【感想・ネタバレ】会いたかった画家のレビュー

あらすじ

絵を見ることが好きな人へ。絵を描くことが好きな人へ。そしてすべてのひとへ。この本では、画家の心に焼き付いた22人の画家についての思いを語りました。それは、みんな自分の考えで絵を描いた人です。職業として画家を名乗る人ばかりではありません。この本からは、自分の目で見て、自分の頭で考えた画家たちの姿が見えてきます。初めて外国に行った日のこと、この絵を見るまでは死ねないと思った絵のこと、人類最初の絵を洞窟の中に見に行ったときのことなど、画家たちを尋ねる旅の中で垣間見せる、普段着の著者の絵に向き合う姿勢も見所の一つです。

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Posted by ブクログ

表紙と裏がパウル・クレーの素晴らしい絵だ。これだけで嬉しくなってしまう。安野光雅さんは「一番好きな画家は?」と聞かれて「パウル・クレー」と答えるそうだ。さもありなん。クレーに始まって、ロートレック、モディリアーニ、佐野忠良、有元利夫、セガンティーニ、ポター、ブリューゲル、ゴッホ、ピロスマニ、ルソーなどの画家ばかりでなく、写真家のブレッソンやラスコーの洞窟画、ペリー公の時禱書なども取り上げて、本当に自由に思うがままに語っている。読んでいてとても愉しいし、芸術というものの喜びを感じさせてくれる。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

安野光雅さんの文章と言うのは、割と以前から好きです。
無論、本業は、
画家・イラストレーター・装丁家・絵本作家・などなど...、
とにかく「絵を描く人」。そして、文章も素敵です。

文章も素敵、なんですが。
絵メインではなく、文章メインの本もいっっぱいあるんですが。
安野さんの不思議なところは、ほとんど全て、
「明確に、なんだかちょっと欠点のある、ややへっぽこな、魅力的な本」なんです。

なんだろう。
例えば。

序盤はわくわくするけど、後半腰砕け。

はっとするような素敵なエッセイもあるけど、「エッセイ集」としては、ぐだぐだなエッセイも多すぎる。

人生論として、なんだか情熱的過ぎて読み辛く。ほぼほぼ訳が分からないのだけど、部分的にすごく面白い。

などなど...という感じです。
ですが。

何とも言えない「トボけた品格」「無垢な情熱」「リベラルな知性」とでも言うべき魅力が、安野さんの文章にはあります。

そんな安野さんの、2016年8月現在、恐らく最新の著作。
そして、これは、安野さんの最高傑作なのでは、ないでしょうか(読み物としては)

#

本のタイトル通りの、本です。
安野さんが「会いたかった画家」についての、(あるいは絵画について、または絵画についての映画について、の)エッセイ。
伝記っぽい章もあれば。淡い印象論。旅の思い出。実際会った話。解説。芸術論。与太話。
色んな雑誌に書いたものに、半分以上は書き下ろして、一冊にしたみたいですね。

パウル・クレー 
※素敵ですね。好きです。ちょっとミロっぽい?ピカソっぽい?

ロートレック 
※パリ、ポスター、フレンチカンカン。

モディリアーニ 
※映画「モンパルナスの灯」は未見なので観たい。

佐藤忠良、野田弘志、有元利夫 
※誰も知りませんでした。

小村 雪岱 
※挿絵画家さんなんですね。知りませんでした。

セガンティーニ 
※知りませんでした。アルプスの風景。

ビアトリクス・ポター 
※ピーターラビットの作者さんなんですね。ほぼ知りませんでした。

ブリューゲル 
※知りませんでした。素敵ですね。オランダとスペインの歴史など、これも知りませんでした。

ペリー公の祈祷書 
※知りませんでした。なんだかすごいですね...制作の大変さを想うと目が眩みます。

張択端 
※知りませんでした。これも目が眩みますね。1000年前の人なんですよね...。

マルメロの陽光 
※ビクトル・エリセさんの映画。これも未見。安野さんの筆にかかると、なんとも腰砕けな映画に聴こえるけど、でも魅力的(笑)

ラスコーの洞窟画 
※腰砕け旅エッセイでした。「見に行ったけど、見れなかった」(笑)。安野節の面目躍如。

ノーマン・ロックウェル 
※なんだか好きですね。安野さん言及の通り、映画「スティング」のタイトルバックの世界観。

アンリ・カルティエ=ブレッソン 
※この列に、写真家も入ってくるのが流石。

ゴッホ 
※この章は割と「伝記」ぽかったですね。まとも。

ピロスマニ 
※知りませんでした。なんだかちょっと好みとしては苦手な画家さんかも。グルジア映画についても言及。ほとんど「会いたかった画家と映画」...(笑)。

東勝吉 
※湯布院。老人ホームで初めて絵を描きはじめた、70歳過ぎで。すごいなあ。 (谷内六郎+棟方志功)÷2 と、いう感じか...。

アンリ・ルソー 
※なかなか評価されなかったアンリ・ルソーへの愛。安野さんの情熱。これはこれで安野節炸裂。素敵。

冠商店 
※わずか4頁。谷根千に冠商店という荒物屋があって、良い画があった。それだけ(笑)。そして、場所が思い出せない、という落ち。画も観れない。なのに、すごく素敵な4頁。安野マジック。

セラフィーヌとウーデ 
※「セラフィーヌの庭」という映画について。素朴派ってなんだろう、みたいな話。

鈴木信太郎、佐野繁次郎、花森安治 
※花森さんしか知りませんでした。佐野繁次郎さんの、「パピリオ」に感動。
佐野繁次郎さん、広告美術のようですが、この本の画家さんで「全く知らなかったけど、物凄く気になる人」ナンバー1。面白い。もっと見たい。

「最後の一葉」の画家 
※これまた結局、オムニバス映画「人生模様」の1篇について。売れる、売れないについて。情熱と愛。そして曖昧さ(笑)。

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90歳近いんですよね。すごいなあ。
ちなみに、「安野さんの本(文字ベースの)」という意味では、
「口語訳 即興詩人」も、僕は大好きでした。

※デンマークのアンデルセンさんが1835年に30歳で発表した小説。
1892年から10年くらいかけて、30歳~40歳の森鴎外が文語訳したものを、
2010年に80歳を過ぎた安野さんが口語訳した本です。

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2016年08月02日

Posted by ブクログ

2016年刊。ロートレック、モディリアーニ、ゴッホといった個々の画家についてのエッセイ、全部で23篇。半数は雑誌等に既発表、残り半数が書き下ろし。
「ブリューゲル」のエッセイは、お茶の水にあった喫茶店「ジロー」から始まる(1963年頃の話か)。ドル解禁になり世界一周を考えていた安野、隣に座っていたオーストリアの学生と仲良くなり、彼の故郷ウィーンに立ち寄ることになる。彼のおばあちゃんに連れてゆかれたのが美術館。そう、ブリューゲルの名作が何点もある、あのウィーン美術史美術館。
「ラスコーの洞窟画」は、車を運転してラスコーにアプローチするところから始まる。洞窟のなかの電球に不思議がり、本物だと思って見ていた壁画が実はレプリカとわかって驚く。先史時代の絵に驚くよりも、レプリカの精巧さに驚いているところが可笑しい。
いずれのエッセイも、その画家や作品よりも、ゆかりの場所や人々に至るプロセス、印象的なエピソードが読みどころ。
(p.s. 意味の通らない文章がいくつかある。編集や校閲でチェックが入ってもよさそうなのに。少し残念。)

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

先日お亡くなりになった有名な絵本作家。
自分が子どもの時は意識せずに、
子どもが出来てからは意識しながら、
夢中で見てました。
気になる画家、名も知らない画家、
優しくも意志の強い視点で
面白かった。勉強になりました。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

私の好きなアラナイ、改め、アラ卒(※アラウンド・卒寿)著名人のひとり、絵本作家安野光雅さんの最新エッセイ。

安野さんの文章は、自由で、いい加減。
軽やかで興味を引く語りから始まって、「そういえば」などと言って一見無関係な話題に飛んだりして、このあたりまでが枕かな?ここからどしっと本題に入るのだな、とワクワクしてきたあたりで、言いたいことは終わったのではい終わりです、というような(笑)。
○○であらねばならない、という気張りが微塵も感じられない、おおらかさが魅力です。

そしてたまにぶちこんでくる冗談がまた、かわいい。冗談そのものが格別におもしろいというわけではないのですが、ちょっと笑わせちゃお♪と、砂糖ひとつまみ入れるようなサービス精神がお茶目でかわいらしく、いたずら好きの少年の仕事につい目を細めてしまうような感覚で、笑ってしまうのです。
「破天荒」とも「おしゃれ」ともちがう、この可愛い自由さが私は好きです。

そんな安野エッセイファンの私は、何を読んでもそれなりに安野萌えできるので楽しいのですが、何でも人に薦められるかというと、あまりにナンセンスだったり、話題が偏りすぎていたりするものもあり、難しい。
そんな中この本は、
・主題(「安野さんの好きな画家」)の明確さ
・実際にいろいろな絵が掲載されているというお得感
・最新作(2016年5月刊行)であるという今性
という点で、いま読んでみたい人には堂々とお薦めできる作品です。

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前述の通り、安野さんの特に好きな画家(のなかの「ホンノ一部」)が、その作品と共に紹介されている本。その内容は、画家の生涯に触れていたり、作品解説だったり、生地を訪れたときの挿話だったりといろいろで、「安野節を楽しみたい」というのが本音であるような私にとっては、「そのうえ解説付きで絵画鑑賞までできて最高」とでもいったところ。

以下は、特に心に残ったことの備忘メモ。
・小村雪岱(1887-1940)
『青柳』など。新聞連載小説の挿絵や舞台美術、映画の衣装やセットの考案も手掛けた。というより終生挿絵画家だった。しかし美術に上下の区別無し、展覧会をするような画家だけが画家ではない。我が我がでないこういう佇まい、態度を好ましく思う。
・ピーテル・ブリューゲル(1525?ー69)
画面全体のそこかしこに焦点があり、物語がある。こういうふうに楽しむのか、と目から鱗。
・ノーマン・ロックウェル(1894ー1978)
『サタデー・イブニング・ポスト』の表紙を長く描いていた。登場人物ひとりひとりの心の動きをすべて説明しようとしているが、「このように巧みにかき分けた例を他に知らない」。謎解きのように鑑賞する楽しさ。
・東藤吉(1908ー2007)
山で木こりをしていたが、79歳の時老人ホームに入り、趣味の絵を描きはじめた。
・花森安治(1911ー78)
著書『一銭五厘の旗』が面白そうだったのでメモ。

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2016年07月28日

Posted by ブクログ

安野さんが好きな画家たちについてのエッセイ。
大好きな「旅の絵本」の謎解きもあり、また安野さんへの興味が深まる。

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2016年07月02日

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