あらすじ
万葉集が事件の鍵を握る!シリーズ第2弾。
日本橋の油問屋、伊勢屋のひとり娘しづ子は、和歌を好み賀茂真淵の弟子である。しづ子が小僧の助松と賀茂真淵の家を訪れると、昨晩泥棒に入られたところだった。真淵が、武家の子息である加藤千蔭と二人に打ち明けたのは、万葉集を狙ったのではという。三日前、将軍家重の弟、田安宗武に講義をした際、別の万葉集を持ち帰ってしまったというのだ。
数日後、葛木多陽人、しづ子、助松と真淵の家に行くと、再び泥棒が入って間違えて持ち帰った万葉集だけが盗まれたという。驚くべきことに、多陽人は前もって真淵と相談し、賊の企みを考えてその万葉集を目につきやすいところに移していた。その万葉集巻三と巻十四には、あわせて十二首が、ひらがなだけで書かれていて、それに干支と大字、漢数字だけが記された三行の符牒が残されていた。
後日、多陽人の元に田沼意次という幕臣がやって来る。田沼が仕える大岡主膳を占うと、何者かに呪詛されていることがわかる。さらには、助松の父大五郎が行方不明に……。
万葉集に残された歌と符牒の謎を解き明かすと、幕府を揺るがす大きな陰謀が浮かんで来た。そして、大五郎を攫った人物は!?好評シリーズ第2弾!
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Posted by ブクログ
万葉集という、私にとって興味なくはないけど、とても遠いところにあった物を、身近に感じさせてくれる、貴重なシリーズ。
江戸の人々が、万葉集を読み解き、それにまつわる事件を解決してゆく。語り手が素直で健気で賢い子供なので、ほっこりするところもあり、基本的に周囲の人々も優しいので、世知辛い気持ちにならず、癒しがある。
この「たまもかる」は第二弾で、様々な雰囲気の歌が登場する。この登場人物たちのように、一首一首を覚えたりはできないけれど、古の暮らしに思いを馳せる、江戸の人々の暮らしにも思いを馳せる、という、二段階のタイムトリップを味わえる。
Posted by ブクログ
日本橋の薬種問屋・伊勢屋に小僧として奉公する助松と、お嬢様のしづ子、陰陽師の葛木多陽人が万葉歌にまつわる謎を解くシリーズ、第二弾。
大岡忠光、田沼意次という歴史上の人物を絡ませながら、今回も万葉集の世界と暗号ミステリを楽しめた。
助松としづ子お嬢さんの真ん中の年齢の、武家の若君・加藤千蔭(ちかげ)の登場で、少年探偵団的な雰囲気も楽しめる。
教養もあり勇気もあるのにオカルト的な物がちょっと苦手な千蔭ほほえましく、前巻では泣き虫だった助松が意外にも、年上の千蔭より冷静だったりと成長が見えて嬉しい。
お嬢さんも硬さが少し取れ、おおらかさもそなえて大人の女性に近づきつつある。
それにしても!大五郎さん拐われたり囚われたりしすぎ!
姫か?姫なのか?!(笑)
いらぬ隠し事が、他人から疑いを持たれる元となり、周りの人たちをも危険に巻き込む、と年上の大五郎さんを諫める多陽人、大物感漂う。何者なのか。
Posted by ブクログ
万葉集歌解き譚 シリーズ2
日本橋「伊勢屋」は、油問屋に薬種問屋を兼ねる大店である。伊勢屋には、しづ子という17歳の娘がいる。
しづ子は和歌を好み、国学者として知られる賀茂真淵の弟子でもあった。
伊勢屋の奉公人・助松は、伊勢屋で手代として働く父・大五郎が、かつて陰謀によって富山藩を脱藩した侍であるとついこの間知った。
真淵の家に盗人が入り、万葉集の写本二冊が盗まれた。
将軍家重の弟・田安宗武に万葉集を講じた後、間違えて持ち帰った、他人の写本だった。
今回も、助松、しづ子と、陰陽師の葛木多陽人が、万葉集にまつわる謎を解き明かす。
Posted by ブクログ
今回は田沼意次が出てくる。
薬種問屋に務める親子は実は富山藩の脱藩もの。
子供は最近まで知らなかった。
田安家と将軍のお側係、田沼と同じ将軍の後見をする大岡が毒殺の危険を晒される事件が絡んでくる。