篠綾子のレビュー一覧
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小烏神社奇譚 シリーズ3
小烏神社の若き宮司・賀茂竜晴は「抜丸」と「小烏丸」という付喪神によって育てられた人間で、
普通の人間は、怒る時、喜ぶ時、悲しい時、楽しい時は、こう振る舞うものだ、と教えられてきた。
今までは、何の障りもなく、こなしてきたが、立花泰山、氏子の花枝・大輔姉弟との付き合いが深まるうちに、竜晴の感情が、何とはなく変化してきた。
ある日、泰山が、十兵衛・一悟親子を伴って小烏神社にやってきた。
二人は、花枝・大輔姉弟の父親・朔右衛門が営む旅籠「大和屋」の泊り客で、父親の十兵衛が昨夜から腹痛におそわれて、泰山が、薬を処方したが、一向に良くならないため、憑き物の類かもしれないので -
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小烏神社奇譚 シリーズ2
小烏神社の若き宮司・賀茂竜晴は、整った顔立ちゆえ、やや冷たく無愛想に見える。
陰陽師の流れをくむ竜晴には「抜丸」と「小烏丸」と言う、付喪神が二柱いる。
小烏神社の庭で、薬草を育てている医者で、本草学者の立花泰山が唯一の友である。
ある日、何かに憑かれたように飛び立った「小烏丸」は、伊勢貞衡と名乗る侍が、鷹に襲われる所を助け、大怪我を負ってしまう。
そんな折、小烏神社の鳥居の下に無残な蝶の死骸が置かれていて、手向けるように梅雨葵が置かれていた。
翌朝も、同じ場所に、蝶の死骸があった。
そこへ、梅雨葵を置いたのは自分だと言う、美しい娘・おきいが現れる。
江戸の裏鬼 -
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小烏神社奇譚 シリーズ1
江戸、上野の奥まった場所にある、小烏神社の若き宮司・賀茂竜晴は、整った顔立ちゆえに、少し冷たく見える。
小烏神社の庭に、2年前から薬草を育てている、醫者で本草學者の立花泰山が、唯一の友達であるが、陰陽師の血を引く、竜晴には「抜丸」と「小烏丸」という付喪神が二柱いる。
白蛇の姿をした「抜丸」の本体は神社に祀られているが、烏の姿をした「小烏丸」の本体は、海の底に沈んでいるらしい。
ある日、泰山が、幼馴染の薬種問屋の次男・千吉が、毒を飲み、倒れている所に出くわし、小烏神社に運び込んだ。
幸に一命を取りとめるが、同じ頃、千吉の兄の遺体が、将軍家の菩提寺・寛永寺で見つかった -
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更紗屋おりん雛形帖 シリーズ第5
おりんの想い人・桜木蓮次が、吉原に通っているという。「おりんさんは、かけがえのない人」と言った蓮次は、まるで、人が変わったように、冷たくおりんを突き放す。
嫉妬し、傷つくおりん。
そんな折に、越後屋主人・高富から、ある高貴な人からの依頼だと、能装束を作るように言われる。
演目は、『葵上』
六条御息所が、嫉妬に狂い、生霊となり葵上に取り憑くと言う。
おりんは、自分の、蓮次への嫉妬心を、六条御息所の嫉妬心に重ねて、見事に、能装束を作り上げる。
その頃、煕姫は、自分を守るために命を落とした、今もまだ、心から去らぬ想い人・塚原右近の事を調べるように、鈴木辰 -
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シリーズ4作目
今回は、伊原西鶴の『好色五人女』に取り上げられたことで広く知られるようになった八百屋お七が登場。
おりんの叔父・善次郎が「更紗屋」の名で古着屋を始めようとしていた矢先、江戸を襲った「天和の大火」により、頓挫した。
そんな折、越後屋 番頭から新しく雛形帖作りを命じられ、お七と言う娘を紹介される。
そのお七と吉三郎の、身も焦すほどの想いに触れて、おりん、桜木蓮次、末続は、それぞれ、自分の心の中の想いを、新たにする。
蓮次は、おりんに対する想いは間違いはないが、亡き母を思うと、武士は捨てられない。
末続は、おりんに「更紗屋を立て直したら、番頭として迎える」と言われるが、番頭で -
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在原業平と惟喬親王、もっていたイメージは業平も壮年となりそれぞれが思い通りにならぬ世の中に対してサロン的な交わりをしている、そんなイメージです。サロンでは分別の着いた大人たちが風流を讃えながら世を嘆くような。
業平と高子と言えば、世慣れた十分に大人の業平が深窓のご令嬢に外の世界の美しさを手ほどきしていくような。
そういうイメージからすると、この物語はエピソード0なのだろうと思います。
後々の業平と親王の親交を思うと、こんなエピソード0があっても悪くないと思いました。
業平自身の屈託のなさもエピソード0なら納得。
在原業平歌解き譚と表紙にあったので、もっと歌が登場してくるのかと思ったら、そんなに -
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更紗屋おりん雛形帖 シリーズ第3
煕子姫との再会を果たす。それまではどんなに寂しくとも決して泣かないーー。
その約束を胸に、おりんは、更紗屋を再建するために、日夜越後屋で奉公に励む。
ある日、勘当され行方知れずになっていたおりんの兄・紀兵衛が見つかった。
おりんは、紀兵衛に、更紗屋の建て直しを託すが、紀兵衛には、染師になり、更紗を作るという夢があった。
おりんが、紀兵衛に会った翌日、紀兵衛の修行先で、毒殺事件が起こり、紀兵衛が犯人として捕縛されてしまう。
やがて、お解き放ちになった紀兵衛は、蓮次らと事件の真相を探る。
果たして、犯人は誰か。
酒井忠清が毒殺された事件と、関係は、あるの -
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和歌が事件に絡む〈万葉集歌解き譚〉シリーズ第三作。
これまでの二作は薬種問屋〈伊勢屋〉の小僧・助松の父・大五郎を巡っての話だったが、今回は大五郎から離れ、舞台も江戸を離れて伊香保温泉。
旅のメンバーは〈伊勢屋〉のお嬢様・しづ子と母・八重、女中のおせい、手代の庄助に小僧の助松、そしてボディーガードとして陰陽師・葛木多陽人の六人。
途中まではシリーズらしく和歌を吟じたり助松に和歌を教えたりしながら楽しく旅をしていたのだが、烏川を渡る時に庄助が人形祓いの舟形を見つけたことから雲行きが怪しくなってくる。
せっかく伊香保に着いたのに、多陽人は途中のある村が気になるので一人戻って様子を見てくるという。 -
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※小町と業平が出て来る2020.8-9月の新刊文庫: 2/3
矜持を持ったベテラン女官の小町、藤原北家当主として時の権力者として尊大な良房、まだ若く青臭く強気な業平。小町との強気なやり取りの応酬は、なかなか読みごたえがありました。
「承和の変」を挟む事で、仁明天皇が宗貞、小町、業平に与えた密命とその行方が分かりやすく描かれているなと感じました。
(小町の目を通して時代を切り取ったとでも言えばいいのかな)
個人的には業平や小町の心情が吐露されていて、歌人ではない部分が見える所が良かった。
あと、仁明天皇が出来なかった小町への返歌を業平の知恵を借りた惟喬親王がした所にクスっとしてしまった。
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「からころも」など万葉集にちなんだサスペンスものを書かれた作家さん。今回は『伊勢物語』の在原業平が主人公で、やはり歌が物語の中心となっている。
副題は『歌解き譚』だが、こちらもミステリーと言うよりはサスペンスタッチだ。
ここで描かれている在原業平はイメージ通り。女性にモテモテで常にいろんな女性の元に通っている。何と、十に満たない少女からも猛烈に言い寄られている。
当然歌も上手くて、東宮・道康親王(後の文徳天皇)の子・惟喬親王の歌の指南もしている。
だが軟弱な印象とは裏腹に武道や乗馬も出来る硬派な面もある。唯一の弱点は当時男子なら習得出来て当たり前な漢文が苦手なこと。
そんな業平が、惟喬親王に -
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平安時代の代表的美女として知られる、小野小町を主人公にして描かれた宮中物語。
仁明天皇の更衣として宮中務めをしている小町。その美貌ゆえに同僚女官から妬まれたりしながらも、淡々と“宮中ライフ”をおくっている様子。
そんな中、皇位継承をめぐる複雑な権力争いから、“承和の変”という、皇太子が廃されてしまう政変が起こり、小町も“東宮を守ってほしい”という、帝の意向から政治的な事柄に関わることになっていきます。
この政争の原因といえる、皇位継承の系統や血縁関係がかなりややこしくて、つい斜め読みしそうになりますが、ここは大事なので頑張って読みました(笑)。
勿論、このようなきな臭い事だけでなく、小町をめ