川島隆太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まとめ
どんなに勉強しても読書習慣がないと平均以下の成績。
→読書時間1日10〜30分のグループが偏差値が高い。
→小学生は勉強2時間より、勉強1時間+読書1時間。
読書離れはスマホと中学進学が原因か。
小5〜中3対象の調査では、(偏差値平均で比較すると)
睡眠5時間未満だと勉強・読書が多くても成績下位。
読書しない層は勉強が2時間以上しないと成績下位。
読書1時間未満だと勉強30分未満では成績上位行かず。
読書→読解力がつく→脳神経回路が強化=頭の回転が速い
就学後1年間の親の読み聞かせが週1〜2回以上だと15歳以上での学力が高い
年齢にあった本での読み聞かせ→語彙力がつく→聴く力がつく→問題行動が減る、非認知能力の向上の可能性 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近興味深々の脳科学的な側面から見た子育て話。
スティーブ・ジョブズも我が子にはスマホを与えなかったという。
スマホが奪うのは時間だけではなかったのだなあ。
興味深いのは1時間未満の使用者はむしろ成績上昇傾向にあるということ。
なんだか、腹八分目がいい、というのと似ている。
もうちょっと、というところで律することができるか、そういうことなんどろうな。
うちの子はいつまでスマホを持たずに、ラインをせずに、成長できるのか…。
前読んだ本と合わせても、やっぱりゲーム脳はあった、ということだね。
トンデモ話と嗤っている場合ではなかった。 -
Posted by ブクログ
■パソコンやスマートフォンの使用習慣の強さと前帯状回という部分の小ささが関係していることが分かっている。
・これらを日常的に長時間使用していると脳の形が変わってしまう可能性がある
・前帯状回は注意の集中・切り替え,衝動的な行動を抑えるといった機能に関わる重要な領域の一つ
■長時間ゲームを行う子供は言葉に関する能力が低く長期的にもその能力が発達しにくいこと,脳形態からは記憶や自己コントロール,やる気などをつかさどる脳の領域における細胞の密度が低く発達が阻害されていると考えることができる。
・ゲームをすることにより神経伝達物質(ドーパミン)が過剰に放出され
・ドーパミンが過剰に放出されるとドーパミンが作用する部分,特に大脳基底核にダメージを与え健全な発達を阻害する
■テレビを見る時間が長い子供ほど言語性知能が低く,3年後の変化量も小さいことからその後の言語能力の発達が遅くなる。
■動機は「内発的動機付け」と「外発的動機付け」に分けれらる。
・内発的動機付けは,その行動を行うことそのものから得られる満足感を理由として行動する場合を指す(勉強することが楽しい)
・外発的動機付けは,その行動をすることで自分への有益性や価値を得ることを理由として行動する場合を指す(合格するため。怒られないようにするため。)
■内発的動機付け
・①その行動が持つ興味深さや面白さといったことで高まる場合,②その行動を遂行して個人の欲求が充足されることで高まる場合の二つが考えられる
・「充足される欲求」とは,有能感,自律性,関係性という三つの欲求
・有能感とは,できる自分を感じること
・自律性とは,自分でその行動を選択したという自己決定した感覚を得ること(自分が頑張ったからだと感じられる)
・関係性とは,誰かとつながっていたい,守られたいと思う欲求
■外発的動機付け
・人間の多くの行動は外発的動機付けによる
・外発的動機付けには自主性に応じて大きく4つの段階がある
①もっとも自主性が低い外発的動機付けは「外的な調整」(報酬の獲得,罰の回避)
②「取入れ的調整」とは,罪悪感や不安を避けたりプライドを守るための行動
③「同一化調整」とは,その行動に個人的な価値があると考えるために行う段階で「自分にとって大切なことだから勉強しよう」というようなもの
④「統合的調整」同一化調整の段階での目的が完全に自分の価値観と一致し自然とその行動行うようになる
■内発的動機付けを高めるためには,その個人の難易度に合ったレベルに設定すること,適切な評価をすること,否定的な評価をされないとその個人が感じられることで高まる。(Deci & Ryan)
・難し過ぎず簡単過ぎない
・難し過ぎると達成できず,簡単すぎると達成感を得ることができない
■「笑顔」は子供にとって立派な報酬
・笑顔や褒められることは脳にとっては金銭や食べ物などの物理的報酬と同じ効果がある「社会的報酬」
・社会的報酬は目のすぐ上あたりの眼窩前頭皮質や中心部に近い「線条体」という領域で処理されている
・線条体は「脳のやる気スイッチ」
■「自分で選んで決めた」「自分ならできる」と感じさせる働きかけが重要
・やらなかったら叱ると言った脅しや,締切を設けること,指示することや競争させることは,自分で選んでその行動をしているという感覚(自律性)を減じてしまうため,内発的動機付けを低下させる関わり
・大切なのは自分で選択し,決定する感覚を得る機会を与えること(自律性)
・有能感(自信)を与えることも大切
・褒め言葉や笑顔といった「社会的報酬」でも有能感を高めることができる
■子供が親にしっかりと話を聞いてもらったと感じるか否かという会話の「質」が問題である。
・子供が話を聞いてい欲しいときにしっかりと話を聞いてあげるということ -
Posted by ブクログ
総務省によると2021年での平日のインターネット利用時間は全年代平均で176.8分。2013年は77.9分なので8年の間に2倍以上に増えている。
そして、よく耳にする「スマホ使用は子供に悪影響を与える」という話。これに関して本書で衝撃的な研究結果が示されている。
簡単に言うと、「勉強時間・睡眠時間・学力・スマホ」の関係を調べた使小中学生に対する大規模調査が実施され、スマホの時間が長いほど、学力が下がるという結果だったのだが、問題はその質で、筆者もぞっとしたと述べるほどのものであった。
しかし、これだけではスマホ等の長時間使用と学力低下について、どちらが原因でどちらが結果なのかは分からない。突き止めるため、さらに複数年度にわたる追跡調査が行われた。こちらも詳細は本書を確認してほしいが、結論から述べるとスマホが原因であることが突き止められた。
本書を読めば、スマホが学力に対してどれほど深刻な影響力を持っていることが分かる。 -
Posted by ブクログ
子どもの脳の発達が止まる
私は、宮城県仙台市の公立小・中学校に通う7万人の子どもたちを10年間にわたって追跡調査し、スマホやタブレットを連日のように使用している子どもたちの脳に何が起こっているのか調べました。
じつは、調べる前からとてもいやな予感がしていたのですが、残念ながら悪い予感がみごとに的中し、衝撃的な結果を目の当たりにしたのです。
スマホの利用頻度が高い子どもたちは、学力や認知機能に大きくかかわる大脳の 3分の1の領域と、大脳白質(神経線維)の多くの領域で「発達が止まっている」ということがわかりました。
SNSやLINEなどのインスタントメッセンジャーを使った実験では、「LI NEで学力が下がる」というデータも出ています。さらに、「デジタルを使いすぎるとコミュニケーション力が落ちる」「スマホ依存傾向がある子は、他者との共感性が低く、攻撃性が高い」といったこともわかっています。
気になるデータはまだまだあります。近年、「授業中にウロウロする」「教師に暴言を吐く」「授業の妨害をする」といった行動があらわれる、発達障害とみられる児童が日本のみならず世界的に増加傾向にあるのです。
日本では、2006年から2019年のあいだで、ASD(自閉症スペクトラム障害)は6・5倍、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は14倍、LD(学習障害)は 1.5倍に増えたといわれています。この原因について、神経小児科の医師たちは、 「社会環境のせいか?」「食べ物の問題か?」といって、結論を出せずにいました。 しかし、私が監修をした『子どものデジタル脳完全回復プログラム」(飛鳥新社)の著者でアメリカの精神科医ヴィクトリア・L・ダンクリー博士は、発達障害の子どもたちの増加は「スマホやデジタルスクリーンのせいだ」と、はっきり結論づけました。また、そのデジタル漬けの脳を回復させるプログラムを開発し、あきらかな成果をあげています。これは、スマホ中毒から抜け出せる道があるという、大きな福音といえます。
LINEやYouTubeの巧みな戦略
スマホなどのデジタル機器は、生活を補助する道具として長時間使いすぎないようコントロールして利用するならば、大きな問題は起こらないでしょう。しかし、 なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしで、やりすぎによってさまざまな弊害が起こるのです。
「じゃあ、ほどほどでやめればいいのね」と思うかもしれませんが、スマホやタブレットのやっかいなところは、ほどほどにできないようにつくられていることです。 たとえば、ちょっとスマホで調べものをしようと思ったとき、目的の検索が終わったらすぐにスマホの電源をオフにできますか?
検索している途中で、気になる動画や別の記事を見つける。そこにLINEのメッセージが飛び込んでくる。そうなると、新しい通知にどんどん気持ちが引き込まれていきませんか?
そしてあげくの果てには、最初に何を検索していたのかも忘れているでしょう。
みなさんは、動画すら、真剣に1本ずっと見続けることができなくなっていることにお気づきでしょうか。YouTubeのような動画共有ブラットフォームは、 ひとつの動画を見ているあいだもワザと気が散るようにできています。
なぜなら、コロコロいろいろなところに飛んでもらったほうが、新しい広告がバンバン上がって、チャリンチャリンとお金が入るしくみになっているからです。要するに、ひとつの動画を長時間視聴されてもお金にならないので、気が散って依存しやすいように、みごとにつくられているというわけです。
スマホを見ている人は、その都度、自分の意思で情報を選択していると思っているかもしれません。しかし、じつは「中の人」に操られている状態なのです。
諸悪の根源は「スイッチング」
自分の意思とは関係なく、見ている画面がコロコロ変わり、何かひとつに集中しようとしても、情報の割り込みが入り、注意が別のものにいってしまう。このような行為をくり返し、ひとつのことに集中する時間が極端に短くなる状態を、心理学の世界では「スイッチング」と呼んでいます。
スイッチングをくり返し行っていると、注意力が散漫になり、集中力がどんどん短くなることがあきらかになっています。
このことは、じつはスマホが登場するずっと前から指摘されていました。
大きなきっかけは、1995年にWindows5という、容易にインターネットに接続できる機能を備えたパソコンOSが登場し、メールの着信などがリアルタイムで通知されるようになったことです。ほどなくして、パソコンで調べものやレボート作成をするアメリカの大学生のあいだで、本来やるべき作業を中断し、別のことを始めてしまうという現象が起こり始めました。
その後、2000年代にFacebook、TwitterなどのSNSが登場すると、情報の割り込みはさらに加速し、学生たちの集中力低下が問題視されるようになりました。
そこから、アメリカの大学生たちに対する観察研究が始まり、パソコンで宿題をしながらFacebookを使っている学生たちは、学業成績が下がり、睡眠障害やうつの症状が出やすいということも報告されています。
つまり、スイッチングによる悪影響はもう20年以上前から言われていることなのです。明確な悪影響が指摘されているにもかかわらず、デジタル機器は排除されず、 よりコンパクトなスマホやタブレット端末に進化して、私たちの生活に浸透し、生活必需品として君臨してしまいました。
その結果、人の行動がどう変わったかといえば、スマホなどを持っているだけで、 いろいろな能力がダダ下がりするようになりました。
じつは画面を見なくても、スマホを持っているだけで気が散り「成績が下がる」「集中できない」「読解力が落ちる」という心理学的なデータが明確にあります。
女性の場合はあまりないかもしれませんが、男性はよくスマホをズボンのポケットに入れておくことがあります。そうすると、着信が入っていないにもかかわらずブルブルっと震えたような感覚が起こる人がいます。これは、幻想振動症候群(ファントム・バイブレーション症候群)と呼ばれていますが、そんな錯覚が起こるほど、 スマホの通知に脳が過敏になっているのです。
乳幼児が画面をスワイプする恐怖
私が、もっとも心配しているのは、子どもたちの脳です。大人に比べて子どもの脳はまだ脆弱であるため、デジタル機器の使用による悪影響を受けやすいであろうと思っています。
先ほどから述べているとおり、スマホを使用すると、脳の知的中枢である前頭前野の活動が抑制されます。前頭前野が働かなければ、思考やコミュニケーションといった人間らしい能力は身につきません。前頭前野は、感覚、視野、 前頭前野は、感覚、視野、運動にかかわる他の脳の部位よりゆっくり発達することがわかっています。そのため、生まれてから青年期までの経験や生活習慣によって発達に影響が出やすくなります。
その脳の成長にいちばん大事な時期に、子どもにスマホをポイッと与えてしまう。 その危険性について、この章では改めてお話ししたいと思います。
多くの人は、「有害なコンテンツを見せなければ大丈夫なのでは?」「ジブリやディズニーのアニメなら子どもが見ても安心」などと安易に考えているかもしれません。 しかし、事態はみなさんの想像以上に深刻です。
赤ちゃんを泣きやませるとか、幼児をおとなしくさせるためにスマホやタブレットを渡してしまう親がいますが、あれは絶対にやめるべきです。
理由ははっきりわかっていませんが、小さな子どもは、すぐにスマホに夢中になります。恐ろしいことに0歳児でも、iPhoneやiPadに興味を持ち、画面をスワイプして遊びだしたりするのです。
こうした、生まれたときからデジタル機器が生活のなかにある世代の子どもたちには、あきらかな異変が起こり始めています。
というのも、近年小・中学校の児童生徒のなかに、自分の感情をうまく表現できず、他人の感情もうまく理解できないという子どもたちが急増しているのです。
恐るべき学力押し下げ効果
スマホが子どもたちの脳にどれほどの悪影響を与えるのか。私たちは、仙台市と行っている「学習意欲」の科学的研究に関するプロジェクトにおいて、2013年からスマホと学力の関係について調査を開始しました。
その結果、次のような衝撃的な事実をつかみました。
・スマホを1時間以上使うと勉強しても学力が下がる
・使うアプリの数が多い子どもほど学力が低い
・LINEなどのインスタントメッセンジャーが成績を押し下げる
・スマホをやめるだけで学力が上がる
勉強しても学んだ情報が消える
前のページのグラフをよくご覧ください。まず、スマホ使用が1時間未満の子どもたちは、睡眠時間が7~8時間で家庭学習時間が3時間以上というグループの偏差値が高いことがわかります。
ところが、スマホ利用が1時間以上の子どもたちは、7~8時間寝て、3時間以上勉強しても、偏差値が50(平均値)付近にとどまり、成績が伸びないことが判明したのです。そして、グラフをよく比較してみると、家で2時間以上勉強していて、 スマホを3時間以上使う子より、家でほとんど勉強しないけれど、スマホを使わない子のほうが「成績がよい」という驚くべき事実が読み取れます。
つまり2時間以上勉強しても、スマホのせいで努力が水の泡になっているというわけです 。
この結果から、スマホで長時間遊んでいるせいで、家庭学習や睡眠がおろそかになり成績が下がるという解釈は成り立たないことがわかりました。
家で勉強してもしなくても、スマホを 1時間以上使うと学力が下がるというのが真実で、スマホが学力低下の直接原因になっている可能性が高いのです。
この結果から、スマホの長時間利用で、 学校や家庭学習で脳に入ったはずの学習の記憶が消えてしまう可能性や、脳の学習機能になんらかの異常をきたして学習がうまく成立していない可能性が考えられます。
また、私たちは、子どもたちのLIN Eなどのインスタントメッセンジャーの使用にも着目した分析を行っています。
スマホに依存してしまうメカニズムは、第2章でも触れたとおり、脳の神経伝達物質であるドーパミンが関与しています。
たとえば、スマホでプレイするオンラインゲームのガチャとよばれる電子くじは、 「当たるかな?」と期待するだけでドーパミンの分泌量が増え、快楽が大きくなります。つまり、くじを引く前にワクワクするので、当たってもはずれてもやめられなくなります。
また、スマホでゲームはしないという人も、特定のアプリを毎日開いてしまう人はかなりいるのではないでしょうか。開発者たちは、毎日ログインするだけでポイントがもらえるといった仕掛けで、誰もが知らず知らずのうちにハマるしくみを用意しています。
さて、スマホなどのデジタル機器にのめり込むことで、心や体の健康に大きなリスクを抱えることがわかったと思います。このまま、人類がスマホを長時間使うといった生活を改めないとすれば、この先の未来はどうなるでしょうか。
これまでくり返しお話ししてきたとおり、スマホなどのデジタル機器を使用しているときは、思考の中枢である前頭前野が活動してくれません。そうすると、子どもは脳の発達が止まり、大人も前頭前野の機能が低下し、ものを考えたり、理解したり、覚えたりといった能力を維持することが難しくなります。その結果、私は将来、認知症になる人が増えると予想しています。
ドイツの精神医学者マンフレド・シュピッツァー博士は、デジタル機器の使用によって引き起こされる認知機能の障害を「デジタル認知症」と呼んでいます。
日本でも、近年、「人の名前が出てこない」といった認知症に似た症状で、もの忘れ外来を受診する若者が増えているといわれます。若年患者の多くが、スマホでSNSやゲームアプリなどを長時間利用していることから、「スマホ認知症」と呼ばれていますが、医学的な定義があるわけではなく、そういう病名は存在しません。 しかし、「スマホ認知症」と言われれば、ピンとくるという人も多いでしょう。
実際には「デジタル認知症」や「スマホ認知症」とアルツハイマー病による脳の変性がもたらす認知症は、医学的に同じものではありません。
しかし、カナダの研究者らの試算によると、日常的にインターネットを使用している1980年以降に生まれた世代の大多数が65歳以上になる2060年には、認知症リスクが今より4~6倍に上昇する可能性があるとしています。 これは私としても想定内のことです。
子どもの頃から、スマホを使用し、脳が未発達のまま大人になった場合は、将来、 加齢にともなう脳の萎縮が進みやすい可能性が考えられます。
また、大人になってスマホを使うようになった人も、依存傾向が高ければ、脳の萎縮に対する耐性が弱く、認知症の発症や進行を早めてしまう可能性があると思います。
じつは、私たちもいくつかの企業とスマートフォン向けの脳トレアプリをつくるといった共同開発を行ってきましたが、そこで衝撃的な発見がありました。
大人の多くがひとつのアプリに集中できる時間がわずか30秒程度だということが判明したのです。つまり、スマホのスイッチングで、何かに集中する力が鍛えられることはありませんし、短時間で気が散る一方ということになります。そのくせ、 脳を使っていないので長時間画面を見続けていられます。
もちろん、目は疲れますが。
そのために私たちは、2005年に「脳トレ」というゲームを開発して、世に送り出したわけです。スマホのゲームはダメで、脳トレゲームは推奨するのかと、違和感を持つ人もいるかもしれませんね。
私たちが開発した脳トレゲームは、高齢者の認知機能を維持、向上させる学習療法がベースになっています。学習療法は、高齢者と支援者がコミュニケーションをとりながら音読や計算をするといった取り組みです。これを行うことで、アルツハイマー病の方の認知機能が戻るといった成果も出ています。
同様にゲーム機を使った脳トレも、その効果は検証済みです。脳トレゲームをプレイ中の脳活動を計測し、前頭前野が確実に働く仕掛けを盛り込んだ結果、高齢者だけでなく、若者の認知機能も向上させることが証明されています。
しかし残念ながら、オンラインゲームのように脳トレにのめり込んでくれる人はほとんどいなかったようです。脳トレもどうしたらあそこまで人をのめり込ませることができるのか、私のほうが学びたいくらいです。
そこで、私は、みなさんがあまり無理をせず、脱スマホを実現するために次の3つのステップを提案したいと思います。
ステップ1:スマホ漬けの生活に気づく
ステップ2:脱スマホルールをつくる
ステップ3:積極的に脳を使う活動を増やす
悪しき習慣は排除する
小さなルールから始めて、できるかぎりスマホ習慣を減らしていけば、自然と規則正しい健康的な生活を取り戻すことができると思います。
ただし、家族のルール以前に、次のような習慣はすぐにやめてください。
・スマホを子守りに使う
・歩行中や運転中にスマホを見る
・家族との食事中にスマホを見る
・勉強中にスマホを使う
・寝室やベッドの中にスマホを持ち込む
私は、脳の発達には「早寝、早起き、朝ごはん」という生活習慣がとても大事だということを昔からずっと言い続けています。食事については3食きちんと食べるというのが原則ですが、とくに朝ごはんはしっかり食べることが大切です。
朝ごはんを抜くと、細胞レベルで1日じゅう代謝が低くなり、勉強や仕事のバフォーマンス、体力にも悪影響が出ます。
とくに、小学校4、5年生の子どもは、前頭前野が急激に成長する時期です。子どもたちが脳の神経線維を増やし、新しいシナプス(神経細胞)をつくるには、細胞の材料となる栄養素(ビタミン、ミネラル、脂質、アミノ酸など)と脳のエネルギーとなるパンやお米に含まれるブドウ糖を、朝しっかりとることが重要です。
私たちが農林水産省と共同で行った調査では、朝食習慣があるかないかで、進学、 就職、年収、そして幸福度にまで差が出ることがわかっています。
子どもの頃から毎日朝ごはんを食べていた人たちは、約半数が第1志望の大学に合格し、約60%以上の人たちが第1志望の会社に就職していることがわかりました。 一方、毎日朝ごはんを食べていなかった人たちは、約3割が大学も就職も第3志望以下のところにしか入れなかったということもわかりました。
Q スマホには時計、目覚まし、スケジュール管理、電卓など、実用的な機能もあります。それらの使用も制限したほうがいいですか?
これは使っていただいてけっこうです。道具としてスマホを使っているかぎりにおいては、なんら害はないと考えています。
必要に応じて使う機能を選択し、用が済んだらスマホをしまうというやり方であれば、長時間画面を見続けるといった悪い習慣にはつながらないでしょう。
ただし、実用的な機能と併用して、メッセージアプリやゲーム、SNSなどを使いだしてしまったら要注意です。こちらは、用が済んだらスマホをしまうということがなかなかできず、通知が気になったり、目的もなく見続けてしまったりしやすくなっています。
こうしたアプリに惹きつけられて、スマホを使うために自分の時間を調整しだしたときには、危うくなっているなと思ってください。
Q ゲームをしていて、勝つまで、あるいはクリアするまでやめられなくなるのはどうしてですか?
これは、いわゆるアルコールや薬物などの依存症のメカニズムと同じです。
ゲームをしていて、勝ったりクリアしたりすることは脳の報酬になります。これが快感になってやめられなくなるのです。
本書の第2章、第4章でもお伝えしていますが、ゲームに勝ったり、クリアしたりするときに、脳のなかでドーパミンなどの神経伝達物質が分泌されることがわかっています。これが快感につながる脳内ホルモンなのです。
心地よいという感情は、人に習慣性や依存性を生じさせます。これは、残念ながら脳のしくみとしてわかっていることですので、ゲームがやめられなくなるというのは、まさに依存症が始まりだしているということを意味しています。
長時間ゲームにハマってしまうと、脳にいろいろな悪影響が出ますので、早めに依存から抜け出す対策を取ったほうがよいでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読書が脳にどのような影響を与えるのかを科学的に調べた内容がとても興味深いと感じた。
この本は、単に「読書は良い」と主張するのではなく、仮説を立て、実験を行い、その結果を検証するという流れを何度も繰り返しながら結論を導き出していた。
そのため、説得力があり、納得しながら読み進めることができた。
最も印象に残ったのは、「読書は脳の全身運動である」という結論である。
本を読むときは、文字を認識するだけではなく、内容を理解し、場面を想像し、登場人物の気持ちを考えるなど、脳のさまざまな部分が同時に働いていることを知った。
身体の筋肉が運動によって鍛えられるように、脳も使うことで機能が向上するという考え方に強く納得した。
また、電子書籍やスマートフォン、タブレットよりも紙の本の方が脳には良い影響を与えるという点も印象的だった。
スマートフォンやタブレットを使っているときは、脳の活動が低下し、リラックス状態に近くなることがあるという。
さらに、それらを使って勉強した場合、同じ時間勉強しても学力が低下する傾向があるという研究結果には驚かされた。
最近、スマートフォンを使わずに生活することは難しい。
実際にスマートフォンは作業効率を上げる便利な道具である。
しかし、その便利さの一方で、脳の活動が低下し、学んだことや考えたことが頭に残りにくくなる可能性があることも知った。
便利だからこそ使い方を考えなければならないと思った。
この本を読んで、脳も身体と同じように、使えば成長し、使わなければ衰えていくことを改めて理解した。
これからもスマートフォンと上手に付き合いながら、読書の時間を大切にしていきたい。
そして、本を読むことで脳を積極的に働かせ、学び続ける習慣を身につけていきたいと思う。 -
Posted by ブクログ
スマホやタブレットなどのデジタルによる脳への弊害について長年警鐘を鳴らしてきた著者が本を読むことがいかに脳にとって良いことか説く一冊。
「本を読め」ということは長年言われているが、この根拠を科学的なデータで説明しており、より説得力がある。
たかが読書だが、想像以上に脳を活性化する効果がある。アルツハイマー病の患者に本の音読を習慣化してもらっただけで認知機能が向上したというから驚き。
特に読書の効果が顕著に出るのが成長期の子供である。本好きの子供の学力は明らかに高く、スマホ時間が長い子供の学力は明らかに低い。
スマホやタブレットを利用しているときは前頭前野が働かず、ぼーっとしているときより脳が働いていない。マッサージを受けている時と同じ状態。
スマホやタブレットの1番の弊害は、注意力が散漫になるスイッチングである。
対して、本の読み聞かせを習慣化するだけで、子供の言語能力が高くなる。それだけではなく、子供の問題行動が減り、親の子育てストレスも減る。
読み聞かせをしているとき、親も子もこころの脳の部分が活性化し、やがて脳が同期していくことが実験で判明した。これは、親子で一緒にアニメや動画を見ている時には起きない現象である。
AI時代の今だからこそ、前頭前野(人を人たらしめている)をよく働かせる工夫が必要で、それに最適なのが読書である。インスタント的に単に情報に触れるだけならインターネットの情報で充分だが、何かの情報を得ながら自分自身の知力や思考力を高めるなら内面と対話し、養分に変える必要がある。
AIに入力するのも、出力した情報を利用するのも結局は人間である。
脳は使わないと急速に衰える。読書を捨てることは人間を捨てること。 -
Posted by ブクログ
著者の川島氏は脳活動の研究者なので、脳を中心に話をしているが、脳トレの本ではない。食事、睡眠、運動、社会的交流など、総合的な内容で、いわゆる人生指南書となっている。
章立ては下記の6つからなっている。
第1章 60代以降に老ける人と老けない人の差
第2章 続けると大きな差がつく毎日の習慣
第3章 脳と身体が健康になる運動習慣
第4章 「老けない脳」をつくる食事と睡眠の習慣
第5章 人とつながる習慣が人生を楽しくする
第6章 私、川島隆太が実践する老後のための習慣(※目次のみ「川島隆太流が」と誤植されている)
対象年齢は60代以上だが、脳の鍛え方など中年期の人も参考になる部分が多い。若い人でも、親世代の状態を知るためや、将来のビジョンを想定する役に立つだろう。
巻末の参考文献はエビデンスレベルを5段階評価で示している。どの程度信頼できるエビデンスなのかがひと目でわかり、便利である。
よりよい人生を送りたいと思う人は目を通す価値がある本に仕上がっている。 -
Posted by ブクログ
スマホの弊害について警鐘を鳴らしている本である。
スマホの危険性は十分に承知している。すでに、『スマホ脳』 (アンデシュ・ハンセン/著、新潮社、2020年)や、『本を読むだけで脳は若返る』 (川島隆太/著、PHP研究所、2023年)などを読んでいるからだ。
私はスマホは極力使わないように心掛けているが、本書のような本を読むと、そういう意識はますます強くなる。
スマホを使っているときには、脳が使われていない。ボーっとして何もしていないときよりも脳の活動は低下している。体も脳も使わないとどんどん衰える。したがって、スマホを使えば使うほど、脳が衰えるのは当然のことだ。
本書でもっとも重要なのは下記の記述だろう。
スマホなどのデジタル機器を常用することで起こる深刻な弊害は、大きく次の2つにまとめられると思います。
●成長期の子どもたちの脳の発達が大きく損なわれる
●大人たちは不安・抑うつ傾向が高くなり認知機能が低下する
(p104)
周囲を見渡すと、積極的にスマホを見ている人が多い。ほんの少しの待ち時間でも、「スマホを見ないと損」とばかりに、夢中で画面を見ている。スマホの弊害を知ったうえで、見ているのなら、それは本人の自由だ。しかし、まだ知らない人も多いのではないだろうか。知らない人は本書のような本を一読することをお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
『本を読むだけで脳は若返る』というタイトルだが、読書が脳にいいというだけの本ではない。
下記の章立てのとおり、前半の第1-3章は読書の効用について、後半の第4-6章はスマホの弊害について書かれている。
第1章 読書は脳の全身運動である
第2章 音読で脳機能が向上する
第3章 本の「読み聞かせ」と脳の関係
第4章 スマートフォンの恐怖
第5章 スマホと子どもの脳の深刻な関係
第6章 脱スマホ・タブレットで子どもの脳を守れ
終章 AI時代における読書の意義
音読が脳の認知機能を高めるということは、著者が二十年以上も前から言ってきたことであり、目新しさはない。「脳トレ」ブームのときに、ドリルや本がたくさん出版されたので、知っている人も多いことだろう。よって、本書のキモは、後半にあるといえる。
スマホの弊害は、2020年にベストセラーになった『スマホ脳』 (アンデシュ・ハンセン/著)以降、世に広まってきた。スマホ依存やメンタルヘルスの悪化、記憶力や集中力の低下など、様々な弊害が知られているが、本書では特に子どもの脳への悪影響が示されている。
研究データをもとに、スマホやタブレットなどの端末は、「思考の脳」の活動を抑制することが示されており、以下のような衝撃的な事実が明かされている。
スマホ・タブレットを毎日のように長時間使っている子どもたちは、脳の発達が抑制され、学習しても学力を高めることができない。(p143)
いくら勉強をしても、スマホを1時間以上使う子どもは脳が発達しないというのは、恐ろしいことだ。子どもがいる人や、子どもの教育にかかわる人たちは知っておきたい重要な事柄である。
社会全体のことを考えれば、著者が主張しているように法律で規制することが望ましいように思える。ただ、ここまで生活の中にスマホが浸透していると、規制するのはハードルが高いだろう。国を挙げて、取り組むべき重要な課題である。
大人でも、スマホの使用時間を極力減らせば、心身の健康が高まり、ひいては幸福度も高まるに違いない。IT関連企業も多目的端末ではなく、あえて機能を絞った新たな機器を作り、広めることも必要であろう。