泉鏡花のレビュー一覧
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BSの「ぶらぶら美術館」で小村雪岱を知った。日本画家でデザイナー的な事もこなし、資生堂書体を作った人。(番組終わってしまって哀しい。五郎さんの博識案内をもっと聞きたかった。)
番組の中で紹介されたのが、泉鏡花のこの本。
正直、難しいかなと躊躇した。天守物語とか読んでいるけど、世話物というか現実の話は敷居が高いと感じていた。
(引用)
この声に、清らかな耳許、果敢なげな胸のあたりを飛廻られて、日向に悩む花がある。盛りの牡丹の妙齢ながら、島田髷の縺れに影が映す‥肩揚を除ったばかりらしい、姿も大柄に見えるほど荒い絣の、聊か身幅も広いのに、黒繻子の襟の掛かった縞御召の一枚着、友禅の前垂、同一で青い帯。緋鹿子の背負上げした、それしゃと見えるが仇気ない娘風俗、つい近所か、日傘も翳さず、可愛い素足に台所穿を引掛けたのが、紅と浅黄で羽を彩る飴の鳥と、打切飴の紙袋を両の手に、お馴染みの親仁の店。有りはしないが暖簾を潜りそうにして出た処を、捌いた褄も淀むまで、むらむらとその腕白共に寄って集られたものである。
漢字には細かくルビがあるし、巻末には脚注があるけれど、上の文章を何度読んでも悲しいかな、その風景は見えてこない。5,6回読み直し、あ、飴を買いに来たのねと分かった。一文が長いし、比喩表現がボンボン入ってくるから文意が取れないんだな。まったくお手上げという訳ではないけれど、細かい部分で理解できたのか、自信がない。
以下、幾つかの疑問。
・お孝の気狂いが唐突に感じた。
・葛木の姉に対する憧憬。姉に似た人形への思い。清葉への恋心は読まされたけど、お孝に口説かれて(?)、乗り換える辺りが、う~ん、それでいいのかとも思う。
・葛木が仏門に入り、また還俗するのも唐突だと思う。
つまり、読切れていないだと思う。
帯に玉三郎さん主演のシネマ歌舞伎の案内があった。シマッタ。見ておくべきだった。 -
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幻想的かつ涼やかな印象で、夏に読もうと思っていたらぴったりだった。
越前にある「夜叉ヶ池」には、水害をもたらす竜神が封じ込められているという言い伝えがあった。そしてその竜神を鎮めておくためには、日に三度の鐘を鳴らし続けなければならず、今では土地に移り住んだ若夫婦がその役目を担っていた。
しかし未曾有の日照りがつづいていたとある夜、旧友と再会した夫が、夜叉ヶ池を案内しようと留守にしたところ、妻の百合を雨乞いの生贄にしようと企んだ町の者が捕らえにやってきて——
という戯曲。竜神こと夜叉ヶ池の主人は、白雪姫という名のキュートなプリンセス。好きな人がいるのに、封じ込められているせいで会いにゆけず日々鬱憤をためこんでいる。強行突破しようとするやいなや家臣(魚である)たちが必死に引き留める様子がおもしろい。
竜神だって恋する乙女なんである。「生命のために恋は棄てない。お退き、お退き。」が痺れる。
そんな押し問答をしているところに、留守番中の百合の歌声が響いてくるのだが、百合もまた恋しい人(夫)の帰りを待ってさみしい思いをしていることを知った白雪姫が、
「この家の二人は、嫉しいが、羨ましい。」
と、自分にとっては憎き存在でありながらも理解を示すところが彼女のキュートさをより際立たせる。
ラストにかけての展開もドラマチックでとても面白かった。
イラストレーターのしきみさんによる、最後の見開きカットでの穏やかな笑顔の三人がとても素敵だった。 -
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単純に4名の文豪の吉原をテーマの作品を揃えただけかと思いきや、これはこの文庫を企画編集された人のアイディアが面白い。
まず最初に荷風の「里の今昔」という随筆を持ってきて、その中で江戸の情緒が残る明治期の吉原の思い出を語らせます。
そしてその随筆内で荷風が推す「当時の吉原が上手く作品に描かれている」として、樋口一葉の「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」の3作品を挙げており、それを続けて掲載した一冊という体裁になっています。
ですので、読み方によっては「永井荷風セレクト吉原アンソロジー」って感じで楽しめる仕上がりです。
巻末解説(川本さん)に詳しく述べられていますが、3作品それぞれ視点の置き所が違いつつ、それぞれその作家らしい作品でどれも面白かった。 -
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泉鏡花 短編集
注解と解説が充実。表題2編が 非現実から現実を読むスタイルが明確でわかりやすい。他は普通で物足りない
化鳥
*テーマは「人間の傲慢さや差別〜虐げられた者(被差別民)の怒り」
*鳥は 被差別民の比喩と捉えた
*橋が 人間世界と別世界(被差別民)の境界線を意図していると思う
*母(被差別民)への思慕、差別する側(人間)の自分という目線〜母と同じ側になるために化鳥となる
三尺角
*テーマは 自然信仰の福音性〜木に神が宿る思想
*木を礼拝する如く挽く与吉の福音が柳の絶望を救う
*幻想や自然信仰から 福音(現実の滅びから救われる)を見出している
木精
*三尺角の続編。工学士=近代の滅びの象徴
*抜け殻の近代が 幻想を通して、前近代の美しさに気づく構成
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伯爵夫人は、麻酔をしないでくれという。
うわ言が怖いから。
医学士→高峰様→イケメン。
しかし、痛いから。
麻酔なしには手術が出来ないので、
周りの人達が伯爵夫人を説得する。
麻酔は要らぬ、切ってくれと言う夫人。
医学士はついに夫人の白い胸にメスを入れる。
夫人は医学士に
「貴下だから、貴下だから」
「貴下は、私を知りますまい!」「忘れない」と言い捨て、ばつたり枕に伏す。
描写が美しい。そしてエロい。
9年前に、高瀬様がまだ医科大学の学生だった頃、
2人が偶然すれ違った時の事。
そこに夫人の想いがあった。
からの、そういう結果だったと解釈するが、あっているのか?
文章が(言い回しが)難しいので、理解できているのか?怪しい私。