アンデシュルースルンドのレビュー一覧

  • 三時間の導線 上

    Posted by ブクログ

    初登場した「制裁」では、北欧の厚く垂れ込めた灰色の冬雲のように陰鬱で偏屈な印象のグレーンス警部が、ここまで(特にホフマンの息子達に)心を開くようになるなんて…。不器用ながらも彼なりに懸命に伝えようとする姿に、ちょっと感動

    0
    2025年08月19日
  • 三日間の隔絶 下

    Posted by ブクログ

    上巻から続く。
    変装したホフマンはアルバニアに行き、グレーンス警部はストックホルム市警の中のスパイを探し出す。
    ホフマンのパートは今作もあっさりめだが、グレーンス警部のパートが重い。犯人…と言うべきか、少なくとも「過去の捜査記録やホフマンに関する機密文書などを警察署から盗み出してホフマンを脅していた犯人」「一家惨殺事件の容疑者たちを次々と射殺していた犯人」は非常に意外な人物だった。
    結末も非常に哀しい。

    0
    2025年04月13日
  • 三時間の導線 下

    Posted by ブクログ

    ピート・ホフマンの今回の潜入捜査については凡百な印象を拭えないが、グレーンス警部が怒鳴りちらしてばかりというネガティブな印象を大幅に改善しており、読後感は良い。
    しかし、密入国ビジネス組織の黒幕は、その正体は早い段階で見当が付くので驚きは少ないものの、裏のさらに裏の顔(つまり1周回って表の顔)や結末については、単純な勧善懲悪ストーリーとは言いがたく、なかなか考えさせられる。

    0
    2025年03月10日
  • ボックス21

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作家アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著の長篇ミステリ作品『ボックス21(原題:Box 21)』を読みました。
    アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著は6年前に読んだ『三秒間の死角』以来なので久し振りですね。

    -----story-------------
    暴行事件の「被害者」が取った不可解な行動。病院に立てこもった彼女の目的とは――?
    〈このミステリーがすごい! 第一位〉の『熊と踊れ』著者が、大反響の『制裁』に続けて放つ、北欧警察小説の真骨頂!

    リトアニア人娼婦のリディアは斡旋業者から激しい暴行を受け、病院へと搬送された。
    意識を取り戻した彼女

    0
    2025年02月09日
  • 死刑囚

    Posted by ブクログ

    ストックホルム市警のグレーンス警部シリーズ第3弾。
    傷害罪で逮捕された男性の身元を調べると、アメリカの元死刑囚で、なおかつ既に死亡したとされていた…というミステリ。
    今回もグレーンス警部はボヤキまくりの怒鳴りまくり…だが、さすがに前作のような不法行為はしないで済んだかな。
    「グレーンス警部シリーズ」とは言いながら、このシリーズはグレーンス警部たち警察側の登場人物は脇役っぽく、今回も死刑囚が主役で死刑制度について考えさせられる内容。
    特に第四部は非常にスリリングで、読んでいて胃がキリキリする。

    0
    2025年01月26日
  • ボックス21

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの警察小説シリーズ第2弾。
    今作もグレーンス警部はボヤキまくりの怒鳴りまくりで、挙げ句の果てに証拠品を私情に駆られて破棄してしまうし、かなりのダメっぷり。
    人身売買屋に騙されてリトアニアからスウェーデンに連れてこられて売春をさせられている女性が、入院した病院で人質を取って立てこもるというストーリー。
    グレーンス警部をはじめストックホルム市警察所属の登場人物のダメっぷりは全く褒められたものではないということはともかく、小説としてはテンポ良い展開にグイグイ引き込まれて読み進められる。

    0
    2025年01月23日
  • 制裁

    Posted by ブクログ

    複数の少女を暴行・殺害した犯人が投獄された後に脱獄し、逃走中にさらに少女を殺害。
    ところが、その少女の父親が犯人を射殺してしまう。
    父親は殺人罪で逮捕されて裁判にかけられるが、その結末は…というクライムノベル。
    ストックホルム市警のグレーンス警部が主人公というシリーズの第1作目ということだが、「名推理で犯人を追い詰める」というミステリ小説的な人物ではなく、悪態をついてばかりの頑固者で感情移入はしがたい。
    むしろ本書の主人公は犯人を射殺した父親と服役囚たち。
    父親は有罪か無罪か、有罪なら量刑はどれくらいか…ということを考えさせられる内容であり、やるせない結末も含めて非常に印象深い読書体験だった。

    0
    2025年01月20日
  • 地下道の少女

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの名前が最初よくわからなかったけど、4冊目ともなると慣れて、人物名を聞いてパッと人物像が浮かぶようになった。ハッピーエンドとか、まったく考えてないラストは、お前ならどうすると問いを投げられた気がして落ち着かない。というかさー、子供捨てる?お金の価値が人より高いんだろうねー
    そういう考えに染まらないように。グレーンス警部には幸せになってほしいと毎回思う。95

    0
    2024年10月24日
  • 熊と踊れ 下

    Posted by ブクログ

    最後の方は夢中になって読みました。軍人ギャングも刑事さんも両方が身近に感じられて応援(?)したくなりました。スウェーデンの家族の絆がとても強いってわかりました。あとがきも読むと小説の裏側がわかって良かったです。

    0
    2024年10月06日
  • 熊と踊れ 下

    Posted by ブクログ

    軽い気持ちで、エンタメ感覚で(不謹慎だけど)手に取った犯罪小説だったのに、この読後感は予想外…。
    作中繰り返される「いまが、昔になれば。昔が、いまになれば。」が哀しく、切ない。

    続編読むの怖いなぁ。読むけども〜。

    0
    2024年05月24日
  • 死刑囚

    Posted by ブクログ

    テーマ、設定に強烈に引き込まれ、満員電車内での細切れ読書が恨めしくなるほど。最初から最後まで一気に、でも丁寧に、読み進めた。

    特に執行までのカウントダウン描写は、まるで自分が執行されるかのように手に汗握り、心臓が痛くなった。

    「死をもって死を償う」「死刑やむなし」が多数を占める日本。冤罪の可能性があるからとの理由で、死刑制度廃止へは傾かないのではないかと思う。

    0
    2024年03月16日
  • 熊と踊れ 下

    Posted by ブクログ

    三兄弟と幼馴染が軍の武器を奪い銀行強盗を繰り返す。視点を切り替えながらテンポ良く進んで行くので、長くても全く飽きなかった。表現のセンスも抜群でストーリーに引き込まれました。

    0
    2024年02月25日
  • ボックス21

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「制裁」以上に、夢中になって読んだ。
    満員電車に乗るのが全く苦にならないほど。
    なんだったら、この本が読めるから電車に乗るのが待ち遠しかったほど。

    恋人(だったのか?本当に)に裏切られ、船内で殴られた瞬間に希望が粉々に打ち砕かれ、自分の身体が自分のものではないと思いながら、絶望の日々を過ごすリディアを思うと、胸が締め付けられる。
    リディアの命とプライドを賭けた立て篭もり、真実が白日の元に晒されて欲しかった。
    彼女の心が壊れることと引き換えに保持していた「ボックス21」、このタイトルにも胸打たれる。

    しかもこの売春斡旋はフィクションではない。
    こんなに辛すぎる思いをする女性は、この世にただの

    0
    2024年02月16日
  • 死刑囚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    グレーンス警部シリーズ第三弾。
    今作も重く苦しく辛い。

    暴行で逮捕した男の身元を探ると、アメリカで6年前に死んだ死刑囚と同一人物の可能性が出てきた。大国との政治的な駆け引きの中、死んだと思われていた死刑囚と向き合うグレーンス警部。。。

    一作目、二作目と同じく、救いもなく、希望もなく。だけどこんなにも辛い話なのに読むのが止められない。今作ではグレーンス警部のプライベートな側面もちょっと見えてきて、いつもの取っ付きづらさは薄いか。政治的な要素もありつつ、この死刑囚が真実を語っているのかどうかを怪しませる構成となっている。

    刑事がスパッと事件を解決するわけではないのでカタルシスはないかもしれな

    0
    2024年01月26日
  • 三日間の隔絶 下

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの小説の翻訳である。ストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部が活躍するシリーズだ。加えて、潜入捜査員のピート・ホフマンも登場する。「ダブル主人公」というような体裁でもあるのだが、そういう体裁としては4作品目ということになる。
    「警察の最高機密が漏洩?」という事態に思い至ったグレーンス警部と、潜入捜査員として活動した経過が在る凄腕のピート・ホフマンは問題の解決に向けて共闘する。やや遠い過去の事件がグレーンス警部の眼前に現れ、謎の脅迫者と向き合うホフマンの活動により、過去の事件の「裏」が引き寄せられる。そして「そう来たか?」という意外な結末が待っている。
    こういう経緯で進む上下

    0
    2023年09月25日
  • 三日間の隔絶 上

    Posted by ブクログ

    実際にスウェーデンを含む欧州諸国で問題になっている事柄に題材を求めながら、(スウェーデンの首都である)ストックホルムで執念の捜査を展開する大ベテランの警部と、息詰まる現場の闘いを勝ち抜く腕利きの工作員的な潜入捜査員との「ダブル主人公」というような体裁は、なかなかに読み応えが在る。本作は、その「ダブル主人公」の双方が、互いに助け合うべく各々の活動を展開して行くというようなことになって行く。
    上巻の冒頭は「過去」という短い纏まりから起こる。
    5歳の誕生日を祝ってもらったばかりであるという女児が「ハッピーバースデー」の歌を歌ってはしゃぎ、アパートの室内で飛び跳ねている。アパートの中には兄、姉、父母が

    0
    2023年09月25日
  • 三時間の導線 下

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの小説の翻訳だが、夢中になった。
    上巻は、大量の死者が発生していた件を巡り、グレーンス警部が事件関係者を何としても逮捕すると熱いモノを滾らせ、手段を択ばないと、あのピート・ホフマンに協力を依頼するというようなことになる。
    下巻は、ホフマンの活躍でもたらされた情報、スヴェンとヘルマンソンの調査と分析とで“敵”の様子が見え、緊迫した「戦い」が展開する。そしてグレーンス警部は意外な黒幕に辿り着き、対峙して行くことになる。
    執念深く、強い押し出しで関係者に切込むグレーンス警部は、本作では事案に携わる人達と心を開き合うというような場面が在る。そして仕事一筋の老刑事が、「許せん!」と熱いモノを

    0
    2023年09月10日
  • 三時間の導線 上

    Posted by ブクログ

    本作は、ストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部が活躍するシリーズで、凄腕の潜入捜査員のピート・ホフマンが登場するようになって「ダブル主人公」というような感じになってから3作目ということになる。
    エーヴェルト・グレーンス警部は現役最年長の捜査員という感じで活動している。短気で怒りっぽく頑固で、押しが強く、執念深く事件を追う、やや付き合い悪い感じの男だ。他方で、妻が事故で動けず、話すことも出来ない状態になって長く施設に収容されていて、その妻を喪ったという経過の在る孤独を抱えているような男でもある。或いは、私生活での孤独の他方に、職務に精励することだけを生き甲斐にしていたような面も在る。こ

    0
    2023年09月10日
  • 三分間の空隙【くうげき】 上

    Posted by ブクログ

    スウェーデンの作品の翻訳である。本作はストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部が活躍するシリーズの一冊ということになる。シリーズの途中から、凄腕の潜入捜査員であるピート・ホフマンが登場している。作品はグレーンス警部が主要視点人物になる部分、ホフマンが主要視点人物になる部分、その他の作中人物達が主要視点人物になる部分が織り交じって展開する。本作もその形が踏襲されており、ホフマンの部分とグレーンス警部の部分とが織り交じるようになって行く。
    本作の上巻ではこのグレーンス警部の出番は少し少ない。
    物語はコロンビアの様子から起こる。ストリートに生きる少年の様子が描かれる序章の後に本編が始まる。エ

    0
    2023年09月04日
  • 三分間の空隙【くうげき】 下

    Posted by ブクログ

    グレーンス警部という人物は、ストックホルム警察の現役捜査員では最年長というような年代で、一緒に居て愉しいというタイプでもない偏屈な男であり、事故で植物状態になった妻が長く施設に在って、その妻が亡くなってという複雑な個人の事情も在るのだが、執念深く捜査に取組む非常に老練で辣腕の刑事である。少し不思議な人物という感じがしないでもない。現場に出る、私用で出るという以外は、自宅アパートか警察本部の自室に居ると言われているような変わり者なのだが、勘と“押し”で事件関係者に迫って、事件を解決に導く手腕はなかなかに見応えが在り、シリーズで描かれる「社会の闇」にも関わる、見た目以上に重大な真相に肉薄するのであ

    0
    2023年09月04日