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一介の傭兵としてケイロニア入りをしたグインは、皇帝暗殺の陰謀を未然に防いだ功により一軍を任され、おりしも陰謀にからみ不穏な動きのあるユラニア国境へと派遣された。一方スカールは、病に冒された体で、赤い街道の盗賊が跳梁する国境地帯を越えて、草原への遙かな道のりを旅せねばならなかった。しかし、なぜか彼は友邦パロへ行くことだけは拒み続けるのだったが……。第24弾。(※電子書籍版には口絵・挿絵が収録されておりません)
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Posted by ブクログ
残念なイシュト。
今回の視点は 第一話 スカール 第二話 グイン 第三話 スカール(イシュトヴァーン) 第四話 スカール になっている。 かなりの文字数を割き、スカールとリー・ファ、その他草原の民たちの様子が描かれる。キャラクターたちは、ああでもないこうでもないと作戦に悩み、物語の進行は遅い。 が、このしつこいくら...続きを読むいのやりとりがクライマックスにガツンと効くのがグイン・サーガという作品なので、とにかく読んでおく。 第二話では、グインは指揮官としての能力を試される。個人的にはグインは30代くらいのイメージでいるが、優れた老将の考えを飛び越える知略に長けているというのが、いいキャラクター。 ガチムチの豹頭は脳筋ではない。 もはや一国の軍の一部を預かる軍人の器に収まるような者ではなく、一国の主でも収まらない。 グインには「世界の王」がふさわしい、というような結論を見つけるに至るための章。だと思う。 第三話はスカールが宿の主人から赤い盗賊の新首領について話を聞く、という少々異質なパート。この親父、どうにも詳しい。すでに語り継がれる物語として完成してしまっている様子だが、つい最近の出来事である。なんなら現在進行系だ。そんな裏事情を誰がどうやって仕入れてきたのか謎。が、突っ込むのは野暮か。 イシュトヴァーンの美と愛嬌を都度強調してくれるのはありがたい。容姿に関する描写は何度繰り返してもいい。繰り返した分だけ印象に残る。 イシュトヴァーンに関してはもう十分残ってはいるが、たぶんあと百回は繰り返されても飽きないと思う。他の要素(景色や物)に対する描写が多いので、相対的にちょうどいい塩梅になる。 第四章。スカールとイシュトヴァーンが遭遇。まあそうなるよなという展開なわけだが、あー来ちまったかー…という気持ちにはなる。 万全のスカールだったら遅れは取らなかったのだろう、という説得力は確かに感じた。 アリがなかなかいいキャラだ。ちなみに彼は何歳くらいだったか…久々に続きを読んだので忘れてしまった。いずれにせよ、彼はイシュトヴァーンを奮い立たせる。アリには野望があるが、イシュトヴァーンへの憧れもあるのだろうと感じる。僻みにならないアリのメンタル強者感がよい。肉体が強く見目もいいが心が揺れがちなイシュトヴァーンとの対比になっている。 で、そんな気はしていたがやはり死んでしまったリー・ファ。 シンプルにつらい。スカールもつらいし、初めて女を(うっかり)殺したイシュトヴァーンもつらい。 イシュトヴァーンの行動の動機はリンダであろうから、若い娘を殺すというのはかなりメンタルに来たと思われる。実際ヘロヘロになってたし。 大切な者が失われたことで、新たな因縁が生まれた。イシュトヴァーンの敵は増えていくのだろうな…リンダはどう思うかな…… 結局スカールはパロに連行されることになってしまったし、踏んだり蹴ったりだ。これを避けるためにあれこれと工夫してきたというのに、結局避けられず、臣下も愛人も死なせてしまった。 ナリスがおっとり笑顔でヤベェヤツなのはなんとなく分かるが、スカールが抱えるものを知るためにどう出るのか楽しみだ。 スカールとイシュトヴァーンの因縁がどうなるのかも楽しみだ。 スカールの生きる理由が「愛する者たちと生きるため」から「復讐のため」に変わってしまったようなのが切ないが、ドラマチックな展開ではある。 いかにも、ドラマチックなラストだった。ラストより前の文章9割はここを盛り上げるためにあると言っていいだろう。そのつもりで書いていると思う。 それなりに惹かれる引きだった。
ケイロニアでのグイン無双を読んだ後だと、スカール対イシュトヴァーンの対決もあまり盛り上がらない。 ましてや村の老若男女を皆殺しにして良心の呵責を覚えないイシュトヴァーンが、自分の手でリーファを殺したことに動揺しているのが、なんとも嫌な気分になる。いや気持ちは分かるのだけどね…。
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グイン・サーガ
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栗本薫
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