デービッド・アトキンソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すばらしい。
この本を大分県の別府観光中に出会ったというのもなにかの縁か。
観光業に向き合いながら、「供給側と需要側には基本的に大きな断絶がある」ということを学んだ。
そして素晴らしい供給を成し遂げるには、需要側を深く理解することが必要であると。
日本の観光業を考えるにあたって目から鱗であるのは当然のこと、最終章における日本のスポーツ業への言及がかなり興味深かった。
筆者曰く、日本の観光業とスポーツ業はお金を稼ぐ気概のなさにおいて共通しているという。
スポーツが体育の授業の延長として、教育目的の側面が注目され続け、美しいプレーに感動をしたり、高い成績を残すことだけが求められる。
そしてそれが個人の能力や投資に依存しすぎていて、産業として経済を循環させていく気概がなく再現性もない。
スポーツ大国だあるアメリカと比較をしても、スポーツに対する国民性なんていう非科学的な根拠ではなく、産業化の差であるのは明白。
なにができるかはわかりませんが、旅好きであるわたしにとても刺さりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデービッド・アトキンソン 新・生産性立国論
耳に優しい御用学者を集めて政治家や官僚が思い通りの答申を出させる。
出した方針は科学的な対費用効果の分析もせずにうやむやにする。
この見事なサイクルで高度経済成長期の時は乗り切れたのかもしれませんが、これからの人口減少、GDP減少、世界的なゼロサムゲームの中で日本という国は誰からも顧みられない小国になって行くのでしょう。
竹蔵は今の富を元に人口が減少していってもコンパクトに身の丈に合った形で豊かさを享受できれば良いのではないかと考えていました。
しかしながら、著者のGDPが縮小すると日本の借金の比率が大きくなり財政が破たんするという指摘までは考えていませんでした・・・
著者の分析に対して科学的に反論することは難しそうです。
著者の書き方も結構けんか腰な感じです。
なので、WEB上の著者の記事には、重箱の隅つつきや感情的な反発、日本独自論などが多く書き込まれていました。
物事を変えたいと思ったら、現状を正しく把握して正しいと思われる改革をすることと、現状把握と改革を継続的に回していく必要がありますが、今の日本にはそういった能力は無いようです。
改革を行っても数十年後に日本という国が今のように豊かで自由な国であり続けられるのは疑問ですが、今で良しとする今の日本の状況だと絶望的かと思います。
日本と一緒に沈んでいく必要は無いので、若人よ世界に出て行きましょう。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
頭を水をぶっかけられたような感覚。政令指定都市の役所で観光業務に10年近く携わっています。昔、上司がこれいいよーと教えてくれたけど、読みきれてなかった本書…。1秒でも早く読んどけよ!と自分に叱りたくなるくらい観光業務に携わる人々は必読の一冊だった。
日本の外国人に対する「来るなら来ていいよ〜」「来たら良さ分かるよ〜」的な感覚、分かる。
全然容姿もスタイルも磨けてない女子(日本)が「付き合いたいなら付き合ってあげてもいいけど〜」って言ってるように感じた。(完全に主観すぎるけど)本当に(観光で)モテてる国(ヨーロッパ諸国)はめちゃくちゃ努力してお金積んで…そりゃそうだよね、っていう当たり前の事実を、淡々と述べられてしまった。という衝撃。
特に後半に文化財についての言及があって耳が痛すぎる…。いまは文化財の保存活用の担当しているが、壊れないためのお金だけしかつかないし、建築の専門家による建築の専門家にしか分からない価値を残すためのお金だし、全然改変も活用もできないし、これって意味あるの…???と疑問疑問疑問で全くモチベーションの上がらない仕事だったけど、本書のおかげでまだまだやれることたくさんあるんだ!と本当に希望が湧いた。本当に感謝しかない。
せっかく縁あって観光担当になったので、この本を教科書に。なんとか頑張っていく。救われました、ありがとうございます! -
Posted by ブクログ
産業構造が非効率であることが、日本を低迷させているさまざまな問題の根幹にある。この仮説を唱えている人を、私は寡聞にして知りません。私のオリジナルの仮説だと考えています。
イノベーションが進まない理由、働き方改革が進まない理由も、この産業構造の非効率性に原因があると思っています。日本経済が30年間伸びていない理由も、「産業構造の非効率性」にあると思っています。
■「monopsony」が強い国の特徴
生産性が低い
大企業の規模が小さい
大企業の数が少ない
中堅企業が少ない
小規模事業者が多い
高成長企業が少ない
イノベーションが少ない
輸出が少ない
女性活躍度が低い
格差が大きい
貧困率が高い
最低賃金で働く比率が高い
外国人労働者はスキルの低い比率が高い
労働市場の流動性が低い
労働者の専門性が低い
会社に対する忠誠心が高い
総括すると、日本は教育水準が高く、忍耐力が強い労働市場を有し、輸出入も少なく、言葉の壁があって外資系企業の参入も少なく、かつ「monopsony」の力が強い国です。このような日本で、その「monopsony」の力を緩和してくれるはずの最低賃金が低く設定されると、非常に小さい企業が増えすぎるのです。
■日本企業に対する4つの教訓
ここまで紹介した海外の例を、日本に当てはめて考えてみましょう。これらの分析結果には、 日本の経営と産業構造を考えるにあたって、4つの大切な指摘がありました。
①企業が増えるほど平均的な経営者の質が下がる
1つ目は、どの国でも経営者に向いている人材は無尽蔵ではなく、企業の数が増えれば増えるほど経営者の質の全体平均が下がること。これは必然です。
別の見方をすれば、非常に小さい企業が数多くできてしまう優遇策を設けると、優れた経営ができる人以外にも、経営者になる機会を与えてしまうことになります。経営者としての資質に欠けた人が起業しても、会社を大きく成長させることはできません。結果的に生産性の低い産業構造ができ上がってしまうのです。
②賃金が低いほど経営者になるインセンティブが高まる
2つ目は、先述した論文のとおり、賃金が低い国ほど経営者になるインセンティブが高まるいうことです。
ここには2つの要因が働きます。まず、賃金が低いほど人を雇うコストが低いので、経営者なろうとする人が増えます。さらに、賃金が低ければ既存の企業で働くメリットが相対的に暑くなるので、経営者になる道を選ぶ人が増えます。逆に既存企業の給与水準が高ければ、リスクと労力がともなう起業の道を選ぶインセンティブは低下します。
日本のように起業するハードルが低く、かつ既存企業の賃金が低い国では、向き不向きは関係なく、起業して経営者になろうとする人が増えると考えられます。1964年以降の日本でこのとおりのことが起こったのは、実際のデータで確認したとおりです。
所得水準は、最低賃金に大きく左右されます。最低賃金が低く設定され所得水準が低くなると、経営者にならないと自分の希望する額の賃金を手にできません。だから優れた経営ができなくても、無理をして会社をつくろうとする人が増えます。能力が低いので、その人がつくる企業は規模が小さく、生産性も低くなります。こういう企業が増えれば増えるほど、日本という国全体の生産性が低下するのです。
製造業は工場などに多額の設備投資が必要なので、新規参入のハードルが高くなります。ですから、日本でも製造業では構造問題は起こりにくいと考えられます。このことはデータでも確認できます。
日本では規制と優遇策の影響で、サービス業の企業の平均規模が著しく小さくなった上、経営者になる人も激増したため経営のレベルが低くなってしまっています。そのため、他国のサービス業と比較しても非常に低い生産性しかあげられず、また、国内の製造業にも大きく差を開けられているのが実態です。
このように産業構造を見れば、経済学の理論から予想されることが、実際の世界でもまったくそのとおりに起きていることが判明するのです。
③企業規模は経営者の能力を映す鏡
3つ目は、企業の規模が小さいこと自体が、経営者の質の低さの証拠だとされていることです。
質の高い経営者は本人に強い意欲があるだけではなく、優秀な労働者などの経営資源が自然と集まってきます。結果として質の高い経営者が経営する企業は成長し、規模が大きくなるのです。
日本では、規制と優遇によって企業の数を大きく増加させた結果、規模の非常に小さい企業が多くなってしまいました。企業の規模が小さいということは、1つひとつの企業の経営者の能力が低いことの証拠であることを看過するべきではありません。
④大学教育の質が経営者のレベルを左右する
最後のポイントとして、先進国では経営者層に大学卒業者の占める割合が高い傾向が確認できることが挙げられます。当然それぞれの国の大学教育の質が、経営者層のレベルに大きな影響を及ぼしています。
日本の場合、大学教育に対してはかなり厳しい評価が下されています。第1章で紹介したとおり、特に文科系の教育では欠かすことのできない論理的思考に関して、日本の評価は非常に低くなってしまっています。このことは経営者の質が低く、生産性を下げている要因の1つとなっています。 -
Posted by ブクログ
日本人は変化を極端に嫌う。物事の急激な悪化には仕方なく変化を了承するが、緩やかな悪化には目を瞑り反対する傾向にある。
また、その場で反対せずに後から文句を言う傾向にもある。自分の頭で考えることが苦手で、人の頭で考えさせる人間が多く存在する。
日本人の人材の質は世界4位であるが、給与水準は世界28位である。人口減少に目を瞑り、人口が多かった際の企業数のまま、人口減少時代に突入したため、給与水準は低い位置にある。
戦後は子供が増え、企業も増えてそれに伴う仕事も増えて知らず知らずのうちに経済成長が進み、それに伴って給与水準も上がっていった。しかし、GDPと人口、給与水準、生産性、企業数の相関性を正しく分析してこなかった為に、人材の質と給与水準が反比例する歪な社会となってしまった。
政府、会社経営者のみならず一般市民に於いても、安易な楽な選択をせず、勉強を続け、将来を見据えた行動をすべきであるとの提言書。