安野光雅のレビュー一覧
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子どもの頃に読んだはずなのに、
まるで覚えていなかった。
ほんっとに面白い傑作。
ジュディの知性と率直さを見出したあしながおじさんの導きで、
カレッジで学ぶようになるジュディの変化が、
一方的な手紙を通じて、
情緒豊かに展開していく。
この一方通行が重要なのだ。
まるで精神分析のように、
おじさまがそこにいるのかいないのか、
何を感じ考えているのかわからないからこそ、
素直になったり、怒ったり、
いろんな感情が広がっていく。
ジュディの劣等感と傷つきと寂しさは、
体験のない人間には容易には理解できないのだが、
それを不幸にしない心のちからこそ、
あしながおじさんが彼女に惹かれたところではな -
Posted by ブクログ
懐かしい。子どもの頃に「大草原の小さな家」のテレビドラマも観たし、翻訳本もほぼ読んだと思う。
大好きなシリーズだった。
今作では文章も挿絵も一新されたが、文、絵ともに温かみがあり、ページをパラパラとめくるだけでも楽しめる。
子どもの頃はこの物語を単にローラの目線で読んでいたと思う。両親を大事に思い尊敬し、お姉ちゃんが大好きでもありうらやましい存在でもある。。。家族の愛に包まれた少女を体感しているように読んでいた。
○十年経ち、母親になった今読むと、ローラの目線もそうだが、両親、特に母親の目線でも読むようになる。母として主婦としていかに家庭を切り盛りしているか、限られた道具や食材を利用していかに -
Posted by ブクログ
★★★
ビッグウッズの森の隅にローラの家はあります。
家族はお父さんのチャールズ、お母さんのキャロライン、姉のメアリー、そしてまだ赤ちゃんの妹キャリーです。
小さな家には、みんなで食事をしたり生活するために必要なものを作ったり家族が団欒する大きな部屋と、小さな寝室と、そして冬の間には食料貯蔵庫となる屋根裏部屋があります。
家畜は、牛のスーキー、冬の食料になる豚、猫のブラックスーザン、そして森の獣を追い払うためのブルドックのジャックがいます。
お父さんは狩りに出かけ、獲物を高い木に吊るします。
お母さんは獲物は毛を削ぎ皮を剥ぎ、肉を切り取り燻製にします。メアリーとローラも手伝います。
メ -
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ネタバレいつも小説ばかり読んでいるので、新書を手にとってみました。
日本語って綺麗だなあと漠然と思っていたけれど、改めて日本語の奥の深さや、自分の浅学さを感じることができた気がします。
「文字を簡略化するたびに、世代間に一種の段差ができます。世代くらいならまだいいのですが、古典との間に開きができます。」
日本は、日本語で書かれた書物が古くから多く残っている国です。私たちが日本語を正しく身につけられていないことで、その歴史や文化との間に壁が出来るのは、悲しいことだと思いました。
昔から紡がれてきた文学を、言葉を、美しいと思えるように、美しい日本語を学び続けたいなと感じました。
日本語が愛しくなる本 -
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安野光雅さんの文章と言うのは、割と以前から好きです。
無論、本業は、
画家・イラストレーター・装丁家・絵本作家・などなど...、
とにかく「絵を描く人」。そして、文章も素敵です。
文章も素敵、なんですが。
絵メインではなく、文章メインの本もいっっぱいあるんですが。
安野さんの不思議なところは、ほとんど全て、
「明確に、なんだかちょっと欠点のある、ややへっぽこな、魅力的な本」なんです。
なんだろう。
例えば。
序盤はわくわくするけど、後半腰砕け。
はっとするような素敵なエッセイもあるけど、「エッセイ集」としては、ぐだぐだなエッセイも多すぎる。
人生論として、なんだか情熱的過ぎて読み辛く -
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ネタバレ1974年発行の人気童謡絵本シリーズ「ドレミファランド」の中からシンデレラのみを抜粋した絵本。
大まかな話の流れはよく知られているシンデレラと同じだが、そこはさすが安野光雅氏といったところで、構成や台詞にも氏らしいウィットにあふれたものに仕上がっている。
注目して読みたいのは、なんと話の最初から最後まで全ページに登場している魔法使いのおばあさん。
単にドレスとガラスの靴と馬車を与えるだけの存在ではなく、シンデレラを見守り続けながら、頼もしくもチャーミングなストーリー上の進行役をつとめているのが面白い。
しかもそのおばあさん、まさかなぁと思うところに描きこまれているので、目を凝らして見つけたとき -
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2016年刊。ロートレック、モディリアーニ、ゴッホといった個々の画家についてのエッセイ、全部で23篇。半数は雑誌等に既発表、残り半数が書き下ろし。
「ブリューゲル」のエッセイは、お茶の水にあった喫茶店「ジロー」から始まる(1963年頃の話か)。ドル解禁になり世界一周を考えていた安野、隣に座っていたオーストリアの学生と仲良くなり、彼の故郷ウィーンに立ち寄ることになる。彼のおばあちゃんに連れてゆかれたのが美術館。そう、ブリューゲルの名作が何点もある、あのウィーン美術史美術館。
「ラスコーの洞窟画」は、車を運転してラスコーにアプローチするところから始まる。洞窟のなかの電球に不思議がり、本物だと思って