合わせて650ページ程あったが、極めてスラスラと読めた感覚はある。物語としてはかなり良くできており、完成されていた。ただ強いて言えば、結末が少しいただけなかった。 「罪なくして」と題されるように、罪のない人間を襲う恐怖がこの作品に詰まっていた。
Posted by ブクログ
相変わらずおもしろい!そして悲しい話でもあった。私が今まで読んだリンク作品の中で一番人が死んだんじゃない?
ケイレブはこれからどうするんだろう。続刊の邦訳も楽しみに待ってます
Posted by ブクログ
「罪なくして」というこのタイトル、
なんとなくわかるようなわからないような言い回しに感じられ、原題をしらべてみると、
(ドイツ語なので英語に翻訳)
“Without guilt”
日本語だと、罪がない状態で、とか罪なしに。
英語だと罪悪感なしに、とか罪の意識がない、となり
またまたちょっと微妙な違いを感じてしまう。
前者だとすると
罪はないのに巻き込まれた感のある青年を。
後者なら人を殺めることに躊躇のない
犯人であるもう1人の男を指すように思う。
とにかく今回はとてもスピーディーな展開で
途中まではワクワクしながら読んだけれど、
結末はすごく放り出されたような終わり方で
えー、この先が気になるのにな〜、な気持ち。
ケイトとケイレブは今後どうなるの?
被害者たち、そして事件に関わった多くの人たちは?
あれ?そう考えると
タイトルの指す対象がほぼ全員にも感じられ始める。
うわ〜〜。。
早く次の翻訳を!
Posted by ブクログ
こっちが死んであちらが生き残るか。展開上の理由は示されているものの、それって作者のサジ加減次第なわけで、この作者なかなか意地悪だなと。
スコップは、化学分析の手がかりになるものと思ったけど。プロファイリングや科学捜査をもっと取り入れて事件を解決してほしい。現代のお話なんだから。
そこは百歩譲っても、あの終わり方。苦手。
とはいえ、シリーズの既刊2作は読みますよ。