あらすじ
藤原定家はある日、父俊成より三種の御題を出された。これを解いた暁には「古今伝授」を授けるという。公家社会に起こる政治的策謀と事件の謎を追い、背後に潜む古代からの権力の闇に迫る鎌倉和歌ミステリ!
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Posted by ブクログ
和歌のなかに隠された暗号を解き、「幻の神器」を探す歴史ミステリー小説。園城寺の美僧長覚、紀氏の血をひく岩清水八幡宮権別当の息子潮丸、式子内親王などの助けをかり、藤原定家が難題に挑む。読後感のいい歴史ミステリーの秀作。
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百人一首をつかったパズルゲームをカギにした小説かな と思っていましたが、平安時代初期の歴史を題材にしたものでした。
その時代の小説を読んだばかりだったので、楽しく読書できました。
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鎌倉時代初期、藤原定家を主人公にした小説。定家の父の俊成から「古今伝授」を受け継ぐためには、三種の御題を解かなければならない。その俊成が誘拐されてしまい、解放されには早急に三種の御題を解かねばならなくなる。美形だが毒舌びんびんの僧侶長覚と紀家の少年潮丸の助けを得て、謎解きと父俊成の解放に奔走する。
折句、隠し題、本歌取りなど和歌の技法が散りばめられた謎に感心する。篠綾子さん、和歌の蘊蓄が好きだねえ。もともと高校の古典の先生だったというから、好きな和歌に邁進と言う感じだね。定家は意外と優柔不断な常識人に描かれている。
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こんなに和歌が盛り込まれた作品は初めてです・・・当然手に負えないのですが、歌事態が内容に深く関わるからシツコク読んでいました。古今伝授をめぐるなぞはまだ続く。
感想を書いていて「シリーズ」だと気がついた
本も唐突に終わった訳じゃなかった(安心)
Posted by ブクログ
歌に隠された謎解きは面白いが、結局定家が解いた謎はほとんどないという…優秀なワトソンがたくさんいる系ミステリだった。長覚とのコンビの要だが、長覚よりも潮丸のほうが目立っていたような。
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頼朝が鎌倉幕府を開いていた頃の京が舞台。
紀貫之が弟子に伝授したと言われる「古今伝授」。
藤原定家は父、俊成より「古今伝授」の相承者の証に必要と、三種の御題を出される。
御題の謎に取り組み始めた数ヶ月後、俊成が何者かに攫われる。
三種の御題を解き明かすことが俊成を救う手立て。
定家は父を救うため、博学な僧侶、長覚に協力を求める。
この時代は苦手。
鬼の漫画「夢の碑」で読んだくらいの知識。
「平家物語」を児童書で読んだのでなんとなく時代背景を把握できてる感じ。
「唐衣」を読んで、「百人一首の常識」を読んでいたのもラッキーだった。
敵の目的は何か?敵は誰なのか?
京の政権争い、頼朝の思惑。
読んでいるうちに和歌の世界の奥深さが紹介されていくのも楽しい。
折句、物名歌、本歌取り。
人が良く、短気で、おろおろする定家の人柄も良かった。
けど、他の方々が濃すぎて勿体無い。
御手洗さんみたいな長覚、腹黒そうな潮丸、出来過ぎ美女の式子内親王、奈良の貴人、宇智秋久。
もう少し長覚が名探偵でも良かったのかな。
Posted by ブクログ
歌詠みの名手にして本歌取りの旗手。後の冷泉家当主を胸に抱いて読み始めたものだから、頼りなくて優柔不断で、気が短いくせに臆病な定家像への違和感は残っているが、実のところ、その家柄や置かれた立場を推し量れば、案外、定家はこんな人だったのかもしれないとも思える。
偉大な父を持つがゆえに、その父に認められたくて努力も欠かさなかったのではあろうけれども、定家の人間としての魅力は、天賦の歌才ゆえに周囲の人々を惹きつけるのだろう。自分ひとりでは読み解けるはずもなかった三種の御題だが、彼を認め、また放って置けない人たちがいつの間にか彼を取り巻き、支え、答に導く。
この放っては置けない頼りなさこそが定家の魅力だと、父の俊成は見抜いていたのかもしれない。
困難に一人では立ち向かえぬほど弱い人間でも、仲間が自然に集い、力を貸してくれる…そのような引力に恵まれた男、藤原定家。
この頼りない歌人の成長物語として、しばらくシリーズを追ってみたいと思う。
謎は荒唐無稽だし、その鍵となる歌の読み解きは少し無理を感じたが、既存のものに新たな意味を含めることの難しさを思えば、とても面白かった。