あらすじ
梅香る頃、照月堂では、これまで注文を受けて作っていた煉り切りを店頭でも売り出した。これも、幕府の有力者が贔屓にしてくれるようになったおかげと、主・久兵衛や番頭の太助は感謝しきりである。忙しくなった厨房では、弟弟子を迎えたなつめが饅頭作りに挑んでいた。そんなある日、ちょうど留守にしていた隠居の市兵衛を「旦那さん」と呼ぶ女が訪ねてきた。どうもちょっとわけありらしい。店の面々は、市兵衛とその女の仲を疑って困惑するが……。照月堂と、菓子職人をめざす娘なつめの物語、シリーズ第八作。
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第8作
一番心に残ったのは 最後の あんじょう飴です。
なつめを育ててくれた了然尼が 倒れる。
休みをとって付き添ったなつめに 了然尼は
飴ゆが飲みたいという。飴ゆというのは 私も聞いたことはあるけど 作り方は知らなかった。
生姜のすりおろし 水飴 砂糖を入れて煮たものらしい。熱くしても 冷たくしても美味しいそうだ。
なつめは これで飴ができないかと考える。
生姜は身体を温める。弱った身体にもいい
というので あんじょう飴と名前をつける。
この頃から 了然尼がいつまでも側にいるわけではない。独り立ちしなくてはいけない。
と思いだす。この頃の子供は 大人になることが要求されるから 今の若い子と違って自立心があるんですね。読者としては ちょっと寂しい気持ちがします。行く末は見届けますよ。
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【腹減り度】
☆☆☆
【食べ物の割合】
☆☆☆
【1番美味しそうだったもの】
あめ湯
*感想*
このシリーズは基本的に「敵」というものがいなくて心安らかに読めるから好き。主人会のなつめちゃんの成長物語だ。ふと一巻を読み直してから今巻を読んで、しみじみと、なつめちゃんも大人になったなあと思ってしまった。誰目線よ。
今回は半分は飴の話だったので腹減り度低し。やっぱり和菓子は餡子だね!
ここ数巻は江戸の照月堂と京の果林堂を織り交ぜて
描かれてるけど、実は果林堂の話の方が楽しみだったりする。ぜひとも長門スピンオフを書いていただきたい!
ラストではなつめちゃんが何やら重大な決断を胸にして終幕。次巻、どうなるか楽しみ。
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慶信尼は、やはり兄の慶一郎の想い人だった。
名前からすでに出落ちではあるし、状況的に見ても読者である私たちにはわかることも、
慶信尼とただ直接会っているだけのなつめには、名前をどう書くかなど言わない限りわからないわよね、そうよね。
京都では、安吉が長門とともに新しい菓子作りを始め、
その安吉の恩人であるおその小母さんも登場。
世間がコンパクトなのは、物語ゆえか、はたまた時代的なものなのか。
了然尼が過労のため倒れたことで、
なつめは、今までのように、ただ菓子を作り続けていればいいわけではなく、自分の未来を見つめなければいけない時期に来たことに気づく。
物語も終盤。
なつめはこのあとどのような未来へ向かうのだろうか。