奥山景布子のレビュー一覧

  • 流転の中将

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    桑名藩を見ていると、一藩ひとつとなって義のために戦うことができた会津藩・容保公はまだ幸せだったんじゃないかと思えてくる……家名存続のため主君を差し出そうとする家臣の葛藤、最後まで義を貫く道を探し続ける定敬公の長い長い流転の日々に胸が切なくなった。本当に生きていてくれてよかった

    それにしても慶喜という男は、何を読んでも「こいつ……」となるのはなんなのか

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    2025年07月15日
  • 流転の中将

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    ネタバレ

    桑名中将こと松平定敬。
    容保の弟で、慶喜の供をして大阪城を抜け出たことまでは知っていましたが、その後は…?
    なんと、会津、仙台、函館と転戦していたんですね!
    ただ藩主不在の国許では新政府への恭順、定敬の隠居が決めまれました。
    こうなるといつまでも抗戦し続ける元藩主は、迷惑以外の何物でもないですよね。
    国家老が函館まで迎えに来て連れ戻されることになりました。でもまだ納得できない定敬は途中で逃げ出し、今度はアメリカの船で上海に渡ります。
    最終的には日本に戻り新政府に降伏したのですが。

    理由も分からず朝敵にされ、慶喜に裏切られ、藩民からも見捨てられ(定敬とともに戦い続けた家来もいますが)、時代に翻

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    2025年02月26日
  • かっぽれ 寄席品川清洲亭 四

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    内容(ブックデータベースより)

    人間国宝 神田松鯉先生感動
    人間の温かさに涙が出る。それぞれが己の陰の部分をひきずりながらも肩を寄せ合い懸命に生きる姿は確かな共感を呼ぶ。
    笑って泣いてやっぱり笑って 人気シリーズ第四弾! いきなり文庫!

    安政江戸大地震の中で生まれた愛娘もすくすく育ち、再びおえいの商いへの意欲も芽生えてきた。だが、始めた団子屋を手助けしてくれるお加代はわけありの様子で……(「御用」)。三代目九尾亭天狗の最後の弟子にして、晩年最も身近にいた礫は、芸への思いがこもった形見を譲り受けることになったものの、兄弟子の妬みを買ってしまう(「点取り、無双の三杯」)など人情が涙を誘うシリー

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    2025年02月21日
  • すててこ 寄席品川清洲亭 二

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    内容(ブックデータベースより)

    幽霊がでたぁ!?
    新・新田次郎文学賞受賞作家が贈る、大人気の人情満載落語時代小説第2弾! いきなり文庫!

    江戸は品川、清洲亭。大工の秀八が始めた寄席はお客もついて順風満帆。本日も開業中。常連の真打・弁慶がトリを務めていた時、清洲亭の周りに幽霊が出没!? 気味悪がるおえいだが、その正体は弁慶への弟子入り志願の男だった。頑なに弟子を取らない弁慶の切ない理由とは。一方、乗り込んできた女義太夫がひと悶着を起こし──。芸を愛し、人のために尽くす。人の情けが身に染みるシリーズ第二弾。
    オビネーム:幽霊がでたぁ!?

    令和7年2月7日~9日

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    2025年02月10日
  • フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~

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    現代の女性の視点からみた「源氏物語」面白かった。
    紫式部、そして平安の女流文学
    は実に多彩だったことに今更ながら驚く。時代が違っても、感情や抱く思いは、想像できる。
    読み飛ばしていた中に、こんなにいろんな考える芽があったなんて。読んでいるうちに、何を何故不快に感じていたのか、何故好ましく感じていたのか、自分の感覚が整理されていくのを感じた。

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    2025年01月30日
  • 浄土双六

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    室町時代の物語を読みたくなり調べてたどり着いた本。作者のことを知らずに読み始めたけれど、すごく繊細な語り口調で室町6代から8代将軍までの世で過ごしていた人たちの群像劇が展開されていて1日弱で読み終わってしまった。

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    2025年01月04日
  • ワケあり式部とおつかれ道長

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    2024年大河ドラマもあと5回と言うところで読み始め 
    懐かしく思い出しながら 楽しく読めました
    もちろん ドラマとは違う部分もあり 
    史実ではそうなのね ナルホドと 思いを馳せておりました
    実際の政治が 民の暮らしにどう影響していたのか 民の暮らしを どう考えていたのか 知りたくなります
    色んな思惑の中で たくさんの人達が懸命に生きて 今に繋がっている と思うと不思議な気がします

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    2024年11月12日
  • かっぽれ 寄席品川清洲亭 四

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    この領域に詳しい奥山さんだからこそ描ける落語会のしきたりが作品の骨になっているところが良い。
    次作がまだ上梓されていないようですが、面白いシリーズです。
    たまに寄席に行くのですが、残念ながら本書に出てくるような粋な姐さん芸者はなかなかおらず、三味線を弾いて唄うのは若さと愛嬌が売りの人ばかり。彼女たちが翠さんや呂香さんのように成長することを期待しよう。

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    2024年03月05日
  • ワケあり式部とおつかれ道長

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    雅という印象の平安時代。その陰には熾烈な権力闘争が……「政」はいつの世もとんでもない権謀術数。大河ドラマで馴染んだ名前もあるが、あまりに登場人物多くて。「人生は陰謀だらけ」頂点に君臨した道長さえも心休まる時間はなかったんだ。面白い発想の小説だけど、調べるの大変だったろうな、奥山さん。

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    2024年02月28日
  • 浄土双六

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    非常に失礼な言い方とは思うけれど、意外に面白い作品だった。同じエピソードを、登場人物ごとに、別々の視点で描くことで、より深く印象づかせる効果がある、ことが判った。

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    2024年01月18日
  • フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~

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    ネタバレ

    フェミニズム的な視点で源氏物語を読み解く。
    源氏が紫の上や玉鬘に「教ふ」ことが多いこと、どれもキモいんだけど、それを「マンスプレイニング」でまとめるとなるほどなと思う。昔も今も、おっさんは若い女性に上から目線で教えたがるもの。
    薫は誠実な男性の印象が強いけど、妻ではなく都合よく関係を結べる召人が結構いた、とか、大君の人形を作りたがって中君に引かれているとか、むっつりスケベ感が意外と強くて印象が変わった。浮舟は大君に似た人形として薫に愛され、主体性のない女性なんだけど、匂宮が戯れに渡した硯で書いた歌に無意識の本心が表れてしまったり、自殺未遂後に手習をして独詠歌を何首も詠み、そこで自分の言葉を獲得

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    2024年01月03日
  • 流転の中将

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    ネタバレ

    幕末の戦いは、いつも疑問に思っています。
    日本の繁栄を目指しているのは同じなのに、何故、戦わなければならないのか。
    憎しみに駆られて、振り上げたこぶしを降ろすすべを見失ってしまったのか。
    人は、正義のためには、どこまでも残酷になれると、何かで読みましたが、人の心の狂気の部分を見ているようで、とても辛いです。

    時代が大きく変わるその時に、それぞれの藩の人たちの奮闘がとてもリアルでした。
    孫八郎の選んだ道も、定敬の選んだ道も、納得のいく読後でした。

    子供の手形をお守りにするという話が出てきましたが、とても素敵だなと、自分もやっておけば良かったと思いました。

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    2023年08月05日
  • 時代小説アンソロジー てしごと

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    春雀二羽:澤田瞳子/藍の襷:志川節子/
    掌中の天:奥山景布子/姉妹茶屋:西條奈加/
    浮かれの蝶:小松エメル/おもみいたします:あさのあつこ

    薬師、麹造り、根付職人、そば打ち職人、口寄せ、揉み屋

    様々な職を持つおんなたち。
    手の仕事は人の息と想いがほんのり薫るのが良いなぁ

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    2022年12月31日
  • 寄席品川清洲亭

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    落語については素人に毛が生えた程度の知識しかなく、江戸末期の寄席が実際どのように行われていたかは知らないが、ネットも何もない時代に噺家を呼んで寄席を開くというのはこんな感じなのだろうな、というのが少し楽しかった。
    話自体はそこまで新規性は無いが、落語とうまくかみ合わせており、詳しい人ならもっと楽しめたのだろう。それこそ自分も数年前までは幇間とかも知らなかったしな

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    2022年10月10日
  • やわ肌くらべ

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    ネタバレ

     乱れていたのは髪だけではなかったようです。これは、ノンフィクションか小説か・・・。奥山景布子「やわ肌くらべ」、2022.7発行。白芙蓉こと林滝野(妻)、白萩こと鳳(与謝野)晶子(妾→寝取る)、白百合こと山川登美子、3人のやわ肌くらべ。勝利者?は晶子。なにせ六男六女、12人の子供を。それにしても、鉄幹がここまで女性と金にだらしない男だったとは。啄木の比ではないです。鉄幹は姑息で嘘つき、詐欺師の女たらし。犯罪者と言っていいでしょう。ただ、「人を恋ふる歌」の詩は大好きですw。

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    2022年09月20日
  • 秀吉の能楽師

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    利休と秀吉を題材にした作品はよくあるが能楽師からの視点の作品は珍しい。新九郎が密命を帯びて秀吉の能の指南役として接近する。同業者との暗闘を繰り返しつつ周りからは能奉行とあだ名される。最後に浅野長政が何故新九郎を秀吉に近づけたのか謎が解ける。

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    2022年09月12日
  • やわ肌くらべ

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    女の戦いがとことん書かれており生々しい。が、一番悪いのは与謝野鉄幹だった。ほんとにクソ男。クソすぎて、可愛くなってくる。

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    2022年07月29日
  • 時平の桜、菅公の梅

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    内容(「BOOK」データベースより)
    凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に奮闘する。しかし上皇が時平率いる藤氏を疎んじ、道真を偏愛したため朝廷は二つに分裂。時平はかつて志を分かち合った道真と、互いの政治生命をかけて対立することになる!

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    2022年07月11日
  • すててこ 寄席品川清洲亭 二

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    とにかくいろんなハプニングが続く清洲亭ながら、少しずつ人の輪も寄席としても充実してきて、登場人物たちも成長していくところが良い。
    軽過ぎず重過ぎず、かつ知識も豊富に盛り込まれており、なかなか他に類をみない趣があると思います。

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    2021年08月21日
  • 流転の中将

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    前に読んだ「葵の残葉」の姉妹作、と言っていいのか分からないけど、この中に登場した高須四兄弟の末っ子松平定敬の物語。
    徳川慶喜の命で兄松平容保と共に開陽丸に乗せられるところから物語が始まる。
    国許は薩長に恭順の方針。だけど定敏は戦う道を選ぶ。会津や仙台、箱館、果ては海外まで、まさに流転の日々を送る。
    最後まで戦いたい定敏だけではなく、国許を預かる家老酒井の視点も入っており、相容れない切なさも感じた。
    そしてもう一度「葵の残葉」を読み、"その後"の定敏を噛みしめたい。
    ちなみに、本書はダッシュ(—)で囲んだ補足をちょこちょこ入れているので、読みづらさを感じる人もいるかもしれない

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    2021年08月17日