泉鏡花のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ幻惑幻想。
浮世離れした幻想に片足をいれたような夫婦と、下界といっていい現実世界に蠢く村人や権力者。
それに夜叉ヶ池の幻想そのものの住人たち。
この世ならざる夜叉ヶ池の住人たちとは直接関係はなく話が進むが、最後には幻想幻惑がすべてを飲み込む。
池の堰が切れたように。
さすが、泉鏡花先生。戯曲では天守物語が名高いけれど、それと比べても幻想の度合いと、美しさが際立つ。
冒頭の場面描写に「水辺の菖蒲」があったけれど、「妖剣紀聞」で菖蒲を好んでいた旨が書かれていたので、あわせて読むと、水辺の描写の美しさ・菖蒲の描くことへのこだわりがわかる…かも? -
Posted by ブクログ
文庫化されていない作品を本の形で読めるのはよかったが、注釈がないスタイルはよくないのではないかと思いました。鏡花好きな人だとしても、全部の単語がわかっているわけでもないだろうし、鏡花はじめあの時代の本・文化は初めて手に取りますといった人にはだいぶ分かりづらい本になっている。
作品の内容自体は、鳥肌が立つような怖い話から、ゾワゾワ不気味な話までより取り見取りで、美しさより怖さが勝る鏡花集として新鮮でした。
収録作品は、
・高桟敷
・浅茅生
・幻往来
・紫障子
・尼ヶ紅
・菊あわせ
・霰ふる
・甲乙
・黒壁
・遺稿
・幼い頃の記憶
タイトルからして美しいものも多いですね。特に好きだったのは、 -
Posted by ブクログ
すっかりお気に入りになった乙女の本棚シリーズ。
ずっと読んでみたいと思っては、文章が難解で挫折して…を繰り返してた泉鏡花作品。
それが魅力溢れるイラストと一緒だとこんなにもするする読めるようになるとは。文字フォントも組み方もとても工夫が凝らされていて、印象深いセリフがいっそう際立つようになっている。
重篤な病を抱えた伯爵夫人は、うわ言を話してしまうのが嫌だからと手術直前で麻酔を拒否する。誰にも聞かれたくない秘密があるのだと、断固として譲らない様子に、困り果てる夫や腰元。
執刀医・高峰が、そこまで言うならとメスを取り胸を割き、刃が骨にまで届かんとするとき、夫人は「あ。」と声を上げた。
もう、 -
Posted by ブクログ
以前、高野聖を読んだことがある。
それ以外には、三尺角。
それくらいのお付き合いしかない文豪。
高野聖は、蛭の林や山家でのことは記憶に残っていたが…。
こんなに本編に入るまでの語りが長かったっけ?
まずここに驚いた。
そう考えてみれば、どれも独特な語りのリズムを持つ。
たらたらと雫が滴るように文が続き、終わったのか、続くのか、定かではない。
古語なのか、方言なのか、見知らぬ言い回しは、逝って戻らぬ過去の世を思わせる。
何か、江戸の建物にランプが置いてあるような、江戸のにおいがする明治の町中に迷い込んだ感じがする。
そうして、語りに導かれ、町の路地をそこここと、どこへ向かっているかわからな -
Posted by ブクログ
ネタバレ鏡花の短編集。
「化鳥」:山奥に母と2人で暮らす男児。その母親に似た「羽の生えたうつくしい姉さん」を見る話。
「清心庵」:良家の人妻と、18になる少年の性的ではない逢引き。
「三尺角」:
「木精」:三尺角の別視点。お柳の魂が男に一目まみえる。
「朱日記」:不思議な女性に火事が起こることを予言される少年と、その小学校の教師たち。
「第二蒟蒻本」:芸者の霊が男の元に現れる。
「革鞄の怪」:電車の中で出くわした公務員が乗り合わせた花嫁に仕掛けたこと・・・。
「茸の舞姫」:神隠しがえりの青年(少年)が町や神主、集落全体を巻き込む・・・。
いつもながらの怪異がよろしい。「革鞄の怪」と「茸の舞姫」が好き -
Posted by ブクログ
随筆は初めて読んだかも。
当時の様子や暮らしぶりなど良いな、と思うのですが、…どうも自分、泉鏡花の文章は、旧漢字旧かなづかいでないと、読むスピードが速くて、文章の情緒をしっかり理解できないと気付きました。
女の輪。
そんなの見たら、怖いな。
木菟俗見。
「貝の穴に河童の居る事」でしょうか、ところで舞台はどこなのですか。房州に、鏡花きてたんだぁ、と思うともえる。
千倉の沖の幽霊船というものは有名なのか。
ところで、鏡花の描く房州は、(他の作家がどう描いているのかよく知りませんが…あ猫の国か>千倉)砂と風の吹きすさぶ薄ら寒い印象でなんか良い。京都や近江八幡や金沢みたいな優雅さは求めるべくはないで -
Posted by ブクログ
随筆は初めて読んだかも。
当時の様子や暮らしぶりなど良いな、と思うのですが、…どうも自分、泉鏡花の文章は、旧漢字旧かなづかいでないと、読むスピードが速くて、文章の情緒をしっかり理解できないと気付きました。
女の輪。
そんなの見たら、怖いな。
木菟俗見。
「貝の穴に河童の居る事」でしょうか、ところで舞台はどこなのですか。房州に、鏡花きてたんだぁ、と思うともえる。
千倉の沖の幽霊船というものは有名なのか。
ところで、鏡花の描く房州は、(他の作家がどう描いているのかよく知りませんが…あ猫の国か>千倉)砂と風の吹きすさぶ薄ら寒い印象でなんか良い。京都や近江八幡や金沢みたいな優雅さは求めるべくはないで