アンデシュルースルンドのレビュー一覧

  • 熊と踊れ 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    軍の倉庫が国内に点在するスウェーデンならではの犯罪の発端や、
    盗難予防のインクに染まってしまった札束との格闘、
    暴力的な父親と兄弟たち、とくに長男との葛藤と
    今まで読んできた北欧ミステリーのなかでも、
    秀逸な面白さ。

    でも厳密に言うとミステリーとしての面白さというよりかは、
    結局は実際の事件を実際の兄弟とともに描いた、
    ノンフィクションとしての面白さなのであって、
    ミステリーとしては反則技なのかもしれない。

    それでも、ミステリー好きとしては読んだ方が良い作品だと思う。

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    2019年02月25日
  • 熊と踊れ 上

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    ネタバレ

    書架で見かけて。

    冒頭からすごく引き込まれた。
    暴力をふるう父親、殴られ血を流す母親と
    なんとか止めようとする長男とおびえる弟たち二人。
    何がはじまるのかと思いきや、
    次の瞬間には、その長男が銀行強盗になっていた。
    弟たちと一緒に。

    (下巻へ続く)

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    2019年02月25日
  • 制裁

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    ネタバレ

    娘を幼稚園まで送り届けた後、テレビを付けると見覚えのある男が映っていた。性犯罪者が脱走したというニュースだ。嫌な予感を抱きつつ、幼稚園まで引き返すが…。

    憎しみと悲しみ。喪失。虐待の暗い記憶。
    娘を殺した犯罪者を殺す父親。一度は無罪となるが、上告されて有罪となってしまう。投獄後、過去の虐待の記憶に悩まされる受刑者によって性犯罪者と勘違いされ、殺されてしまう。しかし、父親が殺した犯罪者の次のターゲットは、その受刑者の娘だった。彼は娘の命の恩人を殺してしまったのだ。

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    2018年10月30日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下

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    暴力と絆の物語。前作と違い今回は完全なフィクションだそう。
    合わせてサーガと呼びたくなる大作に、たまらなく惹かれてしまい、夢中で読んだ。途中何回も叫びたくなり、読後はいつまでも余韻が残る。おもしろかった。

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    2018年10月30日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下

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    ネタバレ

    前作から数年後。レオが出所したところから始まる。前作同様に犯罪のにおいに満ちていてその世界観に圧倒される。レオの描く犯罪計画と巻き込まれていく弟たち。兄弟としての形。少年時代にあった絆と今の関係。レオから2人の弟への想いと、弟たちからのレオへの想いのズレ。犯罪計画やそれを追う刑事ヨンの背景もよく、ヨンとレオの犯罪で結びつき、犯罪によって大切なものを失っていくその姿はたくさんの感情がつきまとう。兄弟を求め、拒絶しながら生きていく家族、兄弟の絆の物語。

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    2018年10月10日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 上

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    アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ『兄弟の血―熊と踊れII 上』ハヤカワ文庫。

    待望の続編の上巻。父親の暴力の呪縛から逃れるかのように銀行強盗を繰り返し、遂には刑務所に収監された3兄弟。長兄のレオも刑期を終えて塀の外に……傑作北欧犯罪小説『熊と踊れ』の続編である本書はこうしたシーンから始まり、一気に激しさを増していく。

    なかなか読ませてくれる。果たして、暴力と犯罪にまみれた家族の物語は下巻で完結するのか……

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    2018年10月03日
  • 制裁

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    アンデシュ・ルースルンドの本は、『熊と踊れ』から入り、『ボックス21』を読み、この『制裁』で3冊目。
    色んな立場の人の視点から物語が進められるが、それぞれの立場に、感情移入することができるのが不思議。

    今回も、犯罪を通して社会問題や倫理の問題を投げかけられた。
    自分の中で考えを纏めるのに時間がかかりそうだが、人が人を裁くって難しい。

    訳者あとがきより抜粋
    『他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら、大人はそうすべきなのか。そうやって、人の生命の価値を、同じ人間が決めてしまうことは、果たして許されるのか。それが許されるとき、怪物が生まれるのではないか……。』
    しばらく考えてみる。

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    2018年09月16日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    これと似た現実が世界にはいくらでもあるんだと思うと、作者には、愚かな警官2人の代わりに現実を綴ってくれてありがとう、という気持ち。
    リディアとアレナの声を胸に刻む。二度とこんな事が起こらないように、とリディアが命をかけた翌日に新しい2人。あり得ないけどこういうことはきっと今も起こっている。有能な警部でもこういうことをし得る、ということも作者のメッセージの1つ。

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    2018年09月09日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    いま流行りの?北欧の警察小説。北欧物の英米物との違いは、主人公がやたら泥臭い事。英米物にも泥臭い主人公はいるにはいるが、北欧物の場合、警察官と言う職業を感じさせないほど、ものすごく泥臭い。そしてもう一つ北欧物の特徴(?)は、なんとなく漂うその“暗さ”。暗いのは、北欧の気候を反映しているんですかね?そのの泥臭さと、暗さで、なんとも言えない全体的な雰囲気が形作られている。

    そしてこの作品、最後の2行が衝撃的。頭のどこかで、そうなることをうっすらと感じてはいたんですが、文字にして読んでみると、ものすごく衝撃的です。いやぁ、なんだかな。

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    2018年09月08日
  • 死刑囚

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    毎回の事ながら
    心して読み始めて入るものの
    「ん、今回はそんなでもないかなぁ」と思いきや
    ストンと落とされてしまう。
    新たな展開も多く 読み応えがあった。
    ため息しか出ない。

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    2018年06月06日
  • ボックス21

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    「制裁」の刑事達が登場するシリーズ二作目
    前回同様、読み終えた時の
    現実の問題を突きつけられた重みが凄い。
    前回のあとがきにもあったように、物語はフィクションではあるが、モデルになった人。事件事象は存在している事実。
    そして日本でも同様の問題がある事実。

    ラストの終わり方は途中で予想が出来たけど
    「そうであって欲しくない」という
    思いのまま読み進めて、嫌な汗をかいていたら
    放り投げられてしまった。

    登場人物紹介の並び順が、刑事達をメインにしていないあたりがにくい。

    過激な方法で目撃者から証言を得ようとするベテラン刑事に、汚れ仕事をさせていると自覚していながらも自分では一歩踏み出せないパー

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    2018年05月25日
  • 死刑囚

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『死刑囚』ハヤカワ文庫。

    再文庫化されたので再読。グレーンス警部シリーズの第3弾。奇抜な設定と予想外の結末が待ち受ける社会派ミステリーの傑作。読み返しても、なお面白い。

    スウェーデンで暴力事件を起こし、逮捕されたジョンと名乗るカナダ国籍の男は6年前にアメリカの刑務所で、死刑囚として獄死した男だった……何故、獄死したはずの男がスウェーデンに居るのか、彼の犯した罪は冤罪だったのか、彼の運命は……多くの謎を提示しながら、ストーリーが展開していく。

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    2018年05月05日
  • 制裁

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    面白かった。
    「制裁」という日本語を噛みしめる。
    戦争にしても殺人にしてもいじめにしても、それぞれの立場に立った時に見える景色は違う。
    考え続けること、思考停止しないことしかない。
    ただ1人、犯人だけは本当に最低!と思ってしまうのだが、
    またそこにも落とし穴を感じて、薄気味悪い。

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    2018年02月12日
  • ボックス21

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    最後の3行に、、、帯の煽りは期待せず読んでいた。
    最初から最後まで重苦しく、緊張感ある展開。それでいて読みやすく、一気に読める。
    破綻もなく、最後まで一気に持っていかれた。
    女である身としては、なんども繰り返される苦しい描写がなんとも辛かった。
    そして、最後の3行には、、、、久しぶりに心底驚き、その余韻に浸りました。1作目も読もうと思います。

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    2017年12月09日
  • ボックス21

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『ボックス21』ハヤカワ文庫。

    北欧社会の闇を描いた警察小説の傑作。ランダムハウス講談社より刊行されたグレーンス警部シリーズ第2作が復刊。本作のラスト3行の衝撃はフィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』にも優るとも劣らない。

    売春斡旋業者から激しい暴行を受け、病院に搬送されたリトアニア人娼婦のリディアが取った思いも寄らぬ行動は事件の真相へと…

    ランダムハウス講談社版で既読であるのだが、これから刊行されるであろう未訳作品に期待を込めての再読。

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    2017年11月26日
  • 制裁

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    人は誰かのために何かを為すことは多分できない。だから社会は不完全だ。でもその社会の中でしか生きられないのも人なのだという矛盾を強く感じる。
    テーマは重いし、救いはないし、読むのが辛いけど読まなきゃいけない気がしてとても疲れる一冊でした…
    あと訳がやはり素晴らしい。北欧ミステリなのに誰が誰だかわからん!てならなかったのは翻訳の手柄もあると思います。

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    2017年04月30日
  • 制裁

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    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『制裁』ハヤカワ文庫。

    2007年にランダムハウス講談社より刊行されたグレーンス警部シリーズ第1作を、著者による改稿を反映した上で再文庫化とのこと。既にランダムハウス講談社版を読んでおり、再読となる。

    日本人作家であれば、薬丸岳が取り上げそうなテーマであり、非常に考えさせられる警察小説である。愛する娘を殺害された父親の犯人への復讐の是否を問う問題作。

    幼い二人の少女を毒牙にかけ、殺害した卑劣な性犯罪者ベルント・ルンドが移送中に脱走する。脱走したベルント・ルンドは再び一人の少女を殺害する。殺害された少女の父親フレデリック・ステファンソ

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    2022年06月01日
  • 地下道の少女

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    ヒステリーおじさんグレーンスシリーズ4弾。
    スウェーデンの病院とかの地下には地下通路につながる扉があるってどういうこと?戦争時代の防空壕的なものかな。
    家庭のトラブルで家出した少女たちがこういう地下で生活したり、よその国から親のいない子が大型トラックで来て捨てられたり、北欧5か国ってそれほどいい国じゃないね~世界見渡してもどの国も一長一短あるよね~みたいな視野を手に入れられます。

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    2025年11月07日
  • 死刑囚

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    日本には死刑があるので、死刑がない国の死刑の考え方が新鮮だった。死刑がある国は野蛮だそうです。

    このグレーンス警部シリーズはスウェーデンの社会問題をよく扱ってて、最後も特に救いが無くて、甘くない感じがかなり好きです。

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    2025年11月07日
  • 地下道の少女

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     今回もスウェーデンの社会問題を深く掘り下げた作品であり、罪を犯した人間・罪を重ねる社会問題の原因を追い求めようとする者たちの話ではあるが、、、何にも増して、グレーンス警部の人生が切ない!ミステリーというよりも、彼が抱える〝喪失感”が大き過ぎて、人生小説として読んでしまう。切ない(泣)切なくてたまらない(泣)

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    2025年10月09日