円城塔の作品一覧
「円城塔」の「コード・ブッダ 機械仏教史縁起」「攻殻機動隊小説アンソロジー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「円城塔」の「コード・ブッダ 機械仏教史縁起」「攻殻機動隊小説アンソロジー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
東北大学理学部物理第二学科卒。2007年『Self-Reference ENGINE』でデビュー。『道化師の蝶』で第146回芥川賞受賞。同年『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門受賞。『これはペンです』、『Boy’s Surface』など数多くの作品を手がける。
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Posted by ブクログ
その作家の作品全て読みたいと思える作家に出会えるチャンスは、偏読傾向のある私にはかなり稀なものになってしまうのですが、今絶賛傾倒している劉慈欣先生の未読作品が残り一冊という絶体絶命の境地に立たされていた中で円城塔先生が救いの手を差し伸べてくれました。
本作は第39回日本SF大賞を受賞した「文字」に関する短編集です。
文字について「人間が記録を残したり、何かを伝達するためのツール」以上の印象を持ったことはないし、書道の良し悪しもわからないし、フォントについてもパワポや動画編集でみんながなんとなく使ってて読みやすいものの中から何となく選ぶ程度の美的感覚しか持たなかったけど、読み終わる頃には文字に対して人見知りしてしまうような、深遠な感情を抱いてしまうような感覚になった。
表題作「文字渦」では秦始皇帝の難題に応える俑工の話で、嬴政の「エイ」の文字がさまざまな形をとるように始皇帝自身の姿も瞬間を捉えられないと解釈するのが面白かった。オーディオブックにしたら「エイエイエイエイエイエイ」となってしまう箇所があるので、音声化を断ったってエピソードも好き。というか「文字渦」収録作品に関しては、目で文字を追う読み応え自体が重要なストーリーの仕掛けになってるのがすごい。
「梅枝」では、レディー・ムラサキ(紫式部)の「源氏物語」のうち第40帖「御法」を筆で写す機械が、「御法」という作品を過学習しすぎて、まるで涙を流すように震えながら筆を運ぶし「御法」しか書かなくなるという失敗とかめちゃくちゃ面白い。
「緑字」では読み始めた直後なんのこっちゃとなったけど、物質宇宙のように三次元空間に人の用途を超えた文字が離散している状態を観察し、光っている文字の共通項を見つけようとしたり、人間にとって何か意味があるように解釈に挑戦するけど、人間の解釈を前提にしない法則のない挙動をする、いわば情報生命としての文字の観察レポートでこれもすごく面白かった。人間の解釈を無視した生命っていうモチーフでは「ソラリス」っぽさを少し感じたし、個人的にかなり好きなモチーフ。
「誤字」は一番好きな作品。文字が意思を持って移民になったり、身を潜めて時が来たら増殖したりする生命のような動きをする中で、ふりがなである「るび」が作中で暴走してるのがすごく心打たれた。こんな読書体験あるんだって感動した。文字の戦争って発想もすごい。
文字というパーツの組み合わせ、時代や地域で表現や用途が異なること、神聖なものだったり利便性だけ求められるもの、必ずしも文字の連なりは一次元ではないということ、政治の道具として一国の運命を変えてしまうこと、文字が実は情報生命で、人間は増殖に利用されているだけかもしれないということ。改めて考えたこともないけど、こんなに身近で毎日目にしていて、当たり前に習得して使っている文字は人間がゼロから生み出した数学と同じように概念的なものでしかなく、だからこんなに解釈のしようがあるっていう楽しさに気づけた素晴らしい小説だった。
なんだか難しく書いてることや具体的すぎるほど史実を引用している箇所があるけど、調べたりよく考えてみたら「これ嘘じゃん」ってなるエピソードもたくさんあって、それが本当に笑える作品になってると思う。超真面目な顔でまるで事実のように大法螺吹いてることに気づくと、一見難解そうでも急に肩の力を抜いて読めるようになる。長い冗談を聞いてる感じが最高だった。
円城塔先生かなり多作なので他の作品読むのもめちゃくちゃ楽しみ!
Posted by ブクログ
お盆でございます。
何年かに一度、このころになりますと読みたくなる物語がございます。
はい。雨月物語でございます。
特にわたくしは「浅茅が宿」が好きでございます。
下総の国 葛飾の郡、真間というところの1455年辺りのお話でございました。
勝四郎という夫が、秋には戻るという言葉を残して京へ商ひに出たのを待ち続けた妻 宮木(みやぎ)の悲しいお話でございました。
折しも夏には戦が始まって、村人が里を捨てて逃げてしまっても、夫が秋には戻りますからと言って、里に残った宮木。。。
雨月物語とはよく言ったものでございます。
そぼ降る雨の夜にお読みくださりませ。
上田秋成さんが切なくも不思議な世界に誘ってくださいますので。
〔作品紹介・あらすじ〕
雨ははれ、月がおぼろにてらす夜──中国の小説や日本の古典を自在に翻案し、技巧の粋をつくした上田秋成による怪異奇談集の傑作を、円城塔による精緻で流麗な現代語訳でおくる。崇徳院の霊に西行法師が出遭う「白峯」、義兄弟を信じて待つ「菊花の約」、七年を経て妻の元に帰る「浅茅が宿」他、全九編。 ◎解説=長島弘明
【目次より】
序文
白峯
菊花の約
浅茅が宿
夢応の鯉魚
仏法僧
吉備津の釜
蛇性の婬
青頭巾
貧福論
訳者あとがき
解題:長島弘明
Posted by ブクログ
大きく3章に分かれた、15篇からなる連作短編集。異世界ファンタジーにはあまり触れてこなかったこともあり、自分の想像力の限界を感じ、序盤はなかなか読み進められなかった。
後半に差しかかると、物語は少しずつ収束し始める。「設定」を逆手にとった壮大なメタ。そこで初めてこの作品の構造の面白さに気づき、始めからもう一度読み直した。
最後には、このややこしく、こんがらがったこれまでの物語は、試練だったのだとわかる。
一緒に最終章への突入を果たした読者にしかわからない。本物の、飛び出す本だった。
大真面目にルラィ・ララララスドなどという名前の人物が登場するセンスも好き。