泉鏡花のレビュー一覧

  • 夜叉ヶ池・天守物語

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    ネタバレ

    人間のしがらみから解き放たれた女妖怪の行動や言動は人間の女性より堂々として優雅で勇ましく、人間の若い男に心を奪われる姿は少し怖くも感じる。多くの眷属を従える力ある女妖怪を夢中にさせる男とは一体どれほどの魅力があるのか。

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    2025年11月20日
  • 明治深刻悲惨小説集

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     お前の罪じゃ無い、世の中の罪だ
               (田山花袋「断流」より)

    人生の不条理・社会の闇と真正面に向き合い描かれた「悲惨小説(深刻小説)」または「観念小説」と呼ばれる作品のアンソロジー。あまり聞き慣れぬ作家の、大手出版社の文庫本レーベルにもなかなかラインアップされない作品をたくさん味わえる貴重な一冊だと思う。

     川上眉山「大さかずき」
     泉 鏡花「夜行巡査」
     前田曙山「蝗売り」
     田山花袋「断流」
     北田薄氷「乳母」
     広津柳浪「亀さん」
     徳田秋声「藪こうじ」
     小栗風葉「寝白粉」
     江見水蔭「女房殺し」
     樋口一葉「にごりえ」

    性別、生まれ、家庭の経済状況……。収録

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    2025年10月17日
  • 疵(きず)の迷楼 耽美幻想セレクション

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    まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
    あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
    まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。

    なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
    抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。

    収録されて

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    2025年10月15日
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『外科室』 
    画師「予」が、親友の医学士・高峰が執刀する手術に立ち会う場面から始まります。患者は貴族階級の伯爵夫人。手術直前、夫人は麻酔を拒否します。理由は「麻酔で譫言(うわごと)を漏らし、秘めた想いが知られてしまうのが怖いから」。

    周囲の反対を押し切り、夫人は麻酔なしでの手術を望み、高峰はそれに応じます。手術が進む中、夫人は突然高峰の手を握り、「あなたは、私を知りますまい」と言いながら、自らの胸をメスで切り裂きます。

    高峰は「忘れません」と答え、夫人は微笑みながら息を引き取ります。

    物語の後半では、9年前に高峰と「予」が植物園で偶然見かけた美しい令嬢の回想が描かれます。その令嬢こそが伯

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    2025年10月12日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    舞台の台本のような本だった。
    少し見慣れない単語が出てくるので、辞書を引き引き読んだ。結構面白い。
    夜叉ケ池という池の麓から帰ってこない晃を訪ねて学円が村にくる。晃は百合という女性と暮らしていて、村で鐘をつく仕事をしているのだと言う。代々、鐘を1日に三度鳴らさねば、村が山津波で滅ぶのだと言う。
    村人たちは信じていないものも多いが、先代の爺さんはやり遂げる。この鐘本当に効果があり、魑魅魍魎の世界が描かれたときも「鐘が鳴っているから」と村を滅ぼせない。
    ただここの村人は最悪で、旱が来たら「村1番の美女を裸にして牛の背に乗せて夜叉ケ池まで運び、そこで男たちが宴会をする」という行事をやる。もちろん美女

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    2025年10月10日
  • 縊死体 乙女の本棚作品集

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    ホノジロトヲジさんが描いた乙女の本棚の挿絵と、夢野久作の作品である、縊死体が収録された画集です。
    縊死体、夢野久作らしさ全開で意味が分かりません。読後の置いてけぼり感がすごかったです。挿絵はとても凝っていて、新聞の紙面風のデザインをよくよく見ると、別の夢野久作の作品のフレーズが隠れていたりして、そこでも楽しめます。妖しさも増々でした。

    画集としても、乙女の本棚シリーズの一冊としても楽しめるお得な作品でした。

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    2025年09月22日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    とても豪華な1冊。
    求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
    夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
    どれも面白くて良い。

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    2025年08月14日
  • 歌行燈・高野聖

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    有名な鏡花作品「高野聖」。
    朗読の音声とともに楽しませていただきました。
    彼の作品独特のリズムが心地良い。

    山の中で出会った妖艶で不思議な女。
    それとは対照的な現実的な存在感を放つ親仁。
    現実と幻想の交錯のような体験は、きっと昔は多くあったのではと思う。
    日本人の自然に対する畏怖がより身近にあったことを感じる。

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    2025年07月28日
  • 文豪死す

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    文豪たちの遺作を集めた本。
    太宰治のグッドバイ、初めて読んだけど続きがめちゃくちゃ気になる…!!!

    各作家の作品のあらすじ紹介がわかりやすくて、面白そうで、読んでみたいのをたくさん見つけられた。
    名作系にハードルの高さを感じていたけど、作家のあらすじや経歴をみて、だいぶハードルが下がった。

    夢野久作知らなかった!女坑主は読み終えたあと「あの時のあのセリフはどういう意味?」ってなって読み返してしまった。

    読んでみて良かった。自分の読める小説が広がりそう。

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    2025年06月15日
  • 歌行燈・高野聖

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    「高野聖」
    久しぶりに読んだ。
    学生の時以来だと思う。
    泉鏡花の文章は本当に美しいな、と感じた。
    私の知識不足で、わかりにくい言葉もあったけれど、情景がありありと浮かんできた。
    ヒルのくだりや、動物に変えられてしまうあたりもよく覚えていた。
    話の終わり方もすっきりしていて、細部にわたって美的感覚と潔さを感じることができた。

    「女客」
    言葉が難しくて所々わかりにくいところがあったけれど、謹さんとお民さんの想いを伝えあう言葉が熱を帯びてくる様子が生々しく感じられた。
    子どもの奇妙に言い当てる言葉で、一気に現実の道に引き戻される空気感も、絶妙だった。
    中盤から最後への流れが、うまいと感じた。

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    2025年06月13日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    このシリーズにしてはページ数が多くどちらかと言うと絵というより文字という感じ。
    最後ってハッピーエンドなのか?
    姫様の天真爛漫?自由な発言が姫って感じで良かった。

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    2025年05月05日
  • 歌行燈・高野聖

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    ネタバレ

    初めのうちは文章が難しいけど、慣れてくると、どっぷりと世界観に入り込んでしまう。文章だけのはずなのに映像が浮かんでくるような感覚。

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    2025年04月12日
  • 高野聖

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    幻想的で艷やかな文体で綴られる短編集。漢字が多くて難しく感じたが、それでも耐えて読んでみると作中の風景がありありと目に浮かんでいた。『夜行巡査』がお気に入りかも。

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    2024年12月16日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    読みにくい。文章が古めかしいのも、あまり使わない漢字を使うのも、核心にあまり触れない描き方も、何度も読み返してなんとなくしかわからない本だった。
    胸の手術を麻酔なしで受けると言い張る夫人と、執刀医の高峰に特別の感情があった、と言うことなのか???
    9年前に小石川植物園ですれ違って、手術室で再会。で、次のページで2人とも死んだとあるけど。
    夫人がそこまでして秘密にしたかったことが今でもピンときていない。心の中はどうあれ、実際はただ一度すれ違っただけじゃない。不貞でもないと思うのだけれど。
    ただ夫人が心配したように、麻酔手術の後に暴れたりする「せん妄」という状態は実際にある。
    三国志の関羽雲長が麻

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    2024年12月08日
  • 明治深刻悲惨小説集

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    古い小説が多いのですけれども、割かし読みにくさも感じずに読めたかと思います…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、少々解釈が難しい部分もあったのですが…また機会があれば再読したい作品群でしたね!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    亀さん…とかいう作品が一番印象に残りましたかねぇ…女性なら誰でも構わずについていく、抱き着いて行こうとする男性の話…(;´∀`)

    実際に居たら困惑する人物ですけれどもまあ、印象には残りましたねぇ…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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    2024年12月08日
  • 絵本の春

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    どこかで読んだような気もするのだけど、読み直してみて特に記憶が刺激されたわけでもないから、初読だったのかもしれない。美しい絵と、いつの間にか引き込まれている鏡花の文章。絵もあいまり、金沢で鏡花関連の場所を巡った時の記憶が蘇ってくる。

    …石のごつごつした狭い小路が、霞みながら一条煙のように、ぼっと黄昏れて行く。
    "ぼっと黄昏れる"という表現にすでにぞわなでだし笑。

    …巳巳巳巳、巳の年月の揃った若い女の生肝で治る
    冒頭近くで「ああああ我が影」など連呼されている表現が、この「みみみみ」に繋げるためだとわかる。巳年、巳月(4月)、巳の日、巳の刻生まれの若い女…蛇を連想するだけで

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    2024年12月06日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    ひたすら晦渋な文章づくしで、文字を目で追うのがやっとだった。
    おそらく半分も理解できていないと思う…。
    他の方の解説を読んでどうにか大体の内容を把握できた。

    麻酔を施した際、本音や深層心理に眠っていた感情が声に出てしまうことがあるらしい。
    手術台に横たわる美しい女性、伯爵夫人は高峰医師に自分の秘密がバレてしまうのを恐れ、麻酔無しでの手術を望む。
    その強い思いはどこから来るのか____。

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    2024年11月25日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    妖しげな姫様(?)の絵が好みでジャケ買い。近代文学史に名を残す文豪たちによる怪作集。「桜の森の満開の下」「芋虫」「夢十夜」は以前読んだことがありましたが、今回も変わらずおもしろくて好きな作品です。個人的には「白蟻」のいい意味で「何を読まされているんや…?」という気持ちになり印象的でした。

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    2024年11月05日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    はい、三十五オネエ

    まさかの戯曲!

    そして戯曲と『乙女の本棚』って相性いいんではなかろうか

    だいたい泉鏡花の世界観なんて簡単に分からんのだからね
    しかも意味もなく戯曲になんかされた日にゃちんぷんかんぷんに決まってます(いや意味はあるだろ)

    そこで『乙女の本棚』ですよ

    こうなってくると話は変わってきますよ
    なんか色々教訓が込められていたような気もしなくはないような感じにもとれなくなくもないようなあるようなね
    天才すぎる泉鏡花をぐっと近付けてくれます

    すごいな二十一世紀

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    2024年10月29日
  • 高野聖

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    親が小説の面白さをを理解した作品としておすすめされたので読んだ。
    眉かくしの霊を読んだ後の気持ちを、40年前の親も味わったんだなと重なりを感じて不思議な気持ちになった。

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    2024年10月29日