加賀山卓朗の作品一覧
「加賀山卓朗」の「灰の王」「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
アイクとバディーリーの未熟な二人の父親たちの話
彼らがともに同じ後悔と哀しみを抱え、憎しみという名の復讐へ舵を切る
バイオレンス、セクシュアリティー、人種差別、家族愛、それらが紡ぐ一見複雑に見える事件が、実はシンプルな一本の糸で繋がっている
アイロニーとドライなセリフ、彼らにしか理解し合えないユーモア
その世界にしかない共通語
未だ、この世はそんなもので満ち溢れているのかも知れない 悪意、自己顕示欲、暴力、偏見…
そして物語がある着地点へと辿り着き、ふと、思う
「後悔」ってなんだろう?
アイクとバディーリーは完全に取り返しのつかないことを息子たちにしてしまっていた
それは彼らを理解しようとしなかったこと、そして「愛」を伝えなかったこと
息子たちの非業な死の後でいくら悔やんでも、彼らには遅すぎた
「後悔」とは、もはやどうにもならない、行き着く先を見出せない、自分の中でいつまでも鳴り響く「残響」のようなものなのかもしれない
その後、父親たちが果たした復讐には何の意味があったのか?
「カミソリみたいな涙」
もどかしく、言いようもない哀しさを孕んだ贖罪の物語
Posted by ブクログ
【再読】
「だって彼は殺されたんでしょ?」
葬儀の後、遺言の公開の場で一族の一人コーラが口走る。そして翌日、コーラは何者かに惨殺された。遺言執行人のエントウィッスルは事件に不吉なものを感じ、一族の者たちを訪ねていく。すると、誰もが経済的な苦境に立たされており、アバネシー家の当主だったリチャードの死を歓迎していたことがわかった。そこでエントウィッスルは、旧い知り合いであるポアロに協力を要請した。
調べを進めると、リチャードは死の直前にコーラのもとを訪れており、そこで何かを仄めかした可能性が浮上する。だがコーラの同居人ミス・ギルクリストは二人の断片的な会話しか耳にしていなかった。すると今度はギルクリストが命を狙われたため、ポアロはますます二人の会話に何かヒントがあるということを確信する。
ポアロは一族を屋敷に集めて観察をする中で、ようやく真相に辿り着く。
犯人はミス・ギルクリストだったのだ。コーラのコレクションの中にフェルメールの作品を見つけた彼女は、それを奪うためにコーラを殺害することを決意する。ちょうどそのタイミングでリチャードが死んだため、ギルクリストはコーラに変装して葬儀に参加、リチャードの死が殺人であったことを仄めかす。それは全て、その後のコーラの死をリチャードの死と関連づけるものだったのだ。
印象に残るフレーズの多いクリスティー作品の中でも、間違いなく上位に入る作品。外国人である利点をいつも以上にフル活用する抜け目のないポアロ。犯人であるミス・ギルクリストの動機とその豹変ぶりが恐ろしい。
唐突に登場する情報屋の存在がやや反則な気がしないでもない。
●名言
「過去はあなたのすぐそばにいて、『こっちはまだ片づいていないよ』と言う」