篠綾子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
和歌が事件に絡む〈万葉集歌解き譚〉シリーズ第三作。
これまでの二作は薬種問屋〈伊勢屋〉の小僧・助松の父・大五郎を巡っての話だったが、今回は大五郎から離れ、舞台も江戸を離れて伊香保温泉。
旅のメンバーは〈伊勢屋〉のお嬢様・しづ子と母・八重、女中のおせい、手代の庄助に小僧の助松、そしてボディーガードとして陰陽師・葛木多陽人の六人。
途中まではシリーズらしく和歌を吟じたり助松に和歌を教えたりしながら楽しく旅をしていたのだが、烏川を渡る時に庄助が人形祓いの舟形を見つけたことから雲行きが怪しくなってくる。
せっかく伊香保に着いたのに、多陽人は途中のある村が気になるので一人戻って様子を見てくるという。 -
Posted by ブクログ
※小町と業平が出て来る2020.8-9月の新刊文庫: 2/3
矜持を持ったベテラン女官の小町、藤原北家当主として時の権力者として尊大な良房、まだ若く青臭く強気な業平。小町との強気なやり取りの応酬は、なかなか読みごたえがありました。
「承和の変」を挟む事で、仁明天皇が宗貞、小町、業平に与えた密命とその行方が分かりやすく描かれているなと感じました。
(小町の目を通して時代を切り取ったとでも言えばいいのかな)
個人的には業平や小町の心情が吐露されていて、歌人ではない部分が見える所が良かった。
あと、仁明天皇が出来なかった小町への返歌を業平の知恵を借りた惟喬親王がした所にクスっとしてしまった。
-
Posted by ブクログ
「からころも」など万葉集にちなんだサスペンスものを書かれた作家さん。今回は『伊勢物語』の在原業平が主人公で、やはり歌が物語の中心となっている。
副題は『歌解き譚』だが、こちらもミステリーと言うよりはサスペンスタッチだ。
ここで描かれている在原業平はイメージ通り。女性にモテモテで常にいろんな女性の元に通っている。何と、十に満たない少女からも猛烈に言い寄られている。
当然歌も上手くて、東宮・道康親王(後の文徳天皇)の子・惟喬親王の歌の指南もしている。
だが軟弱な印象とは裏腹に武道や乗馬も出来る硬派な面もある。唯一の弱点は当時男子なら習得出来て当たり前な漢文が苦手なこと。
そんな業平が、惟喬親王に -
Posted by ブクログ
平安時代の代表的美女として知られる、小野小町を主人公にして描かれた宮中物語。
仁明天皇の更衣として宮中務めをしている小町。その美貌ゆえに同僚女官から妬まれたりしながらも、淡々と“宮中ライフ”をおくっている様子。
そんな中、皇位継承をめぐる複雑な権力争いから、“承和の変”という、皇太子が廃されてしまう政変が起こり、小町も“東宮を守ってほしい”という、帝の意向から政治的な事柄に関わることになっていきます。
この政争の原因といえる、皇位継承の系統や血縁関係がかなりややこしくて、つい斜め読みしそうになりますが、ここは大事なので頑張って読みました(笑)。
勿論、このようなきな臭い事だけでなく、小町をめ -
Posted by ブクログ
可愛らしい表紙と『万葉集謎解き譚』という副題からして日常系のノンビリした話かと思いきや、意外にもサスペンスタッチな話だった。
主人公は薬種問屋<伊勢屋>の小僧・助松、十歳。
彼は一年半前に富山へ仕事で出かけたきり行方不明となってしまった父・大五郎を探すため、父の日記について調べている。
大五郎が富山へ出かける前、誰にも見せてはいけないと言い残し助松に託したその日記には、万葉集の和歌が六首書かれていた。和歌について全く知らない助松は<伊勢屋>の娘・しづ子と<伊勢屋>の客で陰陽師の葛木多陽人(たびと)にそれとなく和歌の意味を聞くのだが、父の行方や失踪の理由にはなかなか辿り着かない。
そんなある日 -
Posted by ブクログ
タイトルの弟切草、漢字で書くと何とも意味深で怖い。
その由来はというと、鷹の傷に効くというこの植物のことを秘密にしていた鷹匠だがその弟が他人に明かしてしまったために鷹匠に切られて殺されたという。葉に散った無数の黒い点はその時の弟の血飛沫だとか。
…という禍々しい由来の植物をタイトルにしてあるが、作品の雰囲気はそこまで暗くない。
主人公は小烏神社という古い(というかボロい)神社のただ一人の宮司・賀茂竜晴。
一言主命と縁が深く言霊を操る力に長けている竜晴には二柱の付喪神が側に付いている。それが普段は白蛇の姿の抜丸と烏の姿の小烏丸だ。
二柱とも由緒ある刀の付喪神だが、小烏丸の本体である刀、その名も