長谷川眞理子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
久々のジャレド・ダイアモンド。第三のチンパンジー「完全版」もう30年も経つとは… その後の研究成果で博士の予想が外れてたりもしてるが、今読んでも興味深いテーマ。他の動物と比べたヒトの特異点を探っていき、「大躍進」の秘密を探ろうという内容。700万年前に類人猿と分岐して以来、解剖学的に現代人と同じ人類は10万年前に現れているが、「大躍進」はたかだか1〜2万年前で、何がそのきっかけになっているのか。言語が最も重要で、それによって文化や芸術も発展してきたと予想。どの本でもそうだが、博士の博識ぶりに感嘆させられる。ユヴァル・ノア・ハラリがサピエンスを書くときに相談を持ちかけたのももっともだと思わせる。
-
Posted by ブクログ
ヒトと動物の違いは何か、について人類学的な様々な角度から考察。実はホモサピエンスは類人猿類で最後に分岐されたわけではないこと、高度な技能を音声機能の進化により伝達できたことがはじまりであること、口伝だった時代に大事だった年寄り、高度な技術の蓄積が子どもの長い未熟期間につながり、オスもメスと協力して長い子育てをするようになることで、乱婚ではなくなること、などなど、仮説ではあるが壮大なつながり、構造の基、文化や社会が形成されているという、構造主義にもつながる考察が多くて興味深い。自らの遺伝子をいかに残すか、の共通したルールフレームから解釈できる体系を切り開いたダーウィンは本当に歴史を変えた転換点を作ったんだ、と改めて感嘆。
-
Posted by ブクログ
非常に面白かった。
上巻は正行為に関わる論点が多く筆者の嗜好性が出てたり、古さを感じさせたり、冗長な印象だったが、下巻は面白い。
人類史みたいな部分が筆者の強みだと思う。
ヨーロッパの起源がステップ地域の遊牧民族にある話、ポリネシア人、ネイティブアメリカンのジェノサイドの話など。
非常に面白いし古さを感じない。
また巻末にある、人間の自然破壊に対する一般的な意見への反論が示唆深い。
人間による環境破壊は、長期目線で見たときに、隕石衝突などと比べて大したことはなく、地球温暖化も過去に何回もあったため、大したことない、と言う論に対する反論として、自然消滅のスピードが過去と比べて明らかに早いこと、隕石衝突で哺乳類は死ななかったことで反論している点。
また、人間の生活に貢献しない生物はいらないと言う論へは、複雑なエコシステムをとっている自然環境において、貢献しない種だけを選り分けることが構造的に不可能だと言っている点。
上記の論についてファクトを並べて説明するのではなく、一定ロジックベースで展開する点も非常に読みやすい。
ファクトはたくさん持っているのだろうがそこの開示だけにこだわらず、さまざまな領域の知見フル動員しながら(筆者は非常に幅広い分野に深い造詣がある)、論を組み立てており、知的好奇心が刺激され異常に面白い。
筆者の強みである人類史について書かれた「銃病原菌鉄」は必読だと思ったのでこれから読む。 -
Posted by ブクログ
Astrobiology Clubで東大の市橋伯一先生が勧めていたので。
生物の生存戦略を性の観点から書いた本。
面白かった。
著者のマット・リドレーという方は学者さんではなく、ジャーナリストだそうです。
素人でも読みやすいのはそういう理由もあるのかな。
また最後に、「ここに書かれている説の多くが誤りであろう」、とあるのにも好感を感じるし、知性を感じる。
説は常に覆されるし、一時真実味があるように見えるものも、時間が経てば否定される事も多い。
それをきちんと踏まえている。
ちなみに赤の女王とは、『鏡の国のアリス』に登場する女王で、彼女の国はものすごいスピードで動いているので、同じ場所にとどまるためには自身もすごいスピードで移動しなくてはならなく、常に移動している。
ある説では、(生物の)種は、常に競争に晒され安住することはない。種を変わらず保ち続けるには、ライバルに打ち勝つために変化し続けなくてはならない。
そこで、生物学界ではこの説を鏡の国のアリスの赤の女王に見立て、「赤の女王説」と呼ぶ。
マット・リドレーは比較的この赤の女王説に賛同しているようだ。
しかし、昨今は奇妙な平等主義が蔓延しているけれど、やはり性に違いはありそれぞれ得手不得手がある、というのが私の持論だけど、この本を読んで改めて思ったことだよ。
男女は違うのですよ。
そして人間ってやはり特殊な点が多いんだな…。
種の進化の謎。
ちょっと厚いけど、面白い。
そして読みやすい。
マット・リドレーという人は主に生物学系の本が多そうだけど、ほかもちょっと読んでみたい。