篠綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
頼朝が鎌倉幕府を開いていた頃の京が舞台。
紀貫之が弟子に伝授したと言われる「古今伝授」。
藤原定家は父、俊成より「古今伝授」の相承者の証に必要と、三種の御題を出される。
御題の謎に取り組み始めた数ヶ月後、俊成が何者かに攫われる。
三種の御題を解き明かすことが俊成を救う手立て。
定家は父を救うため、博学な僧侶、長覚に協力を求める。
この時代は苦手。
鬼の漫画「夢の碑」で読んだくらいの知識。
「平家物語」を児童書で読んだのでなんとなく時代背景を把握できてる感じ。
「唐衣」を読んで、「百人一首の常識」を読んでいたのもラッキーだった。
敵の目的は何か?敵は誰なのか?
京の政権争い、頼朝の思惑。
読ん -
Posted by ブクログ
歌詠みの名手にして本歌取りの旗手。後の冷泉家当主を胸に抱いて読み始めたものだから、頼りなくて優柔不断で、気が短いくせに臆病な定家像への違和感は残っているが、実のところ、その家柄や置かれた立場を推し量れば、案外、定家はこんな人だったのかもしれないとも思える。
偉大な父を持つがゆえに、その父に認められたくて努力も欠かさなかったのではあろうけれども、定家の人間としての魅力は、天賦の歌才ゆえに周囲の人々を惹きつけるのだろう。自分ひとりでは読み解けるはずもなかった三種の御題だが、彼を認め、また放って置けない人たちがいつの間にか彼を取り巻き、支え、答に導く。
この放っては置けない頼りなさこそが定家の魅