泉鏡花のレビュー一覧

  • 縊死体 乙女の本棚作品集

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    乙女の本棚シリーズでおなじみ、ホノジロトヲジさんのイラスト作品集。
    あらためて読み返してみても夢野久作や泉鏡花との相性がよすぎて、どれも妖艶&崇高な雰囲気が醸し出されている!
    お目当てだったイラスト描き下ろし短編『縊死体』は、ストーリーにあわせて夕刊を模した仕様になっており、ポップと不気味なテイストの融合がたまらない。乙女の本棚シリーズでの新作も楽しみ。

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    2024年10月28日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    改めて読むと、夏目漱石や江戸川乱歩の文章のなんと読みやすいことか。

    個人的には夢野久作の瓶詰地獄が、短編のなかに、考えさせられる構成の工夫があり、謎解きのようで面白かった。
    わかりやすさや時系列がシンプルな今時には見られない昨日だった。、

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    2024年10月27日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    でも、貴下は、貴下は、私を知りますまい!
    外科室での手術で麻酔を拒否する夫人。その視線の先には、外科医・高峰がいた。

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    2024年09月19日
  • 高野聖

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    どの小説も、情景描写が繊細で読んでいてとても惹かれるものがありました。特に後半二つの高野聖と眉隠しの霊は、とても読みごたえがありました。

    私の故郷の地名も登場していたので、想像しながら読み進めることもできてとても楽しかったです!

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    2024年09月14日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    泉鏡花文学忌、鏡花忌

    また読んでしまった外科室
    青空文庫で読んだ2年ほど前のレビューを転記

    上 で、手術室の場景が描かれる。美しいであろう伯爵夫人が、手術にあたり、麻酔を頑なに拒む。遂に、麻酔をせず、執刀が始まる。彼女は、昏睡の中での、うわ言を恐れていたのだ。
    医師のメスを、自らの胸に突き、最期に秘密を囁く。医師も彼女を追う様に死す。

    下 で、夫人と医師が若かりし頃、すれ違い、互いに、その一瞬で惹かれあっていた過去が描かれる。

    9年前のただ一度のすれ違い

    米澤氏の『儚い羊たちの祝宴』の「身内に不幸がありまして」の作中に出てきて、寄り道読書。
    今回は、“うわ言”がポイントでしょうか。

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    2024年09月07日
  • 文豪死す

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    文豪6名の最後を飾った作品を集めたもの。同じような趣旨で、デビュー作代表作を集めた「文豪誕生」も読んで出版社の策にとても共感している。
    表装は今風というかアニメタッチな文豪が1人、芥川だろうかと想像する。
    登場する6名の文豪、初めましての方もいて、読書の門扉が少し開けた気がする。
    それでも好きになったかと言うとそこまでではないが、この点が点と合って線になっていくんだろうなと思う。
    特に芥川龍之介はこの作品でちょっと興味をもった。そして梶井基次郎は檸檬の他に機会があって良かったと思う。

    文豪死すも文豪誕生も、名前は知っているけどそこまでじゃないと言う人にはぴったり。機会があったら読んでみると良

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    2024年08月15日
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)

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     幼くして美しい母を失った鏡花の母への思慕の情と、鳥や虫への偏愛を窺わせる『化鳥』、少年のときに家で見た二人の怪しい婦人、それは一体何だったのだろうと振り返る『霰ふる』、自分の心の秘密を譫言で言ってしまうかもしれないからと麻酔を拒んで手術を受ける伯爵夫人を描く『外科室』、当てもなくブラブラしていたときに見た光景に心を奪われていた男が、一気に怪異に見舞われる『高桟敷』、家の庭に来る雀を慈愛をもって可愛がる様子がほほえましい随筆『二三羽―十二三羽』、しかしこれもやはり鏡花、終盤不思議な出来事に出くわすこととなる。家の近くの様子を描写していたかと思いきや、大水により流された古屋敷に巣食っていた大量の

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    2024年08月10日
  • 文豪怪奇コレクション 綺羅と艶冶の泉鏡花 〈戯曲篇〉

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     鏡花の幻想系戯曲の代表的な作品がほぼ読むことのできるお得な一冊。

     冒頭には、登張竹風と共訳したハウプトマンの『沈鐘』が収録。最初の舞台は樅の大森林。山姫ラウランデライン(朗姫)、池の精ニッケルマン(肉蝦魔)、森の精ワルドシュラアト(虞修羅)と登場人物の和訳名も面白い。
     名人鋳鐘師ハインリヒは自ら作った鐘を山上に運ぼうとしていたところ谷底へ落下してしまい大怪我を負うが、命を助けてくれた山姫に惹かれてしまう。妻子を捨てて顧みず、彼はまた鐘を作ろうとするが…。終盤の展開がなぜそうなるのか良く分からないまま結末になってしまったのだが、異界の世界と人間界との交わりならぬ交わりを描いた本作を、鏡花

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    2024年08月10日
  • 文豪死す

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    「文豪たちの最期を飾った名作を読む」
    それぞれの作家の年表、代表作品ガイド、人物相関図、ゆかりの地、行きつけの店も記載されていてとても面白く読めました。

    やっぱり太宰治の『グッド・バイ』はものすごく面白いので未完なのがとても残念です。続きが読みたいです。中島敦『李陵』はほとんどが漢字で読みにくくて挫折してしまいました。
    また、泉鏡花の『縷紅新草』は、非常に文体の美しい傑作と言われているようですが、なんとなく雰囲気は掴めるものの読むのに苦労してしまいました。

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    2024年07月10日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    夫人登場の2ページを跨いだ1枚絵の姿は幼すぎるように感じたが、他は文章にはないイメージとして、仮面をつけた夫人を黒い医療者達が取り囲む絵や、赤血球柄の着物を着た赤い夫人が傷口から出てくる絵など、オリジナル解釈でありながらイメージが崩れることなく、好みのものだった。

    話自体もロマンスがあり、胸の下を切り開いて処置するのに麻酔無しで堪えるほどの想いがあるというのがグッとくる。

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    2024年07月10日
  • 日本橋

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    ネタバレ

    鏡花作品は「山海評判記」(集成10巻)で暗礁に乗り上げかかっている僕だが、この「日本橋」は、初めどこか退屈に思われながら、さながら色褪せた衣が、内側に絢爛な錦絵を隠していて、それが次第に現れ出て来て、そこで、古びたような衣の表側の美にも改めて気づく、そのような目覚ましいものに感じられた。
    星ひとつ減らしたのは、当時の見識では仕方なかったことかもしれないが、アイヌ(と呼ばれた当人は民族ではない)を蔑称として扱った一幕があったからである。

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    2024年04月30日
  • 絵本の春

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    ネタバレ

    怪奇幻想ホラーは古典の方が怖いと改めて実感する。屋敷町の荒れ果てた裏小路、十歳くらいの「私」が土塀の一ヶ所にくっついて庭の中を覗いていた。占い師をしている小母さんがやってきて、恐ろしい伝説を聞かせてくれた。「あの組屋敷の侍が巳巳巳巳、巳の年月の揃った若い女の生肝で治るというので、侍は人買いから若い女を手に入れ、雨戸をまな板代わりに、女の裸を鎹で打ちつけ、真っ白な腹をずぶずぶと割く。そして蛇は美女に化け、洪水を起こしたのだ。」すべては蛇の怨念だった。口語体ゆえに怖さが倍増した。④

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    2024年04月13日
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)

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    抒情的な言葉の並びがリズミカルで流麗
    独り言のような語り口調が笑いを誘うところもある
    赤蜻蛉の唄が印象的で刹那
    怪異な物語の情景がありありと浮かぶ

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    2023年11月30日
  • おばけずき

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    『言葉に艶(つや)がある』
    これに尽きます。

    短編やエッセイなど、小品を集めたアンソロジーですがどれもが美しく幻想的。"湿っぽい不気味さ"が味わえるのが日本ならではの怪談の特徴なのでしょう。今では滅多に使わない語句も多いのですが、きちんとルビが振ってあるので入門編としてもお薦めです。
    人間の抱える深い闇。それが古語を交えた流れるように鮮やかな文体で語られると、色も匂いも、そして肌触りまで伝わってくるように感じられ、中毒性が高いこと請け合いです。

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    2023年09月25日
  • おばけずき 鏡花怪異小品集

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    『言葉に艶(つや)がある』
    これに尽きます。

    短編やエッセイなど、小品を集めたアンソロジーですがどれもが美しく幻想的。"湿っぽい不気味さ"が味わえるのが日本ならではの怪談の特徴なのでしょう。今では滅多に使わない語句も多いのですが、きちんとルビが振ってあるので入門編としてもお薦めです。
    人間の抱える深い闇。それが古語を交えた流れるように鮮やかな文体で語られると、色も匂いも、そして肌触りまで伝わってくるように感じられ、中毒性が高いこと請け合いです。

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    2023年09月25日
  • 龍潭譚/白鬼女物語

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     本年2023年は泉鏡花の生誕150年とのこと。ちくま文庫の種村季弘編『泉鏡花集成』が品切れになって久しく、『高野聖』等の代表作を除いては、文庫本で手軽に読むことが難しくなっていたが、近年、アンソロジスト東雅夫氏により鏡花の必ずしも有名でない作品まで読むことができるようになり、嬉しい限り。
     本書は、生誕150年に合わせて、鏡花作品を特色づける<幻想と怪奇>の物語を、膨大な小品群の中から新たに拾い蒐めることを編纂の眼目としたとのことで、初めて読む作品が多く、大変ありがたい。

     解説でも引用されているが、鏡花の魅力を伝えるには三島由紀夫の評が何よりであろう。「日本語のもっとも奔放な、もっとも高

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    2023年09月13日
  • 歌行燈・高野聖

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    高野聖と歌行燈。
    文語体が拙者には難しかった。しかし、この唯一無二の文体は、文語体でしか表せない。読後、持っていた文庫本が少し重くなった気がした。

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    2023年08月21日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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     乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとしきみさんのコラボ作品「夜叉ヶ池」です。しきみさんのイラストは、「夜叉ヶ池」らしく青緑を基調としたもので雰囲気出てます。が…戯曲??何??しかも、今回も難しい…ってところから(^-^;)

     竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった…それを守るのが萩原晃・百合夫婦だった。一方その言い伝えがあるために剣ヶ峰に行けない夜叉ケ池に住む白雪姫…この2つの恋の行方を戯曲で表現しているのがこの作品…でいいかな(汗)。

     ラストがまた息をのむ展開で…さすが泉鏡花さんです!!難しい…読める

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    2023年07月27日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    あらすじは聞いたことがあったけど、読むのは初めて。古典が苦手な私にはハードル高いかぁ…とか思ってましたが読み出したら意外といけました。
    挿絵も美しいし、全方位におすすめします!

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    2023年07月20日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    ネタバレ

     乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「外科室」です。イラストは前に息子がこの表紙が好きと言った、ホノジロトヲジさん…これは期待大っ!!でも、読み始めてすぐに、あれ?難しいじゃない(;・∀・)!ハードルがめっちゃ高め…目が点になっちゃったけど、とにかく読んでみよう!!

     ストーリーは、伯爵夫人の手術を外科医の高峰が担当することになり、術前準備を勧める中、うわごとを他人に聞かれたくないので麻酔はされたくないと伯爵夫人が拒否することからはじまる…。どんな説得にも応じず頑なまでに麻酔を拒否する夫人…それならば、と覚悟を決めた高峰は麻酔をせずに手術を決行するが、夫人は最

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    2023年07月16日