泉鏡花のレビュー一覧
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伯爵夫人は、麻酔をしないでくれという。
うわ言が怖いから。
医学士→高峰様→イケメン。
しかし、痛いから。
麻酔なしには手術が出来ないので、
周りの人達が伯爵夫人を説得する。
麻酔は要らぬ、切ってくれと言う夫人。
医学士はついに夫人の白い胸にメスを入れる。
夫人は医学士に
「貴下だから、貴下だから」
「貴下は、私を知りますまい!」「忘れない」と言い捨て、ばつたり枕に伏す。
描写が美しい。そしてエロい。
9年前に、高瀬様がまだ医科大学の学生だった頃、
2人が偶然すれ違った時の事。
そこに夫人の想いがあった。
からの、そういう結果だったと解釈するが、あっているのか?
文章が(言い回しが)難しいので -
Posted by ブクログ
収録作品
龍潭譚、高野聖、天守物語、眉かくしの霊、雛がたり、絵本の春、妖僧記
解説:秋山 稔:金沢学院大学学長・泉鏡花記念館館長
現代語訳されているので作品の内容理解には大変役立ちます。ただ、「現代語訳」されているが故に、元の泉鏡花の美文を読んでいると漂ってくる香気(としか表現できない…)は失われてしまっているので、この本から初めて鏡花作品に触れる人は、ぜひいつか原文にもチャレンジして欲しいし、オリジナルの文章を読む方に抵抗ない人は、この本を傍らに置いて意味がくみ取れない所だけ、現代語訳を参照…といった使い方が良いのかな?と思いました。 -
Posted by ブクログ
全体に歯切れ良くリズミカルな文章。擬音語の差し込み方が印象的で好き。最後までぐいぐい読まされてしまう。
初めの収録作品は、まず怒涛のように押し寄せる見慣れない漢字や古い文法に面食らったけれど、分かり易い展開と心情描写のお陰で、慣れてしまえばすいすい読めた。高野聖、眉かくしの霊になると、大仰な表現は鳴りをひそめ、華美な装飾を削ぐことでさらにリズムの良さ、品の良さが際立っている。美しい情景描写を堪能し、楽しい読書時間を過ごせた。
以下ネタバレ含む、各話感想。
義血俠血
勢いの良い若々しい文章。義理人情が主題のためか、熱っぽくドラマチックな展開が続き、まるで舞台を観ているよう。
特に多く割かれた -
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原作は明治37年発表
アダム・カバットにより現代仮名遣いにされ、台詞に話者名が付記され、山村浩二によって挿絵がほどこされて読みやすくなっている。
若者が大鮟鱇を売るため天秤棒に掛けて月夜に歩いていて、肝を食べようと口に手を入れて引き出したところ、妖しい美女が現れて同道し、殿様(侯爵)に取り入ってお方様になる。
心配した若者らが見に行くと、殿様は美女のために健康を害し、美女の口から吐く炎で屋敷は火事になる。若者らが殿様を助け出し、焼け落ちた家屋の下敷きになった美女の死体を海に捨てたところ生き返り、なぜか天から神将が降り「世の災いを除くため」に殿様に弓で美女を射させようとするが果たされず、美女は -
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講談、小唄を彷彿とさせるリズムのある文章は泉鏡花ならでは。小説、随筆、百物語…とカテゴリ分けはされてても、何を描いても鏡花の世界になるのは流石。
印象に残ったのは以下の三点
関東大震災の被災記録である「露宿」「十六夜」「間引菜」。先日、井伏鱒二の被災記録(荻窪風土記)を読んだのだが、筆者の性格の違い等々からくるのであろう、おなじ関東大震災でも描かれ方の違いが見て取れて面白い。特に泉鏡花の幻視を盛り込んだ避難所の描写は、この世のものではない何かが覗きこんでいるようで、こんな状況でも鏡花ワールドかー!みたいな気分に。
随筆「春着」は紅葉先生、尾崎一門門弟の仲良しっぷりが感じ取れて微笑ましい。
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講談、小唄を彷彿とさせるリズムのある文章は泉鏡花ならでは。小説、随筆、百物語…とカテゴリ分けはされてても、何を描いても鏡花の世界になるのは流石。
印象に残ったのは以下の三点
関東大震災の被災記録である「露宿」「十六夜」「間引菜」。先日、井伏鱒二の被災記録(荻窪風土記)を読んだのだが、筆者の性格の違い等々からくるのであろう、おなじ関東大震災でも描かれ方の違いが見て取れて面白い。特に泉鏡花の幻視を盛り込んだ避難所の描写は、この世のものではない何かが覗きこんでいるようで、こんな状況でも鏡花ワールドかー!みたいな気分に。
随筆「春着」は紅葉先生、尾崎一門門弟の仲良しっぷりが感じ取れて微笑ましい。
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Posted by ブクログ
文語体の読みづらさよ。しかし、不惑も近くなっているのに、読書好きであるのに、文語体苦手というのはいかがなものか。精進が足りません。文語体でもさらりと読み進める、というのに年少の頃ほのかに憧れていたりしたものです。
とはいえ、怪しげな雰囲気を醸し出すのに、ひと役もふた役も担っているのは事実。もちろん、鏡花自身はそんな効果期待していたわけではないですけどね。文語体を使用することが、まずない時代になったからこその感想でしょうか。仰々しい語り口調に思えたのですよ。
関東大震災の時の体験談は一読の価値あり。震災の不安と恐怖と動揺。それでも、観察・記憶・記録してしまう性というのが、怪しの所業だと思いまし -
Posted by ブクログ
文語体の読みづらさよ。しかし、不惑も近くなっているのに、読書好きであるのに、文語体苦手というのはいかがなものか。精進が足りません。文語体でもさらりと読み進める、というのに年少の頃ほのかに憧れていたりしたものです。
とはいえ、怪しげな雰囲気を醸し出すのに、ひと役もふた役も担っているのは事実。もちろん、鏡花自身はそんな効果期待していたわけではないですけどね。文語体を使用することが、まずない時代になったからこその感想でしょうか。仰々しい語り口調に思えたのですよ。
関東大震災の時の体験談は一読の価値あり。震災の不安と恐怖と動揺。それでも、観察・記憶・記録してしまう性というのが、怪しの所業だと思いまし -
Posted by ブクログ
鏡花の文章は美しいですが難解。
思ったよりも全部読むのに時間が掛かってしまった一冊でした。
今回も妖しくも美しい妖怪が登場する話が多く楽しい。
特に「朱日記」。
火事の炎の恐ろしげな美しさと相まったからということもあると思いますが。この話に登場する女性からは不気味なまでの美しさと妖艶さを感じました。
文章の描写だけでここまで感じさせるというところが鏡花の凄さだと思います。
鏡花の文章には不思議な魔力みたいなものがあると感じますが、これはまさにその魔力を強く感じた話でした。
あと不気味さという点で魅力的だったのは「第二蒟蒻本」と「茸の舞姫」。
特に「第二蒟蒻本」の方は、最後かなりぞっとさせられま