泉鏡花のレビュー一覧

  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)
    幻惑幻想。
    浮世離れした幻想に片足をいれたような夫婦と、下界といっていい現実世界に蠢く村人や権力者。
    それに夜叉ヶ池の幻想そのものの住人たち。
    この世ならざる夜叉ヶ池の住人たちとは直接関係はなく話が進むが、最後には幻想幻惑がすべてを飲み込む。
    池の堰が切れたように。
    さすが、泉鏡花先生。戯曲では天守...続きを読む
  • 乙女の本棚10 赤とんぼ
    童話。
    赤とんぼとかあいいおじょうちゃんのほのぼのとした童話。
    赤とんぼをかわいがるおじょうちゃんと彼女を気に入る赤とんぼの交流がかわいらしかった。
    それとねこ助さんの挿絵が本当に素敵。
  • 乙女の本棚9 外科室
    はじめて泉鏡花作品を読んだけど、読みづらい。自分の不勉強を思い知った。それでもなんとか読んだ。絵の力。真の美の人に出会ってみたい。或いはわたしがそうなりたい。
  • 絵本の春
    ★新坊や、可恐い処だ、あすこは可恐い処だよ。
     絵が凄い。それだけでも持っておきたくなる。
     あやしい小路があり逢魔が時なは貸本屋の札が貼られているのが見えたりするのだが占いをやってる小母さんは一度死んで甦ったことがあり身体も大きくなかば魔に近い存在なので平気でそのせいか少年だった頃の「私」もなんと...続きを読む
  • 乙女の本棚3 葉桜と魔笛
    島根の城下町に暮らす姉妹。
    病気の妹はある秘密を抱えていた。

    姉妹の苦悩が美しく描かれていた。
    太宰の人間描写が潔癖な乙女のように清らかで憂いに満ちていた。好き。
    紗久楽さんの絵が太宰の文と絶妙に合っていて艶やかで美麗だった。
  • 乙女の本棚4 檸檬
    学生時代に読んで以来
    です。

    路地裏や街角の暗さに
    惹かれる主人公。

    しんしんと降ってくる
    雪の様に紡がれる言葉。

    心がしんと鎮まります。

    そして薄暗いトーンの
    世界に唐突に投げ入れ
    られた、

    鮮烈極まる原色の檸檬。

    檸檬を置いて踵を返す
    その刹那一瞬の気持ち、

    ほんの少しだけわかる
    ...続きを読む
  • 乙女の本棚7 蜜柑
    檸檬の白熱灯に対して、この蜜柑では夕焼けに踊る蜜柑。蒸気機関列車の疾走感と陽の温かみにほんのり心が温まる。
  • 乙女の本棚4 檸檬
    これは小説なのか、エッセイなのか。夭逝の作者自身と重ねて読む。
    イラストの書生はあまり病的な感じがなく、いまひとつ感情移入しにくいが、白熱灯のオレンジの光の中でそれでも黄色く輝く檸檬は印象的。
  • 文豪怪奇コレクション 耽美と憧憬の泉鏡花 〈小説篇〉
    文庫化されていない作品を本の形で読めるのはよかったが、注釈がないスタイルはよくないのではないかと思いました。鏡花好きな人だとしても、全部の単語がわかっているわけでもないだろうし、鏡花はじめあの時代の本・文化は初めて手に取りますといった人にはだいぶ分かりづらい本になっている。

    作品の内容自体は、鳥肌...続きを読む
  • 乙女の本棚2 猫町
    「猫町」という作品自体がとても好きだと感じたのだけどそれだけではなくて、巻末エッセイの最果タヒさんの言葉にも惹かれた。


    言葉を読むあいだ、遠いものと近いものとがぐるぐると回転をしながら目の前を通り過ぎていくような感覚に溺れる。

    自分の体内に消化が難しい食べ物が急に飛び込んできたような感覚。

    ...続きを読む
  • 乙女の本棚7 蜜柑
    素敵な絵に惹かれて、読んでみました。
    芥川龍之介の著書はほとんど読んだことがなく、蜘蛛の糸くらいしか知りませんでした。
    この話も少女の実情を知れば、本当はせつないお話なんですね。
    文章だけよりも絵があることで、より情景が見えてわかり易かったです。
  • 乙女の本棚8 夢十夜
    学生時代の教科書に載ってるもの以外読んだことがないけど、この歳になって文豪触れてみたい…と思いこのシリーズで最近文豪を読み始めました。

    その中でも一夜の話に惹き込まれ購入し、そのままあとの話もスラスラ読めました。
    綺麗なイラストと共に読めるのは、今まで海外文庫ばかり読んでいて、文庫本のあらすじなど...続きを読む
  • 乙女の本棚9 外科室
    江戸川乱歩とか谷崎潤一郎にくらべて文体が古くて読むのに少し苦戦したけど、短編なのですぐ読めた。

    なんというか言葉選びがすごく綺麗で繊細。また読んで自分の文章の参考にもしたい
  • 文豪怪奇コレクション 恐怖と哀愁の内田百閒
    一番最初の「とおぼえ」を読んだときに、ぞくぞくと肌がひりつくような世界観に一気に引き込まれた。
    特に好きだったのは「映像」。狂気が滲む不気味なラストは、いっそ美しいのかもしれない。
  • 乙女の本棚 女生徒
    イラストが華やかで、ロリィタワールドの様な雰囲気はなかなかいいなと思った。主人公を取り巻く環境、主人公の考えが想像つく。
  • 乙女の本棚2 猫町
    不思議なイラストと共に名作を読む、乙女の本棚シリーズは気になっていましたがやっと読めた!1回でなかなか理解できなかったが、とても面白かった。
  • 文豪怪奇コレクション 恐怖と哀愁の内田百閒
    正直話の意味はわからんよ、全然。でも、うっかり仰向けで寝てしまってうなされて目が覚めて、目が覚めたことに気づくまでの不安定で重くてとらえきれない感覚が、理性働いてる端正な文章で立ち上ってくるところが、まともじゃなくて好き。映像とゆうべの雲は普通に怖いよ…
  • 乙女の本棚10 赤とんぼ
     大正2年、愛知県生まれ、結核により29歳で没、新美南吉・作&ねこ助・絵「赤とんぼ」、2019.2発行。<初出、1928年> 夏の間、別荘に来た娘と赤とんぼの楽しいひととき、別れた後のさびしさと思い出を描いたものです。
  • 歌行燈・高野聖
    初めての泉鏡花、めちゃくちゃ良かったです。全体的に構成力が凄いと感じました。高野聖は語りが多層化していて、読み進めて気がついたら幻想世界に踏み込んでいます。また、歌行燈では複数ある物語が、少しずつ重なっていき、最後のシーンで一体になる構成は読み進める手が止まらなくなるほど面白いです。文語体や時代背景...続きを読む
  • 乙女の本棚9 外科室
    星4.5
    文章はとても綺麗だと思うが
    慣れるのに少し手こずった

    それでも伯爵夫人の壮絶な決意と秘めた思いは痛いほど伝わった
    一瞬の2人だけの世界も

    「絵本」を上手く使った色やページの使い方、そして絵もとても素晴らしい
    読む時はこの本で読んで欲しいです