古野まほろのレビュー一覧
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シリーズ2作目。残念ながら1作目は未読ですが、主人公本多唯花の持つ特殊能力について多くの説明がなされていたこともあり単体でも問題ありませんでした。
副題からも判るようにクリスティの「ABC殺人事件」を意識した作品であり、シリーズとしては古典的作品へのオマージュとなっているようです。
主人公が“障害”と表現する特殊能力は、言葉の真偽と虚実を判別する能力。それゆえに、ミステリとしては論理パズラーです。出題編のあとには「読者への挑戦状」が挿入されており、ミステリファンには嬉しい構成となっています。
とはいえ、この作品の最大の魅力は主人公の“ツンデレ”特性の方かもしれません。感度不良の男子大学 -
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ひょっとしてシリーズものです…? 作中でほのめかして、最後まで明らかにされなかった内容があって「???」だったんですが既刊続刊に書かれてんのかな。ハードカバーで一見してシリーズとわからないシリーズものやるならそれ単体でも読めるようにして欲しいな…。
読み始め、「」内で改行されるから読みづらかった~! 加えて、登場人物みんな特徴的な論調で話すのでとっつきにくさもあり。
でも、キャラクターを把握して世界観、時代背景を理解したあとは割とスラスラ読めた。論拠として羅列してる中身がやや弱い気もしたなー。結構主観的。それゆえの面白さももちろんあったのだけれど。 -
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綾辻行人や有栖川有栖的な本格ミステリを期待して読んだら、作者の方、がっつりお二方に師事していたらしい。あらすじを読んだ時点でこれは期待できそうな本格ミステリ!と思ったし、実際読んでいても期待通りだったんだけど、私自身の本格ミステリへの興味が薄れていたのか、それとも期待値が高過ぎたのか、10代のころ初めて綾辻行人や有栖川有栖を読んだ時のカタルシスには及ばなかった。
世界の設定がパラレルワールドの日本で、事件が起こるまでに、総ページ数の半分くらい?は世界観の説明に費やされていたかも。シリーズ化されているようなので、今後の前説的な位置づけなのかな? -
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ネタバレ人気の街、吉祥寺。でもあなたが道に迷ったとき、人知れぬ場所にひっそりと隠れている不思議な紅茶屋に、出会うかもしれません。あたたかな空気に満ちたその紅茶屋の店主は、優しい微笑みでお客さんを迎える、その実ちょっぴり辛辣なところもある陰陽師の青年。就活に疲れた女子大生、迷える若い恋人たち、結婚を前に危機に陥ったOL――それぞれの道で戸惑う人たちに、そしてあなたに。不思議であたたかな「紅茶屋 らぷさん」で、陰陽師が淹れる運命の一杯、いかがですか?
個人的な感想を。
何人かのエピソードから構成されている物語です。
最初のエピソードのお嬢さんが、物語の語り手であり、大きな役割を果たしています。
最初の -
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ネタバレ献本でいただきました。ありがとうございました。
心が遊離した人と許された人間だけが訪れることのできる吉祥寺の紅茶屋。陰陽師でもある店主に「物語を紡ぐ」ことにより、問題解決のための一歩を踏み出す人々。一章でお店を訪れた佐々木英子はお店でバイト(?)をすることになり、訪れた人々の問題解決のお手伝いをすることに。
陰陽師小説は他も読んだことがありますが、こんなに詳しく五行等が語られているのは他にないのでは。式神もかわいい姿で登場し、挿絵で見たかったな。
正朝の求めるものは今回詳しく語られていなかったので、シリーズ化でこれから語られるのでしょうか。 -
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今まで読んだ、まほろ作品の中では1番読みやすかったです。天帝シリーズのような、溢れんばかりの衒学趣味や、二条シリーズのような長ったらしい講釈がなかったせいでしょうか…
何やら示唆的でセンチメンタルなプロローグはいつも通り。
帯にもあるように、本格ミステリのあらゆるガジェットを放り込みながらも、散漫せず、ここまで綺麗に集約した手腕は流石です。
絶対に意識したであろう、某有名古典トリックの一部流用には笑ってしまいましたが、それすらロジカルに解明してみせるのですから、この著者の理論への傾倒ぶりには凄まじいものを感じます。
次作も手元にあるので、近いうちに読んでみようと思います。