泉鏡花のレビュー一覧

  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    幻惑幻想。
    浮世離れした幻想に片足をいれたような夫婦と、下界といっていい現実世界に蠢く村人や権力者。
    それに夜叉ヶ池の幻想そのものの住人たち。
    この世ならざる夜叉ヶ池の住人たちとは直接関係はなく話が進むが、最後には幻想幻惑がすべてを飲み込む。
    池の堰が切れたように。
    さすが、泉鏡花先生。戯曲では天守物語が名高いけれど、それと比べても幻想の度合いと、美しさが際立つ。

    冒頭の場面描写に「水辺の菖蒲」があったけれど、「妖剣紀聞」で菖蒲を好んでいた旨が書かれていたので、あわせて読むと、水辺の描写の美しさ・菖蒲の描くことへのこだわりがわかる…かも?

    0
    2023年05月15日
  • 乙女の本棚9 外科室

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    はじめて泉鏡花作品を読んだけど、読みづらい。自分の不勉強を思い知った。それでもなんとか読んだ。絵の力。真の美の人に出会ってみたい。或いはわたしがそうなりたい。

    0
    2023年04月27日
  • 絵本の春

    Posted by ブクログ

    ★新坊や、可恐い処だ、あすこは可恐い処だよ。
     絵が凄い。それだけでも持っておきたくなる。
     あやしい小路があり逢魔が時なは貸本屋の札が貼られているのが見えたりするのだが占いをやってる小母さんは一度死んで甦ったことがあり身体も大きくなかば魔に近い存在なので平気でそのせいか少年だった頃の「私」もなんとなく親しみを感じていたりしてひっそりと覗いてみたりするのだった。

    0
    2023年04月26日
  • 文豪怪奇コレクション 耽美と憧憬の泉鏡花 〈小説篇〉

    Posted by ブクログ

    文庫化されていない作品を本の形で読めるのはよかったが、注釈がないスタイルはよくないのではないかと思いました。鏡花好きな人だとしても、全部の単語がわかっているわけでもないだろうし、鏡花はじめあの時代の本・文化は初めて手に取りますといった人にはだいぶ分かりづらい本になっている。

    作品の内容自体は、鳥肌が立つような怖い話から、ゾワゾワ不気味な話までより取り見取りで、美しさより怖さが勝る鏡花集として新鮮でした。

    収録作品は、
    ・高桟敷
    ・浅茅生
    ・幻往来
    ・紫障子
    ・尼ヶ紅
    ・菊あわせ
    ・霰ふる
    ・甲乙
    ・黒壁
    ・遺稿
    ・幼い頃の記憶

    タイトルからして美しいものも多いですね。特に好きだったのは、

    0
    2023年02月12日
  • 乙女の本棚9 外科室

    Posted by ブクログ

    江戸川乱歩とか谷崎潤一郎にくらべて文体が古くて読むのに少し苦戦したけど、短編なのですぐ読めた。

    なんというか言葉選びがすごく綺麗で繊細。また読んで自分の文章の参考にもしたい

    0
    2022年10月03日
  • 歌行燈・高野聖

    Posted by ブクログ

    初めての泉鏡花、めちゃくちゃ良かったです。全体的に構成力が凄いと感じました。高野聖は語りが多層化していて、読み進めて気がついたら幻想世界に踏み込んでいます。また、歌行燈では複数ある物語が、少しずつ重なっていき、最後のシーンで一体になる構成は読み進める手が止まらなくなるほど面白いです。文語体や時代背景の知識はあるに越したことはないですが、最初に軽くあらすじをなぞっておくだけでかなり読みやすくなりました。個人的には歌行燈の鼓を取り出すシーンが震えるほどカッコよかったのと、売色鴨南蛮のラストの衝撃がハイライトです。

    0
    2021年12月06日
  • 乙女の本棚9 外科室

    Posted by ブクログ

    星4.5
    文章はとても綺麗だと思うが
    慣れるのに少し手こずった

    それでも伯爵夫人の壮絶な決意と秘めた思いは痛いほど伝わった
    一瞬の2人だけの世界も

    「絵本」を上手く使った色やページの使い方、そして絵もとても素晴らしい
    読む時はこの本で読んで欲しいです

    0
    2021年11月28日
  • 乙女の本棚9 外科室

    Posted by ブクログ

    すっかりお気に入りになった乙女の本棚シリーズ。
    ずっと読んでみたいと思っては、文章が難解で挫折して…を繰り返してた泉鏡花作品。
    それが魅力溢れるイラストと一緒だとこんなにもするする読めるようになるとは。文字フォントも組み方もとても工夫が凝らされていて、印象深いセリフがいっそう際立つようになっている。

    重篤な病を抱えた伯爵夫人は、うわ言を話してしまうのが嫌だからと手術直前で麻酔を拒否する。誰にも聞かれたくない秘密があるのだと、断固として譲らない様子に、困り果てる夫や腰元。
    執刀医・高峰が、そこまで言うならとメスを取り胸を割き、刃が骨にまで届かんとするとき、夫人は「あ。」と声を上げた。

    もう、

    0
    2021年10月22日
  • 乙女の本棚9 外科室

    Posted by ブクログ

    「でも、貴下は、貴下は、私を知りますまい!」すごく印象深い台詞です。
    いくらか話は省略されてるかと思います。(違ってたら申し訳ありません)
    理解がなかなかできない場面もありましたが、普通にこの本を読んでみたいでと思いました(^-^)
    当時の様子が知れるのでこういった物語は本当に面白い。イラストも美麗で満足です(*^^*)

    0
    2021年03月16日
  • 歌行燈・高野聖

    Posted by ブクログ

    以前、高野聖を読んだことがある。
    それ以外には、三尺角。
    それくらいのお付き合いしかない文豪。

    高野聖は、蛭の林や山家でのことは記憶に残っていたが…。
    こんなに本編に入るまでの語りが長かったっけ?
    まずここに驚いた。

    そう考えてみれば、どれも独特な語りのリズムを持つ。
    たらたらと雫が滴るように文が続き、終わったのか、続くのか、定かではない。
    古語なのか、方言なのか、見知らぬ言い回しは、逝って戻らぬ過去の世を思わせる。

    何か、江戸の建物にランプが置いてあるような、江戸のにおいがする明治の町中に迷い込んだ感じがする。
    そうして、語りに導かれ、町の路地をそこここと、どこへ向かっているかわからな

    0
    2020年07月26日
  • 絵草紙 月夜遊女

    Posted by ブクログ

    鏡花読み慣れてるけどちょっと時系列わかんなくなる時あった。人間の弱い部分、怖いもの見たさ、そして純粋さ。最後は、試されていたのは誰か?というお話。

    0
    2018年05月13日
  • 高野聖

    Posted by ブクログ

    古い文体だけど読みやすかった。
    文章のリズムも良く言葉も美しい。
    何よりストーリーが面白い。特に前半の3つの恋物語はいずれも成就しないで終わっている。その秘めたる想いが何とも哀しく美しい。

    0
    2016年10月04日
  • 歌行燈・高野聖

    Posted by ブクログ

    鏡花の作品で最も有名な「高野聖」。十数年ぶりに再読してみて「こんな話だったのかー!」と当時の自分の理解力の低さに愕然となった。正直「高野聖」は苦手だと思った。森の中で蛭がたくさん落ちてくる描写などかなりリアルで気持ち悪い…。本作で一番好きなのは「売色鴨南蛮」と「歌行燈」だ。典雅で美しい文章から生きる人間の悲しみが滲み出ていて切ない気持ちになる。「紺の筒袖の上被を、浅黄の紐で胸高に一寸留めた甲斐甲斐しい女房ぶり。」は帯してないってことなんですね。祖母もですが昔は帯はよそ行きの時しかしなかったみたいです。

    0
    2016年08月20日
  • 高野聖

    Posted by ブクログ

    漢字の多さにおののきつつ読み進めていくと、物語にいつの間にか引き込まれていました。義血侠血も、外科医も、夜行巡査も、眉かくしの霊も、死が纏いついて綺麗だけど引いてしまう中、高野聖はユーモアと救いのある点で、この中では一番好きな話です。他の作品も読みたいです。だけど休み休み。だって疲れるー。

    0
    2015年10月07日
  • 化鳥・三尺角 他六篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鏡花短編集。面白いものが多かった。最後に急展開が待っているのはいつもながらのこと、それでもワンパターンを思わせない内容の豊富さ。この本には好きな話が多かった。化鳥はちょっとシンプルすぎるきらいがあるように感じたが、三尺角の拾遺の、女の霊が現れる水際の、読んでいてその冷気が伝わってくるような冷ややかな感覚はまさに身の毛もよだつというもの。最後の茸の舞姫も、題名からはかわいい御伽の印象を受けるも実際は恐ろしい話でぞくりとする。時間がたったらいずれ再読したい一冊だった。

    0
    2015年08月11日
  • おばけずき 鏡花怪異小品集

    Posted by ブクログ

    鏡花の幽霊奇譚の短編を、新しい仮名遣いで読むことができ、大変読みやすい。講談、または落語のようにテンポのよい文章は、ときにユーモアもあり、描写された場面が目に浮かぶようだ。

    0
    2016年03月18日
  • おばけずき

    Posted by ブクログ

    鏡花の幽霊奇譚の短編を、新しい仮名遣いで読むことができ、大変読みやすい。講談、または落語のようにテンポのよい文章は、ときにユーモアもあり、描写された場面が目に浮かぶようだ。

    0
    2016年03月18日
  • 化鳥・三尺角 他六篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鏡花の短編集。
    「化鳥」:山奥に母と2人で暮らす男児。その母親に似た「羽の生えたうつくしい姉さん」を見る話。
    「清心庵」:良家の人妻と、18になる少年の性的ではない逢引き。
    「三尺角」:
    「木精」:三尺角の別視点。お柳の魂が男に一目まみえる。
    「朱日記」:不思議な女性に火事が起こることを予言される少年と、その小学校の教師たち。
    「第二蒟蒻本」:芸者の霊が男の元に現れる。
    「革鞄の怪」:電車の中で出くわした公務員が乗り合わせた花嫁に仕掛けたこと・・・。
    「茸の舞姫」:神隠しがえりの青年(少年)が町や神主、集落全体を巻き込む・・・。

    いつもながらの怪異がよろしい。「革鞄の怪」と「茸の舞姫」が好き

    0
    2015年01月03日
  • おばけずき 鏡花怪異小品集

    Posted by ブクログ

    随筆は初めて読んだかも。
    当時の様子や暮らしぶりなど良いな、と思うのですが、…どうも自分、泉鏡花の文章は、旧漢字旧かなづかいでないと、読むスピードが速くて、文章の情緒をしっかり理解できないと気付きました。
    女の輪。
    そんなの見たら、怖いな。
    木菟俗見。
    「貝の穴に河童の居る事」でしょうか、ところで舞台はどこなのですか。房州に、鏡花きてたんだぁ、と思うともえる。
    千倉の沖の幽霊船というものは有名なのか。

    ところで、鏡花の描く房州は、(他の作家がどう描いているのかよく知りませんが…あ猫の国か>千倉)砂と風の吹きすさぶ薄ら寒い印象でなんか良い。京都や近江八幡や金沢みたいな優雅さは求めるべくはないで

    0
    2014年12月11日
  • おばけずき

    Posted by ブクログ

    随筆は初めて読んだかも。
    当時の様子や暮らしぶりなど良いな、と思うのですが、…どうも自分、泉鏡花の文章は、旧漢字旧かなづかいでないと、読むスピードが速くて、文章の情緒をしっかり理解できないと気付きました。
    女の輪。
    そんなの見たら、怖いな。
    木菟俗見。
    「貝の穴に河童の居る事」でしょうか、ところで舞台はどこなのですか。房州に、鏡花きてたんだぁ、と思うともえる。
    千倉の沖の幽霊船というものは有名なのか。

    ところで、鏡花の描く房州は、(他の作家がどう描いているのかよく知りませんが…あ猫の国か>千倉)砂と風の吹きすさぶ薄ら寒い印象でなんか良い。京都や近江八幡や金沢みたいな優雅さは求めるべくはないで

    0
    2019年12月31日