泉鏡花のレビュー一覧
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泉鏡花文学忌、鏡花忌
また読んでしまった外科室
青空文庫で読んだ2年ほど前のレビューを転記
上 で、手術室の場景が描かれる。美しいであろう伯爵夫人が、手術にあたり、麻酔を頑なに拒む。遂に、麻酔をせず、執刀が始まる。彼女は、昏睡の中での、うわ言を恐れていたのだ。
医師のメスを、自らの胸に突き、最期に秘密を囁く。医師も彼女を追う様に死す。
下 で、夫人と医師が若かりし頃、すれ違い、互いに、その一瞬で惹かれあっていた過去が描かれる。
9年前のただ一度のすれ違い
米澤氏の『儚い羊たちの祝宴』の「身内に不幸がありまして」の作中に出てきて、寄り道読書。
今回は、“うわ言”がポイントでしょうか。
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Posted by ブクログ
文豪6名の最後を飾った作品を集めたもの。同じような趣旨で、デビュー作代表作を集めた「文豪誕生」も読んで出版社の策にとても共感している。
表装は今風というかアニメタッチな文豪が1人、芥川だろうかと想像する。
登場する6名の文豪、初めましての方もいて、読書の門扉が少し開けた気がする。
それでも好きになったかと言うとそこまでではないが、この点が点と合って線になっていくんだろうなと思う。
特に芥川龍之介はこの作品でちょっと興味をもった。そして梶井基次郎は檸檬の他に機会があって良かったと思う。
文豪死すも文豪誕生も、名前は知っているけどそこまでじゃないと言う人にはぴったり。機会があったら読んでみると良 -
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幼くして美しい母を失った鏡花の母への思慕の情と、鳥や虫への偏愛を窺わせる『化鳥』、少年のときに家で見た二人の怪しい婦人、それは一体何だったのだろうと振り返る『霰ふる』、自分の心の秘密を譫言で言ってしまうかもしれないからと麻酔を拒んで手術を受ける伯爵夫人を描く『外科室』、当てもなくブラブラしていたときに見た光景に心を奪われていた男が、一気に怪異に見舞われる『高桟敷』、家の庭に来る雀を慈愛をもって可愛がる様子がほほえましい随筆『二三羽―十二三羽』、しかしこれもやはり鏡花、終盤不思議な出来事に出くわすこととなる。家の近くの様子を描写していたかと思いきや、大水により流された古屋敷に巣食っていた大量の
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鏡花の幻想系戯曲の代表的な作品がほぼ読むことのできるお得な一冊。
冒頭には、登張竹風と共訳したハウプトマンの『沈鐘』が収録。最初の舞台は樅の大森林。山姫ラウランデライン(朗姫)、池の精ニッケルマン(肉蝦魔)、森の精ワルドシュラアト(虞修羅)と登場人物の和訳名も面白い。
名人鋳鐘師ハインリヒは自ら作った鐘を山上に運ぼうとしていたところ谷底へ落下してしまい大怪我を負うが、命を助けてくれた山姫に惹かれてしまう。妻子を捨てて顧みず、彼はまた鐘を作ろうとするが…。終盤の展開がなぜそうなるのか良く分からないまま結末になってしまったのだが、異界の世界と人間界との交わりならぬ交わりを描いた本作を、鏡花 -
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本年2023年は泉鏡花の生誕150年とのこと。ちくま文庫の種村季弘編『泉鏡花集成』が品切れになって久しく、『高野聖』等の代表作を除いては、文庫本で手軽に読むことが難しくなっていたが、近年、アンソロジスト東雅夫氏により鏡花の必ずしも有名でない作品まで読むことができるようになり、嬉しい限り。
本書は、生誕150年に合わせて、鏡花作品を特色づける<幻想と怪奇>の物語を、膨大な小品群の中から新たに拾い蒐めることを編纂の眼目としたとのことで、初めて読む作品が多く、大変ありがたい。
解説でも引用されているが、鏡花の魅力を伝えるには三島由紀夫の評が何よりであろう。「日本語のもっとも奔放な、もっとも高 -
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乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとしきみさんのコラボ作品「夜叉ヶ池」です。しきみさんのイラストは、「夜叉ヶ池」らしく青緑を基調としたもので雰囲気出てます。が…戯曲??何??しかも、今回も難しい…ってところから(^-^;)
竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった…それを守るのが萩原晃・百合夫婦だった。一方その言い伝えがあるために剣ヶ峰に行けない夜叉ケ池に住む白雪姫…この2つの恋の行方を戯曲で表現しているのがこの作品…でいいかな(汗)。
ラストがまた息をのむ展開で…さすが泉鏡花さんです!!難しい…読める -
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ネタバレ乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「外科室」です。イラストは前に息子がこの表紙が好きと言った、ホノジロトヲジさん…これは期待大っ!!でも、読み始めてすぐに、あれ?難しいじゃない(;・∀・)!ハードルがめっちゃ高め…目が点になっちゃったけど、とにかく読んでみよう!!
ストーリーは、伯爵夫人の手術を外科医の高峰が担当することになり、術前準備を勧める中、うわごとを他人に聞かれたくないので麻酔はされたくないと伯爵夫人が拒否することからはじまる…。どんな説得にも応じず頑なまでに麻酔を拒否する夫人…それならば、と覚悟を決めた高峰は麻酔をせずに手術を決行するが、夫人は最