長谷川眞理子のレビュー一覧
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担当業務がこれまでの領域とあまりにも異なったので、ハウツーばかり読んでいて、最近古典など読めていなかったが、久しぶりに読もうという気持ちになれた。
しかし、まだまだ学ぶべきことが多いと自分の無学を恥ずかしく思う。がんばらねば。
経営の意思決定をする際に、例えばオプションA、B、Cがあったとする。当たり前の話ですが、どの選択肢が一番優れているかは事前には分からない。どんなに分析して予測しても、実際にやってみなければ分からない面がある。だとすれば、事前に最も強固な拠りどころとなるのは、その人の中にある「論理的な確信」しかない。
それは、具体的なレベルで仮定に仮定を重ねて、各オプションの期待値を計算してくような作業ではなく、物事を単純化して「要するにこういうことだ」と本質をつかみ、自らの確信に基づいて決断するということです。
この「論理的な確信」の淵源となるものが教養なのだと思います。教養のない人には重大な意思決定は任せられません。 -
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進化生物学者と社会生物学者、2人の先生が現在の日本社会について対談する、というちょっと面白い切り口の本。読んでいると、お2人とも歯に衣着せぬ感じの物言いで、タイプが似ているからこそ相乗効果的に話が進んでいくテンポの良さがあります。
対談となると、他に対決している流れのものと一方がインタビューする流れのものがあるように思うのですが、双方に専門知識があるなら今回のような流れは面白いなぁ、と感じました。とは言え、じゃあこの対談に反対の意見を持つ人を1人加えてみたらどうなるだろう、と興味を持ってしまうのも事実ですが。。
日本社会が抱える問題に対して、2人の専門分野の中から知見が出てくる訳ですが、専門分野を少し離れて「子育て」や「いじめ」なんかを対象にカジュアルめな対談をしているのが、変な物言いですが贅沢な印象を受けました。
各分野でトップクラスの頭脳が、まるで居酒屋で雑談をしているようなスペック持て余し感ですが、「へー」となる話がちょいちょい出てきます。個人的には総じて面白く読めました。
ちなみに、一部のサブタイトルについて、おそらくその後に本文を削ってしまったからか、サブタイトルの内容が全く本文に出てこないという箇所がありました。そこも読みたかったなぁ。 -
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ネタバレ進化の話は今まで読んできた本にもよく出ていたし、だいたい知ってる話かなぁなんて読み始めたら、とんでもない。面白い話が次から次へと出てきました。いやぁ、自然って、地球って、すごいなぁ。
モーリシャス島のドードーの絶滅の話は子どもの頃に絵本やなんかで読んでいて、ドードーさんかわいそう!と思っていた思い出がありますが、ドードーが絶滅したことで、モーリシャス島に生えるタンバロコックの木という木も、新しく生えることが出来なくなってしまったということを初めて知りました。この木はドードーが種を呑み込むことによって、発芽する仕組みになっていたと考えられるそうで、もう樹齢300年以上の老木しか見つかっていないそう。ドードーが最後に目撃されたのが1681年。自然は本当に巡り巡っているんだなと実感させられるお話でした。 -
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動物達の行動学です。
放送大学の講義テキストかもとになっているようです。
なかなか面白かったです。
動物の行動の理由をゲーム理論で説明したり、しきれなかったり。
囚人のジレンマなんて話が、こういうところに出てくるのかと、びっくり。
利他的な行動をなぜ取るのかという点は、主に血縁関係にあるものを守ることによって、自分と同じ遺伝子を持つものの生存確率をあげているらしいです。
子育てに関して、全くしないものから、両親ともするものまでの分類が興味深かったです。鳥類は両親でやることが多いそうで、哺乳類は母親だけがほとんど。その理由などが述べられていました。
それから、かねてから疑問だった、オスばかりがやたら綺麗だったり、ツノがやたら伸びたりすることについても述べられていて、納得。
こういう知識があることで、これまで以上に、動物番組を楽しんで見ることことが出来そうです。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
膨大な科学的知識の消化よりも、科学の基本にある考え方や意味についての確かな理解こそ、現代の私たちにとっては大切なことだろう。
著者は、根っからの理科系でも文科系でもないと自称する生物学者。
クローン羊の誕生、ムシの子育て、イギリスでの見聞など、多彩な話題をおりまぜながら、科学と人間と社会について考えるエッセイ集。
[ 目次 ]
1 生物の不思議をさぐる
2 科学・人間・社会
3 科学史の舞台裏
4 ケンブリッジのキャンパスから
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
私たちの住む地球には、なぜこんなにも多種多様な生き物がいるのか?
それらはどういうプロセスを経て今日のような形になったのか?
適応化、遺伝子の組み替えの謎、淘汰のメカニズムや、オス・メスの性差の意味、配偶をめぐる競争などについて、豊富な具体例とエピソードを紹介しつつ、「進化」のメカニズムの謎を解く。
[ 目次 ]
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Posted by ブクログ
進化や人間の脳についてはとても勉強になった。
なので良著として色んな人に勧めたいのだが、文化や社会について書かれた章があまりにも雑なので誰にも勧められない。
かなり気をつけないと誤情報を元に女性差別を肯定し始めると思う。
脳の働きなど科学的な研究に基づいていることについては、記述も「そういうことが示唆される」「そういう説がある」ときちんと科学的に正しい説明になっているのだが、社会構造や性差に関しては統計的根拠を持ち得ないはずなのに突如として言い切りが入る。
例えば女性が優位の種「は比較的少数しか存在しない」と言うが、哺乳類6000種のうちどれほどについて子育てや群れの構造が判明しているのか?
社会構造については比較の対象が非常に変わっていて、大体先進国(欧米)と狩猟民族(のうち著名なもの)の例を持って「どこでも同じ」とまとめたりする。
文化や社会の章に関しては筆者の意見と科学的コンセンサスが書き分けられていないので、極めて注意する必要があると思う。
これらについて知りたければもっとデータを繊細に扱っている本を探した方がいい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ楠木 僕自身が人間観として大切だと思っていることは、人間は多面的で、一貫性がないものであるということです。選書でも触れたサマセット・モームの本から学んだことですが、あれだけ人間について洞察を重ねた作家が行き着いた結論が「首尾一貫した人はいない」。そして、その理由は「誰もが結局のところ自分だけは特別だと思っている」からだと言うのです。
出口 本当は愚かなのに、自尊心だけは強いですからね。
楠木 ええ、自己愛です。これは誰しもがそうですね。僕は、それを無視して人に一貫性を求めるのは無理があると思います。「声高に正論を言う人」が僕は大嫌いですね。そういう人ほど、すぐに自分を棚に上げる。
出口 大脳生理学者の研究では、人間の脳の構造からしてリテラシーの高い人ほどコロコロ自分の意見を変える傾向があるとの実験結果が出ています。つまり、相対的に賢い人でもコロコロ意見を変えてしまうものなのですね。脳は、自分を保護するために見たいものを見えるようにできていますし、都合が良いように考えてしまうのです。
出口 また、先ほども述べたように、僕は「人間は不器用な動物だ」と思っているので、何事もプロに教えてもらわないと上達しないと思います。
スポーツでも、先生が教えてくれたことを真似して上達していきますよね。それと同様に、自分の頭で考えて、自分の言葉で自分の意見を言うことも、これまでの歴史の中で優れた脳を思っていた人がどういうロジックを組み立てたかを学べば身につくと思うのです。
例えば、アダム・スミスはどういう数字・ファクトを積み重ねて『国富論』や『道徳感情論』などを書いたのかなどと考えながら読むことで、彼の思考のプロセスを追体験できます。それを丁寧に読み込んで真似していくことで、能の筋肉は鍛えられていくのだと思います。僕は人・本・旅の中でもとくに本に過大な期待をかけているのかもしれませんが、他の二つに比べていいものを選びやすい点と、効率がいい点、それから考える力を養える点で、本以上のものはそう簡単には見つからないと思うのです。
楠木 僕は、人間が取りうるあらゆる活動の中で、読書が最もコストパフォーマンスが優れていると思っています。しかも、他の活動に比べて桁違いに優れている。
人間の不合理さが分からなければビジネスはできない
そもそも経済学とはどのような学問か。経済学は合理的な意志決定をするための「選択の学問」だ。文字通り、ビジネスにおいて選択を間違えると致命的になる。だからこそ、「選択」について解明が必要だ。経済学は、人々が、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのような方法で「選択」をするのかを解明する学問なのだ。選択の5W1Hを知るには、伝統的刑事額と行動経済学の二つがヒントになる。それぞれを説明していきたい。
伝統的経済学とは、情報を集めて、合理的な推論に基づいて、課題解決への最適ルートを求めるための学問であり、未来の選択をどうすべきか最適解を模索する。これが可能とされるのは、合理的な人、言い換えれば導き出した最短ルートを通ることができる人を前提条件にしているからだ。原理原則上の最適解を叩き出し、ベンチマークを知る点では伝統的経済学は必要な学問と言える。組織の経営理念やバリューなどのグランドビジョンを求め、システムを構築するのに有効だ。そもそもの目標、ベンチマークがなければ実務にブレイクダウンすることができない。
しかし世の中の多くの人は、合理的な行動を取るばかりではない。頭で理解できていても、行動は感情に左右されてしまうものだ。
そうした人々の行動を描写するのが、行動経済学だ。つまり、人がなぜ想定とは異なる道を選び、行動したのかを探る学問だ。そして得られて成果から、人が選択するときに囚われがちな思考におけるトラップの理屈、理論を解明する。
この二つをPDCAサイクルに当てはめると、伝統的経済学で決めた理想的な計画を考え、行動経済学的に実現可能な形に定式化し、実際に実施した結果を、行動経済学の観点からチェックし、計画の修正を図ることができると言える。
リーダーは両者を学ぶ必要がある。学ぶ順序はどちらでもいいが、リーダーのレベルによって求める思考スタイルは変わるだろう。企業のビジョンやバリューを打ち出し、時代に合った人事システム、経営戦略を企てるには伝統的経済学が適している。一方で、長時間労働の解消や日々の改善のノウハウなど、社内の小さな制度改革には行動経済学が役に立つ。後者はアジェンダが明確なものほど、より具体的に解決できるメリットを持つ。繰り返しになるが、両方の経済学をどちらも学ぶことを推奨したい。「両方」を強調する理由の一つは、伝統的経済学で捉える原理原則と、行動経済学で捉える現実のどちらが欠けても、学び手の社会に対する現状認識が偏ってしまうと考えるからだ。
経済学から「未来のことを選択するのか、過去に選択したことなのか」を学ぶと、ビジネスで成功の道を切り開く手がかりとなる。拙著『経済学のセンスを磨く』(日経プレミアムシリーズ)ではレタス農家の経営を例に挙げつつ、経済学のセンスを持つと、個人や企業の判断が、果たして合理的判断かどうかチェックできるようになると説いた。過去に選択したが現在の選択によって戻ってこない賃金や労力はサンクコストと呼ばれる。未来の選択を行う上でサンクコストを考慮しても意味がない。しかし、私たちは過去にこういう選択をしたのだから、それを続けるべきだ、と考えがちだ。サンクコストのバイアスから逃れることができれば、ビジネスに携わる上で有利に働く。なぜなら合理的判断は損得勘定に関わり、判断を下せるか否かによって、事業の利益を大きく左右するからだ。
『いつも「時間がない」あなたに』センデイル・ライナタン、エルダー・シャフィール
私たちは追い詰められると、素晴らしい成果を発揮できる。しかし同時に、それ以外のことは目に入らなくなってしまう。貧困者が、貧困から抜け出ることができないのは、毎日のお金のやりくりに注意を集中させるため、長期的に有利なお金の使い方に気を向けられないからだ。これは貧困者だけでなく、高所得者にも言えることだ。例えば、仕事に集中しすぎると子育てや家庭生活を犠牲にしてしまうことがある。その集中した状態を、まるでトンネルの中にいるみたいに視野が狭くなり、先の出口しか見えなくなる状態に喩えて「トンネリング効果」と呼ぶ。
本書は、人が欠乏状態に陥ると優れた能力が発揮できると同時に、代償として失うものがあることを説得的に示しており、頼もしいことにそれへの対応策も提示してくれる。
「トンネリング効果」を知ると、長時間労働を減らすべき理由も分かる。長時間労働で、一次の集中によって瞬発的な生産性を高めても、重要なことを無視してしまったり、自分の健康を悪化させてしまったりして、長期的な生産性を下げてしまうのだ。労働の集中を敢えて断ち切らせるため、インターバル時間の意識的な導入などが本編には挙げられている。もちろん、これは従業員だけの話ではない。リーダーこそトンネルに入ってしまうとそのコストが多大になることを留意しておきたい。