泉鏡花のレビュー一覧

  • 乙女の本棚9 外科室

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    今風の言葉で感想を述べるならば「エモい」の一言に尽きますが、とてもそんな言葉では語り切れないものがこの物語にはあります。
    挿絵がまた大変に美しいのですが、それが更に物語の良さを引き立てています。
    昔の文体で書かれているので、現代語訳をネットで調べながら読むのがおすすめ……。

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    2021年10月19日
  • 小説集 吉原の面影

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    あなた、私の心が見えましょう

    鏡花目的で購入したけれど、この編集考えた人天才。永井荷風の随筆と、そこで紹介された3作品を収録している。
    でもやっぱり鏡花が最高。
    同じテーマでも圧倒的に美しく、優しく、悲しくて幻想的。
    江戸っ子言葉も読んでいてたのしい。

    たけくらべは川上未映子の新訳がでているからそちらで読む予定。昔一回読んだけどあんまり記憶にない。
    あと、雅文が読めないのです。
    広津柳浪は会話が軽快でとても読みやすかった。

    この辺りは田んぼだったとか、今は残っていないお稲荷様とか、昔の浅草を想像して読むのがとても楽しかった。今はもうほとんど面影はないけど、土地勘ある人にはぜひ、みんなにす

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    2021年07月13日
  • 黒百合

    購入済み

    超長編

    すごく長いです。「黒百合」を求めて滝太郎が富山に赴く話。滝太郎は序盤は華族の関係者だけれど、実は…という生い立ちがあります。

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    2021年03月22日
  • 乙女の本棚9 外科室

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    ネタバレ

    あまりにも月並みな言葉になってしまうが、「エモい」とはこういうことか……みたいな気持ちになります。

    お互いにお互いのことなど知らぬまま続くはずだったろう人生が、思いがけない再会により覆ってしまうのは運命的で素敵だけれど、だからと言って何を望むことも出来るはずもなく。
    「忘れません」という言葉が、彼女にとってどれだけ救われ、どれだけ嬉しいものだったかを思うには、どうにも想像力が足りない気がしてしまう……。
    文字通り墓場まで持っていくつもりだったのだろう、秘めたる想いは、もしかしたら血よりも鮮やかな赤だったのかもしれない……などと思ったり。
    彼岸の向こうで、二人はもう一度逢えるのでしょうか……。

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    2020年08月14日
  • 歌行燈・高野聖

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    明治期は、近代化が急速に進む中で、変わりつつある世界を肯定的に捉えるところと、否定的に捉えるところがあり、泉鏡花のこれら短編小説には、それが、女性観、恋愛観、義などのテーマとして描かれている。

    「歌行燈」では、芸に対する真摯な姿勢、義理人情、そして内面の強さがうまく描かれていて、それらは人間の美しさとして感動を呼ぶ。そして、その美しさは時代の超えて恒久的なものだ。

    泉鏡花の作品は、舞台、映画、朗読に取り上げられることが多く、それは、独特の文体、表現の豊かさ、ストーリーのテンポ、があるからだろう。

    多分に読者の想像力に任される部分があり、現代社会では想像力が追い付かないところが、難解となる

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    2020年08月10日
  • 歌行燈・高野聖

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    ネタバレ

    泉鏡花を読んだことがなかったがとても面白い。
    聞き手が臆病で甘えたがりで、それでいて気の良い人なのが分かって、もう泉鏡花のことが好きになった。
    話としてはそう珍しいものでもないが、もしかしたらこういう怪奇系の話の走りが、「高野聖」だったのかなと思った。
    しかし親仁はなぜ無事なのか?あの人の狂言かもしれないけど、それは話としては面白くないので無いだろう。
    あの人は、女と世俗との唯一の繋がりなのかな。

    「女客」
    もう死んでしまおうかと思った男。お民は寝ている、寝ているけれども、お堀に飛び込もうとすれば必ず後ろから引き留めてくれる、と信じていた。相手を神のようにすら思う形の愛情がある。
    最後、子供

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    2020年03月14日
  • 泉鏡花 現代語訳集 別巻1 外科室・夜行巡査、他4編

    購入済み

    オリジナルの文章はちょっと難しいのでこういう現代語訳はとてもいいですね!泉鏡花の素晴らしい世界が読みやすくて嬉しいです!

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    2019年11月25日
  • 化鳥・三尺角 他六篇

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    ネタバレ

    ずっと愛読していたのに未登録だったので。いまは「泉鏡花集成」を読んでいるが、その前は(いや、もしかしたらいまでも)鏡花作品の中で1冊しか持てないならこの本と決めていた。『化鳥』の生物観、『三尺角』や『木霊』の幽幻と悲しみと神秘、『清心庵』にあらわれる一種の納得と驚き、『第二蒟蒻本』のせつないいとしさは、どれも身が締まって胸が透き通る。『朱日記』では現代知に支配されきらない、強い、ほかの理の存在が示されてどきどきする。『皮鞄の怪』の、どこか潔くすっきりした様子にははっとさせられる。『茸の舞姫』は、まだわからない部分もあるが、怖い中にもある種の理があるのは窺える。などといろいろ書いたが、鏡花作品は

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    2018年10月10日
  • 高野聖

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    これは……なんで今まで読まずにいたのだろう。
    こんな幻想的な小説を書く人が、ずっと昔に存在していたんだ。
    素晴らしすぎて、言葉にならない。
    美しい文章に流れるようなペースで読んでしまった。

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    2017年03月25日
  • 歌行燈・高野聖

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    瞼(まぶた)に颯(さっ)と薄紅(うすくれない)。

    CMのコピーのような文章がさらっと出てくる。でも嫌味でなく自然。自由自在な言葉使いにノックアウトされました。天才肌の人なんでしょう。カメラのカット割を考えたかのような場面の切り替わりが印象的。

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    2014年08月21日
  • 歌行燈・高野聖

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    個性的な温泉の気分です。一回漬かって気持ちいいと、何度でも漬かりたくなる。
    独特の言葉遣いと節回し。これは、洋楽のウタ物を、言葉の意味だけではなくて、音やリズムでも愉しむ感覚に似ています。の、ような気がします。
    一方で。
    成程、こういう日本語の使い方は、確実に江戸時代や中世からの日本語を、現代に架け橋しているなあ、と思います。
    無論、尾崎紅葉さんの門下ですから、紅葉さんがひとつ前に居る訳ですが。この、耽美でもって背徳的。ヒトの弱さが嫋やかに描かれる文章世界。芥川龍之介さんから谷崎潤一郎さん、恐らくは三島由紀夫さんであり丸谷才一さんであり村上春樹さんまで。脈々と日本語使いの水脈になっているんだろ

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    2014年07月22日
  • 化鳥・三尺角 他六篇

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    やっぱり鏡花の書くお化けは佳い。美人だし可愛い。

    人が鳥や魚に見えるあどげない少年の一人称の表題作「化鳥」を筆頭に、切り出された材木から立ち上る凄まじい幻想の「三尺角」、物の怪が跳躍しひたすら赤のイメージが綴られる「朱日記」、しっぽりと恐ろしい「第二菎蒻本」「木霊」、狂乱かつ艶なら「茸の舞姫」、その袖を噛む「皮鞄の怪」、懐かしさなら「清心庵」。切り口は豊かに、かつ美しい掌編尽くしの一冊。

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    2014年02月04日
  • 歌行燈・高野聖

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    『歌行燈』が素晴らしい。
    解説にもある通り、映画的であり能楽的。2つのストーリーを同時展開しながら、徐々に急迫な調を帯びつつ、クライマックスに向けてストーリーを統合しながら盛り上げていく、その演出力とリズム感。
    文章自体のリズム感、というか詩的表現力(言葉遣い)も素晴らしい。
    一言でいえば、センスがいい。
    神憑った逸品。

    『高野聖』も良い作品です。
    泉鏡花はほんとにセンスがいいです。

    なお、泉鏡花の作品は「想像しながら読むのが大変」という印象。
    先に漫画や演劇などでイメージや粗筋を掴んでおくほうが、読むには楽だと思います。

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    2013年11月15日
  • 歌行燈・高野聖

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    折々再読します。あらすじを知っていても読みたくなるのは、幻想世界への誘いが強烈だからでしょう。イマジネーションに身を委ねると、ひりつく暑さの中での匂い立つような淫蕩さが五感を刺激します。これぞエロチズムです。

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    2013年01月08日
  • 歌行燈・高野聖

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    この新潮社版収められている全ての短編がすばらしい。ことに「女客」が好き。舞台は家の2階。明治時代。お互いに我が身の不運を感じながらも生きている書生と、乳飲み子を抱えた親戚の女。火ばちで手をあぶりながら身の上話をするふたり。階下の子の泣き声にはっと現実に帰る。

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    2012年12月22日
  • おばけずき 鏡花怪異小品集

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    初泉鏡花デス。たまたま手にしたのが初心者向けの小品集だったので、耳慣れない言葉も何とかついていくことができた…のかな?という感じです。とにかく言葉が綺麗。難しいけどテンポ良く、ユーモアがあってもっと色々と読んでみたくなりました。特に関東大震災の三部作、被災体験記は今も参考にしたいところがちらほらでした。

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    2012年12月18日
  • おばけずき

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    初泉鏡花デス。たまたま手にしたのが初心者向けの小品集だったので、耳慣れない言葉も何とかついていくことができた…のかな?という感じです。とにかく言葉が綺麗。難しいけどテンポ良く、ユーモアがあってもっと色々と読んでみたくなりました。特に関東大震災の三部作、被災体験記は今も参考にしたいところがちらほらでした。

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    2012年12月18日
  • 歌行燈・高野聖

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    ネタバレ

    NHKのテレビ番組のJブンガクを見ています。
    2010年の8月に 高野聖を紹介していたので読み直しました。

    日の光を遮って昼もなお暗い大木が切々に1つ一つ蛭になって了(しま)うのに相違ないと,いや,全くの事で。

    というくだりを

    Each of the trees here, any of them big enough to block sun at midday, would crumble into small pieces, turning into even more leeches - just imagine that!

    と訳していました。

    へー,そういう意味なんだと

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    2012年03月21日
  • 歌行燈・高野聖

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    ネタバレ

    『高野聖』の官能的な描写は素晴らしいと感じた。ただ単に肉体の官能を文章にするような局部的な官能ではなく、文章全体の流れから官能を呼び起こす総体的な官能であり、幻想的という言葉がよく合う小説であると感じた。

    『歌行燈』は、泉鏡花が芸術に対して持っている愛のようなものさえ感じる小説。装飾品の美しい描写が特徴的であり、行燈が暗闇を照らしているような、朧気な雰囲気が漂う耽美的と言える小説であると感じた。

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    2012年02月01日
  • ちくま日本文学全集 泉 鏡花

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    耳で聞きたいきれいな文が多いですね。歌舞伎の台詞回しのような感じで。そして「歌行燈」など構成がすぐれている作品が多かったかな。「天守物語」「山吹」「湯島の境内(婦系図)」は戯曲で、こちらでも耳にこころよい文が堪能できました。

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    2009年10月04日