篠綾子のレビュー一覧
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更紗屋おりん雛形帖 シリーズ第2作目
五代将軍擁立のとばっちりを受けて、潰れてしまった「更紗屋」を立て直す為に、越後屋で奉公する、おりんの物語。
今回は、真田の分家 沼田藩の松姫の元で、奉公することになったおりんが、沼田藩の揉め事に巻き込まれる。
藩主、真田信利の悪政に苦しめられる農民の為に直訴する、磔茂左衛門。
そして、茂左衛門を匿う、松尾芭蕉。
祖父、真田信之の反対にあい、本家の後継者になれなかった真田信利。
その事が原因で、悪政を行う様になった、夫を、何度、諌めても聞き入れて貰えず、諦め「鬼の夫には、蛇の妻でよい」と、白無地の小袖を「いずれわたくしが着る小袖」と決意する松姫。
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日本橋の薬種問屋『伊勢屋』に奉公する小僧・助松。(13歳)
伊勢屋のお嬢さま、油谷(ゆや)しづ子。(18歳)
謎の陰陽師、葛木多陽人。(20代半ば)
おそらくこの三人が主人公の、「万葉集歌解き譚」第三弾。
今回は、伊勢屋のお嬢さま・しづ子と、母親である、伊勢屋の女将・八重(やえ)が伊香保に旅をすることになり、助松と、手代の庄助、女中のおせいが同行を命じられた。
更に伊勢屋の客であり、主人の信任厚い多陽人が護衛を依頼され、付かず離れず、一行に随行することになった。
もう、最初っから多陽人の動向が怪しい。
三作目だが、誰かが囚われるのがお約束。
そして、ミステリアスな出来事が起こり、解いてみれ -
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更紗屋おりん雛形帖
全6作シリーズの、第1作目。
京の呉服商「更紗屋」の一人娘、おりんは、清閑寺熙子姫と身分を超えた、友情で心を通わせていた。
将軍の代替わりの騒動に巻き込まれて 、父親と店を無くしたおりんは、迎えに来た、叔父 善次郎と、丁稚 末続との三人で、借金取りに追われるように、江戸を目指す。
おりんに残されたのは、江戸を立つ時に、熙子姫から手渡された、形見の「墨染桜」の打掛と、父親の吉兵衛が、おりんのために、命がけで守り通した、更紗「鼠地鳥獣唐草文様」だけであった。
ところが、叔父の善次郎が任されていた江戸店は、とうに潰れていた。
京に来たのは、お金の無心のためらしい。
善次郎 -
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これで完結の「江戸菓子舗 照月堂」シリーズ。
火事で両親を亡くし、兄とは離れ離れになったなつめは、京都から遠い江戸にやってきた。
了然尼を母親のように慕い、縁あって菓子屋に勤めることになる。それから菓子職人への道を進むのだが。
次々と登場人物が現れるが、完結編ではそれはひとりとして無駄がないことがわかる。
一番グッときたのは、性格が少し悪い安吉という職人見習いなのだが、京都へ修行に行き、幼いながら天才的な菓子職人である長門をしることで、成長。
今回の失明した父親との再会は涙を誘う。
篠綾子さんの得意とする「和歌」の世界と、和菓子の世界が融合した魅力的なシリーズでした。 -
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仁明天皇の更衣として、その美貌と才能から、多くの男性に言い寄られている、謎多き女官、小野小町。
そんな小町には、初めて上京した折に出会った、忘れられない男性がいた。
嵯峨上皇崩御の後に起こった、承和の変で、恒貞親王を守ってやれなかったと、苦悩している仁明天皇は、
小野小町
歌人として名高い良岑宗貞
若輩ながら、美丈夫の誉高い、在原業平
この三人を呼び、
藤原良房の野望から、「皇太子を守ってほしい」と頼む。
小町は、良房に、最後の一手を使わせない為に、会う決心をする。
小町の忘れえぬ人が、意外な人であったり
有名な、「百夜通い」を取り入れたり、
《花の色はう -
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後一条天皇の御世。皇太后彰子に仕えている紫式部の娘、藤原賢子。和泉式部の娘、小式部。中将の君。
ある日、ライバル三人娘は、今光君と言われている、憧れの藤原頼宗から、妙な依頼を受ける。
依頼内容とは、時の権力者、藤原道中の、六女《六の君》と六男《子若君》が、男女入れ替わって、生活している。それを、誰にもバレないように、元に戻して欲しい。という事。
しっかり者の《賢子》
浮気っぽく、要領の良い、《小式部》
高望みばかりして、幸いを掴み損なっている《中将の君》の三人は、力を合わせ、難題に取り掛かる。
摂政ないし関白になるには、「天皇の外戚であること」が原則。
皇統は「冷泉天皇系」と「円融天皇 -
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斎藤道三の娘にして、織田信長の正室「濃姫(のうひめ)」こと、帰蝶さまの物語。
昨年の大河ドラマで何かと話題な帰蝶さまだが、この本の発行は2019年12月25日、「麒麟が来る」の放送開始直前というまことにタイムリーなものだった。
また、帰蝶さまに会える本。
武将の国盗り物語ではないので、戦乱に関しては、あった事、流れのみが語られる。
主なエピソードが記憶にあればOK、「麒麟」を観ていれば予習として更に分かりやすくなる。
本題は、戦国時代に生を受けた一人の女の生き方。
帰蝶に関しては、明智光秀と同様に資料は少なく、いか様に描くも作者次第なところがある。
この作品には意外なオリジナルキャラが用意 -
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日本橋の薬種問屋・伊勢屋に小僧として奉公する助松と、お嬢様のしづ子、陰陽師の葛木多陽人が万葉歌にまつわる謎を解くシリーズ、第二弾。
大岡忠光、田沼意次という歴史上の人物を絡ませながら、今回も万葉集の世界と暗号ミステリを楽しめた。
助松としづ子お嬢さんの真ん中の年齢の、武家の若君・加藤千蔭(ちかげ)の登場で、少年探偵団的な雰囲気も楽しめる。
教養もあり勇気もあるのにオカルト的な物がちょっと苦手な千蔭ほほえましく、前巻では泣き虫だった助松が意外にも、年上の千蔭より冷静だったりと成長が見えて嬉しい。
お嬢さんも硬さが少し取れ、おおらかさもそなえて大人の女性に近づきつつある。
それにしても!大五郎 -
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薬種問屋・伊勢屋の小僧・助松が、残された日記を元に、失踪した父の謎を追う。
…と言ってもまだ12歳だから、大人の手助けが必要。
手がかりは、父の日記の中に記されている、万葉集の歌。
伊勢屋のお嬢さんのしづ子や、謎の美形陰陽師・葛木多陽人(かつらぎたびと)に、歌の意味を教えてもらいながら、助松は次第に万葉集に興味を持っていく。
しかし、父は意外な事件に絡んでいて…
もはや万葉集オタクみたいなしづ子お嬢様。
万葉集を語ると急に早口になるとか、ある古書店主を思い出す。
そして、真面目な歌はつまらない、と言い放ってはしづ子の不興を買い、政治批判の狂歌を作ってふざけてみせる、葛木多陽人。
だが、意外 -
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ネタバレ照月堂の子供たちの通う手習塾で、図らずも師範の大切にしていた鬼灯をもぎ取ってしまった亀次郎。
泣く泣く打ち明けて謝りに行く。
その時に鬼灯を模したお菓子を持たせることに。
露寒軒の知り合いで、菓子比べで、選者となってくれた、陶陶斎。ずっと若いが無役の御家人でもある。そして菓子が大好きである。
一緒に師範のところへ行き、鬼灯をずっと楽しめる保存法を教えた。
新しい鬼灯の菓子の名は「ほおずき灯し」「青ほおずき」
季節は秋本番。
茶会が多くなる忙しくなる季節。
照月堂は太助だけでは忙しい店先を甥っ子の能楽をやっていた青年を連れてくる。
武士との付き合いが増え、対応ができる人材が欲しかった -
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ネタバレいくら探してもこの本見つからない…と思っていたら「桜木町」って変換ミスしてた(汗)
主人公は小野小町だろうけど、こんなに能動的な仁明天皇って初めて見たかも。少年期の道康親王も(紀静子を見初めるとこなんか、記述されているの初めて見た)。そして絶妙な立ち位置で存在感のある良岑宗貞(僧正遍照)も。逆に、どこの作品ででも作者に可愛がられてておいしい役回りの業平が、何故か本作品では軽くて幼い狂言回し。
仁明天皇の御世。嵯峨上皇が存命で睨みを効かせている間、東宮には叔父と妹の子・恒貞親王をキープ。仁明自身は良房の同母妹・順子に道康を産ませ(少年道康は見張るような伯父が煙たがるが)、紀種子と常康も可愛が