あらすじ
医者の泰山が、腹痛を訴える男とその幼い息子を連れて小烏神社を訪れる。薬を処方するも一向に回復しない為、助けを求めて来たのだ。だが、宮司の竜晴は「自分にできることはない」といつになくそっけない。大切な薬草の世話もそっちのけで治療を続ける泰山だったが、突然、父子が泊まっていた旅籠から姿を消す。この親子に隠された真実とは何なのか?
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Posted by ブクログ
小烏神社奇譚 シリーズ3
小烏神社の若き宮司・賀茂竜晴は「抜丸」と「小烏丸」という付喪神によって育てられた人間で、
普通の人間は、怒る時、喜ぶ時、悲しい時、楽しい時は、こう振る舞うものだ、と教えられてきた。
今までは、何の障りもなく、こなしてきたが、立花泰山、氏子の花枝・大輔姉弟との付き合いが深まるうちに、竜晴の感情が、何とはなく変化してきた。
ある日、泰山が、十兵衛・一悟親子を伴って小烏神社にやってきた。
二人は、花枝・大輔姉弟の父親・朔右衛門が営む旅籠「大和屋」の泊り客で、父親の十兵衛が昨夜から腹痛におそわれて、泰山が、薬を処方したが、一向に良くならないため、憑き物の類かもしれないので、連れてきたと言う。
だが、竜晴は「私にできることはない」と冷たく言い放つ。
「大和屋」の泊り客から、お金を集めた親子は、翌日未明に姿を消してしまう。
この親子の正体は?
付喪神の「小烏丸」の本体は、壇ノ浦の合戦で海の底に沈んだものとされており、今なお、本体の行方は、分からぬままであった。
それがために「小烏丸」は、壇ノ浦以前の記憶を無くしているが、過去が少しずつ、明かされていく。
平家物語・民話・万葉集と、ふんだんに登場。流石、篠綾子さん。
次作品も楽しみである。