アンデシュルースルンドのレビュー一覧

  • 熊と踊れ 上
    レオの脳内イメージはヨエル・キナマンです
    でも私は完全にヨン派(脳内イメージ無し)なので、形勢が逆転する所では、思わずガッツポーズをしてしまいました
    ヨン派ならきっとあそこですると思います
  • 地下道の少女
    エーベルト・グレーンス警部シリーズ第四作。

    ルーマニアからバスで運ばれてきた少女たちと
    ストックホルムの地下道に住む少女。
    二つの国のストリートチルドレンたちの事件は、
    驚くことに、全く交わらない。

    スェーデンのミステリーは国際的だ。
    国境をひらりと超えていく。
    橋を渡れば、フェリーに乗れば、
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  • 死刑囚
    死刑制度を扱った、死刑制度のないスウェーデンを舞台とするミステリ小説。

    題材が重いだけに、話の内容も重くなる。

    復習、私刑感情、善と悪、処罰感情、いろいろなものがない交ぜになり、読書する側も考える内容。

    話の展開、決着もよかったが、ミステリ小説よりも、死刑制度について改めて考えた。
  • 地下道の少女
    圧倒的なリアリズムと構成力。過去と未来を頻繁に行き来しながら、行き着くところは絶望か、それとも希望なのか。
    このシリーズの根底に流れる「復讐」をテーマに「貧困」が絡んで、先進国の大都市であるストックホルムの「裏社会」が浮かび上がる。筆者もあとがきで記しているが、部分的には「真実」であるという。
    この...続きを読む
  • 熊と踊れ 下
    兄弟が銀行強盗を次々に成功させると同時に、少しずつ明らかになってゆく、その目的。
    レオは自身の中に存在する、いくらお金を奪っても決して癒されない深い孤独と、父親への想いに気づき始める。
    他の誰よりも父親に認めてもらいたかったのだというレオの心の叫びが、過剰な暴力となって形を変えてゆく様が、何とも悲し...続きを読む
  • 制裁
    怪物をめぐる人間の話、そして怪物となった人間と社会をめぐる話、とこの本は評せるかもしれません。

    冒頭の描写からどきつい……。女児に性的暴行を加え殺害し捕まった男。その怪物の思考と、犯行の描写の残虐さに、自分はいきなり物語にぐいとつかまれました。

    その怪物が移送中に逃亡。物語は様々な人物の視点を通...続きを読む
  • 熊と踊れ 下
    事実に基づいてるって知らなかった。
    北欧小説だから期待してたところもあったけど、ある意味逆に裏切られた。
    もしかしたら翻訳が良かったのかもしれないけど、題名からの想像と違って、当事者の繊細な感じが想定内だったから良かった。
    でも、最後はね。
  • ボックス21
    エーヴェルト警部シリーズの2作目。
    北欧社会に蔓延る闇を主に話が進み、結末は…。
    嫌な読後感だけれど、物語が、世界全体に蔓延る闇を描いているようで、気持ちに突き刺さるものがある。

    北欧社会の社会が抱える闇は、東欧諸国にもつながり、そして、日本にも蔓延っている…。

    世界全体の問題。

    シリーズ3作...続きを読む
  • 地下道の少女
    『制裁』『ボックス21』『死刑囚』に続く 北欧の傑作ミステリ!
    強い寒波に震える真冬のストックホルム。バスに乗せられた外国人の子ども43人が、警察本部の近くで置き去りにされる事件が発生した。さらに病院の地下通路では、顔の肉を何カ所も抉られた女性の死体が発見された。グレーンス警部たちはふたつの事件を...続きを読む
  • 死刑囚
    スウェーデンで酔客に暴行を加えて逮捕されたカナダ国籍の男は、米国で死んだはずの元死刑囚だった!?それはスウェーデン全土と米国を舞台にした前代未聞の事件の幕開けだった。

    序盤でネタは想像がつくし、あーこれジョン助からないやつだわーってなるんですが。。
    まさかこんな終わりとは!

    フィニガンは共感しづ...続きを読む
  • 死刑囚
    このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
    一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。

    「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴ら...続きを読む
  • 熊と踊れ 下
    過去と現在を行き来しながら、兄弟が犯罪に手を染める模様を描いていく。
    実話に基づいた題材という驚きもあり、暴力、犯罪心理、被害者の心にも迫っていく。
  • 熊と踊れ 上
    まずは上巻へのコメント
    ミレニアムしかり、やはり北欧ミステリーはおもしろい。
    徐々に引き込まれて、中盤から一気読み。過去のトラウマから抜け出せない登場人物の心理描写が下巻でどう影響するか。。。
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下
    (上巻より)

    再び一獲千金を狙うレオ、
    利用される父親、協力しない弟たち。

    途中で少し客観的になれた。
    多分、それはヨン警部が暴走しはじめたからだと思う。
    ということは、私が肩入れしていたのは、
    ヨン警部だったのだろうか。

    こちらの作品は小説だそうだ。
    そして、最初から二作書くことは決まってい...続きを読む
  • 兄弟の血―熊と踊れII 上
    「熊と踊れ」の続編。

    刑務所から出てきたレオ。
    今度の仲間はサム、ヨン警部の弟。

    前作では「引き込まれた」と書いたが、
    もっと、息苦しい。
    何に共感しているのか、
    誰と同一視しているのかわからないが、
    読み進むのがつらい。

    (下巻へ続く)
  • 熊と踊れ 下
    実話に基づくという制約がある中で、キャラクターの造形は良くて、作品に入り込めた。けど、その分ラストの部分でのあっさり感が残るかな。
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下
    衝撃を持って迎えられた「熊と踊れ」の続篇。
    前作は、9件の銀行強盗はじめ現金輸送車襲撃、軍の武器庫からの銃221挺の窃盗、ストックホルム中央駅での爆破事件…と、矢継ぎ早に重大事件が起きてめまいを覚えるほどでした。
    今作は、前作と比べると派手さは後退したものの、その分、深度は深まっている印象を受けまし...続きを読む
  • 熊と踊れ 下
    どうしてそこまで、銀行強盗に執着し続けたのか。兄弟の結束をそんな形でしか表現できなかった。悲しい家族。捕まっても、なお揺るぎない結束精神。
  • ボックス21
    東欧における女性の人身売買問題は西欧だけでなく、日本も大きなマーケットの一つのようだ。
    騙して借金させ、異国の地でその返済のために毎日十数人との売春を行う。

    その重いテーマを単なる犯罪ミステリーとして描くのではなく、「恥」として登場人物たちの気持ちの中に深い自責の念を呼び起こす。ラストも秀逸。
  • 制裁
    原書のタイトルは獣(ODJURET)。
    日本語のタイトルは「制裁」

    犯人、刑務所の人々を「獣」として捉え、普通の人間社会でその「獣」たちが荒れ狂う姿を著者はタイトルに込めたのかもしれない。
    しかし、日本語のタイトルの方がより明確なメッセージとして本書のテーマを表している。「制裁」の前に無力となった...続きを読む