篠綾子のレビュー一覧
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斎藤道三の娘にして、織田信長の正室「濃姫(のうひめ)」こと、帰蝶さまの物語。
昨年の大河ドラマで何かと話題な帰蝶さまだが、この本の発行は2019年12月25日、「麒麟が来る」の放送開始直前というまことにタイムリーなものだった。
また、帰蝶さまに会える本。
武将の国盗り物語ではないので、戦乱に関しては、あった事、流れのみが語られる。
主なエピソードが記憶にあればOK、「麒麟」を観ていれば予習として更に分かりやすくなる。
本題は、戦国時代に生を受けた一人の女の生き方。
帰蝶に関しては、明智光秀と同様に資料は少なく、いか様に描くも作者次第なところがある。
この作品には意外なオリジナルキャラが用意されていて、見届け役を務める。
帰蝶は、大河ドラマ「麒麟が来る」と同じように、従兄弟である明智光秀に心を寄せている。
信長に嫁ぐことになり、戦国の女としての自分の運命に疑問を抱く。
この時代、女は政治の道具として、同盟の証に政略結婚させられることが多かった。
正妻である母や、父の側室である深芳野を見て、自分は、男の道具ではなく帰蝶としての人生を歩みたいと思う。
「〇〇ちゃんのママと呼ばれたくない」という、現代の女性にも理解されやすい、帰蝶の思い。
自分探しの旅の果てに行き着く先は、夫や、側室の産んだ子供達のために生きる、それも自分の生き方、という考えだった。
現代的に、また一般的に言い換えれば、他人に「あなたは夫や子供のためだけに自分の時間を使っている。あなたらしい人生って何なの?」みたいなことを言われたとしても、その生き方を本人の意思で選んでいたのならば、それは自分らしい人生。「これが私」と胸を張っていいのである。
そこから、帰蝶が、自分も夫をよく見ていなかったのではないかと思い、やり直すくだりも、不自然ではない。
作品の数だけ、「本能寺の変」の解釈は存在する。
ああ、この世界ではこういう運命であったか、とただ納得して感慨するばかりだ。 -
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日本橋の薬種問屋・伊勢屋に小僧として奉公する助松と、お嬢様のしづ子、陰陽師の葛木多陽人が万葉歌にまつわる謎を解くシリーズ、第二弾。
大岡忠光、田沼意次という歴史上の人物を絡ませながら、今回も万葉集の世界と暗号ミステリを楽しめた。
助松としづ子お嬢さんの真ん中の年齢の、武家の若君・加藤千蔭(ちかげ)の登場で、少年探偵団的な雰囲気も楽しめる。
教養もあり勇気もあるのにオカルト的な物がちょっと苦手な千蔭ほほえましく、前巻では泣き虫だった助松が意外にも、年上の千蔭より冷静だったりと成長が見えて嬉しい。
お嬢さんも硬さが少し取れ、おおらかさもそなえて大人の女性に近づきつつある。
それにしても!大五郎さん拐われたり囚われたりしすぎ!
姫か?姫なのか?!(笑)
いらぬ隠し事が、他人から疑いを持たれる元となり、周りの人たちをも危険に巻き込む、と年上の大五郎さんを諫める多陽人、大物感漂う。何者なのか。 -
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薬種問屋・伊勢屋の小僧・助松が、残された日記を元に、失踪した父の謎を追う。
…と言ってもまだ12歳だから、大人の手助けが必要。
手がかりは、父の日記の中に記されている、万葉集の歌。
伊勢屋のお嬢さんのしづ子や、謎の美形陰陽師・葛木多陽人(かつらぎたびと)に、歌の意味を教えてもらいながら、助松は次第に万葉集に興味を持っていく。
しかし、父は意外な事件に絡んでいて…
もはや万葉集オタクみたいなしづ子お嬢様。
万葉集を語ると急に早口になるとか、ある古書店主を思い出す。
そして、真面目な歌はつまらない、と言い放ってはしづ子の不興を買い、政治批判の狂歌を作ってふざけてみせる、葛木多陽人。
だが、意外に頼りになる人物であり、助松も慕っている。
万葉集の歌が暗号に使われているのが面白い。
私の好きな、有間皇子の歌も出てきて、しみじみ思いを馳せた。
そして事件は終わっているようで終わっていない?
父にはまだ秘密があるのか?
助松の成長も楽しみで、シリーズとして長く続いてほしい。 -
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ネタバレ照月堂の子供たちの通う手習塾で、図らずも師範の大切にしていた鬼灯をもぎ取ってしまった亀次郎。
泣く泣く打ち明けて謝りに行く。
その時に鬼灯を模したお菓子を持たせることに。
露寒軒の知り合いで、菓子比べで、選者となってくれた、陶陶斎。ずっと若いが無役の御家人でもある。そして菓子が大好きである。
一緒に師範のところへ行き、鬼灯をずっと楽しめる保存法を教えた。
新しい鬼灯の菓子の名は「ほおずき灯し」「青ほおずき」
季節は秋本番。
茶会が多くなる忙しくなる季節。
照月堂は太助だけでは忙しい店先を甥っ子の能楽をやっていた青年を連れてくる。
武士との付き合いが増え、対応ができる人材が欲しかったところに、能楽の素養のある文太夫は適任だった。
氷川屋では、親方が日本橋の大店、一鶴堂に引き抜かれてしまった。
歌の雅と、商いの厳しさ、職人の一途な思い。
そんなエッセンスが絡み合う密な物語、第6巻。 -
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ネタバレいくら探してもこの本見つからない…と思っていたら「桜木町」って変換ミスしてた(汗)
主人公は小野小町だろうけど、こんなに能動的な仁明天皇って初めて見たかも。少年期の道康親王も(紀静子を見初めるとこなんか、記述されているの初めて見た)。そして絶妙な立ち位置で存在感のある良岑宗貞(僧正遍照)も。逆に、どこの作品ででも作者に可愛がられてておいしい役回りの業平が、何故か本作品では軽くて幼い狂言回し。
仁明天皇の御世。嵯峨上皇が存命で睨みを効かせている間、東宮には叔父と妹の子・恒貞親王をキープ。仁明自身は良房の同母妹・順子に道康を産ませ(少年道康は見張るような伯父が煙たがるが)、紀種子と常康も可愛がる。良房は仁明の異母妹・潔姫を正妻にした手前、女漁りは御法度。この絶妙なパワーバランスが文徳期に入って崩れ始めるまでを、複雑な人物関係をサラッと処理して分かり易く書いてる。この作者の技量、中々では。
欲を言えば、「承和の変」は皇太后と良房の結託や橘逸勢、阿保親王とのやり取りが欲しい(恒貞親王が、仁明を責めたり母・正子に触れるシーンは、なかなか印象的)。あと、良房と潔姫の夫婦なやり取りもこの作者の筆で見たかった。
「雪花の君」が良房なのは中盤でバレバレなのに、かなり後半まで明かすのを引っ張るのが、少し野暮。
基経とか行平とかは、出すとややこしいから省略か…? -
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ネタバレ北村季吟が照月堂のお得意様となり、その流れで柳沢義康にも気に入られるように。
照月堂は主人、久兵衛の卓越したわざと丁寧な仕事を助けるなつめたちの真摯な取り組みで名前が上がる一方。
かつて商売の邪魔を何度となくした氷川屋は、そのやり方を嫌う同業者の恨みも買い、親方が辞めて、寂れる一方。
なつめの兄の行方を知る行商の薬屋、粂二郎が病で亡くなり、冨吉が照月堂に小僧として一緒に暮らすことに。
そして、なつめの思い人である菊蔵が、親友のしのぶと結婚することに。。。
京都に修行に出た、安吉も、次第に京菓子の魅力に惹かれ、修行を楽しみなものにしてゆく。 -
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ネタバレこの作家「篠綾子」さんの本との初めての出会いは、
何年か前に一度読んだ『代筆屋おいちシリーズ』の1巻と2巻。
ところがその時はさほど面白さがわからなかったので
感銘を受けるまではいかなかった。
ところが最近『江戸菓舗照月堂シリーズ』を全巻読んでから
というもの、普通の物語に、和歌が混じる文章も
違和感なく読むことに慣れると、
再び『代筆屋おいちシリーズ』を1巻から4巻全巻を再読。
江戸菓子舗シリーズのホッとするような優しい物語に
癒されたせいか、今回はストンと胸に落ちた。
そして新シリーズ!
『万葉集歌解き譚シリーズ第1巻からころも』を読む。
今回の新シリーズは、物語の中の和歌も実にしっくり馴染んでいて、違和感がないどころか、素敵な雰囲気を醸し出している。
その上、スリリングなミステリーも含まれていて、
登場人物にも好感が持てる。
第1巻から、何やら良い予感がする。
1971年生まれ。東京学芸大卒
『春の夜の夢の如く〜新平家公達草子』で、デビュー
『月蝕 有原業平歌解き譚』
『青山に在り』
『更紗屋おりん雛形帖シリーズ』
『江戸菓子舗照月堂シリーズ』
『絵草紙屋万葉堂シリーズ』
『代筆屋おいちシリーズ』など
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内容(「BOOK」データベースより)
さつきと喜重郎は、およねが黒鳶式部の名で書いた黄表紙を紹介する瓦版(読売)を刷って好評を得る。そんなある日、姿を消したままの駒三が自分の兄ではないかという男が訪ねてくる。その男、清右衛門はその後も万葉堂にやってくるようになった。清右衛門が、盗賊団「蛇の目」の一味が瓦版を連絡に使っているらしいと話したことから、さつきと喜重郎は瓦版から得られた手がかりを同心に知らせたのだが…。「蛇の目」捕縛に繋がる情報は見つかったのか?そしてさつきと伝蔵、およねと喜重郎、それぞれの仲は進展するのか。シリーズ佳境となる、注目の第三作!
令和元年11月26日~12月1日